人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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はくのん『勝ったよBB、この戦い、私達の勝利だ』

BB『ですね先輩!我等がリッカさんにマルドゥークさん!負けるわけが・・・──え!セラフ潜行速度だけじゃなくて魔神柱反応も増大!?』

はくのん『なぬっ』

『レガリオン・パニッシャーに向けて氾濫させようとしています!恐らく放たれる前に何とかしようという算段ですね!或いは防御手段・・・!?このままではメルトリリスの離脱が間に合うかどうか!』

はくのん『チッ、アバズレめ無駄なことを。しかしよくない、メルトも死ぬ。レガリアも十の王冠も注ぎ込んでる今、どうしたものか──』

『──ハッ、全くツメが甘きに過ぎるぞ新王。窮鼠猫を噛む、という言葉を帝王学に書き加えておくがいい』

はくのん『!このゴージャスボイスは』

BB『───い、一秒に450のペースで魔神柱が撃破されていきます!これなら30秒で氾濫した魔神柱は全滅・・・!こんな事が出来るのは──!』

セラフ電脳空間、魔神柱製産地点

ギルガメッシュ『ふははははははは!!マルドゥークも貸してやったのだ、今更投資に惜しむ財など無いわ!アフターサービスも万全なこのゴージャスぶり、心を込めて称えるがいい!!さぁ、賛美せよ!我の名は──!』


はくのん『歩くとガシャガシャうるさい王・・・!

BB『劇場版、綺麗なギルガメッシュさん・・・!

ギルガメッシュ『ふはははは!貴様らには後で話がある!!』

──これ以上、キアラさんも、魔神達も。悪用させるわけにはいかない!

(待っていて、キアラちゃん!例え出逢えなかった貴女でも、貴女であることになにも変わりは無いんだから──!)


フィニッシュ・パラディオン・ジャッジメント

「総ての舞台は整ったようね。──えぇ、クライマックスだもの。最高の跳躍を見せてあげる」

 

 

電脳空間に突如現れた、超絶的な究極兵器──キアラが絶句している中、メルトリリスもまた不敵に笑う。ここまで来て、ここまでやって来て。誰にも主役を譲る気は無い。誰にも・・・輝きを譲ることは、無いのだと

 

「笑っているの、メルト?」

 

彼女の跳躍に、最後の舞台に必要な相棒が訪ねたように。彼女は笑っていた。彼女は言う。私の最後の景色がこのような輝きし『光の海』であることが嬉しいのだと

 

「申し分のない景色、申し分の無いコンディション。そして──何もかも、楽しかったあの日々」

 

彼と過ごしたあの時間。無力に泣いた時間。共にいられて笑った時間。再び逢えた感激、変な邪魔物(なかま)たちに苛立たされた時間

 

「悲しいことは何もないの。ただ、輝かしいの。──だから、その為にもう一度跳ばなくちゃ。これが自分のフィナーレだと思うと誇らしいわ」

 

「うん・・・うん!わたしもすごく、自分の事みたいに、嬉しい!」

 

「ありがとう、リップ。ならお願いできる?私達の合体宝具──貴女という弓で、私という槍を撃ち出す女神の槍。パラディオンの勝利の槍を」

 

それは、構想だけは完成していた合体技。かつての月の彼女たちは、自分等の感情のみで駆動していた。他者を省みなどしなかった。だが、今は・・・成長した、二人ならば

 

「まかせて!メルトこそ、ちゃんと息を合わせてね!」

 

・・・そしてそれは、かつて撃ち放った渾身の槍。たった一度、屈辱と無念と共に。

 


 

『思い知りましたか?篭の鳥にもなれないのならその羽をもぎ取るまで。まずは両腕をいただきました。・・・ですが、その前に一番の宝物を壊してしまいましょう。人形の分際で、私に逆らった罰として、ね』

 

キアラにたどり着いたただ一度、確かに彼女は壊され砕かれたのだ。不出来な両腕と、大切な輝かしきものを

 

『──何を言うかと思えば。なんの無力で価値もない戯れ言とは。男の子の身でお人形遊びが趣味だ等と、これは御笑い草ですね?』

 

『っっ・・・・・・!』

 

