人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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カーマ「700話・・・700話・・・!?」


「・・・・・・・・・場違いですよね、私。すみません、なんというか申し訳無いです」

「・・・それじゃあ、アドバイスを。各自、この物語を長い間楽しみたいなら、絶対に何らかの方法でバックアップや保存をしておいてくださいね。最低でも、第一部までは推奨しておきます」

「・・・インドの話に結びつけますけど、世界は一定のサイクルで終焉と再生を迎えます。再生はする・・・それはつまり『永遠などない』という事です」

「サーバーダウン、作者のヒューマンエラーによる削除、アカウント凍結・・・終わりはそこらじゅうに転がっています。無くなってからああしておけばよかったなんて、辛いですよ?再投稿の予定もない・・・いえ『無理』らしいですから、くれぐれも忘れないでくださいね」

「・・・どうやら、1000話まで行く気満々らしいので、付き合ってあげてください。・・・え?お礼?一言?言ってほしい?」

「・・・・・・・・・『読者の皆様へ』」

「『お金以外の総てのものを、お金よりも何倍も価値あるものを下さってくれて、ありがとう。これからもこの物語が、皆様の人生の彩りの一端になっていただけます様に』」

「・・・『作者より』」

「・・・・・・その。私なんかの言葉、いらないでしょうけど・・・」

「・・・いつも、優しくしてくれてありがとうございます。皆様の事、愛していますから、その・・・」

「──これからも、宜しくお願い致します(ペコリ)」


アポイントメント・ギアス・ハート・ダイブ

男が、獣により失墜し、名を・・・全てを失った頃──

 

「恋愛発破!『天鬼雨』──!!」

 

「ぬんぬんぬんぬんぬんっっ!!!はぁあぁっ!!!」

 

特区においても激戦が繰り広げられ、一進一退の攻防が行われている。誰とかなど語るまでもない。超速で踵を返し、藤丸らを成敗しにやって来た残り唯一のセンチネルにして、自らの願いと信念のままに戦う才女──鈴鹿御前。それに立ち向かうは藤丸と、その仲間のサーヴァントたち。BB・・・否、キアラの権能を分け与えられ強化に強化が重ねられている鈴鹿に対し、一丸となって懸命に抗っていたのだ

 

「王子様フェイスしといてナニ?そのゴリラみたいな掛け声。アタシには解る、あんた絶対幻滅されるタイプっしょ?」

 

「む、心外ですね。そしてかの森の賢者を罵倒や蔑称の様に口にするのはお止めなさい。彼等は思慮深く心優しい、素晴らしい動物です」

 

「きょーみないしどうでもいいし!ゴリラ談義で盛り上がるJKなんかいな、──ッ!」

 

「・・・私は悲しい。あなたの敵はガウェイン卿だけではありません。演奏の際に哀しきもの、それは耳を傾けて貰えないことなのですから・・・」

 

「ぬぅん!!」

 

「あーもう!鳥にゴリラ、ホントウザいし!時代は狐!尽くしてピコピコなフレンズが最高だって決まってるんだから、マスコット争いはNGっしょ!」

 

「・・・アレ、何の話してるんですかね?」

 

「知りません!ロビンさん、私がカバーしていますからはやくその爪楊枝みたいな矢で援護してください!」

 

「うむむ、あのキツネやはり相容れぬか?いや、まだキャットは慌てる時間ではない。まだ分かり合える、そうでなくても信じるが秘訣なのだな」

 

藤丸の指揮の下、懸命にサーヴァント達が強化された鈴鹿に食らい付き戦っていく。藤丸が持つ鍵を刺し、心に突入するより打開の道はない。無いのだが──

 

「速い・・・!」

 

単純に、物理的な観点と運動能力の差から『触れられない』のだ。規格外なマスターであれば・・・──否、本来ならサーヴァントに勝る人間などいはしないのだが。自らの平凡さに歯噛みしながら、それでも勝利を掴むために藤丸は戦い続けている。自らの最善を尽くして

 

「いいじゃんいいじゃん!必死に汗かいてアタシを追ってくるの、ちょーそそる!やっぱ草食系とかよりガツガツいってもらいたいじゃん?ま、好みの人に限るんだけど!」

 

