人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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カーマ「くわぁ・・・おはようございます・・・」

「・・・」

「始めます(ムニュムニュ)」



えーと、シヴァはダンスの神です。舞踏神です。彼の刻むリズムは万物流転。破壊したり再生したりします。それがシヴァの役割です。凄いらしいです

何故ダンス神なのかと言いますとですね。シヴァの事を嫌う仙人達が、シヴァに対してまずは呪いを放ったのです

仙人達「「「破ァ!」」」

シヴァ【──(意に介さず)】

それならば、とシヴァに虎を差し向けたのですが、あっさり返り討ちにして皮を剥ぎ自分の腰巻きにしてしまいました。テンション上がってきたシヴァは踊り出したのです。ダンス、始めました

【装いに最適なり】

こんにゃろと次は毒蛇を放ったのですが、シヴァはなんと毒蛇をネックレス代わりに首に巻いてしまったではありませんか

【お洒落に最適なり】

怒って悪魔を放ちましたが、シヴァは悪魔を踏みつけて踊りは止まらない

【我、舞踏にて世界を掴まん】

これはどうしたことかと仙人達が天界を見上げると、 神様達全員がシヴァの踊りに見入っていたのです

「まぁ凄いわ!なんて素敵な躍り!」

「シヴァはダンスやってるからな」

「やっぱ顔が四つしか無いようなのはダメだな」

そんなこんなで、神々すら魅了するダンスを以て──
「おお、シヴァこそ宇宙の主!」 と心を改めたんですって。凄いですね、ダンスって

このように、シヴァは踊りの神様です。 彼の踊りは宇宙のリズムであり、彼の踊りは世界を滅ぼし、また再生へと導いていきます。 インドでは古代から歌と踊りが神聖なものとして重要視されていて、 神々の前で沢山の踊りを演じたらしいです。その踊りのポーズは、南インドにある有名なシヴァ寺院にレリーフとしてその姿をとどめています。 チダンバラムっていう寺なんですけど。興味がある方は行ってみればどうでしょうか。聖地巡礼、好きでしょう?



「・・・・・・(フワァ)」

「・・・また明日、お逢いしましょう(歯磨きに洗面所へ向かう)」


アメイジング・スケール

「なるほど、そんな事情があったのですね。ここが元は油田基地だったとは・・・私がこのセラフとやらに召喚されたのは十日ほど前ですが・・・」

 

仲間入りを果たし、共に行動するトリスタンと情報を交換する一行。当然の如くクリシュナのあまりの異質さにも突っ込みと追求が行われたが・・・

 

「ブラフマーストラです♪」

 

カーマのその端的な解答に一同は沈黙せざるを得なかった。ブラフマーストラ・・・ブラフマーより授けられる奥義、必殺技であるのだがとりあえず英雄格の存在は皆習得していることから通称『インドの標準装備』と名高い事により、まぁインドなら出来てもおかしくないだろうと決断・・・いや思考停止する他無かったのである。原典が辞書並の厚さ+何巻も綴られているインドスケールに異議を申し立てる事こそが無謀であるがゆえに

 

『ここまでインドがぶっ飛んでると逆に聖地巡礼したくなってくる。今度皆でいこう』

 

【あ、賛成!本場のカレー食べたい!】

 

「その為には生き残らなくちゃでしょう?バカなこと話してないで、行きますよ」

 

肩車が定位置になったカーマに急かされ、ヒョコヒョコと歩くクリシュナリッカ。隣に配置されたロビンのおっかなびっくりな顔が愉快なのかカーマは上機嫌である。そう、全ては帰ってからである

 

「そこまでセラフには詳しくないということですね。では今まではBBのアナウンス通り聖杯戦争を?」

 

「・・・私は悲しい。ガウェイン卿、確かに私は流されやすい性格ですが、そこまで短絡的かつ根なし草では無いのです・・・」

 

『しかし居眠り常習犯』

 

【円卓という変人の集まり。知ってるカーマ?トリスタンって処刑を迫られて塔に追い詰められたとき、祈りを捧げたいって天辺に登って其処からアイキャンフライで脱出したんだって】

