原初の魔法少女『──魔法紳士は魔法少女に憧れ、夢見、報われない想いを貢ぐもの達。微笑まれ、寄り添われながら決して振り向かれない哀れな画面の向こうの盲念の具現』
ミユ「!」
『それぞれにおいて、活動をするわ。それぞれの願いのもとに魔法少女を作るの。そしてその報われぬ想いを築き上げて・・・その魂を贄として作り出すの。
「・・・!」
子ギル「生半可な難易度ではつまらないでしょう?マンネリだと言われるのも不愉快ですのでいっそ混沌にしてしまおうと。いやぁ、廃棄品に魔法紳士なる怨念が宿るとは予想外でした。まぁ結果オーライですね。皆さんならうまくやるでしょう」
「・・・イリヤ・・・」
「──ちぇっ。エアさんが前線に立って皆を引っ張ってほしかったけれど、ここは大人の僕が大切にしてくれていることを喜びましょうか。さぁ、先は長いですよ。引き立て役の皆さん、頑張ってくださいね?」
月
「うむむむ・・・」
ビーストIFブースター
『Pコミュニケーションデバイス』
『バスターツエーイ』
『アーツタクーミ』
『クイックハエーイ』
『オリハルコンスケイル』
『ブレイブハート』
『チャームジェノサイダー』
『ダメージアブソーバー』
『ゾロアスターの書・原典』
『マジックリアクター』
「何が悲しくて友だちをヤク漬けにしないとならないのか・・・平行世界の跳躍なんて単独顕現持ちくらいじゃなきゃ危なすぎて任せられないからリッカとギルが不可欠だから・・・うむむ・・・」
『平行世界 マスター 藤丸立香(男性)』
「一般マスターの藤丸くんの護衛の為にも・・・うぅ、リッカには無茶を強いなければならないのか・・・いや、最悪私が・・・」
ネロ「いかん、いかんぞ奏者!月の新王たる奏者が死地になど・・・!」
「それはリッカも同じこと。私とリッカの命の尊さと価値に、髪の毛一本程も差異はない」
「そ、それはそうなのだがっ・・・!」
「・・・廃棄品の方も廃棄品の方で、まず間違いなくギルじゃなきゃ捌けない・・・ぐぬぬぬ・・・BBもキアラも厄ネタすぎる・・・月、楽園に迷惑しかかけてない・・・」
(すまない、本当にすまない。──埋め合わせは絶対するから、どうか力を貸してほしい──)
「えっと・・・あなたが、『おかしなお菓子の国』を代表する魔法少女なのですか?」
用意された紅茶、お菓子を頬張りながらイリヤは本題に切り込む。このお菓子の国、ひいては特異点とはなんなのかを、純粋ゆえ真っ先に問いかける。こういった時に未成熟や未熟さはプラスに働く。会話に建前や論理を挟む暇なく主導権を握れるが故だ
『嘘や謎などを積み重ねる必要はないですよ~?私達は正義と自由と平和を護る清く正し・・・』
【?】
『・・・清濁合わせた新機軸の魔法少女なのです!人妻高校生なども含めたオリジナリティ溢れる魔法少女ユニットですからね!実力は折り紙つきですよー!』
言い直したルビーに怪訝そうに首をかしげるリッカ。──全うでは少なくともない。スタンダードとは決して告げられないだろう。何せイリヤとクロが埋もれるほどの個性的な面々が集う面子だ。中にはラスボス、大ボスの資格を持つものすらいる。ともすれば悪を食らう悪の幹部たち、敵の敵を蹴散らす魔王と配下の集団と言われても言い返せはしないかもしれない。だが、その志は正しいものと信じて問うのだ。私達は味方であると
「えぇ、お話はギルガメさんから聞いているわ。あなたたちに頼るしかないの。どうかお菓子の国を、私の友達を助けてほしいわ。それだけが心残りなの・・・」
『事の顛末は我がかいつまんで説明してやろう。どうやら此度の特異点、魔法少女の立場は相対的に変化するもののようだ』
先んじてギルガメくんが伺っていた事の顛末、それは魔法少女の真実の一端であり、そしてそれを脅かした存在の定まらねどはっきりとした存在の示唆であった。彼女を含めた魔法少女・・・それらは戦い抜き、または役目を全うしこの地へと流転し流れ着いた魂たちであるものだとギルガメくんは語る
『魔法少女として杖を取り、契約し力を得て戦い、初志貫徹にしろ無念に散るにしろ戦い尽くした魂が此処に集い、安寧を過ごしていた様だ。この国の目的は慰安と鎮魂・・・違いはないな?』