キアラの力により強化されたセンチネルだけあり、その実力のスケールは凄まじいものだ。円卓やアルターエゴを擁する今の戦力であっても戦況は五分五分か藤丸がやや不利と言ったところであり、このままではいずれ押しきられてしまうだろう。ならばとカーマ、クリシュナを頼ろうとすれば・・・

 

【ねむい】

 

「あーもう、しっかりしてくださいクリシュナ。マスターに怒られちゃいますよ?」

 

BBが用意したと豪語する【BBスロット】により【やる気ダウン】【眠気アップ】を引かされたクリシュナは浜辺に打ち上げられたマナティのようにぐったりしカーマに介抱されている。カーマはクリシュナに付きっきりで、指示どころか言葉すら聞こえていないようだ。少なくとも今ここで、二人を頼ることは出来ない事は明白である

 

『おかしいです先輩!センチネルやカルマファージに拮抗するくらいのバフを用意するためのBBスロットなのにどうしてリッカさんだけデバフに!?』

 

『製造元あなたじゃ無いんかい』

 

『想定外なんですー!何故かリッカさんだけデバフスロットの確率が急に・・・!上書き、チートを行っても!罷り間違っても、私は不正は行いませーん!』

 

『──そろそろ気付いたっぽいかな。・・・これは念のため、離脱空間を作っておこう』

 

【ねむい】

 

「ふふっ、いいんですよ。ゆっくりしてください。あなたの人生、ずっとずっと走りっぱなしなんですから」

 

ぐったりしているリッカに膝枕をしながら寄り添うカーマ。戦闘の意志は無いからか鈴鹿は攻撃をしようとしない。狙っているのは──

 

「私、ですか。やはり貴女の狙いは『聖杯戦争の勝者』ですね?」

 

「あったりー!マスターに呼ばれたサーヴァントはそうするものっしょ?アンタを殺すかアタシが死ねば聖杯戦争は終わる。勝者が決まる!サーヴァントは勝ち続ける為に喚ばれる、ならアタシはこれでいいの!アタシはガンガンいって勝つ!そう、アタシはそれでいいんだから!」

 

「──誰のためにだ!」

 

藤丸が口火を切った。その勝利は誰のためか、その躍進は誰に向けられたものか。ただ、それが藤丸には気にかかったからだ

 

「BBの為なのか!?BBのいいなりで手に入れた勝利を、誰かに捧げるつもりなのか!?」

 

「──は?私が、誰の言いなりですって?」

 

マジ有り得ないんですけど、勘違いしてない?そう怒髪天を衝き反論する鈴鹿に、すかさずタマモキャットが補足を加え攻め立てる

 

「勘違いなものか。貴様の考えはともかく、その行動はBBの傀儡そのもの。マスターもいない、自分の願いも将来の幸せ家庭プランもない。そんな貴様を糾弾するは至極当然な事なのだな」

 

『あたま、いいこと、言ってる』

 

【そのとーり】

 

ゴロン、と行動不能なリッカが寝返りを打ち、鈴鹿にびしりと指を突き付ける。その言葉と指摘を、鈴鹿は真っ向から否定した

 

「──んな訳ないじゃん。マスターだっていたわよ。ちゃんと。──そ、BBも、魔神柱も関係無い。私は、私を召喚したマスターのもの。・・・聞こえたのよ。ここに喚ばれた時。確かに声が」

 

『勝ちたい』『無意味な死にしたくない』と。人間が末期に想う、未練を遺す泣き文句。──だが、それに自分は応えたのだ。その言葉に報いるために自分はここまで戦ってきたのだ。その願いを、叶える為に

 

【──・・・】

 

 

『そりゃーもちろん自分磨きも大事だけど!リッカにはアタシよりもっともっとキレーになってほしいじゃん!なるべきじゃん!アタシが楽園に来たのはそーいう訳。アタシにしか出来ない──リッカの魅力を磨いて見つけてあげる友達として!アタシは召喚に応じたってこと。かしこまり?』

 

 

【──スズカは、スズカ・・・か】

 

静かに呟き、むくりと体を起こす。軽く20はあるデバフにて気だるく立ち上がれないが、なんとか・・・友人の顔を見れるように目を向ける

 