あの人は消えてしまった。逃がすことも出来なかった。BBによる時間跳躍がキアラに防がれていたから。この身が、センチネルであったから

 

セラフの幾つもの防衛機構、そのひとつがセンチネル。それに植え付けられたカルマファージ。これら総てを消してようやく、キアラの全能に翳りが出来る。

 

けれど、あの人は私達を壊す道を選べず。ただ勝者として楽土に来てしまった。だから──次は、必ず。

 

『──、──、』

 

『・・・いいわ、やって、リップ!』

 

『ん・・・!アァアァア、ァ──!』

 

撃ち放たれた槍、それは私とリップの合体宝具。リップの宝具で私を撃ち出す、対籠城宝具。ヴァージンレイザー、パラディオンを本来は城門を越えて、都市の中央まで飛来、着弾し都市を破壊する光の槍を、私は──

 

『私に撃つのではなく、自分が逃げるために使うのね?いいでしょう。であれば見逃してあげますとも。何処へなりとお逃げなさい?勿論、羽化した後に羽虫の一匹など、すぐに捕まえます。無意味となる行為、見逃して差し上げますわ』

 

──逃げないわ。逃げてたまるものですか。私が向かうのはこの海の始まり。10000メートルの彼方、二時間半前の座標。光の速度を越えて、必ず辿り着いてみせる

 

この霊基がひび割れようと、もう一度。もう一度、あの人に逢うために・・・!

 


 

・・・──その決意は報われ、私はやってきた。二時間半前の場所。あの人が、ここに来る前の時間に。そこの場所で、砕けた、廃棄された人形と出会う

 

『・・・知っているわ。貴女が初期化されていること、もう、眠ろうとしていることも』

 

『・・・?貴女は、私、なのですか?』

 

『時間がないの。記録を共有するから、理解して』

 

そうして彼女は、一周目に存在し初期化されていたメルトリリスは知った。遥か地の底から、再び踊るためにやって来た一人の人形の事を。

 

『本来なら、貴女に後を託したい。でもそれだと間に合わない。貴女が元の性能を取り戻すには、時間がかかりすぎる。それなら』

 

『壊れかけた貴女の方が、あの人の役に立てる・・・分かりました。お願いします。辛い役目を押し付けて、ごめんなさい』

 

即座に理解し、ただ消え去る道を選ぶ。誰にも見られず、気付かれず。人形はただ、舞台に上がれず砕け散る。──だが。

 

『でも、いい夢を垣間見ました。お願いします。必ず、なんとしても。あの人を助けてあげて──』

 

・・・・・・私が二体いると知られれば、キアラは即座に気付いてしまう。だから、どちらかが消え去るしかなくて。それを彼女は、即座に受け入れた。本来の運命、消え去るはずだった人形の結末と、微笑んで

 


 

「・・・・・・壁のところに、なにかあって?」

 

「いや、なんだろう。綺麗な、破片・・・欠片?キラキラ光っててさ、目についたんだ」

 

・・・けれど、その結末には、ちょっぴりの続きがあって。

 

「・・・そうね、よく見れば散らかっているわ。陶器のようなものが落ちたのかしら。何にせよ、アナタにはなんの意味も無いものだわ。ただの残骸。だから、忘れて」

 

 

・・・──ありがとう。誰も気付かない筈の、硝子の欠片を見付けてくれて。

 

自分も心細い筈なのに。沈み込んでいたあの私を、不器用ながら励ましてくれて。

 

好きな人がいる。そんな気持ちを偽らず、大切に、私に告げてくれて。

 

・・・えぇ、そんな人だから、私たちは誓ったのです。何をしても救ってみせる。たとえ、この両手が砕けても。アナタの元まで飛んでいくと──

 


 

「行くわ、リップ。悪いけど、もう一度だけお願い」

 

「はい!『死が二人を別離つとも(ブリュンヒルデ・ロマンシア)』、カタパルト展開──!アテナの槍よ、閉ざされた門を破壊して!」

 

パッションリップの手を跳躍のカタパルトに。今度こそ、今度こそ狙いは外さない。総ては、あの人の未来の為に

 

「・・・でも、ごめんなさいリップ。あの時、貴女を置き去りにしてしまって。それだけは、ちゃんと。謝っておきたかったから」

 

──誇り高きプリマが口にした、友への最後の謝罪。それを受け止めた愛の少女は、涙と決意を餞別として──

 

「っ──うん!行って、メルト!パラディオン、撃ちます!」

 

放たれる槍、光速を越えて撃ち放たれる、決意の光。砕け散るより他無い最後の跳躍、そこに──

 

『──月下美人も進歩したものよ。よい、人形遊びの卒業の餞別だ。格別の衣装をくれてやる』

 

「──!」

 

──アナタが教えてくださった心、忘れません。ですが・・・恋も、愛も、まだこれからです!