「その通りよ。私達の最後にたどり着く場所。疲れて傷付いた物語のヒロインが集まって安らぎに沈む場所。ここでは皆が仲良く過ごせる場所よ。・・・私のお友達もそれを助けてくれていたのだけど・・・」
その平穏と安寧は突如として崩れ去ったという。クラスカードに形作られた魔法少女達の群雄割拠、血で血を洗う抗争、国を、国土を奪い合い覇権を掴むための闘争。敵味方などなく、誰の敵なのか味方なのかすら解らないままに巻き起こった戦いに、魔法少女の魂たちはひたすらに翻弄された。魂だけとなり、あるいは霊的に脆弱であった魔法少女達は力として取り込まれたという。強力な力を得るために、魔法少女として天を掴むために
・・・其処に立ち上がったのがナーサリーであり、その使い魔であり友達であった者だという。国土を、疲弊した魂たちを護り、国を維持して戦い抜いた。懸命に奮闘し、守護し、安寧を求め力を振るったのだという
「強かったわ、負けなかったわ!皆を護り、安らぎと楽しみを感じる場所を、力を合わせて取り戻したいと願ったの!」
(サーヴァントをも退けられる使い魔に友達・・・相当のてだれのようね、どんな存在なのかしら・・・)
誰かのために戦ったもの、願いの為に戦ったもの。なにかを護るために頑張ったもの。そんな魂の終着点である居場所を、お菓子の国を懸命に護り抜き戦ったという。・・・だが
「でも・・・結局私達は負けてしまったの。魔法少女達に『もう一度チャンスをあげる』と囁いた人がいたの。それが・・・」
「・・・魔法紳士?」
突如現れ、文字通り紳士的な手段で戦いの終結を行ったもの。それこそが──『魔法紳士』なる存在なのだという
彼らは言った。魔法少女に再びの活躍を。魔法少女達に正しき報いを。その生に、再びの脚光をと、ただ翻弄されるばかりの魔法少女に問い掛けたのだ
・・・魔法少女とは誰かのために戦い、誰かのために無茶をし、世界を敵にしてでも大切なものを護る傾向にありし者達。そんな彼女らにもう一度羽ばたき、もう一度輝く事が出来ると魔法紳士は告げたのだ。それは優しく、勇気ある魔法少女の魂たちにとって願ってもいない申し出であり。誇り高い選択をさせるに足る契約であった
もう一度、大切なものを護る力を。もう一度、飛び立てる勇気を。そして自分達を受け入れてくれたこの世界を今度こそ自分達の手で護り抜くんだと。そう決意し、大半の魔法少女の魂たちは魔法紳士の導きに従った。その判断にて、今度こそ全てを護るのだと奮い立って
「・・・でも、魔法紳士は意地悪だったの。翼ではなく、固いマネキンと人形を魔法少女達に与えてくれたの。そして綺麗な歌声だけをあげるしか出来なくなってしまったの。飛ぼうとしたら、奈落の底へまっ逆さま・・・」
魔法少女は変わり果ててしまった。物言わぬ人形達に魂を押し込まれ、ひたすらに歌を歌い続けるだけのマネキンにされてしまった。魔法少女として再び自分達の戦いを、夢を、希望を掴むことは出来なくなってしまったのだ
その事実に、誰よりも怒ったのがナーサリーライム、その使い魔であった。憤怒と義憤のままに魔法少女を救うため、魔法紳士に挑んだその友達もまた──『かつての魔法少女を傷付けることが出来なかったから』
「どんな姿でも私達は迎え入れると言ったもの。どんな形であろうと受け入れると約束したのだもの。その約束を、私もあの子も覚えていたわ。忘れないから・・・何もできずに、負けてしまったの」
立ち塞がるのは声なき声をあげる少女達。希望を、夢を、願いを抱いて戦い抜き流れ着いた魂たち。魔法紳士を倒すためにはその子らを蹴散らさなくてはならなかった。踏み潰し、押し潰さなくてはならなかった。しかし、それは『約束』を踏みにじる行為に他ならない。此処を安息の地として定めた魂たちへの裏切りに他ならない
だから──ナーサリーもその友達も敗れた。戦う前から敗北せざるを得なかった。これ以上、疲れ果てた魂たちをいたぶることは、どうしても出来なかった
ナーサリーは魔法少女としての力を抜き取られ、『人形』としてこの城へと監禁された。使い魔は魔法紳士の手に落ち、このお菓子の国を乱さんとするものをお菓子に変えてしまう装置へと落ち果てた