「──顔も知らないマスターで、生きてるかも解らないけど。あれは震えながら零れた、精一杯の力で残した、私に向けての声だった」

 

名も知らぬマスターが、名前も知らない私に向けて託した最後の人間らしい願いだった。ならば──

 

「だったら!私はこの聖杯戦争に勝つしかないじゃん!?あれを聞いて逃げ出すなんて、それこそ女が廃るってもんでしょう!?」

 

『────わかりみ。そして・・・なつかしみ』

 

それこそがスズカの本音であり願いだ。この狂いに果てたセラフの中で、自分を招いた善き願いの為に命を懸ける。その実直さ、真面目さこそが天魔の姫たる彼女の本質──

 

【──・・・】

 

ならば、そんなスズカにできること、対処せし手段はある。自分に与えられた力を込めて、リッカが放てしは──

 

 

【──ほんとぉ?】

 

そんな、敢えて覚悟を問い掛けるような懐疑の言葉であった──




藤丸「え!?く、クリシュナ!?」

カーマ「クリシュナが何かをするのはなにかがある時です。邪魔しないでください」

スズカ「は、ちょ──疑う理由が分かんないし!今のアタシの、本音の本音だし!」

【ほんとぉ?】

あえてちょいウザめに、そして、だったら証明してほしいなぁ~なニュアンスを含めてお送りするクリシュナトーク。ただ一言、しかし対話の龍たる言霊を本気で込めれば、それはあらゆる意志に優先される言葉となる

「ほーんーとーだーし!そこまで言うなら確かめて見ればいいじゃん!『心の鍵』をBBからぶんどって!アタシの心を覗いてみればいいし!」

スズカ自体、【自分が何を口走っているか解っていない】。リッカの最大にして最強の武器に、魂が引き寄せられているのだ。墓穴を掘っていることすら、気付いてはいないだろう

【いいのぉ?】

「オッケーオッケーマジオッケー!アタシの言葉に嘘も偽りもないこと、たっぷり思い知ればいい・・・じゃん──」

【──言質、取ったり。キャット!】

キャット「ふははははは眠れるドラゴン鼻息でキツネを化かす!それでは釣られて本気を出そうタマモナイン九大ヒミツが一つ。呪相・空裂大密天!溢れるインテリジェンスがお前を襲う!」

それは玉藻が最終奥義。リッカに対し他の玉藻に差をつけるため彼女が披露し、そしてキャットは自分から使えることを申告していた必殺技。──バーサーカーにてキャスターの賢さを賄う術の反動も強烈なものである諸刃の剣

「痛い、痛くない・・・いや!痛いが痛くないのだな!御主人らの役に立てるなら、キャットはアビ・インフェルノにすら耐え抜こう!今がチャンスだアナザー御主人!公認にて心をAEDである!」

はくのん『タマキャ・・・やはり最高の良妻じゃったか・・・』

藤丸「ありがとう!クリシュナ、キャット!──行くぞぉおぉ!!」

意を決して右手に握った鍵をスズカの胸に突きつけ突進する藤丸。いかがわしく見えるが極めて真面目な心を暴く儀式である。ザビが通った道である。はくのんは指を折りながら、暴きに暴いた犠牲者を数え同時にBBお仕置きを見返している

BB『キャー!?なに見てるんですか先輩ー!?』

『喜劇の醜態』

「ちょっ、待って!今のナシ!なんで!?なんでアタシあんなこと──!?」

藤丸「開け夢の扉ァアァ!!(マイメロ並感)」

「そんな、マスターでもないのに心をだなんて!?あ、やだ胸掴まれてる!?ダメダメダメ!心の中とかはずかしーい!!」

ザビ『スパイナル、スタート(無慈悲)』

メルト「懐かしいわね・・・語りたくなったわ。ドールマニア・・・」

藤丸は心に潜り、そして・・・

【カルデアの皆は私を人間にしてくれた!部員の皆は私を可愛いと魅力的と言ってくれた!でも私は!そんな皆に何一つ恩返しが出来てないんだぁ!(ガバッ)】

カーマ「よしよし・・・あなたは、そこにいてくれるだけで皆嬉しいんですよ?」

『テンションが立て籠ったランボーみたいになる』というデバフを受け、カーマにすがり付いて泣いているリッカであった──

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