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パールヴァティーはとある悩みを抱えていました。その悩みとは・・・
パールヴァティー「夫が、御風呂を覗いてきます・・・何度も・・・」
全ての美の化身とされるパールヴァティーにおサルさんになっているシヴァ。のぞきにさらされおちおち入浴もできないあの女は、せめてもの見張りにと自分の垢から子供を作りました。それがガネーシャです
パールヴァティー「ガネーシャ、夫が覗きにきたらやんわり止めてくださいね?一緒に入るならOKなんですから」
ガネーシャ「お任せください!」
そんなわけで見張らせたガネーシャの存在を、あろうことかシヴァに伝えていませんでした。覗きに来たシヴァとガネーシャ、ガネーシャはシヴァを止めますがシヴァからしてみれば知らない不審者がパールヴァティーの御風呂の前に陣取っていたわけで・・・
シヴァ【不埒者、我が妻を辱しめる狼藉者。最早生かして帰さぬ──!】
問答無用でクビちょんぱ。ガネーシャは即死でした。当たり前ですよねぇ?
パールヴァティー「酷い、酷いです!あなたは、あなたは何てことを・・・!」
シヴァ【む、息子であったというのか・・・我はなんたる短絡な愚を犯したのか・・・】
嘆き悲しむ妻と息子の為、シヴァはガネーシャの首を探し回りましたが見つからず、困り果てたシヴァはそこらにいた御立派な象さんのおくびを跳ねてガネーシャにくっつけ、象頭にして甦らせたのでしたー。はくしゅー。
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「・・・バカなんじゃないですか?事実ですよこれ。信じられない?納得できない?なら唱えましょう。せーの」
「『これだからインドは』。・・・それでは皆さん、気が向いたらまた明日おあいしましょー」
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はくのん『・・・?』
(・・・何回か繰り返された聖杯戦争の中で、『不自然にサーヴァント達が消えた』形跡がある。それに・・・)
「・・・こっちの探索チームで駆逐したにしても、点在しているサーヴァントが少なすぎる。キアラに消化された?いや、それなら聖杯戦争は終わっている筈」
(・・・──もしかして、これ・・・誰かのリソースにされた?・・・いや、もしかしてそれって・・・)
「・・・いや、まずはキアラに集中する。それからのことは、それから考える」
(・・・最悪の場合、もう形振り構っていられない。私も向こうに行かなくちゃかもしれない・・・)
「迷宮、聖杯戦争ってBBは言ってたけど・・・サーヴァントの姿が全然見えないような・・・」
迷宮、電脳世界と化したセラフィックスを進むなか、ポツリと藤丸が呟いた言葉通り、全く敵対サーヴァントの姿が現れない。エネミーとしてのプログラムは出てきはするが、それ以上の相手は出てきていないのである。敵対するサーヴァントが一人もいない不気味な状況、静まり返った海の通路を進む一行はそれぞれの所感を漏らす
「ま、楽が出来ていいんじゃないですかね?運営の不手際なら補填と詫びが貰えて万々歳、緊急メンテでそのまま企画倒れになってくれれば御の字でしょ。オレは運営のパシりなんで解放されたいもんですが」
「無用な争いが避けられるのは喜ばしき事ですが・・・些か不気味さを感じられずにはいられません。騎士の勘、と王は申されるのでしょうが」
「いなくて正解よ。セラフのサーヴァントは大抵が理性を失い、快楽と欲望のままに戦っているのだもの。裏切りも殺戮も、此処では罪に問われないから。英霊だって、地金を晒せばあんなものよ。人間はどこまで言っても性欲動の奴隷、という事ね」
「・・・時たま思うんですけど、人間の信仰が無ければ精霊に堕ちる身分の神や人間に産み落とされたものが人間を詰るって、凄く滑稽だと思いませんか?」
「・・・それは私が滑稽だと言いたいの、カーマ?」
「えー、そう聞こえませんでしたかぁ?」
「まぁまぁ、まぁまぁ!・・・クリシュナ、大丈夫?」
【(こくこく)・・・マスター、不在】
「え?」
「あぁ、マスターの事ですね。散歩がてら歩いてみましたけど、マスターといるサーヴァントはいませんでしたね。不思議な事にサーヴァントだけで殺し合ってました。哀しいことです」
「白々しい・・・。気にしないでいいわ。いるけど近くにいないだけ。とっくに死んでいるもの」
メルトリリスの言葉に驚愕を表す藤丸とガウェイン。マスターが、すでに死んでいると言うのか?何故?
