人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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──トライ。

──トライ。

──トライ、トライ、トライ。

さぁ、殺し合おう。戦おう、純度を高めよう。至れ、至れ、再現せよ。

あの戦いは、まだ決着がついていない。

再現して、再現して、再現して、その果てに、掴みとってみせる──



シッダールタ「はい、あなた!」

リッカ「はっ!」

「あなたは何者ですかな!」

「藤丸リッカ!日本出身です!!」

「そうですか、素晴らしい名前ですな!親が付けたのですかな!」

「親から個体名としてラベリングされました!自分の名前となったのは楽園に来てからです!」

「それは素晴らしいですな!引き続き最高最悪のマスターとして頑張ってもらいまするぞ!後ろを向いてくだされ!あなたは何者ですかな!」

ジーク「はっ!俺は、あぁいや私はジーク!サブカル大好きな邪竜端末だ!」

「何をしに世界の裏側へ!」

「はっ!とある約束を果たすため!デアリマス!」


アキレウス「何やってんだアレ」

ケイローン「鬼教官にしごかれる新兵ごっこ・・・だそうです。皆初対面と言いますが、ふふ・・・そうは見えませんね」

「推しのサーヴァントは誰ですかな!」

リッカ「はいっ!!ギルガメッシュ、じゃんぬ、マシュ、ギルガシャナ姫様と・・・!」

ジーク「はっ!アストルフォ、そして・・・聖女であります!」

「聖女とはどちらですかな!」

「殴ったりしない方であります!」


《──あぁ。そう言えば・・・麻婆を知らぬ聖女はそうであったな・・・》

──?

そして、数十分後・・・


ケイローン塾のトラウマ

『こほん、それでは僭越ながらワタシが号令を。・・・──きりーつ!』

 

「「「「(ガタッ)」」」」

 

『れーい!』

 

「「「「(ぺこり)」」」」

 

『ちゃくせーき!・・・これが話に聞く、学校生活のホームルーム!皆様、貴重な体験!ありがとうございます!』

 

作戦会議にて集合した一同に声をかける、ギルガメタブレットの中のミニガシャナ・ギルガメシア。正確には王の傍らにあるエアの魂の機微を解りやすく入力し表現したスピリットコミュニケーションツール、ジークと同じ端末のようなものである。ケイローンがリクエストし、王が十分で手掛けた時計塔講義部屋の再現ルームにて、起立し礼後着席する一同。其処には、再現されたサーヴァントなるアキレウスの姿も存在している。

 

「可愛い・・・かの姫君が、無垢から至尊に至った王の至宝か。ということは・・・人類の至宝だな、うん」

 

「覚者もニッコリでござるよ。かの生き方もまた真如なりと私の中のシッダールタが囁いているでござる。素晴らしきかな。悟り系美少女とは新しい・・・」

 

「なぁなぁ、そっちの俺が美少女の弟子を取ったって話本当かよ、詳しく聞かせてくれ!どうだ、俺はきっちり先生みたいな立派な教師にとぅはっ──!!」

 

「いけませんよ、アキレウス。講義中に無駄話はチョークが飛んでくると思いなさい。次から気を付けるように」

 

「投げてから言わないでください先生!おい、大丈夫かリッ・・・」

 

「(昏倒)」

 

「リッカー!?加減してくれよ先生ー!!」

 

「ふはは、いつか学園イベントも悪くは無かろうな!・・・で、だ。此度の戦いの勝算と概要を告げるがいい、講師」

 

王、ギルガメ校長に促されケイローンが語り始める。なんとサーヴァント一人一人に用意された私服に身を包みながらである。身嗜みにも、王は万全を期すのだ

 

「結論から言いますと、私達の勝算は七分から八分、御機嫌王が全力を出せば問題なく完勝が可能です」

 

「はい!知ってました!」

 

「12騎相手にして問題なく完勝とはまさに驚天動地に唯我独尊・・・!あ、ちなみに唯我独尊とは私が一番世の中にて尊いという意味ではなく、あらゆる命は天上天下にただ一つという意味ですな。決してイキッた訳では無いのです」

