人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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???

リッカ【藤丸くん、大丈夫かな・・・】

はくのん『大丈夫。私も、リッカもついてるから。あんなクソビッチピュアバズレに負ける道理はない』

リッカ【・・・ん!信じなきゃ、ね!】

『私の計算とアレの自己愛からして、追い詰められたアレは必ずセラフの重力圏を解いて藤丸達を追放する。──その時こそが、私達の最初で最後の完全勝利のチャンス。恋の藤丸、メルトが止めを刺して、私達がアレを塵にする』

エレシュキガルAI『御母様、プロテアちゃん、データ置換開始するのだわ!』

シドゥリ『英雄神、スキャナライズ開始。待機状態のレガリオン・パニッシャーへのコネクト権を一任します』

プロテア『よぉーし、やるぞー!』

はくのん『月の技術、楽園の財。そして──人類を救う愛を重ねて、アレを完膚なきまでにブッ飛ばす。準備はOK?』

【おおっ!見せてあげようよ。人間の本当の力を!】

カーマ「──なら、その期待に応えない訳にはいきませんね」

【!】

カーマ「私も、パニッシャーに入れる焔になります。私と、リッカさんで。アレを燃やし尽くしましょう」

リッカ【カーマ・・・!おっ!凄い・・・!母上と雰囲気と体つきがそっくり・・・!】

「あなたと心も身体も同調しなくちゃ、勝てませんからね。──準備はいいですか?」

【うんっ!!行こう、皆!!】

はくのん『マルドゥークニキの力も借りるから、負けるわけにはいかない。──頑張れ、藤丸。全ては君にかかっている』



カーマの部屋


『メッセージが置いてある』

『皆さんの前に必ず帰ってきます。だから・・・待っていてください カーマ』



デターミネーション・キアラ・バスター

『・・・腐臭を嗅ぎ付けて戻ってくるなんて。流石は虫の皆さんです。龍と戯れ、些かの疲労を生んだならばそれが勝機とお思いですか?』

 

天上楽土にて再び見えた殺生院・・・否、ビーストⅢラプチャー。クリシュナが差し向け、カーマが導いた泥の竜達との死闘により、彼女も決して小さくない損傷と手傷を負わされていた。

 

『多少噛みつかれはしましたが、あなた方虫の御相手等容易いもの。あなた達の心が折れるまで何度でも御相手を致しましょう。その熱意が枯れるまで、何度でも。でも、気を付けなさい?』

 

片腕を抉られ不能とされ、片目を潰され、竜らの形を喪わせるまでに傷を受けたキアラの笑みは、先程とは違う感情を顕していた。完全有利であった筈の状況から、痛烈きわまりない、そして無粋極まる横槍を受けた事による──

 

『・・・私、多少昂っているので。うっかり本気を出して、跡形もなく握り潰してしまうかもしれなくてよ?』

 

「無様な姿を取り繕うのに必死ね、殺生院。どうかしら?思わぬ場所から天敵の反撃・・・生命のやり取りをした気分は」

 

メルトリリスの挑発に、閉じていない片眼をすがめ睨み付ける。冷静に考えて、彼女が藤丸らに与する理由など無いはず。其処だけは不可解であり、理解できない要素ではあったが・・・

 

『・・・不愉快な態度もここまでです。貴女は特に、念入りに破壊します。──そうね。捕まえたらまずは両手を砕こうかしら。脚しか取り柄のない人形ですもの。不出来な手は要らないでしょう?』

 

手加減する理由はない。彼女はとりわけ不愉快だ。快楽を互いに示すものとして。不倶戴天の宿敵なのだ

 

「えぇ、是非そうしてちょうだい。『脚から潰していればこんな事にならなかった。両手なんて最後にすれば良かったのに』そうやって悔しがる貴女の顔を見られるのなら、私の怒りも収まるというものだわ」

 

・・・その態度は虚勢ではない。どうしようもない絶望に震えるものの態度ではない。それならば、其処には、何かもくろみを忍ばせているのだろうか。それは一体、如何なる・・・

 

「殺生院キアラ!」

 

その思考を阻んだのは・・・不出来な人形に寄り添う、小さな羽虫。記憶の隅には確か・・・

 

「まぁ、藤丸さん。自分から前に?私にお話がありまして?宗旨替えでしたら、今からでも受け付けますわ?」

 

「なら最初に言っておくぞ!オレは!年上は御断りだ!!