 

眩しい金色の、どこかで聞いたような声。そして、誰も真似できない、どんな女神ですら発することは叶わないような、優しく、柔らかく、慈しみに満ちた声。その声を問い質す間も無く槍は撃ち放たれた。──海底を切り裂く巨大な槍の全身に、蒼く輝く鎧が飛来し装着されていく

 

壊れかけた身体を保護し、手足を月の光で癒す鎧。本来の女神が装着する、流線型の極みたる月そのものたる──

 

「──誰だか知らないけれど、ありがたく受けとるわ。見ていなさい、私の最後の跳躍を──!」

 

海底に向け放たれる、私の体。わずか一瞬、けれど永遠のような一刹那

 

──私は、あの人と走り抜けた戦いを思い出す。もう私を知らない、私以外の誰かのために戦うあの人の顔を思い返す

 

「・・・どうか、頑張って。アルブレヒト」

 

あなたの恋の成就を祈っている。

 

あなたの未来を願っている。

 

「──その心に、たくさんの祝福が満ち溢れますように──」

 

その言葉と同時に、一瞬で辿り着く。憎き敵、最後の悪足掻きに出た、私の同類に

 

『な──』

 

私たちが、互いを嫌悪するのも当然のこと。私も貴女も『快楽』の海から生まれた。本来、私達はとても近しかった

 

──ただ一点、違ったものは

 

「───殺生院ッ──!!」

 

最後のフェッテは全力で。放たれた、貫く爪先にこれまでの、総てを込める。

 

さぁ、名残惜しく湖から飛び立ちましょう。これが人形だった私に宿ったもの。貴女が何になろうと得られなかった、自分以外を愛する心

 

「いかせる、ものですか──!!」

 

『メルト、リリス──!!』

 

光速を越え、総てを越えてパラディオンが魔性菩薩の、獣の心臓を穿ち貫く。最早沈むだけであったキアラ、セラフにその直撃を防ぐ手段は持っていない。

 

加えて、反応が致命的に遅れた。氾濫した魔神も、自らの防御も、あの超絶兵器に回していた。総てを焼き払う業火の鉄拳に気を取られ──最も愛する、自らの心臓を穿たれたのだ

 

『あぁあぁあぁあぁあぁ──!!!つぅ、ぐぅ、こんな、こんな──!!』

 

加速度的に崩落が、破滅が始まっていく。槍は心臓を、其処から総てを破壊し無へと叩き壊し砕いていく。舞い戻りし、輝ける白鳥の一撃にて

 

『やめ、やめなさい!こんなことをして何になると言うの!?あなたも消え──』

 

──その消滅を、最後の愉悦が阻んでいた。彼女の鎧は、自らの半身たる彼女をあらゆる衝撃から護り抜き──

 

「それがどうかして?憎い相手と一緒に消えるのならギリギリ許容範囲よ。だいたい、この私が最後の止めを他人任せにすると思った?最後に主役として教えてあげるわ、殺生院。──『自分の(ユメ)は自分で守る』。女の子なら当然でしょ。そんな事」

 

もう、崩落は避けられない。地球にたどり着く前に、キアラの身体は爆散する。そう、『またしても、彼女は恋に破れるのだ』。

 

『そう!知るものですか!そんな当たり前!私を、アナタたちと一緒にしないで!』

 

知らなかった、知らなかった。そんな奇跡、そんな当たり前、私は何も知らなかった

 

ただ、助けてほしかっただけなのに。ただ、当たり前に、人間として。接してほしかっただけなのに。

 

 


 

──貴女を救う、人類の叡知だよ。もう大丈夫。後は外で、元気に遊んでね──

 

