アイリスフィール「シミュレーション終了!ふふ、また私とセイバーライオンが勝ってしまったようね!」
ぐっちゃん「くっ・・・マスターとして私が負けるとは・・・リッカだけではないということか・・・」
蘭「え?」
セイバーライオン「がおん!」
アイリスフィール「何故負けたのか、明日までに考えておいてね?まぐれだとおもったらまた明日も私が勝つわよ?」
ぐっちゃん「・・・・・・じば」
蘭「それは違います」
「まだ何も言ってない!」
「ふわぁ・・・いけないわ、眠くなってきたわ・・・ちょっと仮眠してくるわね。また明日もやりましょう!」
セイバーライオン「がおん!」
蘭「御厚意、ありがたく。またよろしくお願いいたします。らいおん殿」
「え?仲良しなの?」
「すぅ・・・すぅ・・・うぅん・・・いにしゃるえー・・・」
仮眠室にて、居眠りとみょうちきりんな寝言が響く。ここは共同使用の場所であり、職員やマスター一人一人に貸し出された高級ホテルクラスの簡素(ゴージャス基準)な部屋を使いちょっとした睡眠や休息が取れるのだ。そんな部屋にて、意識を手放し休憩している者がいる。白髪、そして紅眼の絶世の美女、同時に楽園に籍をおくマスターでもある──聖杯の器たるホムンクルス、アイリスフィール・フォン・アインツベルンである
訓練をこなし、鍛練に励むに辺り彼女はメリハリが強い・・・というより暴走機関車めいた活動傾向にある。アインツベルンから出奔し保護された彼女は外界の様々な知識を吸収し、封じられていた人間らしい感性を大いに刺激された結果、周りを率先し物事に挑むアグレッシブ美女マスターとしての地位を確立したのだ。
微小の特異点あらばセイバーライオンと共に殴り込み解決。頼み事をされれば全力で事に当たり、誰かに協力を惜しまない。人助けになれば嬉しいのは事実だが、それ以上に自分が何をするかを選び、決断や選択が出来るのが喜ばしく誇らしい、という想いが彼女を突き動かすのだ
「せいばーらいおん・・・ぐらんど、せいばー・・・」
見た目は絶世の美女ではあるが、鋳造された年数からしてみれば実年齢は一桁な彼女が楽園に放り込まれた結果、どうなるかは語るまでもない。毎日を全身全霊にてはしゃぎ、楽しみ、そして電池が切れたように眠る。それこそが楽園にてアイリスフィールが行う生活リズムなのである。先程はマスター訓練にて大いに先輩風を吹かせ、今はその消費したエネルギーの充填の睡眠と言った処だ。本来なら、そんな彼女の邪魔をする者などいない筈だが・・・
「・・・・・・」
今回は、特殊なケースにて例外が起きる。『眠っています、用があるなら起こしてね♪』と掛けられていたメッセージボードに従い、一人の男性が彼女の下へと現れる
「・・・眠っているか。なら都合がいい。受け取るか否かの押し問答をしなくて済む」
赤いフードに白髪、黒肌の青年。彼は人に在らざる世界の、抑止の守護者──アサシンのサーヴァント、エミヤである。基本的に一人で休息やシミュレーションのテスターをしている彼ではあるが・・・此度は、誰かと関わる理由があるのだ
そっと、彼はアイリスフィールの傍らに何かを置いた。冷たく光り、熱き血潮を噴き出させる人類の効率的な障害排除の道具。それは・・・短機関銃、そしてその弾薬。重く、硬く、酷く冷たいもの。──ヒトの命を奪う道具だ
「一ヶ月前、アンタは僕に甘味をくれたな。それだけじゃなく・・・なんだかんだと、つきまとって世話を焼いてくる」
何か惹かれるものがあるのか、単にお節介なだけなのか。自分ならざる自分を、自分に重ねているのか。正直にいってどうしようもなく、止めてほしくはある。どう足掻いても、自分はまともな反応など出来ない。彼女の想い描く何者かは、自分とは全く無関係だ。それは彼女もわかっているだろう。彼女には、伴侶はいなかったと聞く