 

「は?・・・え、は?・・・こんな人達に地元をおかしい扱いされたくないんですけど・・・」

 

そんなトリスタンの奇行は置いといて。彼は召喚されてすぐ、BBを捕らえようとセラフを散策していたのだという。そのセラフにいたサーヴァントは皆理性に欠けており、戦うことしか知らぬ悪鬼であったという。

 

そんな血と快楽に溺れていた英雄を見るのは余りにも忍びないと、トリスタンはそれらを処断して回っていたという。エリアを転々とし、その責務を果たしていたが・・・

 

「不可解なのは、『点在していたサーヴァントが余りにも少なかったこと』ですね。同士討ちしたのかとも勘繰りましたが、それにしては被害が少なすぎる。十日ほどセラフを渡り歩き、処断したのは約七騎・・・」

 

「128騎いて十日の時点で七騎しかいなかった・・・?随分と神隠しが仕事してますなそりゃ。BBは余計な事はするが手は抜かないのが信条だと見てたんですがね」

 

「・・・さぁて、何処にいっちゃったんでしょうねー」

 

消え去ったサーヴァント、数の合わない聖杯戦争。しかしそれでも、アレに比べれば全くもって些末であり、生易しいとトリスタンは眉を潜める。128のサーヴァントと比肩してなお、恐ろしく大スケールな悪夢が待っていたのだと

 

「・・・私は見てしまいました。そして幾度となく戦い、その度に撤退を余儀無くされた・・・このエリアを支配、いや・・・破壊して回る巨大なアレ。セラフの通路ごとサーヴァントをふにふにした後、もきゅっと挟んで潰してしまう・・・」

 

『ふにふに』

 

【もきゅっと】

 

「潰す・・・」

 

「あのおぞましいぶるんぶるんとしたアルターエゴこそ、我等サーヴァントにとって最大の敵なのですよ・・・」

 

『ぶるんぶるん・・・あっ(察し)』

 

【おっ、凄い・・・?おっ、凄い!?】

 

「あの、すみません。馬鹿なんですか。いえ、大抵バカなのは分かってましたけど。バカなんですかこの人」

 

随分と迫真に具体性のない脅威の説明を語るトリスタン。何いってんだこいつ・・・といった視線を送るカーマとロビン。純粋に理解不能なガウェインに藤丸。はくのんとリッカはいつも通り。またいつもの詩的表現ですか・・・と笑いながらガウェインは諌めるが・・・

 

「ははは、トリスタン。今は詩的表現は遠慮するように。マスターも困っています。それで、今なんと?擬音は控えてもう一度詳しく説明を」

 

「・・・何を仰る。これほど的確で具体的な説明は無いというのに。アルターエゴです。そこの少女とは違うタイプですが、此処には恐ろしいアルターエゴがいるのです」

 

【アルターエゴって?】

 

『パッションリップ(結論)』

 

【あぁ!それってパッションリップ!?(納得)】

 

『・・・あぁ、そう言えばいましたね。カロリー高めでスルーしていたのが。ふーん、マスターはああいうのが・・・ふーん・・・』

 

納得する面子、要領の得ない面子を鑑みてトリスタンは決意する。もうこれは直接見た方が早いだろうと

 

「ちょうどここが分岐点です。あちらの中央管制室に繋がる通路に参りましょう。ブレスト・バレーと呼ばれるポイントです。そこにアルターエゴは陣取っています」

 

「・・・あぁ、そういうこと。すっごく頭の悪い表現だけど正しかったわね、今の」

 

「聞こえています・・・ふふ、聞こえています・・・やはりアルターエゴはどちらも悪・・・」

 

「え、メルトリリス・・・今のでわかるのか?」

 

「えぇ。寄り道になるけど避けては通れないし。アナタには見てもらった方がいいでしょう。トリスタンが言っているのは私の同類の事。愛憎のアルターエゴ、パッションリップ。私同様、BBから生まれたものよ」

 

