「本に、食われた・・・だと・・・!?どういう・・・事だ・・・!?」
ムニエル「落ち着けェ!騒動が起こった以上マスターの誰かが必ず解決に乗り出しているはずだ!無闇に混乱をあおらず、続報を待て!」
「お、おう!・・・王が把握してない筈ないもんな。そうだ、必ず帰ってくる。楽園の仲間を、皆を信じるんだ・・・」
「うぅ、マリー様に捧げるクッキー・・・帰ってきてくれよ・・・」
「ブーディカママに渡すチョコも・・・」
「マタ・ハリママに渡すチョコも・・・」
「女神さまたちに捧げるお布施も・・・」
「「「無事に帰ってきてくれ・・・!」」」
ムニエル「あぁ、ナイス判断だお前ら!・・・イイぞ!デキる男はな!モテるぞ!」
~
「こちらに、なんとか私が確保した呪本がございます。これを、この様に・・・」
星の印を描いた式部の下に、本が粒子となって回収される。・・・しかし、解決とはいかないようだ
「星の印・・・
ぐっちゃん「・・・?これ、本を増やすわけ?」
紫式部「はい、自らの魔力を分け与えて・・・逆に、『最初の呪本』さえ回収できれば。一度の回収儀式で全てを無効化できます!」
リッカ「よぉーし!!ブックハントだぁ!式部!えい!えい!おー!」
「お、おー!それでは、ブックハント・・・!はじめさせていただきます・・・!!」
「おや、珍しい顔がいまちね。こんにちはでち。御主人もぐっちゃんもとは、また何か愉快な騒動でちか?」
ブックハント──そう名付けた行事めいた騒動解決に乗り出したリッカ一行。奪った魔力を分け与え魔本を増やす『最初の呪本』を取り返すために一行がやってきたのは・・・
「ここが、カルデアの大食堂。そして貴女は日本に名高きおとぎ話の紅閻魔様・・・お逢いできて、大層光栄にございます」
紫式部にとって、来たばかりにて探索もままならぬ世界、その一つたるカルデアの大食堂であった。ギルガメッシュが手掛けた何でも食べ物が出てくる『北風のテーブルクロス』に日々対抗し腕を上げていく料理人の戦場。手間隙を込めて作る料理に心血を捧げる者達の砦である。エミヤチーフ、そして総料理長たる紅閻魔以下、数多のスタッフが精進を重ねまたそれをいただく者達の活気が満ち溢れており、それを紫式部は肌で感じているのだ
「元気そうね、えんまちゃん。何よりだわ」
「そちらこそ、すっかり馴染んだ様で何よりでち。人間なんて蠢くダニでち!呪われるでち!なんてひねた状態からは脱却しまちたね」
いつの話よそれ・・・と照れながらうつむくぐっちゃん。そしてリッカは落ち着かなそうにしている紫式部に声をかける
「来たばっかりだもんね。やっぱり珍しい?」
「は、はい。座にて数多の英霊が集う王の楽園とは伺っていまして、覚悟はしていたのですが・・・なんとも見ると触れるとではあまりにも・・・」
『違いますよね!分かります!分かりますとも紫式部さん!時に私と先輩のハートフル物語を寄稿しても宜しいでしょうか!』
そして現れたのはカチカチイキリなすびことマシュ。他の皆が私用なる事と、天草のサポートを名乗り出たリッカの後輩である。かつてのマシュよりテンションが10割高いのはご愛敬だ。オフェリアは定期的に励ましのファンレターを書いている。彼女はマシュのファンであるが故に
『はい、というわけでアママシュコンビが皆様のブックハントを万全にサポート致しますよ。聖杯もいいですが、マスターらを蔑ろには致しません。──『最初の呪本』が産み出した本が聖杯の魔力を嗅ぎ付ける事を信じて、頑張りましょう』
「ちょっとは黒幕や裏切りムーブをカムフラージュしよう天草くん!?」
「なんかいたわよね、リッカのやってたゲームに全てを抱きしめてたら特大のゲスに尻で踏み潰されたの・・・あれみたいにならなきゃいいけど・・・」
おっといけません、つい本音が漏れました。というわけで罪滅ぼしもかね真面目に頑張る天草くんなのでした。と笑えないのか笑うべきなのかよくわからないジョークを飛ばし、呪本を探す天草ら一行に・・・
「ニャハハ!相変わらずトラブル指名ナンバーワンマスターであるな御主人!此度はどんな約束されたトラブルシューティングか?あまり無理をするな御主人倒れたなら迷わずキャットは後を追おう。てなわけでサンドイッチとハチミツレモンをプレゼントである」
