人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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カーマ(・・・モグモグ、モグモグ、モグモグ)←パフェや饅頭、貰った全ての食べ物を丁寧にいただいている


「・・・・・・たべふのふぁひふぉふぁふぃのふぇ、ひょうふぁおふぁふひへふ(食べるのが忙しいので、今日はお休みです)」

「まふぁふぁひふぁー(またあしたー)」


ジャッジメント

中央、管制室。人の狂気が閉塞、熟成され爆発し全滅へともたらされた場所。その場所を最後の希望とし、そして全てが破産した場所。ある意味、完全なまでの事後現場といっていい其処に脚を踏み入れたリッカらを待ち受けていたのは至極当然、そして驚くべき相手であり存在であった

 

【・・・・・・──⬛⬛⬛・・・】

 

【魔神柱、というかゼパル・・・!生きてたんだ・・・!】

 

はくのんが言うに、キアラにメスイキ快楽を叩き込まれんほった末に自我崩壊して発狂死したと聞かされていたが、まさかこんなところで管を巻いていたとは。もしや再起の場面を待ち続けて・・・ならばその企みを今度こそ、と左腕に宿る万物を喰らう至高の妖刀を抜き放たんとした時、はくのんが魔神柱を解析してリッカを制止する。アレはそれほど危険度が少ない相手であると

 

『アレはキアラの食べ残し。捨てられたゼパルの最後の残りカスみたいなものだからもう自分じゃ何もできない』

 

【食べ残し・・・あぁ、だからやけに小さいし目も少ないんだ・・・】

 

全体的に覇気がなく、目の前に自分等がいるのに一言も発す事は無く、声もか細くハクがない。魂が抜けた肉塊が如くだ。ザビが言うに正しく、脱け殻といって差し支えないだろう

 

「御笑い草ですよねー。終わりを超越し新しい宇宙になる(キリッ)とかしておきながら人間にぼろ負けして、そして人間に快楽を叩き込まれて自我崩壊だなんて面白すぎます。まるで自慰を教えられて死ぬまで自慰し続けるお猿さんみたいじゃないですか。生き恥晒して滑稽すぎますよね」

 

『リップ、それキューブにしてくれる?管制室使って魔神柱ゼパルの記録と記憶を読み取るから』

 

「はい!えと、リッカさん・・・離れていてくださいね?巻き込んじゃうと大変です!」

 

【真顔で辛辣&躊躇いが無さすぎる選択!頼もしすぎるね私の仲間たち!】

 

即断即決で無慈悲な選択を躊躇わない決断力。これが王の、はくのんパワー・・・!目の前にてふにふに、もきゅっもきゅっとリップの手でキューブに変えられていくゼパルであった何者かを見て、あぁ最近なんかこんな景色見たような・・・パンケーキ、ハーゲンティ・・・頭が・・・。

 

思考停止に陥りかけているリッカの隣で、お詫びと償いのためにと張り切るリップ。キューブに成り果てた魔神柱を拾い上げ、リッカに笑顔で渡してくるカーマ。四方面体に目玉がくっついたようなグロテスクなルービックキューブめいて非常に御遠慮したいデザインであるのだが・・・

 

「はい、プレゼントです♪」

 

【うわぁありがとー(棒読み)】

 

「良かった、うまくできました!リッカさん、先輩!私、うまくできましたよ!」

 

明らかに分かっていて手渡してくるカーマ、無邪気に喜んで、私はお役に立ちます、立ってみせますとキラキラしているリップを否定する気にはなれないリッカ、甘んじて二人を受け入れる。まぁ、少女二人の笑顔に繋がったと思って・・・

 

【姫様に出会えなかったゼパルさん、成仏・・・は無理かぁ・・・とにかく安らかに・・・。──さて】

 

踏んだり蹴ったりなゼパルに黙祷を捧げ、そして気合いを入れ直し辺りを見渡すリッカ。──いる。気配はする、人の生きている感覚が伝わってくる。どうやら自分達を救助に来たメンバーだと思っていないのか、一向に姿を現さない。このまま隠れているつもりなようだ

 

【──そこ】

 

だが、リッカにそんな小手先の隠蔽なぞなんの意味も為さない。人が在り、そこに意識があるのならば問答無用で存在を嗅ぎ当て引きずり出す。人の意志と言うものに彼女は抜群に敏感なのだ。万象見通す龍が如く、彼女が触れ合おうと決めた相手は彼女から決して逃れられない

 

「う、うわぁあぁあ!離せ、離せ化け物!近付くな!私はお前らなどに食われてやらん、なんとしても生き延びなければならないんだ!」

 

瓦礫に埋もれて隠れていたつもりの、ややくたびれた風貌の男性。間違いない、アーノルド・ベックマンだろう。隣のロッカーには薬物中毒で死んでいる職員が入っているから間違いない。キアラの化けの皮にされているマーブルも除き、生存者は一人だけ・・・ということになる

 

『藤丸が来る前に、救うべき人は全滅していた。ミスト劇場は、どうにもならないところまで進んでいたって事』

 

『えぇ、マスター。どうします?愛の神的にも、キアラにとってもこの人は理想の人間です。生かしておくととっても厄介、生かしておいてもなんの役にも・・・いえ、焚き付けられて面倒な事になりますよ?リーダーぶって指揮を取り始める、とか』

 

【・・・・・・】

 

とりあえず、何があったのかと。本人の弁明を聞こうと手を離そうとしたリッカであるが・・・問うまでもなく、アーノルドと呼ばれる職員は全てを話してくれた。そう。身の潔白ならぬ身の純黒をだ

 

「化け物め、化け物め!とうとう私を殺しに来たんだな!くれてやった生け贄では飽き足らず私まで!何だ、何が欲しい!?命や人員なら、率先してくれてやっただろう!」

 

