人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「あわわわ・・・あわわわ・・・」


チン「む?其処で何をしている?朕に捧げる舞踊か?」

「あ、すみません・・・その、くじを引きたいのですが、私が楽園に招かれたとき、出来ることはと考えたら、何も・・・」

「ふむ、何を躊躇う?そなた汎人類史に名を残した逸材であろう?その名、その生きざまを何恥じる事なくかのゴージャスに告げればよいのだ」

「・・・~──」

「朕が保証しよう。かの姫が愉しみし歴史、無駄や無為があるものか!さぁくじを引け!天命を待つは、人事を尽くしてからよ!」

「は、はいぃ・・・!」

(この世の全てには価値と意味がある。うむ!朕も見習うべき強さよ!この様にそなたは言うか?英雄姫!そして朕に膝をつかせし王よ!)

『○』

「・・・私は嬉しい・・・」


ランダムサモン・バード・ブック・マスター

「さて、予期せぬ内に大量の成果が出たのは望ましいが、本題を忘れぬ様にしなくてはならん。召喚の際に狙うはセイバーであるということを忘れぬ様にしなくてはな」

 

 

案内をマスターらに任せ、召喚サークルにて息を吐く英雄王。ギルくんは言いたいことを言ったとばかりに、姫様にどうかよろしくお願いいたしますと恭しく頭を下げた礼節ぶりを見せながら。態度を変えているわけではない。本気で彼はエアしか見ていないしエアに夢中なのだ。何度彼女が傍にいてくれたら・・・と想い焦がれたのは伊達ではないのである

 

──またね、ギルくん!沢山の王の側面に出逢えて・・・ワタシはなんと幸せものなのでしょう・・・!

 

(全員がエアに好意的っていうすごい状況だよ!フフン、やはりとうとみこそが世界を救うんだなって!)

 

《まったくしおらしくなりおって。エア程の女がいなくては恋愛すら叶わぬとは難儀なものよな・・・理想が高いにも程があろう?》

 

(それオマエが言う!?)

 

《存分に理解と共感が叶うからな!さて、前置きはこれくらいでよかろう!では今度こそ行こうではないか!まずはランダム召喚にて雑多を間引くぞ!》

 

そうして行われることとなる、やっと行われることとなる召喚の儀。自己紹介とイレギュラーにて対応に追われていたのでやっと本題なのである。此度の王には秘策があるらしく、それに注目、関心が向くところであるが・・・?

 

「リッカ君が夢で、というか平行世界で手繰り寄せた縁が来るのかな?興味半分のような恐怖半分のような・・・」

 

「何を戦く。ヤツは現に帰還している。何を憂う事があろうか」

 

「いやそうなんだけどね?いやほら、縁があればビーストだって呼び寄せかねないのがカルデアの召喚システムだからさ。楽園のシステムはそこのとこしっかりしてるから大丈夫だろうけど・・・うぅん、不安が拭えないぞぅ・・・」

 

大丈夫かなぁ、と魔術王らしからぬ不安げな素振りを見せるロマン。その気になれば自害による強制退去すら可能であるというのに、微塵もその気を見せない・・・どころか想い至りすらしないといった様子は、彼が楽園に席を置くに相応しき人間性を備えているという事に他ならないのである

 

「益体のない心配は程ほどにしておくがいい。若くして禿頭にはなりたくなかろう?」

 

「ハゲないよ!?楽園になってから悩みなんか無縁の生活を送ってるんだ!いいよねノンストレス!シバとの新婚プランの話し合いも進むよ!」

 

「程よいストレスが無いのもそれはそれで問題ではあるが、まぁそれは特異点の番狂わせで補えばよい。──チッ、どれほど我に会話に興じさせるのだ!身の程を知れ身の程を!」

 

「君が話し掛けてきたんじゃないか!?」

 

──ふふっ・・・我に話しかけるな、不敬だー(モノマネ)という普段の英雄王からは想像できない光景ですね!

