メイヴ「・・・・・・・・・・・・」
クーちゃん【派手にやったじゃねぇかメイヴ。魔法紳士もクラスカードの暴走魔法少女も皆殺しとはよ。いつものテメェなら面倒くさがって放置するのが本当だろうよ。なんつう風の吹き回しだ?】
メイヴ「そうね、これは私なりの礼儀よ。マナー、社交辞令ってやつ?」
【あ?】
「魔法少女も、魔法紳士も私にとっては添え物、脇役、国に生えた雑草でしかない。雑草を繁らせた国なんて、二度と来たいとも赴きたいとも思わないでしょう?そんな荒れ果てた、みすぼらしい場所を決戦の地にするだなんて何より私が赦さないわ。ええ、そんなものは戦う前から負けていると同じこと」
【・・・】
「藤丸リッカ。私の魂が認めているライバル。そんな彼女がいよいよ此処に来る。そんな次期に侵略や内政のゴタゴタ、ましてや来訪の準備、勝ち負けの言い訳になるような要因を残すはずが無いじゃない?」
【・・・だから、テメェがやったって訳か】
「そう。『疲れてたから本気じゃなかった』『魔力を使いすぎていたから負けた』なんて言い訳の介在を赦さない、完膚なきまでの決着を。誇りと意地にかけて、ながした汗すら宝石のように輝く戦いを。それが私の初めての相手、『殺したいほど意識した女』に捧げる誠意と挑戦よ」
【(その言い訳はテメェも使えるもんだが・・・微塵も気にしていやがらねぇな。全く、万全の状態を倒すために侵略も止め、ひたすらに侵略されるのを待つなんざ・・・)】
「さぁ来なさいリッカ。この世界を蹂躙し、ファースト・レディを討ち果たし覇権を手にするのは、アナタの全てを打ち負かしてからよ!」
【(一途で律儀なバカだな、テメェはよ。股は緩いくせに友情は誰よりも重いとか、めんどくせぇ女だな──)】
「ただいまー!」
魔法紳士、青髭の危機に晒され危機を迎えた書架の国。その中心にて魔法少女達の奮闘を、そして帰還を待っていたエレナの耳に飛び込んできたのは、そんな当たり前の活力に満ちた挨拶だった。誰一人欠けることなく、困難に挑み打ち勝ってきた魔法少女達の凱旋と凱歌であり、帰還報告にふっと呆れたように、しかし安心にてエレナは肩をすくめる
「本当に全員で帰ってきたのね・・・まぁ、不思議なことにここにいる全員がそうなると思っていたのだけど、ね」
そう、リッカらが帰ってこないという可能性を誰も考えることはなかった。眠り続ける魔法少女達の誰もが勝利を、帰還を祈り。また願っていたのだ。かつての冥界のような静けさ、諦めに満ちていた夜の微睡みと静寂に支配されていた国の亡霊とは思えないような希望的観測を、しかしエレナは最後まで否定することはなかったのだ。・・・何故ならば、それは間違いなく、紛れもなくかつての──
「・・・良くやってくれたわね。ありがとう、この子達を護ってくれて」
「いいのいいの。私達楽園は誰かのためじゃなくて、自分達が楽しいから!望んで人助けしてるんだからね!」
そう、誰かの為にでは決してない。自らの納得のため、振り返った旅路を見て楽しむため、後悔のない前進のため。誰かの為などと自らを偽ることない、徹頭徹尾自らの研鑽の為に楽園の一同は戦っているのだ。誰に誓うわけでもなく、自らに誇れるように、魂に誓って王に恥じぬ様に。その為の過程にて、世界も誰かも纏めて救う。だからこそ御礼も見返りも、それこそ運命の庇護すらも不要と突き進む。万の喝采や大義よりも、王の称賛と太鼓判の方が何倍も栄誉であるからだ。だからこそ──
「あ、ちょっと!宝石、宝石を持っていきなさいってば!」
「──あ、そうだった!」