「・・・いたのだけどね。マスターはサーヴァントを喚び寄せた時点で『本当に死んでしまった』。呼び出されたサーヴァント達は、マスターの顔も知らないのよ。だから、マスターと行動しているのはあなたたちカルデアから来たサーヴァントだけ」
それでは、サーヴァントは単体で殺し合いをしていることになる。楔も無く、ただひたすらに、理由もなく欲望のままに・・・
「あぁ、怖い怖い。人間は好きですね、欲望や愛がこんなにも」
「・・・えぇ。そうね。ここで優先されるのは意識や理性で・・・あら?」
ふと、メルトリリスが目にしたものは廊下の隅、其処に輝く何かの光。聖杯の光のような・・・
「これは、一体・・・」
「いけません、立香!」
吸い寄せられるように触れた立香、そしてそれに連なるようにメルトリリスと立香の頭に一つの思念の波が訪れる
【・・・?】
「──くすくす・・・」
時間が経つ毎に、みるみる内に表情と顔色が悪くなっていく藤丸。その顔色は蒼を通り越して土気色だ。余程良くないものを見たのだろう。汗だくになり、倒れそうになったのをロビンに支えられなんとか立っている、といった様子だ
「おおっと。大丈夫か、少年?無理はすんなよ?」
「・・・ありがとう・・・今のは・・・」
「・・・えぇ。ここで死んだ人間の記憶でしょうね。でもそれはもう終わった事よ。あまり気にしないで、立香」
ふらふらと立ち上がり、平静を取り戻す藤丸。倒れそうなほどに憔悴はしているが、決して弱音は吐かず逃げ出す選択肢を選ぶことはしなかった
「・・・立香。その顔を見ればどのような記録であったのかは察せましょう。ここは、一刻も早い事態の究明を。これ以上、犠牲者を出さないために」
「・・・うん、分かってるよ。大丈夫。皆・・・行こう」
前に進む事を決めたマスターの傍らで、リッカとカーマがその記録を回収しようと片膝をついている
「クリシュナ、見てみます?私好みの人間の記憶が詰まった、素敵な思念の塊ですよ」
【──】
『無理して見る、必要はない。いいものでないのは分かりきってるから、辛いなら・・・』
(いえいえ、此処で何があったのかを見なければ何を救うべきかは見えてきません。逃げてはいけませんよ。さぁ、リッカ。手を伸ばしましょう──)
逃げてはいけない。カーマの言葉に頷き、そっと手を伸ばすリッカ。浮遊していた記録が展開され、其処には──
~~
誰も気付かない内に、この油田基地は乗っ取られていた。
気が付いた時にはなにもかもが手遅れだった。いや、本当は皆とっくに気がついていた。
それでも全員がこう思ったのだ。そんな事、『恐ろしくて認めたくない』と
私は平凡な人間だった。人並外れた才能はなかった。その代わり大きな成功も求めなかった。分相応の人生プランと言うやつだ。この油田基地に就職した動機もありきたりのもので
『ただ10年、海の上で我慢すればいい』というだけのものだった
繰り返すが、私は平凡な人間だ。これといって善い事は出来なかったし、悪事を働く度胸も無かった。
2017年、1月。セラフィックスは原因不明の異常に見舞われた。
港の船は全て炎上し、ヘリも壊されていた。外との連絡もつかなくなった
そればかりではない。基地の至るところが唐突に『消滅』した。
我々には理解できない事態だった。『異常』と言う他無い、極限状態がやって来た。
2月。生存者は昼のスタッフ、夜のスタッフ、合わせて100人ほどになった。
我々は比較的安全な──消滅の無い──エリア、中央管制室で暮らすようになった
幸い、食料の備蓄は充分にあった。『消滅』にさえ巻き込まれなければ希望はあった。
医療スタッフも数名生き残っており。セラピストも我々の為に尽くしてくれた。
私達低賃金の通常職員も、カルデアから派遣された特権職員も、分け隔てのない共同体が出来上がった。
『五月を待とう、カルデアがこの異常に気づく筈だ』
それが我々の唯一の、そして最大の希望となった。
・・・なんという蒙昧だろう。その時点で、もうこの基地は終わっていたと言うのに。
3月。所長であるヒデヤス・アジマが処刑された。この事態を予見できなかった責任を取らされての事だ。
共同体には、いつの間にか暴力機構が出来ていた。治安、風紀を守る為の組織だと言う
・・・これは一部の人間によって組織されたものではなかった。・・・みなの総意だった、全員が良しとした結果だった。
・・・ああ、許してくれ。許してほしい。私は怖かった。怖かったのだ。逆らうのが怖かったのだ。
次に、事態を解決できない副所長が処刑された。
洗浄エリアの鍵を落としてしまった女性が処刑された。
薬が切れた事で役に立った医者たちが殺された。
ベックマンに逆らった職員は外の怪物への生け贄に選ばれた。
多く食べると言う理由で男が殺された。
水をこぼしたという理由で女が殺された。
異邦人だからと誰かが殺された。
それでも。
後、数日でこの地獄も終わると、我々は楽観していた
4月。ここでの100分が外界では一分に相当すると判明した。
我々の時間感覚において、カルデアからの救援が来るのはあと50年以上もの未来ということだ。
私は今、共同体では禁止された煙草を吸っている。かつて、ここは喫煙スペースだった、無論、今は違うが。
セラフィックスの大部分は電脳化している。自動販売機が並んでいた憩いの場も、今ではこの通りだ
私はもう耐えられない。あの恐怖に、あの女に耐えられない
だから管制室を出て、ここで煙草に手をつけている。しかし目敏く脱走者を咎める声が聞こえる
『おい、オマエもルールを守れないのか!』
ベックマンの心証を良くしようと、忠実な犬として得点稼ぎに忙しい連中だ。
ガラガラと耳障りな金属音が聞こえる。床を擦る凶悪なハンマーの音だ。
・・・やれやれ、最後の喫煙くらい、ゆっくり吸わせて欲しかったのだが。
・・・──まったく。最後に浮かべるのが苦笑いとは、人間というものは。
こんな結末になるのなら、あのとき勇気を出して副所長を支持すれば良かったのにね。
カーマ「ね?真面目な人ほど、堕ちるのは苛烈であっという間なんです。放置すればするほど、こんな人が増えてしまいますよ。頑張る理由にはなるんじゃないですか?おぞましく愛らしくて、哀れなほどに意地らしいこんな人達を、助けにいくんでしょう?」
【──勿論。ねぇ、はくのん】
『?どしたの』
【──ベックマンって名前の人、パーソナリティ調べといて。見付けたら・・・】
『落とし前?』
【そゆこと】
『おっけい。さぁ、その為にも前へ進もう。先へ行くと、分岐点がある。どちらを選ぶかは彼に任せつつ、向かおう』
【うん。・・・行くよ、カーマ】
カーマ「はーい。ね?私の大好きな人間ばかりでしょう──?」
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