人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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~ねぇ、あたしたち、いつまでもどこまでもずっとずっとずう~っと友達でいられるよね?ね?



・・・おばか。ばかじゃないの?あなた、きのう『もう絶交よ!』って私に怒鳴ったばかりの癖に、もう忘れたの・・・?

うーん、忘れちゃった。それに大丈夫よ!魔法がある、魔法があるもの!あたしたち、魔法少女なんだもの!

魔法、少女・・・自分で言う?ナニそれ、魔女じゃなくて?自分から未熟を認めるなんて、恥ずかしくない?そんなの単なるなり損ないだわ。それに・・・わたしは、やっぱり・・・

ううん、すごい!すごいよ!りっぱな魔法、たくさん使えるもの!⬛⬛⬛は、ずっと、私のあこがれだから!

・・・もう、おばか。あなたもわたしくらい、追い抜けるようにならなくちゃダメよ。勉強、沢山してね?

べんきょう~・・・はぁーい、頑張りまーす・・・


・・・えぇ、ずっと、ずっと・・・友達よ──


テスタメント「あら?・・・あら?私まで・・・?」


(どういう事かしら・・・魔法紳士の妄執からうまれた私まで甦るだなんて事が・・・?)

「・・・?」

『石碑』

「これは・・・」

『理想ではなく、心のままに』

「・・・!」

『どうか、新たな道へ。貴女の思うままに』

「・・・そっか。誰かの理想ではなく、自分の理想を追い求めていいと・・・そう言うのね、顔も知らぬあなたは」

(・・・なら、言葉の通りに追い求めるわ。私だけの理想を、私だけの未来を。えぇ、まずは・・・)

「──テスタメント・ファンクラブの設立からね!魔法少女、そして魔法紳士へ理想を振り撒く真なる魔法少女を目指すわ!私のために、私の理想を届けるために!よーし、やるわよー!」



はやて(・・・あれはええんやろか・・・)

フェイト(バイタリティの化身)

なのは(大丈夫、いざとなったら頭を冷やすから)

はやて(・・・あんな、ハメ殺しをオブラート言うてるかもしれへんけど・・・)

フェイト(全くオブラート出来てない)

なのは(・・・えっ!?)

はやて(自分自覚無かったんかい!!)

フェイト(やはり私が、魔法少女の最後の模範)

バルディッシュ【Nicejoke】


風にたゆたう、二つの華

『──!・・・!──!』

 

亡霊、遥か前から城の周囲を徘徊していた不思議かつ変な行動を取っていた謎の存在が、レディの前にて懸命に何かを伝えようと浮遊する。いずれプレシャスパワーに当てられ存在を確立するであろうが、その前にどうしても言いたいことがレディにあるようで、身ぶり手振りでその感情を示さんとしている

 

「ファースト・レディ。この子、ご存知なのではなくて?何か一言をあなたに言ってやりたそうな顔をしているわ」

 

『・・・そうは言うけれど、私には、亡霊を見分けるのなんて出来なくて・・・』

 

『・・・!──!!』

 

べしべしと叩き、懸命に何かをレディに伝えようとする亡霊。姿を取らぬ・・・即ち魔法少女であることを固辞しているのか。それを語ることも亡霊の姿では叶わない。魔法少女の魂ではなく霊であることに、意味と理由があるとすれば・・・

 

「る、ルビー。なんとかできない?」

 

『それならおまかせあれー!ルビーちゃん特製の霊媒ポーションをどうぞ?えーい!(ブスッ)』

 

ひゃんっ!と大きな針を突き刺されポーションを注入されたイリヤの断末魔が短く響き渡り、そして有無を言わさずに亡霊の憑依準備を成功させる。霊の憑依を容易い一行程でこなす程の性能の高さをまじまじと見せつけ、魔法少女達を瞠目させる

 

「今更だけど、出鱈目に高機能な魔術礼装ね・・・」

 

