人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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大海

──グラシャラボラスさん、自分の答えを、命題を見付けていたのですね・・・何処か預かり知らぬ世界と言えど、あなたの答えと魂に礼賛と敬意を。そして──

『グラシャラボラスの手記』

──あなたが示してくださったこの言葉と理念、必ずや。ワタシ達が討ち果たすべきモノが何かを、必ず示してみせます!

《ふはは、こと他者の事になれば勇ましくなりおって。その変換と多彩な表情、輝きこそが至宝たる所以よな》

(しかし、それを行うために排除せねばならん障害はそれなりに多い。──奮起せよ、魔法少女ども。お前達の戦い、必ずや我等が結実させるのだからな)



ロマン『グラシャラボラス・・・君とは意思さえ疎通できればよき友になれたのかもしれない・・・』

イリヤ「なんだかセンチメンタルになってる、ロマンおにいさん・・・」

「ダメ人間風味を感じるのは気のせいかしら・・・」

「ううん、でも仕方ないよ。こんな穏やかで、平和で、静かな海の航海だもん。気だって緩んじゃうよね~」

ロマン『おっと、久々に言うなこれ。話の途中だがワイバーンだ。サンドイッチ食べてる皆、準備はいいかい?』

ぐっちゃんとイリヤ、クロ以外の魔法少女「「「「「はーい!」」」」」

イリヤ「ほらぁワイバーン・・・ワイバーン!?てて、敵襲ー!?」

クロ「動じないにも程がないかしら!?お兄ちゃん並の鈍感さ!?」

ぐっちゃん「そうよね・・・それが普通の反応なのよね・・・」




マジカル☆リリィ☆メディア☆~幸福なのは義務なんです~

大海原と竜の国──

 

空には虹、海には穏やかな波。緑豊かな群島の数々。魔法少女達の住まう特異点の中では、最も色鮮やかで輝かしく、また平穏であるやもしれない国。其処にある民達は、仲睦まじい夫婦をトップとした極めて幸福で真っ当な生活を、暮らしを享受している。その豊かにして肥沃な国土、イルカや鳩が飛び交うメルヘンチック。虹がかかり、スカイブルーとディープなブルーが世界を覆う素敵で幸せな国である

 

誰もが魔法少女である彼女を敬い、誰もが王である彼を崇める。民と王が一つになった、理想で素敵な国の姿。誰も彼もが笑顔に満ちて、誰も彼もが争いをしない理想の国・・・

 

そんな国を納める魔法少女もまた、可憐さと儚さを合わせ形にしたような素敵な女の子。戦いは嫌いでも、誰かを護るために戦う事を厭わない素敵で可愛い誰もが蝶よ花よと愛でるであろう魔法少女らしい魔法少女・・・

 

「イアソンさま、我が国土をこれ以上ないほど我が物顔で航海してくる方々を発見いたしました。どうなさいましょう?」

 

メディアリリィである。可憐で夢見がちで平和が大好きな仲良しの魔女。仲良しに至らせる手段や方法は彼女の裁量であるとして、彼女もまた、夢と希望を担う魔法少女なのである。魔法少女なのである。決して魔女と言ってはいけない。今晩の食卓に並びたくないのなら

 

『いちいち報告しなくていい、イアッと見えているとも!・・・愛らしい桃色の魔法少女、ふわふわだけど固そうな紫の魔法少女、なんかラスボスみたいな邪悪なオーラ撒き散らしてる黒い魔法少女、聡明で理知的なオレンジの魔法少女、腹ペコそうな青い魔法少女、ツンデレポンコツ気味なブラウン魔法少女、活発なホワイト魔法少女・・・』

 

その傍でうざ・・・可愛らしく振る舞うはギルガメくんの☆を4つ程引き抜きスケールダウンさせたような金髪翡翠の瞳の使い魔『イアソンくん』である。こんな可愛らしいデフォルメされた見た目ではあるがこの国の王であり、誰もに崇められる理想の王なのである。疑問や異論は挟まないであげてほしい

 

『私の見立てでは、桃色の方は華々しさでキミに勝り、紫はボディランゲージでキミに勝る。黒いのは勇気と気迫で、オレンジはクールビューティーさで、青色は健啖さで、ブラウンは属性の過多さで、ホワイトは無邪気さでキミに勝る。なんだ完敗じゃないか!戦う前から勝負は決まっているとか笑えな──』

 

瞬間、笑顔にてイアソンくんにメディアリリィが火をつけた。そんな言葉遊びをしてしまうイアソンさま、めっ☆だぞとドラゴンもウェルダンに仕上がるちょっと魔法少女にしてはヘルとかボルケーノとか似合っちゃうめの火力にてこんがり情熱的にイアソンくんが焼き払われてしまう。

 

「イアソンさま、イアソンさま。的確な戦力比較をもう一度、お願い致します」

 

『イエス、では言葉を変えて発言しよう』

 

丸焦げになり消滅寸前でリジェネをかけ死ぬことを許さない慈悲深きメディアリリィの愛により復活したイアソンくん。今度こそ冷静で的確な判断をしなくては命が危ない。そう確信し静かに当たり障りなくそれとなく評価を改める

 

『桃色よりキミの方がクルーエル、紫色よりキミの方がクレイジィ。黒色よりキミの方がデンジャラスで、青色よりキミの方がスレンダー。ブラウンよりキミの方がシンプルで、白色よりキミの方がキューティー。こんなんで一つどうだい?』

 

