人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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カーマ「・・・」

『沢山の差し入れ』

「・・・(ホロリ)」

「・・・──あ、こんばんは。・・・はい、始めます。・・・なにもしていません。何でもないです」


カーリー。これもまたパールヴァティーが産み出した女神の側面・・・「暗黒」「時間」を意味する詞を女性形に変換した呼び名ですね。言っておきますけど、生い立ちからして怒髪天のその先ですからショッキングなんてレベルじゃありませんよ?

女神ドゥルガーが惨殺したアスラの王、マヒシャの復讐に燃え神々の世界に殴り込み神を虐殺したアスラ(魔神)・・・シュンバ、ニシュンバ兄弟と戦った際、、先のドゥルガーすらも及ばぬアスラ王兄弟の強さに対する怒り、それがドゥルガーの暗黒面を増幅させ、顔面を黒く染めたドゥルガーの内から誕生した女神、それがカーリーです

屈辱、憤怒、劣等感、憎悪・・・誕生理由からも判るように、ドゥルガーすら越える禍々しい姿の戦闘女神であり、真っ黒い肌に生首や頭蓋骨を繋げたネックレスをかけ、4本の手には血に染まる剣や羂索、三叉戟、髑髏が飾られた棒、血の滴る生首……等を持っており、気性も荒いなどというレベルを越え、あのシヴァの呼び掛けどころか認識すらできないほどに猛り狂っています。

そしてカーリーが持つ十の頭も耳まで口が裂け、赤い舌が地上までぶら下がっているという。・・・マーラなんて生易しいおぞましさだと思いません?

シュンバとニシュンバの配下であり、自らの流した血からアスラを生み出し続ける(自らを再生し続ける)恐るべきアスラ、ラクタヴィージャとの戦いが有名で、血を流せば流すほど増えるアスラをカーリーは倒します。どうやって?

血を吸い付くしたんです。流れる血、産み出したアスラごと全てを飲み込んだのです。・・・すみません、どっちが敵なんです?

カーリーの活躍もあり、神々は自分達を苦しめたシュンバとニシュンバを遂に倒しましたが、興奮の収まらぬ女神はそのまま躍り続け、大地を揺るがした。

ちなみにそのダンスの余波で世界が崩壊しかけました。インドにおいて世界は積み木より脆弱です

慌てた神々でありましたが、シヴァは自分が横になるとカーリーをその上で踊らせ、漸く揺らぎが静まったといいます。シヴァですら自分を差し出さないと止められない。ぶっちぎりの頭がおかしい女神です

ちなみに正気に戻った時、舌をペロリと出した事から、絵画や像などでは舌をだしたカーリーが描かれる事が多いです。この姿はカーリー女神を描いた構図として最も有名で、カーリーがシヴァの神妃に組み込まれた事でカーリーとシヴァの合一の姿としても伝えられるんですって。

・・・テヘペロの起源はインドなんですよ?

カーリーは元々はドゥルガーの神話から派生した女神でありましたが、後には本体のドゥルガーをも越える信仰の人気を獲得したみたいです。テヘペロが効いたんですかね・・・

コルカタはカーリー信仰の聖地として名高く、カーリーガート寺院では現在でも血生臭い供犠が捧げられるといいます

余りにも血生臭い信仰があった為か、中世の悪魔研究では【悪魔】としてカーリーの名前が見られるみたいですよ?




「また明日おあい・・・あつっ!(味噌汁跳ねた)」

「・・・また明日おあいしましょう(舌ぺろり)」


Do you not ashamed to come out again and again?

『ウェルカムトゥ!セラフの裏側ー!みなさーん!受け身はバッチリですかー!?お手手繋いで御一緒してますかー!?放り出されて困惑と心細さで泣いちゃいそうなあなたに送る!BBぃ!チャンネルゥー!!ヒャッフー!!』

 

キアラパニッシャー製作、リッカらのサポート、リツカへの嫌がらせと煽り、そしてこうして直接の案内。大忙しのBBが、ずり落ちたコートと髪型を必死に直しながら御得意のBBチャンネルを巻きでお送りしている状態である。もうやることが多すぎて目が回っておりテンションがもうスゴいことになっているのだが、止めるという選択肢は無い。彼女は凝り性なのだ

 

『BB、その献身をザビは高く評価する。後で私の微笑みブロマイドを進呈してあげよう』

 

『やる気が更に出てきましたやります頑張ります先輩!出来れば満面の笑顔がいいんですが・・・』

 

『限定版Blu-raydiskを買いなさい』

 

『特典付きでしたかー!』

 

そんな弄られコントをする二人、カーマとリッカにしか聞こえないやり取り、漫才を繰り広げているのを微笑ましく、同時に疎ましく見つめる視線もなんのその。こちらへの嫌がらせと称してBBは的確なキーアイテムを提供する腹積もりのようである。スタジオも急ごしらえのハリボテ、低予算っぷりが物凄い。具体的には立て板とダンボールの3D投射である。質素なのか豪華なのか。タマモキャットは既に考えるのを止めていた。