 

「フッ、当然よな。だが我は全てを我のみで解決するつもりは微塵も無い。貴様らの尽力にて結果が動く程度の助力しかせぬ事を弁えよ」

 

「自信に裏打ちされた絶対無敵の力か・・・男として憧れる。だが王にばかり頼ってはいられない。俺も知りうる限りの情報を開示しよう。敵のサーヴァントは──」

 

管理者の把握せし情報を、ジークは提示する。同時にシッダールタが解りやすく作ったペーパーサーヴァントを、ホワイトボードに張り付けていく

 

「黒の陣営・・・ジークフリート、ヴラド三世、アストルフォ、アヴィケブロン、フランケンシュタイン、ジャック・ザ・リッパー」

 

「では私が赤を伝えまする。モーさん、弓矢があたらんて氏、カルナさん、シェイクスピア、反逆マン、女帝の皆さんですな」

 

「ありがとうございます。リッカ殿、ついてこられていますか?」

 

「皆知ってるよ!楽園で皆生活してるから!スパさんとおシェイ以外!」

 

「然り。あの反逆の英霊も招かれているとは驚きだ。あの英霊をサーヴァントなどに喚べばどうなるか理解できようものだが。──フン、叙事詩唯一の尊き犠牲の精神、どの世界にも健在と言うことか」

 

『スパルタクスさん・・・あの時は本当に・・・』

 

それぞれの意見や所感が飛び交う中、ケイローンが告げる。この余りにも強固な戦力差を、王の不興を買わずに勝利する方法を

 

「知ること、知り尽くす事。それは何よりも素晴らしき武器であり優位性です。という訳で──『御機嫌王と姫に九騎を食い止めてもらっている間、私達が三騎のサーヴァントを仕留めます』」

 

ね?簡単でしょう?と笑顔なケイローン。うむ、容易き計算よなと頷く御機嫌王にいそいそと九騎を相手取る準備を始めるエア。誰がどう聞いても無茶ではあるが絶対に心配はないという確信がごちゃ混ぜになった感情に、ホムドラトリオが硬直する

 

「いやいやいやいや!ちょっと待てマジか!アイツら宝具使えるんだぞ!今度はアンタにも対策をしてくる筈だ、そんな無茶が二度もできるのかよ!?」

 

「?対策を取るならば好きにさせれば良かろう。たかが百や千や万の武具や戦術に対策を取った処で、無限に選別選出される我等の蹂躙を阻めるのならばな」

 

実際、12騎に使った武具は数万程度。それらを組み合わせ重ね合わせた戦法はねずみ算式に・・・はゴージャス的にばっちぃのでフォウ式に言い換えるが、とても把握しきれるものではない。対処されたならされたでそれらの宝具を引っ込め、新たなパターンを構築すれば良いだけの話なのだ。舞う桜吹雪の一枚一枚に丸を付け、操ると息巻くと同程度の愚かさであると王は雄弁に語り、それが実際に可能なのである。傍らには、財の管理を一任している姫がいるのだから。

 

「なんという米帝発言・・・!週間空母とかしていた頭おかしいリソースの暴力を感じるにござる、これが無敵か・・・!礼拝せねば。五体倒置でよろしいか?」

 

「あ、俺もやれるぞ。得意だ。──芋虫の真似」

 

「ブフフォッ・・・!!」

 

「えぇ、更にあちらは宝具を使う際の行動がまだあからさまです。宝具は切り札であると同時に弱点でもある。最強の切り札を『使えるようになったから出す』程度の倫理しか備わっていないのです。対処は必ず可能です」

 

「イモムシ。・・・つまり宝具の瞬間をフィールしろというわけか。逆に考えるんだ。撃たせちゃってもいいさと」

 

「いえそれは普通に不味いのですが・・・ともかく、リッカ殿やシッダールタ殿と違い、ジーク殿は夜までに宝具使用の瞬間を察知できる程度には鍛えましょう」

 

「庭園を拡張したついでにトレーニングルームも常設しておいた。訓練と鍛練に使うがいい。あの庭園はよい、荒らすには些か惜しい故な」

 

「・・・待てよ。夜まで、夜までと言うことは・・・」

 

明らかに早いペースにサイクル。あまりにも早すぎる期間。アキレウス、そしてリッカは少し考え・・・──瞬時に戦慄を走らせる

 

(まさか・・・まさかジークくんにまさか先生!そんな血も涙も無い・・・!?)