 

『なっ・・・!?』

 

藤丸、ラプチャーに精神攻撃。後輩に心を奪われ夢中な彼にとって、いくら豊満であろうと牛のような乳と角はノーサンキューなのである

 

『何をもってそんな根拠のないことを仰るのです!?私が年上だなんて、それは見た目だけで判断した偏見と言うものです!世の中には二十代に見える十代がいましてよ!?その逆だってあると私は主張します!』

 

「あ、分かります!十代なのに三十代に見えちゃう人だっていますよね!」

 

『ベイビーフェイスは黙っていてくださいますか!?貴女に学生時代から年上扱いされた私の気持ちは分かりません!』

 

見た目にて学生時代は苦労をした。そんな・・・『キアラであったもの』の記憶を思い起こされ赤面するビーストⅢ。ちょっとズレた藤丸の指摘に首を振りながら、メルトリリスは改めて問いかける

 

「・・・話を戻すわね。なぜビーストになんてなろうと思ったの、貴女は」

 

人を捨て、人類が滅ぼす悪。退治され討伐される存在などに、何故自ら進んで成り果てようと思ったのか。それを問い掛けられたキアラは、静かに頬を赤らめる

 

「──それは、うらやましかったのです。だって、ずるい。あんな、あんな・・・あんな素晴らしい光景が他にあったでしょうか?ゼパル様が持っていた記憶──時間神殿の戦いが、私にはもう夢のようで」

 

ゼパルが、ゲーティアが。その時間の全てにあった全てが。彼女にとってはとても──

 

「とても、気持ち良さそうで。いつしかこう願うようになりました。私もあんな風に責められたい。星の数のような英霊たちに殺されたい。・・・ですが、人の身では。魔神の身ではその願いは叶いません。『ですのでこれはもう、ビーストにでもなるしかない』と思ったのです」

 

「・・・──はぁ!?そんな、そんな理由で!?」

 

殺されたい。害されたい。何度も、何度でも殺され、気持ちよくなりたい。それが叶う身体が欲しい、それが叶う存在になりたい。獣になる理由があったのではなく、理由があったから獣になっただけの事。それこそが。

 

「絶句する気持ちは解るわ。でもこれが、殺生院キアラなのよ。そんな理由でなってしまうから、この女は恐ろしい。本来なら救世主にだってなれる資質の全てを、自分への愛だけで使い潰した女」

 

有り余る慈愛、心を癒す言葉も、美しく見える真心も。全て自分へ注ぎ込み、費やし、浪費してきた。その姿が聖母が如くが故に、周りの雑多が彼女を誤認し、誤解しただけの話。

 

「そうでしょう、キアラ。貴女は人間を愛しているといった。救いたいとも。でも──『貴女の世界において、人間はあなただけ』。だから貴女は、誰よりも人間を愛している。その為に、他の全ての命を利用する。だって貴女にとって他の人間は、ヒトの形をした道具にしか見えないんだから!」

 

 

『────』

 

正しき認識を突き付けられた獣は・・・静かに、嗤っていた。

 

「そうです!感情から生まれた私たちより、もっとおぞましい自己愛の化身!この世でもっとも利己的に人類を愛する怪物!それが貴女の正体です!ビーストⅢ!」

 