 

「そんなに慌てて嫌がらせに余念がないとは頭が下がるぜBBさんよ。こっちにハンデなんか送りつける割には余裕が無いんでない?リボン、ずり落ちてるぜ?」

 

『ふんだ!虫けら未満の緑茶さんに心配される謂れはありません!それより裏側です、裏側!こちらを御覧ください!』

 

積極的に煽り煽られ、めげずに自分のペースを維持するBB。ブォンと音を出し、簡易的な裏側マップを展開し教鞭で皆の位置を伝えてくれる親切丁寧な案内・・・

 

『はい!皆さんの位置はここ、脛の辺り!そこからセンチネル特区に向かいスズカさんの撃退を行ってください!そうすることにより表側の子宮部にある天体室・・・コア・マトリクスへの道が開けます!』

 

「・・・鈴鹿さんの撃退って必要なんですか?足止めされてますし、そのままマトリクスに向かっちゃえばいいんじゃないんですか?」

 

カーマの発言は最もだ。裏側に先んじて来たというのにセンチネルを待ち構えるというのは良くわからない手順である。焦りに焦りすぎてフラグとイベント進行管理を違えたのだろうか?監督不始末案件なのではないかという視線を、服を正しながらBBは告げる

 

『わかってないですねー。私はいつでもフェアであり理不尽です。裏側に招いたのは皆さんがマトリクスへ向かうための情けをかけて、マトリクスの道を閉ざしたのは鈴鹿さんにあなたたちを始末して貰うためです。ハンデとペナルティはフィフティフィフティ。ね?AIっぽいでしょう?』

 

詰まるところ、裏側に追い込み漁をかけたのはいやがおうにも鈴鹿と戦わせるためだったとBBは豪語する。彼女を倒せなければキアラなど倒せないというリッカらへの激励、鈴鹿への縁を繋がせるBBの気遣い、キアラの目を欺くゲームマスターとしての御仕事をこなすための多彩な立ち回りをこういった形で実現したのである。コウモリもかくやの立ち回りだが、BBにそんな評価を気にしている余裕はない。セラフは依然降下中。一刻の猶予も無いのである

 

『勿論ただ待っているというだけでは味気無いのでぇ、憐れなマスターさんにご褒美をかけたエネミーを差し向けちゃいます!倒せれば豪華景品!早く倒して鈴鹿さんを突破しつつマトリクスへ向かっちゃおう!運が良かったですね!今日のBBちゃんは慈悲深いのです!』

 

『それは世間一般にいっぱいいっぱいという』

 

『キアラとこちらを梯子するなんて大変ですねー。一欠片も同情してあげませんけど』

 

『しょうがないじゃないですか!本当はすぐに鍵を渡したかったんですけど!今の私はキアラサイドのBBなんですから!そんなあまあまギフトは認められないんですー!』

 

【ダブルクロス。それは裏切りを指す言葉──】

 

『【絶対☆裏切り☆ヌルヌル──!】』

 

『・・・こんな状況でも微塵も慌てない辺り、格が違いますねBB。あなたとは対称的です』

 

『むかー!ロリの暗黒サクラフェイスが私を煽ってきました!これはもう戦争ですね!バトルですね!て言うかサクラフェイス四人もいるじゃないですかぁ!?』

 

『今頃気付いたの?ちなみにまだまだ増える』

 

【パールヴァティーとかいるしね!ていうか凄いよサクラって人!幼少、少女、大人!ほぼ全てが女神の依代になってる!──リッカセンサーから導き出されたパーソナリティーは!サクラちゃんは代々受け継がれた神事を司る神官の娘と見た!】

 

『言われてみれば女神のフリー素材になってるサクラオリジナル。・・・気になったからパーソナリティーを調べてみよう』

 

『私も驚きです。光と闇の女神を同時に宿らせられるなんて。この少女、一体何者なんです?』

 

『なになに・・・『ライダーに人気でぼろ負けしたヒロイン』『自分のルートでイリヤに活躍された女』『清らかな体(笑)』『ラスボスになれないポンコツ』『高跳びしていた男の子に一目惚れ』『兄がガチクズ』『よもやそこま、ガ──』』

 

【!?】

 

『・・・ますます意味不明なんですけど・・・』

 

そんなこんなでフリーズしているリッカらの脳内コントはいざ知らず、藤丸らからしてみれば新たな敵の召喚を明言されたようなものだ。全員、等しく臨戦態勢を整えBBの次なる手を打ち破らんと待ち構えている

 

「来るなら来い・・・!守れなかったマーブルさんの為にも、負けられないんだ!」

 

『コレ、図らずともキアラの為に藤丸さんが頑張るという構図ですよね・・・』

 

『アレが知ったら達しそう』

 

【空に狡知あるところ、海底に愛欲あり!・・・まぁそれはともかくBB、敵って誰?】

 