そんな当たり前を、そんな細やかな奇跡を。告げてくれる誰かがいてくれたら。私は、もしかしたら。こんな風にはならなくて済んだのかも知れないのに──

 


 

「ッ!?髪の毛が魔神柱に・・・!?」

 

勝敗は決した。最早キアラの目論みは消え去る他無い。だが──【獣は生き汚きものである】。動くなら、そこに矜持など挟みはしない

 

「ホンットしつこいわね!潔く敗けを認められないの年増!完全に心臓をブチ抜いたって言うのに!!」

 

『えぇ、それが歳の功と言うものです。それに、ふふ・・・冷静になればどうということも。確かに、『この』私の体は持たないでしょう。このままでは地球の内核に着く前に霧散します。更にアレに殴られては、再起の目すら残り得ません』

 

だが。身体なら、そこにある。目の前に、小さく絶壁なれど、手頃な身体が

 

「・・・!貴女、まさか!」

 

『もともと貴女は、私の中からサルベージしたもの。ならば、乗り移るのは造作もない。着飾れど、帰る手段が無い貴女を私の魔神柱(かみ)で捕らえるなど造作もないこと。最後の最後で私の勝ち・・・その体、私が貰い受けます』

 

そうすれば、乗っ取った上でアレを制止させれば最早こちらを害するものは何もない。再起の条件など満ち満ちている。故に──

 

『後にBB、パッションリップを回収する。当面はその霊基で十分。そのまま潜伏し、藤丸さんを消してしまえばカルデアは終焉を迎える事に変わりはなし。その後は、姿を隠し機会を待つとしましょう。なに、人間(ケダモノ)の欲は尽きぬもの。彼らという養分がある限り、私は不滅。今度こそ、もっと上手く──』

 

【いや、今度こそ次はない。このクレバスが貴様の墓場だ。ビーストⅢ】

 

瞬間──男の声と共に放たれる銃声。メルトリリスに絡み付かんとしていた魔神柱を、正確な狙いにて撃ち貫く

 

『なっ!?』

 

「貴方──!?まだ動けたの!?」

 

それは──総てを失った男。そして、譲れぬ決意と共に、手放した自我のままに再起動した男

 

【死体だったからな。意識が戻ればこれくらいの事はできる。──残っていたアンプルが、秘薬レベルの代物に変えられていた事も相まってな】

 

そう、あの刹那。あの瞬間のロストマンのアンプルはすり替えられていたのだ。BBの手により、クリシュナに切り裂かれたあの瞬間に

 

月の新王が患う病・・・それにて使い処なく部屋に死蔵されていた『エリクサー』『ソーマ』など、名だたる至高の霊薬に。その効果にて、男の霊基は此処に来て全身全霊を取り戻した。

 

そう。かの王が患う病。それは『ラストエリクサー症候群(もったいないびょう)』であったのだ──

 

『・・・信じられません。こんな最高の逆転劇に水を差すなんて。死に損ない・・・死に損ないの分際で。なんて、なんてつまらない男なのでしょう、貴方は!』

 

【今更言われるまでもない。反面、お前は面白いな。悪党の死に様ほど見応えのある見世物もない。そのままゆっくり、相応の末路を晒してくれ】

 

『キザな台詞は結構、聞き飽きました!えぇ、所詮は豆鉄砲!髪は弾けても腕は!─残っていた腕を動かせば崩れましょうが、崩れきる前にメルトリリスを──!』

 

【加えて判断が遅い。自分の身体が一番可愛い。・・・その自己愛がお前の敗着だよ】

 

そして、総ては定まる。彼の携行装備を、メルトリリスに装着し──

 

「うそ、待って、待ちなさい──!」

 

上へと跳ね上げられるワイヤー。飛翔する白鳥が如く、海底より跳ね上げられていく

 

『な──』

 

同時にロストマン・・・否、エミヤ・オルタにも強制転移がかかる。拒否はしたものの、当然のように却下されたと自嘲する。そして──

 

【とまぁ、白鳥はこうして飛び去り、オレもまたお前の鼻を明かし立ち去るわけだが。欲張りが仇になったな。その図体では羽ばたく事も、浮くこともできまい。鉄のように沈んでいけ】

 

『そん、な──』

 

【──いや。鉄というなら、お前には飛びきりの廃棄手段が待っていたな】

 

そう。最早沈むだけであったキアラに──最後の、今までの因果と自業を清算する鉄槌が下される──!




