人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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フォウ「今日で平成も終わりだね!皆、見守ってくれてありがとう!」

マナカ「平成が終わって次の時代へ!私達も変わらず、自分の愛を貫いていきます!」

ティアマト『皆様、どうか御両親を大切に。あ、私の事では無いので・・・すみません、紛らわしくて・・・』

キアラ「これからも、私は皆様を見ております。今取り組んでいる物語も佳境・・・令和初めの難敵として、誠心誠意取り組ませていただきますね?」

フォウ「はい、特別にゲーティアからの台詞をどうぞ」

ゲーティア(畜音)『我が偉業!!我が誕生の真意を知れ!!!』

フォウ「うるさっ」

マナカ「これしかないの?ゲーティアのボイスサンプル」

「仕方無いですわ。ゲー、なんとかさんはこれしか言っていないのですもの」

フォウ「まぁとにかく!これからますますボクらけものフレンズは人類を!ひたすらに愛していくよ!これからも人類(エア)を!」

マナカ「人類(おうじさま)を!」

ティアマト『人類(こどもたち)を・・・』

キアラ『人類(わたくし)を♥』

ゲーティア『我が偉業!!!!』

『「「「よろしくお願いしまーす!!令和も獣達を!よろしくねー!!」」」』

カーマ「・・・わ、私のコーナー・・・」


カーマ・マーラ・ダウン

「あぁ、此処にいたんですか。クリシュナ、後一時間ちょっとで出撃ですよ。やり残しはありませんか?もうすぐ、すべてが決まる戦いが始まるんです。頑張りましょうね」

 

【カーマ・・・】

 

夕陽に照らされる旧校舎。その教室の一角にて窓から景色を見上げるクリシュナ、リッカに語りかけるは・・・愛の女神、カーマである。その口調と表情は、差し込む夕陽よりずっとずっと穏やかで。慈愛に満ち溢れていた。少女・・・否、幼女と言ってもいい程の小さき姿の彼女が、黒曜の鎧を纏う少女に然り気無く静かに寄り添う

 

「それとも、疲れちゃいました?嫌になっちゃいました?なら、今すぐ帰ります?ずっとここにいてもいいですよ。私、お付き合いしますから。何でも言ってくださいね?」

 

そう告げて、帰ってくる言葉は分かりきっているけれど。カーマはそう口にする。そしてリッカもその意を汲んで、鎧の下の表情を綻ばせ応える

 

【ありがと。でも私が何もしなくなるのは、世界が平和になってからだからね!】

 

「ふふっ。そう言うと思ってました。貴女はずっと、そうやって生きてきましたもんね」

 

それきり、カーマは静かに口を閉じる。リッカの傍に寄り、二人の時間を重んじ空を見上げる。BB・・・あのバグまみれな変な人もいい事をする、と女神は静かに微笑んだ。

 

「センチネルは藤丸さんが倒して、後は月の王様が準備を整え。その間に藤丸さん達がキアラさんに挑む。そして獣を討ち果たし、任務を完了する・・・上手く行くといいんですけどね」

 

【行くよ。絶対に上手く行く。私はそう信じてるから】

 

「根拠とか、聞いてもいいですか?」

 

【女の勘と、積み重ねてきた実績!】

 

それは万全ですね、とくすくす笑うカーマ。リッカなりの励まし半分、確信半分の言葉をカーマは愛しいものとして受け止めた。──彼女は、決してリッカを否定することはない。それが彼女の、リッカに向ける態度と愛であるが故に・・・

 

【・・・ねぇ、カーマ。なんでカーマは私にこんなにしてくれるの?】

 

「え?」

 

【ほら、いっぱいいっぱい優しくしてくれるでしょ?こんなに優しくしてくれて、こんなに尽くしてくれて・・・】

 

凄く嬉しいけれど、その気持ちを受け取れるような行為をカーマに出来ているとは思えなくて。それでいて、まだまだ自分は『ただ愛される』という行為を完全に受け入れる程に愛を当たり前に感じられていない。それに何より・・・

 

「あぁ、まだまだリッカさんは慣れていないんですよね。愛というもの・・・理由なく、ただ愛したい、愛してあげたいという気持ちに」

 

【勿論、自分を沢山の人が愛してくれてるのは解るよ?でも、カーマとははじめて逢ったし・・・愛の女神だから?】

 

「それも勿論あります。・・・そうですね・・・私は、・・・とある、過去を見たんです」

 

過去を見た。とある行いを、人類総てを愛する為に。その為に、自分は過去と未来を見渡したという。其処で・・・自分は見たという

 

「・・・其処で、ですね。愛の女神として・・・愛の魔王として。自信をぽっきり折られちゃいまして。そして・・・」

 

【・・・】

 

「──気付かせてもらったんです。『愛』というものの、本当の在り方を。愛に倦み、愛に絶望した私を打ち倒した・・・尊い出逢いを見たんです」

 

そして、カーマはぽつりぽつりと語り出す。彼女を変えたもの。誰もが渡すことが出来なくて、誰もが彼と彼女から取り上げて、でも・・・だからこそ、何より輝いていた二人の大切な時間を──

 


 

私、カーマは愛の女神です。誰かを愛し、世界に愛を満たさなくてはなりません。だってそれが、愛の女神たる所以なんですから

 

見知らぬ人でも、出逢った事が無くても。私は愛することが出来るんです。私は愛する為に愛する為じゃなく、愛する為に愛を使うんです

 

