人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ゴルドルフ『引くほどの火力だがまだ足りん!クラスカードの特性かいくらでも出てくるようだ、無限湧きの敵など厄介にも程がある!除草剤を
撒きたい気分だね全く!』

ビッキー【よぉし!だったら!トライバーストでッ!】

クリス【止めろバカ!色々吹っ飛ぶだろ!?はっちゃけてフィールド吹っ飛ばすバカがいるか!】

オルガマリーら一同(無言でリッカを指差す)

リッカ【yes!】

クリス【イエスじゃねー!!】

フェイト「知ってる。これは・・・噂に聞く『急に歌うよ』・・・!」

はやて「いや全然聞いたことないで!?何処の噂や!?」

フェイト「密かにヒトカラで鍛えた私の演歌レパートリーが火を吹く・・・私の十八番は108式まである・・・!」

ぐっちゃん「十八なの?108なの?」

はやて「うちとか誘えば良かったやん!?なんでそんな涙ぐましいストレス発散しとるん!?同僚の寂しさをこんな形で知りとう無かった・・・!」

クリス(恋の桶狭間とかすげー上手そうだな、このハイレグ・・・)

ビッキー【リッカちゃん!歌歌える!?私が繋いで力にするよ!好きなアーティストは?】

リッカ【ジャムプロ!!】

クリス【待て待て!熱くなりすぎて燃えすぎんだろ!?というかコントしてる場合かよ!?】

ぐっちゃん「ますます増えてきたわね・・・こうなったら私が突っ込んで大爆発するしかないわ!」

クリス【即座に命捨てんな!あーもう、まともな魔法少女はいねーのかよぉ!?】

ロマン『安心してほしい雪音くん!頼もしい援軍の到着だ!』

クリス【本当かナヨモヤシ!】

『ナヨモヤシ!?』

【頼む、このバカたちを一緒に止める手伝いを・・・】

フェイト「あ、なのは」

なのは「お待たせ!」

はやて「(察し)・・・あー、ごめんな」

クリス【バカと火力任せしかいねぇえぇえ!!──まぁアタシも含まれんだけどな──!!】

ビッキー【あ、ミクからリッカちゃんに手紙が来てるよ!私が御世話になっていますからって!】

リッカ【あ、それは御丁寧にどうも!】

『あなたは 響と どんな 関係なんですか?』
 

【ファッ!?】


理想の魔法少女

【あちらも吹っ切ったようね。では、こちらもそろそろ終わりにしましょうか?】

 

「勘違いしないでくれるかしら・・・!私は終わらせる為に戦ってるのよ、さっきからね!」

 

 

つばぜり合う黒と白の双剣、白と黒のベール。褐色の少女に実態を得た聖杯の寵児の鋳型の原型・・・ユスティーツァの姿をとる誓約の魔法少女、テスタメントとクロがぶつかり合い火花を散らす。それは最終決戦の三連戦を彩る一戦の一つ。イリヤを支えてきたクロの大一番であるのだが・・・本人的にはやや釈然としないものがあった。刃が鈍るといけないので、疑問を素直にぶつけることにするクロ。美貌の少女の吐息が触れあう程に近付く。紳士が見れば、キマシタワーなる塔すら作らんばかりのお宝映像だ。即バベられる(言語を奪われるの意)であろうが

 

「聞いておきたいことがあるんだけど、いいかしら!」

 

【あら、なぁに?私の恋愛観?魔法少女はぁ、魔法少女同士で恋愛するべきだと思うの(はぁと)】

 

「いや、それは別にどうでもいいわ。・・・あなたが想い描く理想の魔法少女っていったいなに?誰もの理想となる魔法少女なんて歪んだ存在、本当に有り得るの?」

 

そう、誰もが理想と同じ夢を懐くなどおぞましいものだ。人や生命の多様性を全て投げ捨てているようなものであり、それは人間とすら言えないだろう。誰もが違う夢や理想を懐くから世は様々な発展を成す。それを踏み潰して同じ夢や理想を懐くなど、誰か一人の理想を全員に埋め込む洗脳でなければ叶わないはずだ。それを照らし合わせ、誰もが理想とすると嘯くテスタメントの存在意義を問う

 