その真偽を確かめるために、中央管制室・・・ブレスト・バレーへと進路を定める一行。分岐のもう片方には教会、礼拝堂に繋がる道があり拠点に相応しい場所があるのでそちらにも脚を運んでほしかった面もあるが、リーダーたる藤丸がそう定めたのならば従うまで。それがサーヴァントロールを行う制約であるのだから

 

『・・・でも、パッションリップがセンチネルになるなんて・・・あの子、キアラに従うようなキャラじゃ無かった筈なんだけどなぁ』

 

【わかりみ。花畑でずっとほわほわしてるイメージだよ。楽園でずっとそうだもん。もう凄いの。山脈と、湖と、巨大な爪と、160っぱい──おっ、凄い!!】

 

『・・・いやいやいや、流石にアレはアレだから許される大きさですよ。私が真似したらただの奇形です。・・・しかし、やっぱりおっきなおっぱいが好きなんですね、マスター』

 

【大きいことは、良いことだからね!ふにゅっとしてやわやわしてて、私を優しく包み込んでくれる母上の源氏バスト・・・あぁ~】

 

『リッカはともかく、私はそんなに胸が無いから少し分けてほしい気もする。しかしそれは届かぬ夢。まさに──胸無ん(むねん)

 

『・・・・・・・・・・・・・・・』

 

『また受けなかった。残念無念。胸だけに』

 

【気を落とさないで!ギルには受ける、絶対受けるから!絶対!】

 

『・・・胸は母性の象徴と言います。それを考えるなら・・・あなたたちが胸に惹かれるのは至極当然ですよねぇ』

 

そんなこんなで。一同はブレスト・バレーへと向かうことになる。もきゅっと、ふにゅっとして、ぶるんぶるん・・・

 

「一体、何が待っているって言うんだ・・・」

 

藤丸は一人、そのなんだかほわっとした響きにごくりと生唾を飲み込むのであった。

 

「・・・マスター」

 

「ガウェイン・・・」

 

「「b」」

 

・・・ガウェイン、そしてマスターの間に、ほのかにして邪な絆が生まれた瞬間でもあった。




ブレスト・バレー通路

メルトリリス「・・・おかしいわね」

藤丸「?」

メルトリリス「あなた、全く平気そうにセラフを探索しているでしょう、今。それがおかしいのよ。長い間セラフに人間がいると情報化されてしまうの。・・・情報化どころかその兆しすら無いなんて、どういうことかしら」

はくのん『ザビエル・レガリア・バイタルパッケージの効能である。リッカに施してる即死無効と意味消失無効を藤丸にも行っている。つまり殺される以外では死なない』

【流石はくのんだね!すげぇ!】

『もっと褒めて』

メルトリリス「・・・残念ね。あなたの苦しそうにあえぐ姿が見たかったのに。苦痛に眉間を歪ませて、疲労で顔を赤くして、溶けていく恐怖に唇を噛み締める。・・・見たかったのに」

藤丸「これが、スキル『加虐体質』・・・!」

カーマ『バカじゃないんですかね』

【真顔で何てこというのカーマ!】

『でも参考にします。マスターを躾するときは、そんな感じで・・・』

トリスタン「む・・・?待ってください。その通路の角から何かが。これは、足音・・・」

?「助けてー!!誰か、助けてくださいー!!って、きゃ、こっちにも悪徳サーヴァント!?たた、助けて!私は何も持ってませーん!」

トリスタン「・・・これは・・・」

藤丸「──生存者だ!!」

カーマ「・・・・・・・・・くすくす・・・」

【・・・──・・・え?生存者・・・?というか、この感じ・・・】

はくのん『──マーブル・マッキントッシュ・・・28歳。レガリア検索・・・生存確率・・・0%』

【・・・やっぱり?なんだか、この人がこの人として生きている感じがしない・・・それに、私と同じ臭いがする・・・】

『くすくす・・・さて、藤丸さんたちはいつ気づくんでしょうね?『ちょっと脚が早いくらいで、人間がアルターエゴから逃げられる筈がない』っていう、当たり前の事実に・・・ふふっ・・・──』

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