「キャットー!ありがとう私のキャットー!よしよし、あー、あまこーの一側面って最高・・・」
「御機嫌王の痛快さと愉快さを見習うのはいいが、彼の強靭さやスケジュールを真似るのはノーとさせてもらおう。普通の人間が城や島、城などを建設して無事でいられる筈がないからな。──そして、虞美人も紫式部もよく来てくれた。歓迎させてもらうよ」
キャットがリッカに飛びかかり、エミヤがそっと紅茶を淹れる。この食堂を楽園になる前から支える最古参のスタッフ二人が、騒動の最中にある者達をそっと労う
「こらこら、御主人らは忙しい身でち。あまり腰を重くさせるものではないでちよ。──まぁ、ここにおむすびがあるでちから、お供に持っていくでち」
「ありがとうえんまちゃん。終わったら定食食べに来るから、よろしくね」
「いい表情で笑うようになったでち。皺が取れたらもっと美人と睨んだあちきは正解だったでチュン」
上手いんだから・・・とおむすびをいただくぐっちゃん。彼女を知るものからすれば『人間なんて毛のない猿よ!』『地球のダニめ、私がもっと高位の存在であったなら即座に駆除してくれるのに・・・!』だなどと物騒に喚き散らす彼女の面影が無いことがあまりに喜ばしく奇跡であると痛感することだろう。
『では、ティータイムに相応しき話題を。聖杯に繋がる特殊な魔力を帯びた本を私達は探しています。何か御存じないでしょうか?』
聖杯アピールを隠そうともせず御機嫌王討伐クエストという無理難題に挑む天草が口を開く。清々しすぎて疑う気すらなくなる正直さである
「君はまだ諦めていないのかね・・・きっかり十秒で叩きのめされるが故に間断なく来るその執拗さに王も愉快ながら呆れていたぞ」
『私が屈しなければ敗けではないのです。これからもっとうんざりするでしょう。あ、一度短期間で叩きのめされた後に一週間に一回にしていますので御安心を。プライバシーは大切ですからね』
「本、でちか・・・そういえば、誰が書いたのかはわからないでちが愉快な本は見つけたでちよ、キャットが」
そういって紅閻魔が取り出したるは、卵を頭から被って目を回している眼鏡をかけた姫衣装の姿の女子が表紙の、愉快そうな・・・参考書であった。タイトルを、溜め息混じりに読み上げる
「『おっきーでもできる簡単お料理集・シラサギ印の百穀苦々堂さま』・・・溺れるものは藁をもというでちが、読むだけで上手くなる料理などありまちぇん。それもまだ解らぬとは、いよいよ刑部が異世界に旅立つ時がきまちたか・・・」
刀に手をかけ引導を渡すつもりのえんまちゃん。──だが、それが本としてあるということ、知らないはずのものが楽園にあるということは。
「あ、そういえばそのおっきーとかいうのは楽園にいな・・・いない・・・のに本があるってことは!?」
「はい!キャット様、紅閻魔様、エミヤ様、失礼!」
紫式部が素早く印を切ると、ふわりと浮かび上がる本の形をした魔力集合体。この反応・・・まさに当たりのものである
「やはり!その本──呪本にてございます!」
『特殊な反応を感知できますね。カーススペルブックビーコン・・・呪本反応と名付けましょう』
同時に、防衛本能として竜牙兵やスケルトンといった敵対エネミーを製作し本は産み出す。善悪、害意は介在しない。ただ、己を護るために駆動しているに過ぎないのだ。だからこそ、無事に回収せねば収まらない
「皆様、失礼!呪本回収、開始いたします!」
「ごめんねえんまちゃん!少し騒がすわ!」
「構いまちぇん、楽園の防御は鉄壁でち。そして厨房は常に戦場でちから騒がしいのはいつもの事でチュ。思いきりやるでち!」
そうして初のブックハントが、始まろうとしていた。まずは料理が誰にでもできるようなどという思い上がりを誘発しかねない参考書がターゲットである。
「リッカ、いい機会よ。見なさい、私のマスターとしての力を!」
「おお!頼もしい!いけー!パイセーン!」
「か、回収はお任せください。どうぞ御武運を・・・!」
今、楽園にて未知数たるぐっちゃんのマスターとしての実力が牙を剥く──!!