よーし、いよいよメイヴだー!と一同がその場を後にしようとするのをエレナは慌てて呼び止めた。何故ならば彼女らは本来報奨である筈の宝石、それをエレナに預けたまま書斎から出ようとしていたからである。救ったから見返りを寄越せ、報奨を寄越せと言い出す者は誰もおらず。当然のように踵を返した楽園魔法少女のうっかりぶりに、本と化した魔法少女たちもカタカタと震えていた。まるで、そんな彼女らの向こう見ずさに思わず笑ってしまったかのようなリアクションであり、眠りし魔法少女達にとっては珍しくも悲嘆や哀しみなどとは無縁の反応であったのだから、それもまた愉快な出来事であったのだろう
「あんたね、リッカ!慈善事業じゃないんだから取り決めと盟約は護ること!受け取るべき報酬を受け取ることもマナーよ、マナー!」
「えー、100カラットのダイヤモンドよりギルに良くやったって言われたり流石は我の財とか言われる方が嬉しいしなー」
「ギルガシャナ姫様手製のバターケーキが本当に美味しいのよね・・・リッカは食べたら昇華されちゃうのが難点だけど」
「愛と勇気だけが友達とでも言うつもりですか先輩!いるではないですか!あなただけのマシュ!マシュ・キリエライトというオンリーワンが!」
「一刻も早く問題を解決しスイーツショップと食堂を往復しなければ。私の御腹と満足はそれで充たされるのです」
「えぇ、そういう事よ。私達の通った後が平和と安寧になるのであって、私達が救いをもたらしている訳ではないの。こう見えて、徹頭徹尾自分達の為なのよ?私達はね」
アイリの言う通り、最初からそうしたいのだからそうしている。許せない、何とかしたいと考えたから動いている。誰かの為、何かの為に戦いそして燃え尽きた魔法少女達との違いはそれかもしれない。『自分の信じる何か』という自分の心と戦う彼女達。自分が納得するまで、自分が見たいと信じる結末に至るまで絶対にめげない、諦めない、挫けない、燃え尽きない。困難も苦悩も自分が選んだ道だから乗り越えていける。ある意味で型破り、またある意味で魔法少女とはかけ離れた存在。そんな彼女達がこうして魔法少女である皮肉と事実に、エレナは因果を感じられずにはいられない
・・・──かつて、共に行動していたメイヴもそうであった。ファースト・レディの支配と抑圧に真っ向から反旗を翻し、グラシャラボスから託された宝石を躊躇うことなく己の為に使った。自らを貫き、誰に憚ることなく、鮮烈なまでに自らの誇りと欲望を満たした、そんな彼女だから、自分の国を、最強の力を手にしているのだろう。誰よりも、何よりも。『自分自身を信じているのだから』当然だ。そんな彼女を倒すことが出来るのは、やはり自らの信念に殉じている・・・
「・・・──あなたたち、だけなのかもしれないわね。やっぱり」
「ほぇ?」
イリヤに宝石を託しながら、エレナの口から衝いて出たのはそんな言葉であった。誰かの為に戦うが故に、理不尽な現実や報われぬ結末に最後は折れてしまった魔法少女の限界を、彼女達は越えていく資格と力を持っているのかもしれない。その力を、願いを。グラシャラボスは待っていたのかもしれない
「なんでもないわ。・・・じゃあね。くれぐれも気を付けて・・・」
そんな彼女の想いを告げることなく、次なる戦場へと赴かんとするリッカらを見送る所存であったエレナの目論みは、あっさり覆される事となる
「え?一緒に行かないの?」
「・・・はい?」
当たり前のように同行を前提としたリッカに、またすっとんきょうなリアクションで返してしまったエレナ。これだけの戦力過多、何故自分が必要なのかと思案したが・・・すぐにその思考を打ち切る
