人理を照らす、開闢の星

ハプニング・クラッシュ

カーマ「よいしょ、よいしょ･･･あ、すみません。今、マハーバーラタの読み返しをしているんです」

『大量に積み上げられたマハーバーラタ』

「これは一冊一冊並が辞書並に厚くてですね。読み返すにも一苦労──」

ｶﾞﾂｯ

「あ」

『脚の指に直撃するマハーバーラタ』

「──────！！！！」


『涙目で転げ廻るカーマ』

「す、すみませ、また、明日に──」

『うずくまるカーマ』

「──これがっ･･･インド神話の重み･･･っ」

---

「はーい！ようこそいらっしゃいました！この騒動は誰だ！誰の仕業だ！fateのグランドヒロインは誰だ！？はーい！全てこの私！可愛いあなたのBBちゃんです！はーくしゅー！！」

護衛なく、そしてチートなく。聖杯戦争の勝者をスタジオに招きしは全ての黒幕（仮）なBB。スタジオ、特設会場にて展開し生放送にてウザさと可愛さ180％（個人差）にてお送りするBBチャンネル──突撃訪問版である

『BBグランドヒロインとかどこの世界線？剪定しにいかねば』

『こーこーでーす！先輩と一緒にいられる此処こそが！私のBBルートなんですぅー！』

『楽園時空のヒロインは･･･』

【（ﾄﾞｷﾄﾞｷ）】

『じゃんぬ』

【ッンー！！（ガッツポ）】

じゃんぬ、ﾔｯﾀｰ！という気持ちと私は当たり前のようにあぶれるのかぁとやや残念ぎみなガッツポーズを執り行うリッカ。未だにデバフまみれで身体がだるい中でも、自分の矜持と推しの感謝は決して忘れないのである

「割りと振り回された気もするが、ここらで遊びは終わりとしようや。その首、スパッと撃ち抜いてやるよ！」

「御母様、いえ･･･BB！今回は大いにやりすぎだと思いますので！皆さん、やっちゃってください！」

「護衛も用意していないようです。やはり･･･人徳･･･ですかね･･･」

「えぇ。カリスマランクは最低でもCは欲しいかと。私はE、あってないようなものですが、一介の騎士はそれだけで充分なのです」

「確かセイバーオルタもカリスマEだったよ」

「──！？」

「じゃーん！と言うわけでリツカ側についたから！これから容赦なくバトるけど、お互い様って事で宜しくー！」

それぞれの決意表明と、全くもって味方がいないBBが火花を散らし合う。ニコニコと笑みを絶やさないBBではあるが･･･

「･･･──あれっ！？此処にBBちゃんの戦力一人もいないんですか！？私一人のソロバトルですかぁ！？そんなっ！私をよってたかって！野獣のように熱いリビドーを叩き付けたいと！BBの溢れる後輩力にメロメロですと！そういうことなんですね！センパイ！」

「え！？いや違うよ！？オレの後輩はマシュだけだ！おっぱいの大きさくらいしか共通点が無いじゃないか！」

『ウブな反応。BBのハッスルゲージが高まっていくのを感じる』

ザビには従順後輩、リッカにはビクビク恐れおののき後輩、そしてリツカには小悪魔後輩を貫いていくスタイルのBB。リツカはBBが数少ないマウントを取れる相手なのかからかいっぷりが加速していっているようだ。荒らしに反応はNG、BBのたわごとはスルー安定。はくのんが提唱せしムーンセルBB対処法（一般配布用）のマニュアルをリツカは知る由も無いのである

『あわれBB、藤丸君の心と貞操は既にマシュに捧げられていた。あらゆる時空で負けている後輩。だが私は評価する。その負けヒロインぶりを』

『勝手に負けヒロインにしないでくださーい！勝ちます！私は勝つんです！いつか先輩が無視できないアルティメット後輩になって、グランドシルクロードを歩んで見せるのですから！』

「･･･なんでもいいけど、やるなら早くやらないかしら？時間が無いんでしょう？セラフが沈下するまで」

「同感です。あなたなんて所詮中ボスに過ぎないんですから、早く返り討ちにされちゃってください」

まともな感性とダウナーなテンションのメルトリリスが決着を促す。いい加減、このノリの進行に疲れてきたといった風貌で、特にカーマはむにゃむにゃしているデバフまみれのリッカを嬉しそうに助け起こしている

「はい、戦いですよクリシュナ。大丈夫ですか？一緒に頑張りましょう？」

【うむむ･･･絶不調にも程がある。けれどやらねば･･･】

（──ふっふっふっ、チャンスです！私の最悪にして最強な天敵、リッカさんはふにゃふにゃになっています！予期せぬ不具合の発生した、BBスロットの効能──そう！いままさにここが後輩リベンジチャンース！）

BBはこんな状況でも動じず･･･否、チャンスと捉えていた。今回の件を締め括る戦い、そして合法的に倒されることにより『ゲームマスター』としてキアラに課せられた役割と表舞台から降り、大々的にバックアップを行える次なるBBステップの前に──