 

(キミが、皆がコイツを変えたんだよ。エア──)

 

それはそれでモノマネが可愛かったのでメガホンになって息絶えるフォウにあわあわするエア、千里眼持ち故の気安い楽園の二大チートの軽口が続くなか、召喚が滞りなく行われる。現れし英霊、それは──

 

「サーヴァント、アーチャー。トリスタン。召喚に応じ・・・」

 

「で、だ。本題を聞かせよ。子は何人仕込むのだ愛多き王よ。育成の道筋は決めてあるのだろうな?」

 

「うぅん。最低でも三人は欲しい、か、なぁ・・・?あ、でも絶対魔術師にはさせないぞ!間違っても根源なんて世代クラスの時間の無駄遣いをやらせてたまるもんか!」

 

──フォウがメガホンに!?・・・あー

 

『フォーウ』

 

──あははっ!フォウの声だぁ!ふぉう、ふぉーう!

 

『フォウ!フォーウ!』

 

「・・・皆様、思い思いの時間を過ごされている様で・・・嬉しく、そして放置に私は悲しい・・・」

 

円卓一の弓の名手、悲しみのトリスタン。招かれたはいいが絶妙な間の悪さに手にした琴を鳴らし悲しみを響かせる。邪魔するのも悪いので折角だから気持ちが楽しくなる音でも奏でていましょうかと決心した時・・・

 

「む、トリスタン卿か。ようやく卿もここに来たか。後ろめたさか、それとも本当に遅れたのか分からないのは卿の人柄故だが・・・」

 

穏やかな、それでいて親愛を孕んだ声音に振り返る。自分の知己であるが故の気安さ。恐らく同じ円卓であろう。そう確信したトリスタンは振り返り・・・

 

「・・・──」

 

「楽しみだ。楽園にて卿の琴が愉快な音色を奏でるばかりになると思うと・・・、む?如何した、トリスタン卿」

 

「・・・、申し訳ありませんが、どちら様でしょう・・・?似たような声は存じていますが、人相が余りにも若々しく・・・」

 

「・・・そうか、そうだな。トリスタン卿は言うな、そういう事・・・」

 

王が沢山いるので困惑しないようにと案内を申し出たアッくんことアグラヴェイン。納得半分と『まぁトリスタンだしそういう事言う』と割り切っていたため無事に事なきを得た。覚悟は出来ている、というやつである

 

「・・・待てよ?これはセイバーのランスロットが来た時にスムーズに罵倒が出来るというチャンスなのでは?」

 

「いけませんアグラヴェイン卿。いくら貴方と言えど、ランスロット卿を人妻大好き天然タラシ無駄に強い慇懃無礼卿などと罵倒することは。同じ円卓として見過ごせません」

 

「いや別にそこまでは・・・というか好みで言えば卿も似たり寄ったり・・・」

 

「どうやら私が呼ばれた理由は円卓のいさかいを諌める為のようですね。分かりました、もう同胞の血で血を洗う悲劇などを起こさないために・・・私は一肌脱ぎましょう・・・(ポロロン)」

 

「あ、待てトリスタン卿!今外には不機嫌な王が徘徊中で──!」

 

・・・自己理解にて周辺把握を怠ったトリスタンは、新発売ギガマックパウンド・ロンゴミニアドセット、エクスカリバーセットをリッカと食べようと廊下を歩いていたダブルアルトリアオルタにぶつかり、ジャンクが穢れたと怒りの黒き聖剣と槍の奔流に呑まれていった──

 

「・・・む?なんだ。召喚は失敗か?ダ・ヴィンチめ・・・日頃からマナプリを徴収しているにしては脇が甘い!これは詫び半額キャンペーンものの醜態ではないか!」

 

「えぇ?そんな事無いと思うけどなぁ・・・えーと、召喚召喚・・・」

 

 

そしてロマンが、カタカタとコンソールをいじり、同時に案内を終えたリッカが居眠り殺害現場を目の当たりにしながら現れたその時──

 

「なんか向こうでオルタがメッチャ暴れてた!あれ?まだ召喚?」

 

「あ、来た来た!誰が来るかなぁ・・・キャスター?」

 

ランダム召喚、その最後に現れし存在。それは──

 

「・・・キャスター、紫式部・・・あぁ、良かった。貴方と言う物語、貴女と言う物語に巡り逢えました・・・」

 

「・・・──おっ・・・・・・」

 

「御機嫌王さま。姫様、皆様。そしてリッカさま。よろしくお願いし・・・あわわぁ~!?」

 

紫式部を名乗るキャスター、感極まってリッカと握手しようとしたところ、躓きリッカを押し倒す形となってしまい・・・

 

──マスターへの強襲!?なんとアグレッシブな!流石は日本!作家すらもパワフルです!

