リッカ「あはは・・・面目無い!次はしっかりなんとかするよ!」
アンデルセン(おいリッカ、指摘してやるも時には優しさだぞ。あんな指揮をされてはお前でも堪らんだろう。ノーにはノーと言え)
リッカ(そ、それはそうなんだけど!ほら、なんていうか・・・)
(?)
(それもぐっちゃんパイセンの魅力だと思えば・・・可愛く見えてこない?いや、流石に自爆は良くないけど!)
アンデルセン(・・・しっかりと尊重できて何よりだ。まぁ、アレはアレでいいハンデかもしれんしな)
ぐっちゃん「リッカ、具合が悪いなら言いなさい。秘蔵の仙丹とかあるから。根っことかもあるからあげるわ。死ぬほど苦くて不味いけど」
「ほら、こう言うとこ!ね!」
「・・・逆に、そこまで寛容なお前を憎悪一色で染めたヤツに興味が湧くが・・・薮蛇ならぬ薮龍は止めておくか・・・」
紫式部「ここ、ですね。・・・沢山本を借りた・・・」
「あぁ。楽園の語り部──シェヘラザードの部屋だ」
「・・・出ないな。あの語り部が自分から外に出るとは中々に珍しい事態だと記憶しているが」
アンデルセンが静かに一人頷く。彼が言うには大量に本を借りた相手に心当たりがあると告げ、その導きのままにやってきた場所・・・それがここ、シェヘラザードの部屋の前であった。聞けば彼女が物語の語り口、アラビアンナイトの物語を増やすために世界古今東西の物語を図書館より積極的に借り出していたという。それを頼りにやってきたのだが・・・
『反応を検知した限り、そこに人はいませんね。反応も無いわけですから、眠ってなんかもいないようで。彼女の御部屋の前で哀しんではいけませんよ』
「何その無駄に芝居かかった言い回し・・・変なヤツよね、アンタ・・・」
『よく言われます。私としては極めて全うに世界の救済を祈り、願う優しい天草くんと自負しているのですが・・・』
「ほらほらパイセン、集中集中!マスターにはマスタースキルっていうのがあって・・・」
天草に突っ込みを入れたあと、後輩の即席マスター指導の受講に戻るぐっちゃん。ぐっちゃんのマスターとしてのレベルは控えめに言って目を覆いたくなる惨状な為、アンデルセンがリッカに告げ面倒を見させているのである
「マスターって奥深いのね・・・私、とりあえず倒せれば一緒でしょ?なんて考えて細かいところ蔑ろにしていたわ・・・マスタープログラム受けなくちゃね・・・」
『つかぬ事をお伺いしますがヒナコ先輩。その体たらくでよくぞAチームを名乗れていましたね!』
「本当につかぬ事ねマシュ!ほっときなさい、一から十までマリスビリーのセッティングなんだから!」
彼女の立場は彼女が言う通り偽装の立場であり、実力そのものが評価された訳ではない。同時に精霊なら堪えきれるとされていたレイシフトに適応する人間が現れた以上、選抜上の理由は・・・アドバンテージは無くなってしまっていたのだ。だからこそ、彼女の中には怯えもあった。己がいつ不要の烙印を押され人間に害されるか。その警戒を表したぐっちゃんの視線は、鋭きものであったのである
「あの歩く安全推奨機関が外出とはな。・・・ふん。居場所の心当たりはある。乗り掛かった船だ、案内してやろう」
ぶっきらぼうにいい、踵を返すアンデルセン。彼は人間嫌いであり、言葉の響きは基本的に辛辣なものだ。御手数をお掛けして申し訳・・・そう、紫式部が謝ろうとしたその時だった
『などと、口では冷たいそぶりなものの、どうにも彼女を見捨てられない面倒見のいいアンデルセン氏なのであった』
「「!?」」
突如として現れた、謎の解説に声。驚く一同に対し、当のアンデルセンだけが不思議そうに顔をしかめている
『おや、なんですかその空中に浮かび上がる解説アイコンは。そう言えば、先程現れたフォントは気のせいでは無かったのですね』
『紫式部さん!これは一体!?』
「あ、その!これは!す、すみませんアンデルセン様!つい、これは・・・!」
「解説・・・?」
「・・・お恥ずかしいのですが、はい・・・これぞ、生前の私が安倍晴明様から教わった中で唯一自分のものとした術──『泰山解説祭』にございます」
名前は自分が適当に付けただけといい、本物の泰山府君祭とはいっさい関係ないと断りを入れた上で、彼女は説明する。安倍晴明の悪戯心が具現化したがごとき、恐ろしき業であると。
「解説されど本人には見えず!周囲の人間にのみ見えると言う悪辣の極み!解説ゆえに『嘘』を書くことはできませんが、使いようによっては対象の心を酷く傷付けてしまう!」