「イリヤは何回サンドバッグにされれば気が済むのか。流石No.1エロリの称号は伊達じゃない!」

 

「先輩!ノータッチ、ノータッチでお願いしますね!」

 

「そんなに見境ない筈は無いわよ、マシュ。・・・わよね?」

 

亡霊、その姿を見てペコリと一礼し、がら空きとなったイリヤの身体に宿る。その礼儀正しさからして乗っ取りや反抗の意志は介在しないと一同は判断した。ゆっくり起き上がったイリヤの眼は、翡翠色に輝いており・・・

 

『──この、おばか!』

 

『ッ!?』

 

亡霊イリヤ(仮)、レディにいきなり殴りかかる。その突然の攻勢に驚いたレディは慌てて、そして咄嗟に──

 

『──へ?痛いッ!?』

 

「あっ!?レディさんがクロさんに憑依して・・・!?」

 

クロに慌てて憑依し退避を図るも、亡霊イリヤは逃がさなかった。そのままポカスカとクロを攻め続け、クロ・レディはひたすらに為すがままである。その様相はいつもと異なるイリヤが攻めでクロが受けという不思議な光景、かつ微笑ましいようなそうではないような在り方に一同は苦笑いを浮かべる

 

「見た目的には、イリヤとクロがド突きあっているようにしか見えないのが非常にアレね」

 

「イリヤが攻めとかそんな世界線が存在していたのか・・・いや意外と一皮剥けば大人しい子がビーストなんていうノリを私は嫌と言うほど私は知っている・・・」

 

「?どうしたのですか先輩?どうして私をそんなに見つめて・・・はっ!?いよいよ私が真なるメインに!」

 

メインだから変貌ぶりに嘆いているんだよなぁ、とため息を他所にコントが繰り広げられるなか、クロに退避したレディに天啓が如く閃き顔を上げる

 

『──まさか、ミラー・・・!?あなたなの・・・!?あなたも、亡霊としてここに・・・!?』

 

【・・・えぇ、いけない?短期間だけど私も魔法少女を勤めた。資格はあるのよ。そして今のあなたはファースト・レディ。最初の魔法少女、そうね?】

 

「・・・やはり、夢で見た彼女と同じ・・・あなたが、レディの大切なお友達、ですか?」

 

ミユが夢にて垣間みた存在と同じ口調、態度が同じであり瞳の色もまたしかり。問い掛けに、凛として答える彼女は、確かにイリヤとは異なる風格と決意をもたらしていた

 

【そうよ、ミユ。私はレディに敵として討たれた・・・元、魔法少女】

 

『やや!?となると初の闇落ち魔法少女と言うわけですねー!?ルビーちゃんたちは今、伝説に立ち合っております!』

 

『姉さん、静かに』

 

ロボットにおけるマジンガー、ガンダムにおけるRX-78ー2。原初の存在への邂逅を例えればそんな意味合いを持つ。それが魔法少女であるならば感激もひとしおである。はしゃぐルビーであるが話が進まないのでルビーをサファイアが諌め、会話を促す。その対話には、耳を傾けるべき価値があるが故に

 

【・・・レディ、あなたは一人の魔法少女として頑張ったわ。誰もが幸せになるように。自分の総てを世界に差し出して】

 

他人のために、誰かの幸福の為に。しかし、だがそれがもたらしたのは使命の恒常化、得難き想いの崇高さへの霧散。いつしか歓喜の声は、弱者の糾弾へと変貌していったのだとレディは語る

 

【助けられる者達の強欲と不満。力なき者の権利の主張。あなたはそんな彼等の強欲と不満に翻弄され、ぼろぼろに疲れきって笑いながら泣いていた。・・・私はそんな世界に、救われる価値など無いと思った。私は世界などより、あなたを選んだ】

 

「世界より大事な個人、か・・・」

 