 

(日本への風評被害追加で入りまぁす!)

 

「あわわ・・・ごめんなさい、リッカさん・・・!平気でしょうか──」

 

「むふぉい(すごい)!!!!」

 

「えぇえぇ・・・?」

 

その豊満な、あまりにも豊満な胸に圧迫されながら、渾身のサムズアップを残しリッカはその感触を堪能するのであった──




NG召喚 リクエスト ユウキ(SAO)

ユウキ「やったー!これたー!楽園でいいんだよね、いいんだよね!僕、ユウキ!リッカちゃんだよね!ね!?」

リッカ「あっ・・・」

「逢えて嬉しいなぁ!ネットゲームやる?身体動かすの得意?一緒にやろ?ゲームとかやってみようよ!ね?」

「──うん、いいよ!」




ダ・ヴィンチちゃん「私にかかれば体感式ゲームなんて御茶のこさいさいさ!さぁ少女二人、思いきりやるといい!」

オルガマリー「声がそっくりね・・・そっくりさんって声帯にも適用されるのかしら?」


ユウキ『よーし!じゃあ僕に合わせてね、リッカ!一緒に目指そう、ハイスコア!』

リッカ『足を引っ張らないように気を付けるね、ユウキ!』

マシュ(先輩が、足を引っ張らない・・・?)

「では!よーい、スタート!」

ユウキ『久々に、やるぞー!』

リッカ『ゲームで何処までやれるかなぁ・・・!』

マシュ「!──凄い、あの人の動き・・・!」

オルガマリー「天性の判断力に洞察力、・・・プロゲーマーかしら?十分やっていけるわね、彼女・・・」

マシュ「?ゲームは反射神経が大事じゃ無いのですか?」

オルガマリー「ジャンルによるけど・・・対人や協力プレイは大抵積み上げた経験や洞察、先読みや予測がものを言うのよ。反射神経も重視されるゲームは中々無いと思っているけれど・・・ほら、ウメハラさんも『小足見て昇竜は無理』と明言しているしね」

「なるほど~・・・」


~体感型ゲームに不馴れな事もあり、リッカが色々ユウキに教えてもらう事になっていた

「リッカちゃん身体傷だらけ!やっぱり運動好きなの?」

「まぁね!楽しいし!ゲームと同じくらい!」

「そっかぁ・・・!うん、じゃあゲームでくらいは僕が勝っちゃうからね!」

リッカ「ただではやらせはせんぞー!」

~日が暮れるほど、ゲームをして・・・

「はー!楽しかった!うん!すっごく楽しかったよ!」

リッカ「こんなにゲームでコテンパンにされたのグドーシ以来・・・強いね、ユウキ!」

「でしょー!鍛えられたしやりこんだ!・・・これが、僕の生きた証だから」

リッカ「──・・・」

「ありがとう、リッカ。何も言わないで付き合ってくれて。・・・ほら、私待ってるばっかりだから。たまにはこうして鍛えなきゃだし!」

「・・・うん。またやろうね。いつか私も、そっちに行くからさ」

「ダメダメ~、僕の領域には100年早いよ!のんびりゆっくり、ちゃんと生きてから僕にリベンジしなさい!」

リッカ「はぁい!・・・じゃ、待たね。楽しかった」

「うん!楽しかった!またね、リッカ!」

ユウキは退去する。其処には・・・

「・・・」

『おめでとう!完全制覇!』と書かれ、排出されたプラチナトロフィーネックレスが置かれていた。・・・不治の病を患い、物語を完遂したユウキが楽園に招かれるとは、そういう事である

「・・・いつか、必ずそっちに行くから。今度は、私の親友も一緒だからね」

『──うん!僕はずっと、気長に待ってるよ!一生懸命、今を生きるんだよ、リッカ!』

・・・生命を懸命に生きた剣の先輩の激励を胸に。リッカは尚も立ち上がり、前に進む──

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