「これは・・・!衣装デザインにステッキ原案、そして自費製作のアニメフィルム・・・!なんと凄まじき熱意!最高!ありがとう!」
(これを形に出来ず逝くとはまさに無念!死んでも死にきれぬもの!こうしてはおれませぬ、早急にメディア氏と提携しなくては!)
「それにしても解せませぬ。魔法紳士が此処までして追い求める魔法少女とは一体・・・?人の好みは千差万別、本当にそんな『誰もが理想とする』魔法少女などいるのですかな・・・?」
『何をしているなんだそのザマは!竜牙兵軍団の、ぼうけんセイレーン島ジオラマ!まだ完成が見えないのか!』
「はい!今急ピッチで進めております、イアソンさま!」
『1/48アルゴー号キットだって超絶可動DXタロスだって積んだままだ!あの大作を完成させずに君はギリシャ代表ビルダーを名乗るつもりじゃ無かろうね!恥ずかしくないの!?』
「すみませんイアソンさま!でも、タロスはエウロペちゃんにあげちゃって・・・」
魔法紳士を討伐し、凱旋にやってきた一同。メディアの望み、盟約のままに気持ち悪げな紳士を倒した一同の目に飛び込んできた光景、それは自らの妖精に罵倒されながらプラモデル設計に勤しむモデラー少女の姿であった。未完成品、製作途中の作品だらけではあるが、其処には思わず唸らされる程に美しく、芸術的な出来映えのモデルが安置されている。一目見ただけで別格と解るもの。雑誌の広告に乗るような完成度のプラモデルが現在進行形で作り上げられている
『ヘファイストスに鍛え上げられたゴッドニッパーに恥じないモデリングを心掛けろ!いいか、ギリシャにおいて彫刻に妥協は絶対に許されん!私達の国土の誇りを背負うと思って・・・ん?』
「あ、あのぉ~・・・魔法紳士、やっつけましたけど・・・」
イリヤがおずおずと声をかけ、それに気付いたイアソンが歓喜の笑みを浮かべる。首尾よく打ち倒した華々しき少女たちの凱旋に、我が事のように笑顔を振り撒くイケメンである
『やってくれたか!流石だ素晴らしき魔法少女達!あの生ける汚物を処分してくれるとは!ところで魅力的な君達、私のアルゴー船に乗ってみる気はないかい?』
「あぶないイアソンさま!」
『ぐふぅっ!?・・・ふふ、警告と同時に後頭部めがけ確実にニッパーを投げヘッドショットしてくるとは流石だね、私のメディア!よい子の皆は決して真似しないように!死人が出るぞ!』
そんな仲睦まじいやりとりを行い、メディアもこちらに気付きクールダウンしたようだ。魚の一匹住めないような清らかな笑みを向け、一同の無事と生還を御祝いしてくれる
「お疲れ様でした、皆さん!無事で何よりです!最悪敗北した際には皆様の因子を採取してかたどりして大量生産、新商品として我が国の秋の商戦の目玉にする計画を立てていましたが・・・」
「ガチガチの緻密な計画に草も生えない!あ、でも皆のプラモデルならちょっと欲しいかも」
「はいはい、脱線しない脱線しない。ほら、名義と義理は果たしたわよ。これで同盟の規約は果たしたんだから、次の国へ行かせてもらうけれど構わないわね」
此処における外因は覆し排除した。ならば此処にはもう用はない。次なる行き先への出国許可位は出してもらわなくては立ち行かないのだ。いつまでもサイコ劇場に付き合ってはいられないとぐっちゃんは告げる。率先して言いにくい利益と報酬の要求を行う彼女なりの先輩ムーブである
『あぁ、勿論だ。だがその前にこいつを持っていけ。道案内くらいにはなるだろうさ』
イアソンくんはそれを投げて寄越す。魔神が遺した宝石が一つ。数多の希望と願いが詰まった、魔法少女に力を与える魅惑の宝石・・・
『此処に巣食う魔法紳士も消え去った。同盟を結んで戦力と防衛を考えずに済んだ。オレたちにはもう、自分達だけを護る殻は必要ない。腐らせるよりは、お前達のもとで輝かせてやれ』
「イアソンさま・・・」
『オレはひねくれものでね。石が欲しいというやつには絶対に譲らない。・・・が、要らないとか言いやがった
その判断、決断の潔さはかつての醜態、無様さからは見られない落ち着きと威厳を持つアルゴー号の船長と呼ぶに相応しい姿である。味方であるもの、落ち着いた時にはまさに英雄の観点を持つイアソンくんの聡明さに、リッカらオケアノス経験組は驚愕に顔を見合わせる
「・・・はい。私はそれで構いませんが・・・イアソンさまはいいのですか?」
『よくはないが、慣れているさ。過去の栄光に浸りながら消えるのはな。船が砕け、下敷きになって消え去るよりは・・・まぁ、そうだな。オレと同じくらい優秀で有能な王に、王位を譲って隠居したと考えるさ』
「・・・分かりました。イアソンさまがそう仰有るのなら、その宝石をお譲り致します。この魔法少女の終着の地。誰もが希望と奇跡の果てに燃え尽きた最期の安息の地を変革できる者達であると、あなた達を信じてみます」