マルドゥーク『GAAAAAAAAAAAAAAAAーーーッ!!!!』

キアラ『ひっ・・・!』

海を切り裂き、天を震わせ地を揺るがす咆哮が響き渡る。その雄叫びは・・・過つ事なく、海上より、キアラへと向けられている

『私が・・・私が、砕かれる──私の身体が、跡形もなく・・・』


リッカ【ぉおぉおぉおぉおぉおぉおーーッッ!!!!】

蒼き焔の拳を掲げ、電脳化した天空から、海底の己目掛け。あんなものが直撃すれば、最早今までの快楽など──

『あんなに、あんなに気持ちがよかったのに。あんなに苦しかったのに、あんなに時間をかけたのに──あんな、あんな虫たちに、私のユメが覚まされると言うのですか──?』

???『・・・無様ですね、ビーストⅢ、ラプチャー・・・私の片割れ』

『!?』

『まぁ、でも同情の余地は無いので。慈悲がわりです。私がされたように、ぐちゃぐちゃに焼き払ってあげますね』

『──あなたは・・・!』

『さようなら。『次があるなら、精々頑張ってくださいね』──?』

そんな、何者からの言葉を最後に。彼女は悟る。己の運命を

『あ──あぁ、あ、ああぁあ──』

リッカ【殺生院キアラよ!!焔にぃいぃいッ───】

放たれる、決意と月、人類の叡知と決意たる一撃。マルドゥークの強靭さにて振るわれる獣を粉砕せし──

【なぁあぁあぁあぁあぁれぇえぇえぇえぇえぇえーーーーーーーーッッッッッッッ!!!!!!】

破壊神の焔、英雄神の体躯を駆使して放たれる、電脳空間総てを蒸発焼却させる蒼き拳の一撃。愚鈍に沈み行くキアラの身体が、彼女が今まで味わった事のない、──そして『今までの快楽の何億倍もの苦痛と激痛』が火傷の如く絶命の一瞬にてキアラに叩き込まれる

『あぁ、あぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ!!痛い、痛い、熱い、熱い──!!熱い、焼け、焼ける、私が、私のカタチが焼けて、崩れて──!』

はくのん『食い物にしてきた生命と快楽。踏みにじられてきた人達の絶望を思い知れ』

キアラ『熱い、燃えて、生と死が、瞬きの間に輪廻して──!いい、だめ、耐えられない、耐えられません・・・!誰か、誰か助けて、止めて、止めないで──!!あぁ、や、いやぁあぁあぁ!!』

反動、貰い火は総てマルドゥークが負担し、受け止める。総てを焼き尽くす火焔の二次被害にさえ、マルドゥークは微塵も揺らがない。

マルドゥーク『FU──』

あらゆる神々の二倍の力を持つマルドゥークを倒し、感銘させるは人の心のみ。例え破壊神であろうと、彼を傷つけられる攻撃など存在しない──!

『いや、いやです!こんなのいや!やり直し!やり直しを求めます!熱くて、焼けて、こんなのが、こんなのが終わりだなんて、最後だなんて──!』

最早融解点は突破した。セラフはキアラの頭脳以外はなすすべなく燃え尽きた。キアラの女体は見るも無惨に──否。『見るものすらなく燃え尽きた』が故に

『だって、だって──だって本当に、私──!』

最後の頭脳が消え去る瞬間、今までの苦節を報う労りの福音であるかの如く──

まだ満足してないのにぃいいぃいい(あともう少しだったのにぃいいぃいい)!!!!』

リッカ【チェエェエェエェエェエストォオォオォオォオォーーーーーーッッ!!!!!】

キアラの断末魔、リッカのだめ押しが海底に響き渡る中──

【──悪くない。最高の断末魔だ。殺生院】

退去する刹那。──今度こそ、放った弾丸はキアラを穿ち。

『・・・ああならないよう、戒めも込めてあなたに伝えますね』

【──?】

『・・・心から、貴女を愛しています。藤丸龍華さん──』


燃え上がる焔に消されない、心のこもった言葉が。リッカの耳に届くのだった──

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