「その礼だ。といっても、アンタには無用の長物だろうが。・・・・・・」
・・・他に何かマシなものは無いかと考えはしたが、どれもこれもが似通ったプランでしか無かった。ナイフ、手榴弾、ランチャー、ライフル・・・
自分が選び取り、成し遂げてきたのは効率のいい掃除であり、駆除である。人並みに何かを喜ばせる事や、何をすれば誰が喜ぶのか。・・・それはもう、思い出せなかった。思い返しても、あるのは殺人という記録だけだ
「───」
・・・このマスターもそうだし、楽園にいる連中は皆、そうだ。困難に挑み、絶望を蹴散らし、誰の犠牲もなく最良の結果を掴む。掴むために駆け抜ける。犠牲など、容認する方が惰弱であり脆弱なのだとあの王様は笑って見せる。マスター・・・藤丸をはじめとした者達も目にする全てを救うという理想に、がむしゃらに突き進んで見せる
「・・・人理を守り、世界を救い、最良の結末を掴み取る。・・・それはまるで・・・」
言いかけた思考、発しかけた言葉を打ち消す。どこかで違えた、彼女達が言葉にするその存在と、自分は致命的に異なっている
大のために小を切り捨てる
「・・・アンタ達と僕は異なる存在だ。君達が想い描く正義の味方に、僕の名前は乗らないしそんな資格もない。・・・だが」
だが、その理想を非効率的だと断じることはできても、絵空事だ、夢物語だと切り捨てることもまた、今の自分に出来ない事もまた確かだ
もう景色も、声も、風景も思い出せないが。誰かが誰かに何かを聞かれ、笑ってしまうような答えを返した気がするから
『⬛⬛⬛はさ、どんな大人になりたいの?』
「アンタ達の奮闘も、茶化す気はない。──アンタ達は変わらず、自分達の理想を追えばいいさ」
完全無欠の結末。誰も犠牲にしない物語。そんなものは御都合主義の塊で、不条理で絵空事にしか過ぎないと思っていた。間違いや甘ったれた理想論だと思っていた
───目の前で、誰も欠けずに世界を救うという事実を提出されるその時までは。
「そんな奇跡や理想を見せられたとしても、僕の罪状は変わらない。この先ずっと、僕はそうやって戦うしか道はない」
今更犠牲にして来た命を無駄にし、宗旨替えなど出来る筈もない。楽園にいる汚れ仕事の請負人が、せめてこの物語の端役たる自分の役割なんだろう
・・・そんな自分が、未来に向かって進む彼女らにかけられる言葉があるとすれば。それは、こんな一言しかない
「・・・理想は輝かしいものばかりとは限らない。精々僕のような末路に至らないようにする事だ」
走り抜け、砕けた方が救われる事例も確かにある。挫けても、倒れても、目を背けてもいいのだ。それを支えてくれる誰かに頼ることが出来るなら
「・・・・・・」
だから──誰かを頼り、力を合わせ、掴みとればいい。子供が無垢に口にするような、煌めく結末ってヤツを
その道筋を阻害する障害を排除するのは、きっと自分の役目だから
「・・・それじゃあ、また」
それだけを告げ、そっと部屋を後にする。これは名も打ち捨てた鋼鉄がごとき守護者の、残滓のような人間性の発露であることを・・・
「・・・──、あら・・・?」
知るものは、ソレを受けとる者ただ一人だけであった
・・・だが、この報告には続きがある。それは楽園にいた彼が起こした、
「これ・・・本物かしら!?え、本格的サバゲーにアイリデビューしてしまうの!?」
人を殺す為だけの道具。本来なら、それを渡すだけで終わった筈の一幕に・・・
「早速赤フードのアサシンさんに使い方を習わなくちゃ!いえ、あの黒い坊主の方でもいいわね!でも大丈夫?本物で撃ったら・・・死んじゃわないかしら・・・あら?これは・・・!」
・・・その傍らに、不格好な一人の少女と、とあるマスターの見た目を象った人形が置かれていたという──
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