人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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幕間がてらチョコのお返しイベントです!のんびり、お楽しみください!


ムニエル「エデン!!!!」

ロマン「うわぁ!ビックリしたぁ!?」

「シャングリ・ラ!!!!」

「なんだい!?何が見えてるんだいムニエル君!?キアラさん呼ぶかい!?」

ゴルドルフ「どうやら魔法少女やコンラ君に全身全霊を以て御返しするために身体中の気を高めているらしいね。いややかましいな!?」

「ヘヴン!!!!!」

「あー、ホワイトデーかぁ・・・そうだなぁ。シバには何を渡そうかなぁ・・・オルガマリーにも貰ったしマシュ、リッカ君にも貰えたし・・・あ!そうだ!皆に指輪をひとつずつ、チョコに仕込んで・・・」

「君仮にも魔術王の力の源を雑に扱いすぎじゃない!?」

ロマン「そうかな?彼女等や皆の笑顔は、こんな指輪よりずっと価値のあるものじゃない?」

ゴルドルフ「これが、愛多き王の余裕・・・!私もメイドたちに何かを拵えるとするか・・・」

イアソン「フン、御返しをしてやれる気概があるならしてやれ。それが甲斐性だろう」

ゴルドルフ「イアソン!君にはメディアがいるだろう!」

イアソン「いらないって言ってるのに部屋をチョコで埋め尽くされるオレの身にもなってほしい!!」

ロマン「うわぁ・・・」

ムニエル「えっと・・・ヴァルハラ!!!!」


ガストン(あ、ケルトの天国分からなかったなこいつ)


ホワイトディ・プレゼント・フォー・ユー!
邪悪教典


「オルガマリー君、我が最愛の相棒よ!モリアーティという名の愉快なおじさんがやってきたヨ!この固く閉ざされた扉を、心と共に開けておくれ!」

 

「三点ですね」

 

ホワイトデーが近付いてきた楽園、にわかに男子が浮き足立ち盛り上がるその行事。それは若きも老いも、人間もサーヴァントも関係無い。現にこうして、所長たるオルガマリーの下に胡散臭さマックスの犯罪界のナポレオンが現れるのだ。自己紹介付きで。モリアーティの自己紹介付きで。

 

「教授、自分の名前のネームバリューを理解していますか?あらゆる犯罪の痕跡を残さない老いた蜘蛛が玄関から名乗り上げるというのは遠回しな自首ですか?」

 

「わーい、辛辣だなぁ相変わらず!だがそれはまったく問題ない!私の事を深く知らない人に同じことを私がしたら、どうなると思うネ?」

 

「・・・どうなるんです?」

 

「自分の事をモリアーティだと思い込んでいる痴呆患いの老人としか思われないだろう!!言ってて凄い悲しい!」

 

『仕方ないわ。時代の移り変わりは早いもの。今じゃぁ25でおじさんおばさん呼ばわりされたりするのよ、ジェームズ』

 

私はいいの、内面の美しさに磨きをかければ自然と外見に現れるからといった至言に頷きつつ・・・

 

「で、加齢臭のデリバリーなら回れ右してください。私はリッカ完全休息計画立案にとても忙しいのです。それはもうプランニングに付きっきりで」

 

「何それ楽しそう!なんで私に言ってくれないのかネ!私に任せてくれればそれはもう!リッカ君を軟体生物もかくやにクネックネにして差し上げると言うのに!」

 

「あなたの存在がストレスと事件と騒動の権化だからです」

 

「もー!とことん厳しいがそれでいい!私!アイリーン!そして君!ホームズ絶対出し抜くパーティーは愉快に団欒し適度に和やかかつギスギスしているべきだからね!──おっと、まずいまずい。愉快な会話に勤しんでいたら本題から逸れてしまう。・・・君に、渡すものがあるのだから勿体ぶるのは無しとしよう」

 

コホン、と頷き、ゴソゴソと封を取り出すモリアーティ。オルガマリー、アイリーン共に『まずは』爆薬、毒薬の類いではないか確認し

 

「待って!善良な!善良な気持ちだから!大丈夫!安心して受け取ってほしい!──我が人生、いや!ジェームズ・モリアーティ最大の相棒にして可愛い助手よ!ハッピーホワイトデー!!これあげちゃう!!

 

ハイテンションでオルガマリーに渡されたもの。それは本であった。適度に分厚く、持ち歩ける程度の大きさ。表紙は青き蜘蛛、その巣、絡め取られた蝶々がデザインされている。そして帯には『祝!ホームズ出し抜き大勝利!』とデフォルメがされたモリアーティが祝ってくれている様相だ。実に胡散臭い

 

『これは・・・何かしら?辞典?教典の様にも見えるけれど・・・』

 

「・・・説明を求めます、教授」

 

単なるお洒落な本・・・というにはあまりにも禍々しく、おぞましき雰囲気を漂わせている。邪教の聖典もかくやとばかりの怪しさに、喜びや感嘆の前に警戒が先に出た。まるで──【これを持っているだけで、思うがままに社会を操れるような】凄みすらも感じ取れるこの本の存在に。

 

「なぁに、難しいものじゃない。楽園の所長であり、同時に君主(ロード)として世界の危機や権力闘争に見舞われるやも知れない君の幸多き人生を助ける、ちょっとした攻略本だよ」