その宝石に込められたのは、希望と願い。この世界の真実と魔法少女達の願いを背負い、どうか進んでほしいといった祈りである。燃え尽きた、枯れ果てた魔法少女達から今を駆け抜ける魔法少女達へ送られるエールの証。それを、彼女から託されたリッカは頷く
「うん。絶対に無駄にしないよ、これ。だから・・・信じて待ってて!」
「はい、どうかお気をつけて。ですがあまりまたされてしまうと、こちらもいつ消え去ってしまうかわからないので、どうか鮮やかかつ迅速に解決なさってくれたら嬉しいです!」
消え去ってしまう・・・やはり希望を抱いた魔法少女、それを無くしてしまった魔法少女とは消え去る運命なのだろうか。その未来を憂い、せめてそれはいつごろ起こるのかと問おうとしたが──
「えーと、作りかけの模型があと二十八万七千個ありますから・・・一日三個の計算でも二百五十年はかかりますね!ファイト、メディア!」
「うん、全然大丈夫そうだね!じゃあ行こっか!次は・・・」
次の行き先は、宝石が指し示す。二つの宝石が輝き、光を放ち、魔法少女達の行き先を希望と共に照らしていく
『グラシャラボラス・・・残った魔力の総てを凝固してその宝石を作ったのか・・・文字通り身も心も魔法少女の為に。なんという真摯な紳士だろう。君には頭が下がるばかりだよ・・・』
ロマンの呟きに頷くリッカ。その命題を無駄にしないためにも、次なる場所へと向かい赴く。魔法少女達が次に脚を運ぶべき場所は・・・
「・・・『死せる、書架の国』?」
そう記され、光が走り行くべき方角を指し示す。魔法少女に立ち止まっている暇はない。いつまでも、何処までも、脇目を振らずに走っていくのが魔法少女たる理由であり由縁なのだ
それが希望の行進曲なのか、破滅の鎮魂歌なのかは未だ解らない。ただ確かなのは──
「あ、そのパンケーキは持っていってください。御茶会やおやつに、うってつけですよ!」
「とりあえずじゃんぬに査定と鑑定してもらおう・・・よーし、じゃあ皆、帰ろっか!ギルの所へ!」
・・・この破天荒な魔法少女は、結末を見るその日まで絶対にめげない、諦めないという事くらいである──
ギルガメ号・甲板
ギルガメくん『首尾よく新たな宝石を手に入れたか。順風満帆というには些か心にダメージを負った輩が見えんでも無いが・・・まぁ年頃の娘の心情など形状記憶合金が如し。次の場に至る頃には立ち上がっているだろうさ』
リッカ「そうだといいんだけどね!あ、ギル。凄いの貰ったよ!食べても食べても無くならないパンケーキ!ギルの宝物庫にどうかな!」
『ほう?それはまた食料問題を解決する財が産まれたものよ。よし、見せるがよい。材料はなんだ?』
「魔神柱!」
──・・・えっ!?
『・・・なに?』
船尾
ぐっちゃん「リッカ」
リッカ「ん?どったの先輩」
「・・・その、悪かったわね。あんたの気持ち、考えないで」
「?あぁ、全然大丈夫!先輩、間違ったこと言ってないし!」
「・・・そう?」
「きっちりこうしろって言ってくれるの、やっぱり嬉しいから。気が引き締まるって言うか。だからこれからも、ビシビシ言ってね!宜しくお願いします!」
「わ、分かったわよ。・・・まぁ、じゃあ・・・」
「?」
「次も、頑張りましょう」
「おうっ!」
~
イリヤ「うぅ、今回もあんまり役に立てなかったなぁ・・・やっぱり身体というかスケールの差が出てるのかなぁ・・・」
クロ「まー低学年と高学年ってレベルじゃないものね。経験とか、センスとか・・・温室育ちに追い付けっていうのは酷かもね」
イリヤ「うぅ・・・そんな私達が活躍するためには・・・」
『ためには~?具体的なプランがおありですかー?』
「──もっと頑張るしかない!頑張ってやるべき事をすれば、きっと道は開けてくる筈!よーし、もっともっと頑張るぞー!」
クロ「まさかの根性論・・・そんな体育会系だったかしらこの子・・・」
『朱に交わればというやつですねぇ!凹んでいてウジウジしていたら置いていかれる環境、イリヤさんを引きずる形で成長させる!んー、感動です!』
アイリ「三人とも!御茶にしましょう!美味しいパンケーキもあるわよー!」
イリヤ「はーい!行こう、クロ、ルビー!」
ルビー『よしきたー!それでは参りましょー!』
クロ「ま、悩まない事はいいことね。開き直りとも言うけれど・・・それじゃ、また会いましょ♥」
フォウ(まさか私を食べて案件とは・・・!このフォウの眼をもってしても読めなかった!)
──これも、あなたの祝福の形だと言うのなら・・・!感謝を込めて、いただきます!
『魔神と言うものはどうしてこう、極論から極論にしか走れぬのだ。真摯すぎるも考えものよな・・・まぁそれはそれと、マリアめらに振る舞うとするか・・・』
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