人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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プロテア「~♪~♪」

『怪獣大百科』

「楽しいなぁ、面白いなぁ。楽園の皆はどんな怪獣かな?マスターはぁ、楽園のみんなはぁ・・・」

(王様は・・・強くて、かっこよくて、ワープできて、誰にも負けなくて・・・)

『ハイパーゼットン(イマーゴ)』

「これ!んー、カッコいい!私もいつか、素敵で強い怪獣になれたらいいなぁ・・・!リッカちゃんは・・・」

『キングオブモンス』

「かなぁ?ふふっ、私は・・・」

『ピグモン』

「いいなぁ・・・こんな可愛い怪獣に、なりたいなぁ・・・」

管制室

オルガマリー「あら、ゴルドルフさん。それは・・・緋色の研究かしら」

ゴルドルフ「どういうわけか押し付けられてな。死蔵するのも可哀想だろう。読書も流行っているし、私も・・・」

【邪悪経典】

ゴルドルフ「いや君は何を読もうとしているのかね!?」

「教授に託されたので・・・」

「あぁ、そうか・・・助手だもんね、君・・・」

「・・・読んじゃダメですよ、副所長」

「読まないとも!なんか怖いからね!」






本を探そう

「ワタシ、サーヴァントノグビジンアル。マスタージャナイアルヨ。メンドウゴトオコトワリネ」

 

「あっ!パイセンが当事者からふわっとした参加者になろうとしてる!ダメダメ!ちゃんと困っている人には手を差しのべないと太陽が上るとき感動が味わえないよ!」

 

頼み事と聞いた瞬間アサシン片言サーヴァントとしてシラを切り始めるぐっちゃんをどうにか説得せんとリッカがぐいぐいと肩を押す。ぐっちゃん的には楽園は平穏の場所なので肉体労働や面倒事は全般的に御断りなのである。ゲームではサブイベガン無視タイプなのだ。リッカがいなければ踵を返していたかもしれない。・・・まぁ、なんだかんだで最後には手を貸すのもぐっちゃんであるのだが。

 

「うぐぅ、面倒くさい・・・でも知っちゃった以上無視もできないか。借りがあるしね・・・どう?先輩として模範的な態度でしょう?」

 

「さっすがパイセン!公私は切り離してモノに当たる!そこに痺れる憧れるゥ!」

 

「ふふん、そうそう、その調子で敬いなさいね。・・・で?何をやらかしたの?源氏物語の作者さん?」

 

紫式部・・・彼女は日本が誇る作家にして、現代における『ジャンル』という概念をもたらした立役者と言っていい存在である。ぐっちゃんの言う通り、源氏物語たる書は、めくるめく人の情愛を描きに描いた傑作作品である。ロリコン、マザコン、シャア・アズナブル・・・そういった概念は、この女史が作り上げたと言っても過言ではない。とかく主人公は数多の情愛を獲得する。リアルきよひーやらも出てきたりするくらいの。

 

「うぅ、うぅ・・・説明の前にこちらにサインを・・・我等が英雄王に『騒動の許可、解決する了承』を示す契約書です・・・」

 

「・・・愉快かつ、騒動前に無かったものを獲得したならば全てを認可し、不問と処す。発生した補填は我が受け持つ。危険手当てや代休を欲すならば別途書くがよい・・・」

 

「ギル、最早騒動も訓練扱い・・・!あ、有給扱いにもなるって!流石プラチナ企業・・・」

 

王に報告さえすればどのような失態も認可する。なればこそ寛容にて対応と自粛、自省と自立を促す。楽園にも刺激は必要と叱責などせず愉快に流す。ただし、絆であれ戦利品であれ徒労には終わらせるなとの契約書にサインしながら、紫式部・・・美しき司書は事情を二人に説明を行う

 

「大ポカを、この楽園の旅路に参列できた喜びのあまりに私は大ポカをやってしまったんです、私・・・今度こそは、と・・・華麗な英霊デビューをキメようと思っていましたのに・・・」