【あら、見ていなかったの?魔法紳士の想い、尊い犠牲により産み出された偶像、想いの結晶。それが私よ。少女の願いが魔法少女の原動力なら、紳士のたちの願いが私を生かし羽ばたかせるのよ】

 

「尊い、ねぇ・・・私達が見てきた魔法紳士たちにそんな風に呼べる願いはなかったけど。願いより妄執・・・尊いというより憐れで無惨だったわよ?」

 

願いのために魔法少女を歪める。己を貫くために他者を省みない。一人はやや崇高めいていたがそれでも尊いという感情は懐けなかった。何より一番歪んでいるのは・・・『紳士たちを犠牲にした偶像』という在り方だ。犠牲を擁する理想など、それは届かぬ夢を現実に貶めた歪んだ妥協論に過ぎない。平和のために武力で敵を殲滅するように

 

「犠牲を是とした理想なんて夢がないじゃない。魔法少女の癖に、『誰もが笑って幸せな世界』の一つも詠えないわけ?」

 

【フフッ、犠牲くらいなんだって言うのかしら?彼等は好んで私に貢いでくれたのだし?】

 

理想を見るのは紳士の勝手。夢を追うのは男の勝手。ただ自分は与えるのみだという。理想を、夢を。しかし──

 

【私は総てを与えるわ。ただ決して応えはしないだけ。だってそんなの現世の女で充分でしょう?愛、既成事実、結婚、肉欲・・・そんな手に届くような概念が理想な筈がないわ。手垢のついた宝石を誰が有り難がるのかしら】

 

そう、理想は決して届かず、応えない。だから誰もが追い求め誰もが夢を見る。誰にも届かないから皆の理想でいられるのだ。だって、誰の理想でも誰のものでもなければ、その理想は夢を見る者の数だけ千変万化なのだから。それはさながら万華鏡のように

 

【彼等はエンディングとかで躍り舞う私に、ただ魅了されているだけでいい。変身バンクを無限ループで目に焼き付けているだけでいい。現実に不満を持ちながら、それを壊す勇気も度量もない。あるのは穢れてほしくないとちっぽけな願いだけ。そんな紳士(おとこ)たちの願いが暗澹と救われぬ劣等感に満ちているほど、私の夢はキラキラと美しく輝く!】

 

「──!」

 

目の前にいる少女が酷くねばついて見える。混沌の汚泥に浸かりきっているように見える。美しく咲く蓮のようでありながら、それを満たしているのは泥のみだ。泥中の蓮・・・クロの心眼は、正しくテスタメントの正体を垣間見た。それはある意味で何よりも孤高、潔癖ですらあるだろう。理想は、夢は、決して現実とは交わらないのだから

 

【彼らの願いに寄り添いながら、決して入り交じりはしないがこの私。だいたい、アレでしょう?むさくるしい男なんて魔法少女の世界では魔物よりも無価値な不要物だわ?】

 

「・・・ふーん・・・」

 

確かに言葉には一理ある。男の理想は一皮剥ければ凄くアレなものもたくさんある。ドン引きするようなものも数多あり、それは世間一般から見ればドン引きの所業であったりする。それはまぁ、紳士を見てきたクロからしてみれば頷ける所はある。だが──どうやら分かっていないようだ。理想は綺麗なものである。それだけを垣間見たテスタメントは知らないようだ。その理想と夢を見ているものが、支えているものが誰なのか。そしてそれが産み出すものがなんなのか。そして、なにより・・・

 

「・・・魔法少女の端くれだし、餞別がわりに一つ教えてあげる」

 

そして何よりも、テスタメントは赦せないこと・・・許せぬ言葉を口にした。少なくとも、自分の・・・否。誰かの為に戦い続けた弓兵の矜持に抵触する暴言を吐いた。それの落とし前は自らの手で

 

「──その変身バンクやエンディングに生命を吹き込んでいるのも、あなたが不要物と断じたお兄さんたちなのよねッ!」

 

【ッ──!?】

 

バック転にて三歩距離を取り、手にした白黒の剣を投げ放つ。回転しテスタメントに向けて刃を向くそれを──

 

【──バカね、この程度の拙い抵抗で紳士達の理想を切り裂けるとでも?】

 

傷付いてほしくない、傷物であってほしくない。そんな【処女厨】と喚ばれる願いもまたテスタメントの力である。その主眼による絶対防御が二つの剣を弾き飛ばす。後方へ吹き飛んでいく二つの剣。丸腰であるクロ。すかさず弓矢を投影しテスタメントに狙いを付ける