 

(突貫コースだ・・・絶対に突貫コースだ・・・!)

 

思い出し、鳥肌と身震いが止まらなくなる万能韋駄天と人類愛。その脅威のスケジューリングメニューとは──




アキレウス・幼少時代──

ケイローン「アキレウス・・・アキレウス・・・突貫最速で勇者になりたいとあなたは望みました。勇者になるのに必要なのは判断力と精神力です」

アキレウス八歳「はいセンセー!」

「この試練に耐え抜けば、あなたは必ず勇者になれます」

「なるー!」

「では、本日この瞬間から頑張って──『24時間私の攻撃を回避なさい』」

「え」

(そして、狭い洞窟で一方的に撃ちまくられる百本の矢。先生は言うんだ。『大丈夫!大丈夫ですよ!百本のうち十本の矢の軌道を変化させれば!自然と全部の矢が回避できます!その神速なら可能です!それにほら、鏃もついていないので当たっても凄く痛いだけ!』)

(たまらず叫んだぜ。堅実に!堅実にお願いします!ってな。そしたら──)

「なるほどなるほど。やはり私もその方が性に合っているようです。こういう教育はよろしくありませんしね。しかしあまりに時間が無いときの為、この教育方法にも磨きをかけましょう!」

~そしてそれはリッカにも──

ヘラクレス「我が愛弟子、リッカ。君は射殺す百頭を身に付けたいと言ったな?」

リッカ「はい!具体的には地獄の九所封じに昇華したいです!」

「よし、君の覚悟は受け取った。ならば──『私を九度殺してみせよ』」

「は、い?」

「勿論私も本気で立ち向かう。それを掻い潜り技の形になった時、私を殺したとカウントしよう。それを九度。よし、簡単だろう?」

「え、あ、いや、え──」

「案ずる事はない・・・『殺さなければ死ぬだけだ』。いつもはこんな荒療治はしないが・・・奥義を身に付けたいという君の熱意に応えよう!──行くぞ愛弟子!!⬛⬛⬛⬛⬛!!!

リッカ「ひぃいっ!?い、いやぁあぁあぁ!!こわいぃぃいぃーーー!!!」

・・・そうして猛り狂うヘラクレスに殴られ叩き伏せられぶちのめされ、リッカは涙も恐怖も乗り越える勇気と奥義を一週間かけて叩き込み乗り越えた。下着と服を汗と涙と血でぐちゃぐちゃにしながら行った。そのメニューはケイローン突貫コースといい、その時にヘラクレスが言った・・・

『案ずるなリッカ!恐れるなリッカ!今お前の目の前にいるのは英霊の武力の極致!私より『強き』者は存在せぬ!私を克服すれば、お前は全ての恐怖を乗り越えられる!!そして謝ろう!こんな急ピッチで本当に申し訳無い!!』

リッカ「だずげでぇえぇえ!!じんじゃぅうぅうーー!!!」



アキレウス「・・・ジーク」

リッカ「ジークくん・・・」

ジーク「?」

「・・・死ぬなよ・・・」

「死なないで・・・死なないでね・・・」

ジーク「・・・?あぁ、解った。必ず(次の夜も)乗り越えて見せる・・・」

シッダールタ「あっ、これは勘違いとすれ違いが・・・私は家事のち、瞑想があるので・・・」

ギル「く、っ、・・・く・・・」

──?王?

《案ずるな、此方の話よ。いやはや、戦士になる瞬間が楽しみよな・・・!》

フォウ(・・・丁度いい。リッカちゃんに教えようかな。プレシャスパワーの使い方・・・)







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