『あ、えっと、その・・・コストや急ごしらえの結果エネミーにリソースを回せなくてですね・・・どういう訳かサーヴァントが所持しているサクラメントがサーヴァントごと紛失している有り様ですし・・・』

 

『(ニコニコ)』

 

『ま、まぁそれはともかく!震えてください、怯えてください!これが皆さんの行く手を阻む、悪夢の絶叫アトラクションです!』

 

くいっ、と教鞭を振るい、召喚式を作動させるBB。ふざけておちゃらけていても上級AI。そしてセラフの支配者。その程度の職権濫用はお手のものだ

 

【──来るか】

 

クリシュナモードになり、迎撃を行わんとするリッカ。付き合っていられませんねと呆れながら、そっとリッカの背中合わせに弓を構えるカーマ。固唾を飲んで一同が見守るなか、現れたのは──

 

「──来たわ!!来てしまったわ!海底に沈んでいくラクーンダイなこのステージに蠢く哀れなブタどもに、活力と力を届けに舞い降りたブラッド・ビビッド・チェイテ・ドラゴン!え?ドラゴンは被るから止めろ?イヤよ!このドラ角と尻尾はチャームポイントなの!!」

 

『あっ』

 

【あっ】

 

『?』

 

「このっ──この声は!カルデアトップクラスの危険分子にして金星の使者・・・!」

 

「・・・コストどころか人件費まで回らなかったのね・・・」

 

「み、皆さん!こんな時に言う言葉はアレしかありません!」

 

「あー、アレな。アレね。解ってる解ってる。もうちゃっちゃと終わらせようや」

 

「デスメタルは首尾範囲外です・・・いや、弾こうと思えば琴でドラムの音くらいは出せますが」

 

「トリスタン、円卓の騎士を代表して諫言を。貴殿は弓と琴の概念をなんだと思っているのです?」

 

一つになる心。重なる思惑、異心同体。最早みんなで叫ぶしかないあの言葉。きっとショックを受けて帰るでしょう。皆で伝えよう、うんざりとしたこのゲンナリソウルを──

 

「いいわいいわ!盛り上がってるじゃない!ちょっと黒塗りでシルエットめいてるけど!シークレットライブと割り切るわ!」

 

「うむ、では行くぞ御主人ら。内なる野性を解き放つがよい。ほい、せーの!」

 

「そう!なら聴かせてあげる!海底に舞い降りたシー・オーシャン・エリ!略してシエリ!皆で呼んで!その真名を!せーの!エ」

 

「「「「『『【何度も出てきて恥ずかしく無いんですか──!!!!】』』」」」」

 

「なんでよーーーー!!!?」

 

突如現れ、話題と空気をかっさらったシー・オーシャン・エリ。略してシエリ。そのままライブに行こうとした所を、かめはめ波のポーズから放たれるタマキャ渾身の御主人波(ただし御主人波は口から出る)によりぶっ飛ばされ──

 

「アイルビーバーック!!覚えてなさいよー!!!」

 

『激闘の末!シエリを倒しましたねお見事です鈴鹿さんの心の鍵をどうぞ!』

 

BBのいっぱいいっぱいな心のこもった鍵、鈴鹿打倒のキーアイテムを一同は手にするのだった──

 

「・・・なんですか、このオチ?」

 




教会

鈴鹿「ッ・・・!」

エミヤ・オルタ「──」

「・・・っとに面倒臭いし。あんたみたいなボブ、御呼びじゃないんだけど」

「御互い様だ。敵に股を開いた畜生なんぞ降水臭くて構わんよ。その耳、性病の一種か?」

鈴鹿「──────あ、今決めた。殺す。殺すわアンタ。絶対譲れない線引き踏みにじったし。マジ殺だし」

「元からそのつもりなんだがな、オレは。御託はいい、早く奥の手を出してみるんだな」

「上等!雀刺しに・・・!──は?なに?BB?帰ってこい?防衛機構がやられた・・・特区に!?マジで!?」

「・・・」

「あーもう!マジガバじゃん!なにやってんの!畏まり!すぐ行くから!解ってる解ってる!・・・──勝負は御預けじゃん!」

「おや、逃げるのか?天魔の姫が聞いて呆れるな。そのまま畜生に堕ちればどうだ?」

「──アンタ、死なないでよ。私が念入りに、丹念に、ブッ殺すんだから!」

「──行ったか。行軍の際に、頭が冷えなければいいが。さて──」

(・・・セラフィックス職員は全員殉職。アニムスフィアの実験は二度と行われる事はない)

「・・・後は、天体室の破棄だな。そこに何があり、何が行われたの追究なんぞ──」


【──オレには関係無い。ただいつだって、帳尻を合わせるだけ・・・でしょう?腐り果てた鉄の御方?】

「──!!」

【ふふ、ふふっ。──また、あのときのように。二人きりになれましたね──?】

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