「まぁ・・・イアソンさまったらそんな、臆面もなく恥ずかしい誉め言葉を・・・」

 

 

(最早私の言葉を正しく認識しているかどうかすら怪しい・・・魔法紳士の嫌がらせでここまで精神をやられていたか・・・)

 

いや元からだっけ?などと口にしてはまた焼かれるので黙る。口は災いの元なのはとてもよく理解しているが故に異論など挟まない、挟んではいけない。逆らったらどうなるか等、火を見るより明らかだからだ。さっき焼かれたし

 

『まぁいいや、とにかく今回も無事、メディアからの無理難題を乗り越えた!お前と来たら、何気ない会話ですら死と隣り合わせの冒険にしてしまう!』

 

機嫌を損ねたら焼かれ、頼みを断ったら雷に打たれ、少し無断外出したら切り刻まれる。そんな行為を素敵なコミュニケーションとしてくるバグっぷりを、イアソンくんは身をもって知っていた。体感しているが故に

 

「はい、私は平和を愛するもの。故に侵入者にかける温情はありません。どろぼうさんには罰を与えます。事情があるにしてもソレは罰をやりきった後に聞けばいいとキルケー叔母さまも言っていました!」

 

『その通りさ。この『大海原と竜の国』は私の見た目ほど甘く、スマートじゃない。人々はみな穏やか、誰もが幸福で民の誰もが私を崇める国に見えるが──』

 

その実、わずかながらでも犯罪をおかした『悪い子』は理性が吹き飛んだ王女の手で豚に変えられ、弁明の余地なくお仕置き・・・浄化と言う名のジェノサイド、心身の抹殺が待っている。王と姫と言う政治のその実、全ては姫が握っているのだ。王は名実ともに象徴、お飾りなのである

 

『それがこの海上独裁国家メディアサイコランド!の真実なのだからね!ふはははははは!たすけて!!』

 

「イアソンさま、何か仰いましたか?」

 

『特になにも。ちょっと演説しただけ。それより戦争だ、戦争だよメディアくん。かの魔法紳士の連れかもしれないんだ。疑わしきは罰する・・・侵入者には容赦せず、話を聞くなら刑罰を行った後で、だろう?ならば徹底的に行くとしよう!ワイバーンを仕向け先手必勝だ!最高に頭のいい戦術、戦いは数だよと知らしめてやろう!』

 

同時に差し向けられる虹色のワイバーン。それら全てがイアソン、メディアの忠実な僕であり兵である。故にこそ、それを使役し先手必勝の戦術を敷くのだ。まさか魔法少女がこんな恐ろしいリアルな竜を使役するとは思うまい

 

『無論船ごと粉々に粉砕する!なにしろ魔法少女は至上最悪にしぶといからな!倒したと思って安心しきった翌朝、『イアソンさま、朝ですよ。起きてください♥』なんて声をかけられたオレの恐怖を思い知るがいい!』

 

「分かりました。つまり死ぬまで殺すのですね?了解です!えーい、魔法ボトルシップ開放!」

 

取り出したるはボトルの中に収まりし船を組み上げし芸術、ボトルシップ。それを魔術にて本物の船を放り込んでいたメディア、無論搭載されている兵力や武装も本物である

 

「でもお許しください。加減が分からなかったので船の準備はこれくらいしか出来ていないのです・・・搭載した竜牙兵5ダース、衝角には『相手の船の竜骨を腐らせる呪い』。この程度のものしか常備しておらず、申し訳ありません・・・」

 

『いや怖いよ。海の藻屑にする気満々じゃないか。背骨を溶かす薬を常備する財産目当ての妻みたいなものじゃないか。どのへんが平和を愛する心なのか聞いておきたいよ』

 

「はい!戦いは苦手ですが頑張ります!では皆さん、突撃です!」

 

『よし見事に聞いてない!だがそれがいい!私の嫁、最高に最高だな!』

 

そうして差し向けられし姫の断罪。笑顔で戦慄をばら蒔く魔法少女メディアリリィからの魔の手が楽園の魔法少女達に襲い掛かる

 

『多種多彩な戦隊ものめいた魔法少女達よ、気の毒だがこのやべー女に喧嘩を売った愚かさを嘆くがいい!お気の毒だ、嫌みなしに!出来れば頑張って倒してもら──』

 

「イアソンさま?」

 

『なんでもない演説しただけ!さぁ乗り越えてこい!我等は、独裁者はここにいるぞ──!』

 

複雑な想いを懐くイアソンくんは叫ぶ。今、新たな戦いが切って落とされる──!




イリヤ「本当に一杯きた!?ルビー!もっと魔力回して!」

『やってますよー!しかしいきなり問答無用とは野蛮な方々ですねぇ!?』

クロ「ホントにね。顔が見てみたいわ!・・・何より・・・」

リッカ【よぉし!!蹴散らすぞぉ!!】

マシュ「先輩!此処はお任せを!」

オルガマリー「問答無用であるならば、こちらも断固とした手段を取るまでよ。行くわよマシュ」

「はい!クラスカード『バーサーカー』!」

「クラスカード『ライダー』。蹴散らすわ!」

『うわっ、突進してくる船に呪い!?怖いなぁ、解除しておこうっと(指クイッ)』

クロ「こっちに喧嘩売らない方がいいって、教えてあげなくちゃね・・・」

イリヤ「あは、あはは・・・どっちがボスなのか分からないよね・・・」

『そんなつもりはないのに殲滅戦!この地における立ち位置や如何に!?次の投稿で!お会いしましょう!』

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