『その通りですが、なにか?この世に人は私だけ。私以外の人間はすべてケダモノ。私はそのように育てられました。そのような世界で生きたのです。私を悪と断じたのはごく少数の希少種だけ。ですがそういう人に限って。正義の味方はあのように、人間社会から逸脱した罪人とされました。それだけではありません。未知の龍、地獄に放り込まれた少女の人間性を当たり前のように剥奪し、貪りました。私のような悪を処断しようと努めたものを排斥し、何も知らぬ人間を己が悪性の在処とする。そのようなケダモノたちが人間だとでも?それでは無銘の英雄たちが、何よりあの獣が。あまりにも報われません』

 


 

『────』

 

・・・朽ち果てた炉心に、火が灯る。その言葉だけは、聞き逃せない。

 

どうしても、護りたかった人達を。辱しめる事だけは・・・──

 


 

 

『人間とは我一人。私だけが人であればいいのです。そうでなければこの世はとても救えません。・・・──疑問は解決されましたか?睦言はここまで。以前の続きと参りましょう』

 

多大な損傷を負ったといえど、本来の宿敵、獣を喰らう獣はいない。ならば背を向ける理由なく、本領を発揮し潰すにも値しない。ならば今まで通りに、己が人間を救うまで

 

『私はより多くの快楽を踏み台にしたいのです。より多くの快楽の受け皿になりたいのです。それは如何に?語るに及ばず。私が人々の信仰の像になればよいのです。いまや我が身は快楽天。あぎとのごとき天上楽土。あらゆる生命を、果実のように頬張りましょう。それでは皆々様。済度の日取りでございます。──天上解脱、なさいませ』

 

今度こそ、生命を逃しはせず。今度こそ、虫を放しはせず。当然のように、這い回る虫を潰さんと手を伸ばした、その時──




BB『ストップリビドー!Zレーティング!!菩薩を気取るのはそこまでです、ビーストⅢ!』

ビーストⅢ『!?ッ──!』

瞬間、魔性菩薩にならんとしていたキアラの権能が『はたき落とされる』。獣としての力が、能力が、まるごと落とされたのだ。水に洗われた化粧のように

『視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚。五感すべてを誘惑し、一つでもその色香に惑えばたちまち相手を妄信的な信徒にする。まさに魔性菩薩の名に相応しいチートスキル!ですがそれもこの瞬間までです!!これこそ、先輩の殺意と決意と殺気と個人的なスタイル観点と女体の敗北感を力にして作りに作った憎悪の具現!その名もアンチR18フィールド!『Wisdom Hold Intelligence Powerd』──略してメルトちゃんデスウィップ!死の荒野の如き貧しいゴニョゴニョによる愛の鞭なのです!!』

メルトリリス「さすがねBB!その名称については後で断固責任を追求します!」

『先輩に勝てるならいいですよ?いまセラフは絶対禁欲ルールが敷かれました!エロスの魔力は地に落ちたのです!そしてぇ──!』

更に、キアラが討ち果たした筈の竜達が再起動し、ミラボレアスに集まり、巨大化し。更なる姿となって起き上がり。キアラの力を無力化し、藤丸らの心を奮い立たせる咆哮を打ち立て絶叫を放つ

『リッカさ・・・クリシュナさんの力たる泥を、BBちゃんのチートを乗せて操る必殺スキル『Gクラスバースト』!あなたの敵はセンパイだけではありません!今ここにはいない、ビーストIFとBBちゃんもいるのです!!』

アジ=ダハーカ・BBG【⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛!!】


BB『さぁ今ですセンパイ!BBGに乗ってください!ビーストⅢラプチャーを、ここでやっつけちゃいましょう!数々のアイテムを、忘れずに!』

藤丸「あぁ!──決着をつけるぞ!ビーストⅢ!」

「──なんと、無粋な・・・!」

「オレが、いや!マシュが生きる未来は誰にも渡さない・・・!未来は!其処に生きる皆のものだ──!!」


羽ばたくBBG、跳躍するメルトリリス、構えるパッションリップ。騎士達も送り込まれ、最後の戦いが幕を開ける──!

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