理由など無いのだろう、理屈などいらないのだろう。ただ知り合ったから、ただもう他人ではないから。どうせなら最後までいようといった、気楽な友人にかけるような声なのだろう。最後まで、その結末を見届けるまで。共に行こうと声をかけるのだろう
「・・・──解ったわ。どうせ嫌と言っても引き摺られそうだし、慎んで同行させてもらおうじゃない」
単純に、見たくなったのもある。この余りにも型破りな
「やったぁ!よろしくお願い致します、エレナさん!」
「ヒナコせんぱいの負担が減りそうで何よりね♪常識人ゲット♪」
「切実に助かるわ・・・この面子、一人で捌ききるのは無理と感じてたのよ。是非負担を受け持ってちょうだい・・・」
「大変ね、ヒナコさん。まぁ、リッカやマシュはそうだから早急に慣れる事をお勧めします」
「言っておくけど、リッカやマシュと付き合えてる時点であんたも常識人とは程遠いわよ。自覚してるんでしょうね?」
「・・・・・・・・・・・・──そうだったのね」
「自覚してなかったの!?もう見て解るでしょ!まともな人間が一人もいないのよこの面子!なんなの!?まともなのは私だけなの!?どうして精霊が人間を諌めているのか意味不明なんだけど!?」
「ヒナコ先輩!それは精霊とか真祖とか関係なく・・・」
「ぐっちゃんの感性が面倒見のいい素敵な人だからだと思いまーす!これからもお世話になります!ぐっちゃん先輩!」
「お、おだてたって別に何も・・・ていうかリッカ!あんた世話になってる自覚があるなら少しは自重とか考えなさいよね!マシュを魔改造した責任も取るのよこのシャカリキがむしゃらマスター!」
「ふふ、突っ込みがいてくれると楽でいいわね」
「あんたも開き直ってんじゃ無いわよ──!」
「・・・もう。強さと同じくらいお馬鹿で騒がしいのね、あなたたちって」
呆れたように呟き肩を竦めるエレナの表情は・・・やっぱり、何処か笑顔を浮かべているのでありましたとさ──
中立地帯
イリヤ「い、いよいよですね・・・!メイヴさんとの、決戦・・・!」
リッカ「たぶん私にとって最大の敵だと思う。気合いいれて全力でやらなきゃ!」
ギルガメくん『兵も軍も差し向けぬとはな。どうやら奴等も貴様らが来るのを心待ちにしているようだ。襟を正し、殴り込みに行ってやるがよい』
ロマン『うん、女王メイヴはそういうことするよね。決着は尋常に・・・というか、国からメイヴと使い魔の反応以外何も無い。どうやら本気でガチンコ勝負がお望みみたいだね』
エレナ「そっくりなのね、あなたたち・・・なんというか、小細工を必要としないところが特に・・・」
ぐっちゃん「いざ尋常に、ってやつ?中華は義を重んずるから、さぞかし人気が出るでしょうねきっと」
イリヤ「これが・・・魔法少女シンパシー・・・!」
クロ「川原で殴り合う系列なのよねぇ・・・イリヤやミユとはまるで違うのに、友情と呼ぶに違和感が無いのが不思議よね」
ギルガメタブレット『・・・!こちらに戦車が迫ってきます。中立地帯でこれは・・・』
『最高のコンディションでかかってきなさい メイヴ』
「──よしみんな、乗ろう!」
ぐっちゃん「・・・罠とかじゃないわよね」
リッカ「保証するよ。メイヴはそんなチンケなこと絶対にしない。兄貴には分からないけど、私達には、多分」
オルガマリー「・・・そうね、じゃあ、行きましょうか」
ギルガメくん『フッ、使い魔の世話は任せておけ。牙と爪をへし折ってやろう』
リッカ「──待たせたね。今行くよ、メイヴ!」
イリヤ「カッコいい・・・」
『強敵と書いて友と読む!その戦いの行方は!?明日の更新で、お逢いしましょう!』
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