「・・・」
・・・そして行われたマスターとしてのぐっちゃんのサーヴァント戦・・・
ぐっちゃん「出番よ、蘭!仮にもAチームだった私の実力を見せてあげるわ!」
蘭「おおっ、頼もしい!その采配、心より頼りに」
ぐっちゃん「総ての令呪を以て命ずるわ!宝具を解放しなさい!蘭!」
蘭「はっ!?え、いやあの、敵に明確な道徳や美的観念はありませんし、そもそも宝具の開帳ならば令呪など使わずとも即座に・・・」
ぐっちゃん「今よ!!!!!(エネミーを羽交い締めにするぐっちゃん)」
リッカ「えぇえぇ・・・」
蘭「な、なんと・・・!あぁあ仮面に、仮面に手が伸び・・・!!退け!しりぞけ!魔性どもっ!!(やけくそ)」
\蘭の 圧倒的 イケメンオーラ だ !/
本スケルトン「・・・・・・」
本竜牙兵「・・・・・・」
こうかが ないみたいだ ・・・・・・
ぐっちゃん「そんな!?蘭、あなたの風貌が効かない相手がいるというの!?」
蘭「いますよー!いるに決まってるじゃないですかー!いいから退いてください!宝具など使わずとも一閃ですから!ぶっちゃけ邪魔です!」
ぐっちゃん「邪魔ぁ!?マスターの体を張ったサポートになんて・・・!ぐぬぬ、万事休したか・・・!こうなれば・・・!」
リッカ「なにする気!?なにする気!?」
ぐっちゃん「決まっているわ!自爆よ!!」
BGM 思春期を殺した少年の翼
リッカ「はやーい!!最後の手段はやーい!!まだ投降もガンダムを渡すのも諦めるのも早すぎぃ!!」
「蘭の顔が効かない以上私達にもう打つ手は無いわ、ならこれしか手はないのよ!」
蘭「・・・馬術とか・・・剣術とか・・・一応・・・」
リッカ「いけない!私達はパイセンを嘗めていたのかもしれない──パイセンの・・・!」
ぐっちゃん「私は死なないわ、楽園に有る限り!行くわよ──覇ァァアァアァ!!」
「パイセンの、ポンコツぶりを──!!!!」
その後、ロマンの張っていた霊基ロックによりぐっちゃんの自爆は爆発四散からウルトラダイナマイトクラスの再生可能な爆発に保護され事なきを得る
紫式部「じ、呪本・・・回収します・・・」
ぐっちゃん「想像以上の強敵だったわね・・・これから気を引き締めるわよ、リッカ・・・!」
リッカ「はい(マスターの新境地を見た顔)」
天草『はははははは。はははははは』
マシュ『成る程!ぐっちゃん先輩のマスターレベルはとんでもないですね!』
ぐっちゃん「でしょう?前線に立つマスターとして、参考にしてもいいわよ。むしろしなさい」
リッカ「・・・鎧のキャストオフで、敵を倒せるようになろう・・・」
紅閻魔「作家、あんでるせん様なら何か知っているはずでち。頼んだでちよ、色々と」
蘭「馬術とか・・・剣術とか・・・セイバーですから・・・」
ヒロインX「えぇ、死ぬ理由には充分です!!」
エミヤ「ちぃ、またゲリラ襲撃か──!」
色々あったが、次の目的地に向かうリッカ達であった・・・
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