 

「私くらいに有名で、才色兼備に頭脳明晰であり、麗しくないと無理じゃないかしら?(フフン)」

 

「パイセンそれ心の底から思ってるなら顔合わせる度に言っていい?」

 

「ごめんなさい盛ったわ。・・・それで?」

 

「は、はい。それが・・・私が魔力なるものを込めて作り上げた蔵書・・・その内の一冊が、私の管理下を離れてしまったのです・・・」

 

本の暴走、司書たる紫式部からの離反。また字面からして変な事件よねこれ、とぐっちゃんはリッカと顔を見合わせる。まず間違いなく、外界では味わえない案件だと確信が持てる

 

「・・・あれは。今朝の事。書庫の整理をしていた際に──」

 

 


 

いと振り返りし、ぽんこつのやらかし~

 


 

『よいしょ、と』

 

本を補充しておりました。皆様読むだけでなく、自著の寄稿も盛んに行ってくださり・・・ありがたいことです・・・

 

『描かれた本の数々。完全無欠の叙事詩に招かれた物語たち。──どうかあなたたちも、それを彩る一冊に・・・』

 

そうした最中、私はとある一冊に目を止めました。中々に見慣れぬ、あったかどうかも定かではない一冊の本・・・

 

それが・・・

 

『!?本が宙に・・・!?』

 

そしてその本は、私のとてもとても大切な・・・楽園にて始めに託された、大切なものを吸収して・・・

 

『か、返しなさい!返して!それは、それだけは決して──!』

 

手を伸ばしても、それは既に後の祭りで・・・

 

『消えた、消えて、しまった・・・!?』

 


 

とらぶるは~、のぞんでなくても、おこりける~

 


 

「・・・・・・我が図書館倉庫に眠っていた本、うち一冊が独りでに動き、暴れる呪わしき書と化したのです。周囲の魔力、情報を食し。そして、自己保存の本能に従って逃げ回る・・・」

 

「リッカ、ガンバルアル。ワタシハカエッテネルアルヨ」

 

「はいパイセン逃避しない!成る程、本が逃げてマジヤベーイ、パネーイと・・・」

 

式部が言うには、楽園に来てすぐな為、ロマンの魔術浄化が行き届いていなかったが故に起きた事であるという。楽園の愉快で優しき旅路に、呪いが持ち込まれることは無いと言うのだ。

 

「これを私は、呪本と呼称いたしました。・・・うぅ・・・」

 

「──泣かないでください、紫式部さん」

 

「・・・リッカ様・・・?」

 

「困っているなら、私達を頼ってください。誰かが誰かを気にかける。それが、完全無欠の結末への第一歩。大丈夫です。解決までバッチリお支え致しますから」

 

キラリ、と歯を見せ笑顔を送ると、紫式部の表情がみるみる内に明るくなる。まるで、物語のヒーローに出会えた子供のように感激した表情を浮かべるのだ

 

「あぁ・・・!かつての中宮、彰子様にお仕えした折には、何このインテリ女と同僚の女房たちにいじめられ・・・・・・」

 

「あっ・・・、──似た者同士だったかぁ・・・」

 

「あまりの哀しみに引きこもってしまったこの私。その後モノを知らない天然キャラを装う事でなんとかギリギリ職場に溶け込めましたが・・・」

 

「・・・他人事に聞こえないわ。ちょっと、カムフラ女で引き寄せられたとか止めてよね・・・!」

 

「でも、でも!今度こそは、今度こそは・・・楽園の皆様に相応しき頭脳明晰、冷静沈着な英霊としてちゃんとしようと!皆様に喜んでいただける『書の英霊』たらんと、心に決めていたのです!ですがこんな・・・こんな私にまでリッカ様は、ぐっちゃん様は慈悲を・・・!あぁ、王と姫の叙事詩、いと素晴らしき・・・!」

 