 

【あら、中距離での戦いがお好み?作画班を殺す弾幕勝負が望みだなんて酷いのね、あなた。でもいいわ、アニメーターをブラック労働で過労死まで・・・】

 

「──わよ」

 

【?】

 

弓矢を構えながら、何かを呟くクロ。末期の命乞いか、はたまた交渉か。強者として耳を傾けようとした──それが隙となった

 

「危ないわよ、って言ったのよ。テスタメント」

 

【な、──ッ!?】

 

突如として背中に激痛が走る。あり得ざる場所からの損壊。誰が、まさかイリヤが。有り得ない、ファースト・レディと戦う彼女がこちらに来るなど。あの黄金の使い魔も違う。あの少年と射撃戦を繰り広げている。ならば、誰が・・・

 

【──さっきの、剣・・・!?】

 

投げ捨てた筈の剣。カンショウ・バクヤと呼ばれる中華の至宝。投影したデッドコピーの贋作であるがその性質は変わらない。それは互いが互いを引き寄せ、惹かれ合う夫婦の剣・・・──

 

「陰陽、正邪に裏表。分かつことない両の翼。世界の全部は二つで成り立つのよ。一つを踏みつけにした理想なんて歪んだ圧制でしかない。何より・・・」

 

それを支える、沢山の人達をバカにすることは。正義の味方の奮起と覚醒に繋がる。未だかつてない投影精度に達した二つの剣と、赤原を往く猟犬がごとき矢をつがえ、偽りの理想を貫く愚直な夢を弓にて引き絞る

 

「──男の子のがむしゃらさと必死さだって、女の子の夢を揺さぶる理想の一つでしょ?」

 

【────!!】

 

「バイバイ♪──『赤原猟犬(フルンディング)』!」

 

飛び立つ鶴翼、放たれる猟犬。理想の終わりを告げる決着の一撃の三重奏が、テスタメントを・・・紳士の理想を撃ち貫く

 

【──、ここまで、ね・・・】

 

そこで、夢と理想は潰える。魔法紳士は、男は純潔を保たなかった少女を認めない。万物の理想から転落したテスタメントの、崩壊が始まる──

 

 

 




クロ「随分あっけないのね?これからだと思ってたのに、理想の魔法少女さまは随分繊細なのね」

テスタメント【・・・それはそうよ。紳士達が、男達が、誰かに貫かれた少女を愛でると思う?それは魔法少女最大の禁忌。愛は憎しみに変わり、サイトは炎上し円盤は叩き割られるのよ。それが、穢れた魔法少女の末路なのだから】

構成した魔力が消えていき、急速に霧散していく。潔癖であり強靭であったテスタメントは、潔癖であるが故に僅かな穢れも赦されないのだ。紳士に望まれるまま理想であり、紳士に望まれるまま消えていくテスタメントを、静かに見つめるクロ

【・・・万物は二つで成り立っている。それは皮肉かしら、クロ。あのイリヤの陰としてのあなたの自嘲なのね・・・?】

クロ「・・・さて、どうかしらね」

【ふふっ、意外と繊細なのね。・・・さようなら、黒い写し鏡の虚像さん。おまけや添え物にならないよう、頑張ってスピンオフ目指して頑張りなさい?】

「大きなお世話よ。じゃあね、テスタメント。誰もの理想の魔法少女なんて、結局無理があったのよ」

【・・・そうね、えぇ。その通り。そんなキャラ付け、没個性でおしまいよね】

消える末期に、ようやくその理想から解放されしテスタメント。その呟きは、誰に聞かせることもないものであり──

【・・・求められた通りに完璧を成す魔法少女がいるのなら、誰がその苦しみをわかるのかしら。誰がその子を救うのかしら?──誰が、魔法少女に魔法を見せてくれるというの・・・】

最期の呟きを、クロは静かに聞き届け・・・

「・・・さぁ、ね。でも、期待くらいはしていいんじゃない?なんだか楽園の王様、かくし球があるみたいだ、し・・・」

テスタメント、ファースト・レディを必死に食い止めていたクロにも限界が訪れ。静かに、意識を手放しその場に倒れ伏した──

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