【貴方が主導で?】

 

「そうだ、そうだとも!誰もやりたがらない、やろうとしないグズどもを私が率いてやった!組織を作り、治安維持に励み、無駄飯食らいを間引いてやった!全て私の、私の功績だ!私は生き残る義務がある、死ぬのは私以外の全てでいいんだ!大体前から──」

 

そして行われる自己弁護と自己擁護。私は必要に迫られてやった、必要な事だった。皆が決めたことだ、私が責められるのはおかしい。化け物め、触るな近寄るな。アレだけ生け贄をくれてやってまだ足りないのか、卑しい怪物め、私は屈しない・・・。記録、いや記憶に残っていた行為を一つ一つ、私がやったと発言してくれたのである。精一杯の自己正当化を添えて

 

『事実陳列罪。・・・まぁでも・・・罰するまでもないかも』

 

『えぇ、この人が地獄を作りたかった訳じゃないですし、全員で決めて、分不相応な人が分不相応なポジションに置かれただけ。良くも悪くも、ウジ虫みたいにちっぽけな人ですから、彼は』

 

私の大好きなタイプです♪とにっこり笑う中、リップは無言で右手を振り上げている。リッカとはくのんを化け物呼ばわりした事が勘に障ったようだ。あわやキューブが出来るところを、リッカとはくのんが制止する

 

【・・・よーく分かった。自分は悪くない、仕方なかったと】

 

「そそ、そうだ。分かったら何処かに行ってくれないか!お前のような汚物に触れられていると思うと、穢らわしくて死にそうだ!」

 

【そういうわけにはいかない。じゃあ最後に。──『あなたを励ましたのは、殺生院キアラだね』?】

 

絶句し、沈黙するアーノルド。あぁ、やっぱり。彼はキアラに選ばれ、地獄を扇動する道化として選抜されたのだろう。根が腐りきっているなら此処で伐採するも責務かと思ったが、彼もこんな異常事態でなければただの小物で在り続けたのだろう。なら、それを過度に責めるのは酷と言うものだ。一から十まで、彼は道化・・・裸の王様でしか無かったのだから

 

【分かった。あなたも被害者だと言うことはよーく。だから私達は、『あなたを保護し、生かします』】

 

「ほ、本当か!?」

 

「そんな!?キューブにして捨ててしまうべきでは!」

 

「流石ドゥルガー素体ですね・・・(ドン引き)」

 

【──でも、たった一つ。あなたに贈る言葉があります】

 

リッカの言葉に、何を──と口にする暇すら、アーノルドには与えられなかった。首を掴まれ、無造作に持ち上げられ──

 

【──さぁ、お前の罪を数えろ】

 

「な、──ごげぁあぁっ──!!!??」

 

パンクラチオンで習った、効率よく人体を破壊する力の込め方。殺さず五体満足、かつ全身にダメージを与える力にて、利き手じゃない左腕でアーノルドをリッカはぶん殴った。それはそれ、やらかした事による失われた生命への落とし前代わりである

 

断末魔をあげ、壁にめり込む程に叩き付けられたベックマン。断続的に痙攣しているが生命に別状はない。生きているだろう。死んだ方がマシ、とも言えるのだが

 

【リップ、カーマ。これ以上はやっちゃダメ。リンチになっちゃうし死んじゃうから。保護しにきた、ってこと、忘れないようにね】

 

「は、はい。私はその、リッカさんや先輩がいいなら・・・」

 

「賢明な判断ですね。コレ、キアラに元気付けられたら敵より厄介な味方になりますから」

 

『もう、この物語で彼が成し得る事は何もない。シンジ・・・いや、比べたらシンジに失礼な名前のあるモブだった。身柄はこっちで保護する。冷凍保存で丁寧に。──たぶん、セラフにいたら口封じで殺される』

 

【うん、お願い。・・・じゃ、記録見て戻ろっか】

 

ベックマンを起こし、はくのんに身柄を任せ、行動しようとした時・・・

 

【・・・ふぁ?】

 

「汚れ仕事、お疲れ様でした。いいこ、いいこ」

 

カーマがひょいと肩に乗り、リッカを労り頭を撫でる。それは気紛れか、それとも別の意図か。少なくとも・・・

 

【──カーマ!好き!!】

 

「・・・、好き、ですか。・・・ありがとうございます」

 

「あ、その!私も、いいこいいこしたいです!いいですか!?」

 

『リッカがキューブになるからダメ』

 

「そんなぁ~!?」

 

べー、と舌を出しリップを牽制するカーマ。・・・実のところ、何故自分がそうしたのか自分にも解らない

 

(・・・本当、調子が狂います)

 

飽きるほど聴き、死にたくなるほど聞かされた『好き』。それを、彼女に言われると何故こんなにも顔が熱くなるのか。・・・やっぱり、カーマには解らなかったのだった──

 




はくのん『よし、アーノルド冷凍パック完了。これで生命は保証された。虚数に編纂するまで頭を冷やしてもらおう。まぁそれはそれで、リップ、そこの窪みに魔神柱を嵌め込んで。日記コードと魔神柱を読み取って解析して展開する』

リップ「はい!魔神柱を嵌め込んで、ですね!」

【凄い会話してるぅ・・・】

カーマ「ビーストの面汚しですねー」

『解析完了。・・・ふぃー、やっぱりリンやラニみたいにスムーズにはいかない。・・・お礼言いたかったなぁ・・・』

【?誰それ?】

『あ、こっちの話。じゃあ最後に読んでおこう。ゼパル、やらかしの巻』

「・・・物語に関わることなく冷凍保存されたアーノルドさんと、関わる前に全部奪われていたゼパルさん。どっちが悲惨で哀れなんでしょうか・・・」
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