（ここでふにゃふにゃになったリッカさんをどさくさ紛れに打ち倒し、楽園のBBちゃんに情報をバックアップ！『楽園最強のマスターをやっつけるBBちゃん』として事実マウントを取るのです！）

償いとして素材を延々と集めるBBに楽園における地位補強をこっそりと企むラスボス系列後輩。楽園最悪のマスターを異世界の地にてやっつけるBBちゃん。その映像を送りつけマシュやオルガマリーを始めとしたメインメンバーたちに細やかな優越感を獲得する願いのもと、形だけでもリッカに勝つ瞬間を迎えたいという野望を懐いていた

（ふふふ･･･この私にマウントを取れる存在など、先輩以外にあってはならないのです！ラスボス系後輩の恐ろしさと周到さ！思い知らせてあげますよ！リッカさん！）

【よっこいせぇ】

「はい、いきなり立ち上がると負担がかかりますからね。ゆっくりですよ。はい、お上手お上手」

BBスロットはバフを巧妙にしかけ、デバフを相手に仕掛ける。不正は出来ないがそれ故に効果は絶対だ。あらゆる悪意や害意に耐性を持つリッカに効果テキメンなことからも明らかである。何故効くのか？語るまでもない

（私の！100％善意で拵えたものだからです！悪意など微塵もない、先輩やリッカさんを助ける為に用意したBBスロット！鎧判定もすり抜けるのです！）

･･･何故リッカにだけ集中するのかは解せないが、それはラッキーと受け止める。いざ勝負。藤丸チームをスロットで釘付けにし、今こそ龍をスペシャル空間に招き出来る後輩ぶりを先輩、ひいては楽園に見せつけるチャンスである、いざ尋常に──そう考えていたBBではあったが･･･

──月の新王は、そんな月の癌の思惑の遥か斜め先を行っていたのだ。

『直れ、このポンコツスロットがっ。なおれってんだよぅ』

リッカを元に戻すため、新王式修復術を行使しBBスロットをガンガンやりまくるはくのん。古来より伝わる術式にして儀式『叩けばなんとかなる』である。──そしてそれは、新たなるBBスロットの回転と･･･

『ああっ！？ダメです先輩そんな乱暴に扱ったら！BBスロットはワンオフの替えが効かないもので！そういった不正アクセスを試みた際の特殊なスロットが──！』

『おぉ、回り始めた。来い、デバフ解除来い。いい感じのバフ、来い』

『ああぁ回っちゃいましたぁ！？いけません！これは最大最高、最悪の嫌な予感が･･･懲罰スロットリールがぁ！？』

【スロット・スタジオ大爆発！グレートデビル、海底に死す！！】

『デデドン（絶望）』

『きゃーーー！？まさかまさかの･･･こんな分かりきった･･･！？』

大量に詰め込んだサクラメント、魔力リソースがはくのん渾身のレガリアパンチ（グー）で叩き付けられたスロットが煙を吹き聴いたことの無い音をあげて乱回転し･･･──

「この魔力反応、まさか･･･！？」

「BB！──自爆する気！？」

「違います違います違いますー！あぁもう、なんてことするんですか先ぱ──！！」

『言わなければ（使命感）皆さがれー。BBスロットが爆発する』

『爆発させたの先輩じゃないですかー！！もう、こんなの、こんなの言うしかないじゃないですか！こんな、こんなの、こんなの･･･！』

スタジオが、四方八方の輝きに満ち溢れ･･･──そして臨界を迎え──

「爆発オチなんて最低ですーーーー！！！！！？」

･･･憐れ、BBは威信をかけた最終決戦において藤丸チーム視点から見ると『虎の子の最終兵器たるBBスロットが突如謎の大爆発を起こし消滅』という意味不明な結末を迎えたのだ

･･･君達は忘れてはならない。BBの自爆の裏には、月の新王の絶対なる裁定(チョップ)が下った事を──

『すまぬBB、すまぬ。とりあえずギルに送っとこ』

『──あの、一応区切りの戦いなんですよね、これ？』

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BB「や──やりますねぇ！！ここまで強くなっていたとか、後輩として嬉しいです先輩！」

『爆発で致命傷とか命懸けすぎ』

「かつてない激闘でした･･･！ですが悔しいので捨て台詞はちゃんと言いますから！これで勝ったと！思うなよぉーっだ！！」

藤丸「･･･──え！？もう終わり！？」

『青色の鍵』

「･･･これは･･･？」

メルトリリス「･･･本当に、倒せたというの？あの自爆としか見えないあれで？」

リッカ【おぉっ、──おぉ！身体が一気に楽になった！】

カーマ「･･･！皆さん、警戒を！」

カーマの咄嗟の声と同時に、辺りが暗闇に包まれ──

リッカ【──！】

【──そこか】

【そこだっ！！】

響く銃声、閃く刀。邪龍を狙う弾丸と、抜き放たれし血染めの斬撃が交錯する──