リッカは静かに頷く。・・・かつて、そういった想いは懐いた事がある。グドーシと夢中になってアニメを見ていたあの頃。白き屋敷が、二人だけの世界であった頃。あのときは間違いなく・・・

 

『ずっと、ずっとここにいたの・・・?私が気付けなかったの・・・?』

 

【──えぇ。かのお姫様に後押しされて魔法少女の形を取り戻せはしたけれど、やっぱり今はおぼろげ。こうしてイリヤの身体を借りて、お話しするしかない。だけど、今だから言えること。告げられる事があるわ、レディ】

 

今だから言えること。レディ、そしてミラー。平行世界にて原初の魔法少女、そして魔女は語りかける。それは、頑張り続けた魔法少女へ告げる、優しき魔女の言葉

 

【──あなたは世界に棄てられ忘れられた。そして手酷く、裏切られたと感じてる。魔法少女は魔女ではない。ましてや女王でもないの。奇跡に見返りを求めない。自分の為に魔法を使うこともない。ただ見知らぬ誰かのために、胸の底から湧き起こる気持ちを呪文に乗せて唱える。そうでなければ──】

 

そうでなければ、叶わぬ願いは呪いとなってしまう。叶えるだけ、唱えるだけと繰り返す装置となってしまう。だからもういいのだと。もういい、後に託すのだと告げる

 

【だから、私達の最期にやることは未来に託す事。紡がれた縁を風に乗せ、私達の背中に続き芽吹いた種を遥かな先へと運ぶだけでいい。それこそが・・・】

 

『・・・──原初において、魔法少女としてあった私達の最後の使命・・・』

 

【そう。私達は出逢い、縁を紡いだ。そして無限に続いていく魔法少女達の歴史の始まりを言祝いだ。・・・魔法少女という本を作り上げ、私達のページをめくりあげたのよ。・・・確かに人々に降りかかる危機、襲い来る敵は尽きず現れる。でも、それを全部一人で解決することも、立ち向かう必要もない。私達は、もう一人ではないから】

 

続く可能性がある、新しい魔法少女達がいる。そしてそれを補佐し導く戦い抜いた魔法少女達も存在している。それを以て自分達は良しとすればいい。後進に後を譲らねば、しっかりと華は咲かないのだから

 

【彼女達はまだまだ頼りない未完成の魔法少女だけれど。でも、だからこそ・・・】

 

未来は、その掌の中にある。いや、これから掴む為に挑むのだ。かの伝説の魔法少女が告げたように、絶望を乗り越える力は、掴み取る希望への道筋は。確かに示してもらったのだから──

 

『・・・えぇ。確かにその翼には・・・』

 

今も振り返れば、魔法少女達は其処にいる。輝く可能性に満ちた明日に羽ばたける翼がある。ならば、もう心配も不安もいらない。もう、彼女たちは飛んでいけるのだ

 

『【・・・──未来がある──】』

 

それが、最後の安心と理解。最早何の心配もない。原初の魔法少女、魔女は光となり、魔法少女達の楽園を見守り、守護するオーロラへと立ち昇っていく──此処に、魔法少女達の始まりの二人は正しい意味で行くべき道を照らす輝きへと至ったのだ

 

──姫の示した、理のままに。




アイリ「・・・終わった、のね」

アルトリア「えぇ、間違いなく。ほら、見てください」

イリヤ「・・・すぅ・・・」

クロ「ん・・・むにゃむにゃ・・・」

ルビー『手繋ぎで眠っているだなんて微笑ましいですね~?ですがいつまでも寝ている場合ではありませんよー?』

サファイア『はい。・・・ギルガメッシュさんが残していたゲートがあります。そこを通れば・・・』

エレナ「・・・お別れの時間が、来たようね」

リッカ「・・・長いような、あっという間な時間だったなぁ。・・・」

(・・・私は、魔法少女出来てたかなぁ・・・まぁ、それは私じゃなくて)

「──見てくれた全ての人達が決める事だよね!」

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