この国で生きていられるのは、魔法紳士に認められた者だけだ。『美しく』『美声を持つ』『永遠の少女』。それらを満たさねば人形に、それらにならねばお菓子にされてしまう。突如現れたクラスカードの亡霊、そして魔法紳士により平穏は崩され終わりを告げたのである
──見ると、ナーサリーの両手両足は崩れかけている。度重なる戦いと防衛にて、限界が間近に迫っているのだ。消え去るのは時間の問題。だが、それでも消えられない。何故かなんて決まっている
「ここは、皆の居場所なの。魔法少女として頑張った子達がお休みなさいを言う場所よ。ページはまだ閉じてはいないわ、物語はまだ終わっていないわ。だって、物語の終わりは本を取り上げるくらいじゃ訪れないのだもの!」
消えるわけにはいかない。魂が、霊が、次の物語を見つけるまで。次の物語を掴むまで。無垢なる願いが有る限り、ハッピーエンドを望む心が有る限り。自分は絶対に見捨てない
「『
風前の灯火の生命。割れて砕けてしまう儚いガラス細工。でも、この物語の終わりだけは、誰の手にも渡さない
──この国で、初めて魔法少女になった子供たちの英雄は、死する前に告げたのだ。悪い魔法使いをやっつける、素敵で無敵な勇者達へと願いを紡いだのだ
「お願いします。皆を助けてください。もう──願いを叶えずに消えてしまうのは、
最早消えることも、いなくなるのも覚悟の上。でも消えられない、まだ終わらない。『物語』を愛してくれた魂がいるのなら、疲れ果てた魔法少女がいるのなら。かつてのいつか・・・眠る前に、
『──だ、そうだ。どうだ魔法少女どもよ。この申し出、受けるも蹴るも貴様ら次第よ』
・・・その願いは、確かに届いた。もう充分なまでに戦い、傷付いた魔法少女の守護者の願いは、聞き届けられた
【・・・──】
「あ・・・黒い人・・・」
静かに背を向け、歩き出すリッカ。それは勿論見捨てるものではない。逃避の歩みではない
【──(グッ)】
「──!!」
言葉は要らぬ、ただ背中と、背中越しのサムズアップで告げた。ただ、たった一言を。了承を
「ごめんなさいね、分かりづらくて。要するに・・・」
「お任せください!と言うことです!必ず皆様をお助けします!」
「強きを挫き弱きを助ける。騎士道とはそう言うものですから」
「・・・まぁ、リッカが良いなら私は構わないわよ。後輩の無茶のフォローも先輩の役目でしょ」
「・・・!」
「よく頑張ったわね。後は、私達カルデア魔法少女チームにお任せよ!」
魔法少女は示した。挑む事こそ、困難を乗り越えることこそが正しき在り方であると。何より──友のために戦うものを救わずして、義の証左は有り得ないと
【全部助ける、全部取り戻す!待っててナーサリー、魔法紳士も群がる敵も、全部ブッ飛ばして来るからさ!】
「・・・!えぇ、宜しくお願いします!真っ黒なドラゴンさん!皆を、助けてください!」
少女の祈りを背に、魔法少女は向かう。魔法紳士と数多の祈りが渦巻く、魔法紳士の異界へと──
イリヤ「ぐすっ・・・おまがぜくだざい!私達、一生懸命やってみせます!はいっ!」
クロ「すぐそうやって共感するんだから。だけどまぁ、人助けを皮肉に断る必要も無いわよね。いいわ、やってあげる!」
ナーサリー「えぇ!帰ってきてくれたら、とびきりのお礼をさせてちょうだい!」
『うむ、我としてもこの問題に一抹の責任は感じている。我が財、振るうことに異論や不満は挟むまい。惜しむらくは我自身は可愛らしいマスコットでしかないのが悩みであるが、晴れ舞台以外に至宝を晒すわけにはいかぬ故、赦すがいい』
──皆様に魔法紳士の居城、反転位相へ迎えるマーキングを処置しておきました。これで問題なく迎えるはずです。どうか皆様、お気をつけて!
ナーサリー「お願いします。魔法少女は戦い抜いた女の子の名前、此処にいるのは物語を駆け抜けた役者達。もう休んでいいのと、伝えてあげて」
イリヤ「うん!行くよルビー、クロ!ギルガメくん!行ってきます!!」
ルビー『気運高まる最初からクライマックス!明日から一週間は作者が深夜勤なので、唐突な更新途切れも笑って許してあげてください!ではでは、また明日!』
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