・・・ですから私は、愛の為に神に使命を押し付けられて、それを果たした末に燃やされて、焼かれて・・・自分の身体を失ったんです

 

パールヴァティーに、シヴァの気を惹かせ愛し合わせろ。それだけの為に、修行をしていたシヴァに矢を放てと言われ。修行の邪魔をした狼藉者として、私はシヴァに宇宙を焼く炎で焼かれたんです。そして私は・・・宇宙になりました

 

・・・それはまぁ、いいです。それで色々あって世界に何かをすることが出来るようになった私は、まず貴女に目をつけました

 

人類最後のマスター。そしてカルデアのマスター。私がやることにした事の、最大の障害になるのが、貴女だと解っていたので

 

・・・あなたの世界のビーストⅢ、キアラさん・・・ラプチャーは既に何者かの手で倒されていたので、私にお鉢が回ってきたんですよ。天秤は傾いていたのですが、あまりにも小さい傾きだったので・・・どうにかして、左側に傾けなきゃいけなかったんですよ

 

・・・此処まで言えば、解って貰えるでしょうか。私もビーストⅢに連なるもの、ビーストⅢラプチャーの対になる存在・・・L(ラプス)と呼ばれる獣となりし魔王、マーラと呼ばれる顔を持っているんです。

 

世界に満ちる愛。世界を満たす愛。それを厭い、疎ましく感じた私は、自分だけの愛を以て、総ての愛を燃やし尽くす行為を決意したんです

 

その脅威となるあなた。ビーストⅠの手掛けた最悪の存在。有り得た筈の人類悪にして、世界の未来に臨む人類愛。私の行動に、最も障害になると確信した存在があなたであり、ゲーティア、ティアマトを打ち倒したあなたをまずはやっつけようとしたんです

 

私の愛で堕落させ、私があなたを倒しカルデアを討ち滅ぼす。そうすれば、私を邪魔するものも阻むものもいないと私は意気込んだのです。そして私は考えたのです。『過去に遡り、人類悪となる前のあなたを堕落させてしまえばいいんです』と

 

・・・単独顕現を持っている時点で、そういったパラドクス的な事はなんの効果も無いという事を忘れていたのは内緒です。ビーストの事、あんまり知らなかったので

 

そうした私は過去を見ました。あなたが生まれ、あなたが・・・とある人と出逢い、過ごした時間を

 

そこで・・・私は心から悔やみました。私がどれだけ愛の女神として不足であったか。愛の魔王として、愚かであったかを突き付けられたんです

 

・・・愛を知り、愛を掲げる存在であるが故に人類を滅ぼす人類悪でありながら。与えられて然るべき両親の愛すら与えられず、総ての迫害の生け贄として祭り上げたあなた。製造を決意したゲーティアですら、廃棄と黙殺を選ぶほどに成り果ててしまったあなた

 

そんなあなたの存在そのものに、私は責め立てられた様な気がしました。愛を何一つ知らない、人類悪と成り果てたあなたに

 

【私がこうなったのはお前のせいだ】【世界に愛が足りないから、私はこうなったんだ】って。何一つ愛を与えられなかった私に、あなたは言葉なく、その在り方で私を打ちのめしたんです。

 

『愛を知らない』・・・その存在そのものが、愛の女神の不在を、愛の魔王の不甲斐なさを弾劾し、討ち果たしたのです

 

・・・何もさせてくれなかった、という事の半分はそういう事です。もう、あなたがあなたである頃には、私の愛なんて、あなたを助けてあげることも、救う事も出来なくて

 

あなたを救うだなんて、思い上がった事を考えている時点で、私は既に『愛』というものをあなたに与えたいと考えていたんです。その時には、もう私の魔王の一面はとっくに消え去っていたんですね

 

もう形振り構わずに、愛の矢すらあなたに使おうと決意すらしました。理屈などどうでもよくて、ただあなたを・・・

 

──そんな時に・・・あなたに与えられた『愛』。それは・・・私が与えたものではありませんでした。無かったんです。

 

愛を知らず、それでも誰かを愛そうとしたあなたに、手をさしのべたのは・・・私では、無かったんです。

 

その人は──自分の生命すら危うくて、見た目も酷くて。自分こそが愛されたかった筈なのに。総てを懸けて、あなたを愛し、救うと決意した方です。解りますよね。忘れていませんよね。あなたなら

 

──拙者の事は、求道師とでも呼んでくだされ──

 

あなたを、あなたという存在を心から愛し支えた方。・・・魔王と女神を打ち倒したもう一人の立役者。あなたがグドーシと呼ぶ、一人のホムンクルスの存在こそが、あなたに愛を与え・・・

 

・・・──愛の魔王を、愛の女神を。氾濫する獣を討ち果たした存在なんです




リッカ【・・・グドーシが・・・】

カーマ「私の側面、あなたたちがやっつけたんですよ。人類悪の側面は、あなたにコテンパンに討ち果たされたので。今の私に、マーラとしての顔は残っていないんです」

【じゃ、じゃあカーマは、なんで?】

「・・・謝りたかったんです。ただ、ごめんなさいと、言いたかったんです」

【謝りたかった・・・?】

「・・・あなたが愛されなかったのは、グドーシさんが愛されなかったのは。愛を知らない存在なんて生まれかけたのは・・・全部、ぜんぶ。私のせいなんですから・・・」

【・・・カーマ・・・?】

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