 

「攻略本・・・」

 

『まぁ。【ギャングの世界で組織を乗っとる方法】【如何に効率よく頭目の弱味を握るかの手順】【よくわかる犯罪立案】【今日から始める組織の旗揚げ】【邪魔な出る杭を叩き潰す方法】・・・』

 

「そう。私がオルガマリーチョコからぞんざいに渡された手作り蝶々チョコを貰った瞬間から今日に至るまでに作り上げた、合法非合法問わずあらゆる犯罪のアイデア、対策手段を書き上げた・・・言うなれば【邪悪教典】とも言える代物だよ」

 

ジェームズ・モリアーティ。悪の権化にして邪智の究極。そんな彼が全身全霊を込めて悪のアイデアを書き上げた。それの意味するところはただ一つだ。【これを手にした者は、人間社会を裏で自在に操る巨悪となる】。人間社会とは悪意の坩堝。それを自在に操るとなれば、もはやその在り方は人間ですらない

 

だが・・・【悪用する】などといった低俗な領域にこの相棒は、助手はいない。ならばこそ、これをお返しとして渡すことが出来る。そう確信しているのだ、彼は。

 

「そう、対策だとも。世界の悪を知る私が、そのあらゆる対策を綴ったのだ。解るかな?この意味が。オルガマリー・アニムスフィア。アイリーン・アドラーに選ばれし、この当世で最も聡明なる女性よ」

 

「・・・名選手は必ずしも名監督では無くとも、名犯罪者は、必ず名探偵に成りうる。ということですね」

 

そう。これに仕込まれた、綴られた意味は断じて彼女を悪に落とそうと言うわけでも、この叡知で王にあだなせ、と言っているわけではない

 

すぐれた名うてのハッカーは、出所した際に大手のIT業者が迎えに来る。泥棒を生業にしていたものが本気を出した防犯セキュリティは、決して盗まれはしない程に堅牢である

 

そう、これはつまり──『これから送る幸多き人生を、悪意に台無しにされないように』というモリアーティからの誠実な親愛なのである。これを持っていれば、モリアーティの頭脳と知識は例え退去、消滅したとしても共にある。至高の愛弟子、最高傑作の『これから』を、知識という形でサポートできる

 

人を欺き、利用し、騙してきたモリアーティの唯一無二たる『心から信頼した助手』たるオルガマリー・アニムスフィアに送る、最大最高の贈り物であるのだ。それを証拠に・・・

 

『ふふっ。モリアーティ?あなた、証拠や痕跡を残さないのが信条でしょう?思いきった事をしたのね?』

 

「私達が悪用する・・・など、考えなかったのですか?」

 

「・・・・・・・・・・・・悪用ぅ?君が?」

 

え、何言ってるの怖いこの愛弟子、正しい言語を話せていないの?と言わんばかりのポカンとした表情にそっと太股のゴム弾装填アニムスフィアに手を伸ばさんとするオルガマリーに対し・・・

 

「君にはそんな事をしている暇など無いだろう?その生きざまを、人生を、心から楽しんでいる者がいるのだから、悪用なんて脇道には目もくれないだろう?」

 

「──・・・」

 

「その本にはね、【王の欺き方】も『王の楽しませ方』も書かれていないのだよ、マリー。──それは、君が人生を懸けて探す命題だからね。その探求を差し置いて、やりたい悪事なんてただの一つもありはすまい?」

 

「・・・・・・──ぐぅの音も出ません」

 

かの一件以来、少しは教授に追い付けたと自信は付いた気がしていたが、まだまだな様だ。完全に人心を把握し、掌握するカリスマ性はまだまだ自分はこの教授には及ばない

 

「フハハハハ!期待しているよ我が最愛の助手!なぁに、君はまずワトソンには必ず勝利している!何故か?私のオルガマリー君の方が絶対可愛いからネ!!!

 

「──、大きな声で叫ばないでください」

 

『うふふっ。照れているわね?ごめんなさい。今回ばかりは完全にモリアーティと同意見なの』

 

この奔放な方々は・・・モリアーティにアイリーン。そしてここに更にホームズまで加えたカルデア首脳部門の集いは、今日もまた愉快なティータイムに終始するのであった──

 

 




オルガマリー「・・・・・・(パララララララッ)」

『リッカ君を倒す方法』

「!?」

モリアーティ「ふふふ、私は考え、考えに考えた。今度こそリッカ君を倒す方法を!それは!」

「・・・(パラッ)」

【けものフレンズ2を視聴させ、精神を崩壊させる】

オルガマリー(手にしたマグカップを落として震え出す)

『え?そんなに?そんなになの?』

「焚書しましょう。彼女が再起不能になる前に・・・!」

『そんなになの・・・!?』

モリアーティ「ちなみにネ。この世総ての悪たるアンリマユ君に試しに見せてみたんだよ。リッカ君の力の源たる彼女にネ?そしたら興味深い答えが帰ってきたのサ」

「・・・それは?」

「──一通りみた後、ただ一言。【知ってる】とネ」

オルガマリー「・・・あぁ・・・」

「・・・見るなら、初代監督版のけものフレンズにしてあげてネ」

オルガマリー「はい」

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