「うわぁ・・・ドン引きもののプライバシー侵害ね・・・これには精霊の私も真顔になるわ・・・」
『まぁ、私のミステリアスな心を読み取る事は出来ないでしょうけどフフン、と無駄に自信満々で後輩が出来て嬉しくはしゃいでるぐっちゃんであった!』
「『なんという羞恥、なんという卑劣!ンンンン拙僧はこの技の真髄を見抜きましたぞ!』等と、とある怖い御坊に云われてしまった程の・・・」
「リンボだね、それ」
【母にされた仕打ちは絶対に忘れない。楽園に来て仲間にならない限り、骨を砕き五体を引き裂いて叩き潰し、踏みにじられた母上の尊厳を百万回生まれ変わってでも取り戻し、次なる悲劇を防がんと決意し血が出るほどに拳を握るリッカであった】
『先輩のフォントが禍々しいです・・・!黒地に血染めです・・・!』
「き、気が緩むと発動してしまうのです・・・皆様、どうか、どうか御許しください!アンデルセン様も、皆様も・・・!」
それは不可抗力であり、自分にはどうにも出来ないと頭を下げる紫式部。心を暴かれると言う悪辣な術ではあるが・・・意外にも、アンデルセンの判断は優しきものであった
「ふん。今さら何を解説されたところで痛くもかゆくもない。俺達がこれまでどれだけの数の批評家や批評家もどき、果ては素人になぶられ続けたと思う?それこそ星の数より多い!誹謗中傷は飯の種、アンチの流布は広告費ZEROの宣伝だ、バカめ!」
そう、いちいち流布された評価を気にする作家の生命は短い。読者の質は、作者にはどうしようもない問題なのだ。顔の知らない不特定多数の賛辞や激励を力にすることはあれ、言われなき批評に一喜一憂する必要など何処にもないのだ。むしろ、それを笑い飛ばせるくらいに図太くあらねば創作をするなど不可能であろう
「式部。お前も作家なら分かるだろう。物書きにとってモノローグの当て込みの一つや二つ、どうと言うことはないとな」
コホン、と咳払いした後、アンデルセンは告げる。それは彼なりの、言葉による紫式部の励ましであった
「『しかも、だ。この解説、東方の天才作家・紫式部の手によるものなのだろう。むしろ願ってもない光栄だ。男、いや作者冥利に尽きるというものである。アンデルセンは一人、『いつか楽園に来るやもしれん』シェイクスピアに自慢してやろう』と笑うのであった──とな」
「アンデルセン様・・・」
「ツンデレショタおじ・・・」
「イケボなら項羽様クラス・・・」
『述べた言葉には一片の曇りもない、澄み渡る朝焼けの空がごときアンデルセン氏であった』
全員の心を裏付けする、彼の真摯な言葉を裏付ける解説祭。結局のところ、言葉や想いは懐く者次第。その意味するところはその者によっていくらでも変わる。
「ああっ、また!す、すみません。アンデルセン様・・・」
「・・・本当にアンコートロラブルなのかそれは。俺には見えんが、作家の解説だ。そう的外れでもあるまい。一々謝るな。」
『だからこそ、人と人との出逢いや繋がりには見応えがあり、それらに紡がれる人類史は愉快である。この楽園を手掛けた王はそう感じるが故に、今も変わらず楽園を広げ続け人類を守護する王は人類の文明を護り続けるのであった!』
・・・楽園に位置する何処かの王様の所感まで、ちゃっかり読み上げてしまう解説祭でありましたとさ。
ぐっちゃん「・・・」
『その時、ちょっとだけ魔が差した。いきなりやってきて先輩ぶる自分を、リッカはどう思っているのかと』
「・・・面倒臭くない?私みたいな先輩」
『呟いちゃったノリに合わせ聞いてみる!解説に嘘はない、利用する先輩である!』
リッカ「あ、パイセンの事?──そだね!色々と言いたい事はあるけど・・・やっぱり!」
ぐっちゃん「・・・」
リッカ「楽しい先輩が出来て嬉しいなって!」
【楽しい先輩が出来て嬉しいリッカなのであった!】
ぐっちゃん「・・・、楽しいって、何よもう。・・・バカな後輩なんだから」
『御互い様である!先輩、先輩と慕われる事が嬉しいぐっちゃんなのであった!』
天草『ははは。やはり嘘が挟まらない会話はいいものです』
『聖杯何処かなと思う天草であった』
マシュ『やりますね!ですがメインヒロインの座は渡しませんよ!』
『自信満々に告げるマシュ。デートスポットはゲームセンターか動物園か水族館で迷うのであった』
アンデルセン「・・・成る程、愉快で悪辣だな」
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