感激にペコペコと頭を下げる紫式部。それに上下してぶるんぶるん揺れる大質量にギャラクシーキャットめいた表情になりながらサムズアップを送るリッカ。別にリッカ的には責める事じゃない。ミスはだれでもしちゃうもの。なら、それを責めるより一緒にフォローし合おうというのがリッカである。手は取り合い、足並みは揃えて前を向こう。それがリッカの座右の銘の一つである

 

「・・・・・・まぁ、私は楽園に一生かけても返せるかどうかな恩があるし、身分を偽る辛さは知ってるつもり。いいアルよ、付き合ったげるアル」

 

「ぐっちゃん葛藤!面倒くささとの葛藤が漏れてる!・・・ま、まぁそんなこんなで!紫式部さん!あなたも──財だよ!お友達になろーよ!」

 

「あぁ、あぁ・・・!これが、これが夢見た楽園の善性・・・!いと、いと嬉しき・・・!ありがとうございます!リッカ様!ぐっちゃん様!」

 

「(スッ)リッカ、先輩の露払いも後輩の仕事よ」

 

「ぶむふぉっ──!!」

 

そっと感激のハグをぐっちゃんはリッカを盾にしいなし、胸の大質量を叩き付けられた形となったリッカ。張りと抜群の弾力、それでいて顔が沈み込むような至福の感覚にして、息も出来ないような感触に息を封じられし母性を宝とする煩悩邪龍は──

 

「ふぉっ─!むふぉい!!!」

 

「アンタ、アレね。昭和の古き良きスケベ主人公の気があるわよね・・・」

 

これだけで頑張るだけには充分!!とサムズアップし、ぐっちゃんはそんな後輩に呆れた目線を送るのであった・・・

 

「・・・悪かったわね!包み込めなくて!」

 

「むふぉ?」




天草『こんにちは。相変わらずマスターは胸に執心ですね。聖杯を求めている私に似ています』

リッカ「あっ!天草くん!」

『はい、あなたの皆の天草くんです。聖杯知りません?』

ぐっちゃん「出たわね!十秒に一回は聖杯プリーズしてくる変なヤツ!オルガマリーに手を出したらしばき倒すわよ!」

『何を言うのです。手は出しません。聖杯CMは見せましたけど』

「悪辣な、悪辣な精神サブリミナル・・・!」

『ロマン氏はシバにゃんとしっぽり、ダ・ヴィンチちゃんは記憶記録サブシステムの着手、オルガマリー女史とゴルドルフ氏は読書中なので、聖杯の管理場所どこかなーと探索していた私がモニターしますね』

リッカ「少しは隠そう!?本心!?」

ぐっちゃん「裏切り、離反、対立もオッケーなのよね楽園・・・」

『お陰さまで、私は堂々と聖杯を探すことを許されていますよ。ありがたいことです。王に挑んで、攻撃場所だけをワープさせられカウンターされたり先読みを先読みされ殴り倒されるのは勘弁ですからね・・・』

リッカ「ウルクアーツがまんまハイパーゼットン(イマーゴ)・・・」

『それでですね。端的に申し上げますと愉快な事になっています。男性職員が御返しに用意していた魔力リソースが、あとチョコとかがですね?一冊の本に全て吸い上げられました』

ぐっちゃん「全部ゥ!?」

リッカ「うーんキレッキレの導入!!」

『男性職員は阿鼻叫喚です。何故なら全部ですからね。渡す前に奪われてしまってはそうもなりましょう。やはりここは聖杯で私が救済を』

紫式部「・・・ごめんなさい・・・遂に、遂に被害が、出てしまった・・・!」

ぐっちゃん「はぁ・・・。・・・蘭?聞こえる?」

『はっ、マスター』

「一仕事ありそうだから、準備しておいてね」

『・・・──はい!面倒くさがってはダメですよ!』

「してなっ・・・、──して、ないわよ・・・」

リッカ「ほんとぉ?」

「ほんとよ!」

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