人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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皆様、待ちに待ったインド特異点は順調でしょうか?頑張って攻略しておりますでしょうか?自分は先程クリアして参りました!いやはや、相変わらず誰も彼もがカッコいいですね!カルナさん!カルナさんが!ウルク民でありながらインド村に礼拝するレベルでしたよ・・・

え?なんでこんなに早くクリアしたのかって?決まってるじゃないですか!小説更新の時間を取るためですよ!

皆さんは真似しないで、のんびりクリアしていってくださいね!ネタバレバッチコイですから御安心を!



楽園にて・・・

アヴィケブロン『ここは楽園、エデンと呼ぶにふさわしき場所だ。・・・だからこそ、いつか僕は作りたい。この楽園に相応しき、総てを救う事ができる素晴らしきゴーレム、我が至高の集大成を』

リッカ『アヴィ先生・・・』

『かの英雄神たる存在に、勝るとも劣らないゴーレムを、いつか。・・・それが願わくば、君や、楽園の皆の未来を切り拓く事を節に願おう。僕が楽園にてゴーレムを創る理由は、それだけだ。この志がある限り、僕は決して──道を、違うまい』


器を作り、魂を入れず

「おぉおぉおぉお──!!」

 

咆哮がごとき気合いをみなぎらせ、蒼き魔力を魔剣バルムンクより撃ち放ち勇猛果敢に飛び込む戦士が無数にもたらせるゴーレムを蹴散らしていく。遂に始まった聖杯大戦、リッカとジークが挑みしアヴィケブロン、その手足たるゴーレムに突進しジークフリートとなったジークがバルムンクにて蹴散らしているのだ

 

数は無数であり、一呼吸の内に無尽蔵に作られるゴーレム。見上げる程に巨大なもの、小柄で小回りが利くもの、腕力豪腕を誇るもの。素早く迅速なもの、アヴィケブロンを護るもの。多種多様であり現代では模倣すら叶わないほどの精緻にして精密な製造技術にて鋳造されたゴーレム。戦闘能力が無いアヴィケブロンの刃となり盾となり立ち塞がる壁であるそれらを、ジークは勇猛に突進、突撃を行い、竜殺しにして大英雄たるジークフリートの力を縦横無尽に掲げ、勇気を胸に邁進していく。

 

「ぬぅっ、ぐ!おおっ──!!」

 

ゴーレムの拳を受け止め、剣の波動で吹き飛ばす。背中に回らんとするゴーレムを素早く前面、真正面に捉え斬り飛ばす。無造作に掴んだゴーレムを振るい投げつけ巨大ゴーレムごと叩き伏せ、踏み飛ばし斬り伏せ進んでいく。防波堤がごときゴーレムの壁を少しずつ、少しずつ進んでいく

 

「背中は任せた、リッカ!俺の後ろを護ってくれ!」

 

【勿論!任された!!】

 

ジークの剣に対となるかの如くに、弓矢を放ち後方を守護する龍。リッカの援護と護衛は背中合わせだ。ジークフリートの唯一の弱点、菩提樹の葉分の背をぴったりと背中をくっつけカバーする。狙いを付けずとも、当てる意思が皆無であろうとも当たる月女神の弓矢が、降り注ぐ月の光のようにゴーレムを貫いていく。マスターであり、共に戦うリッカは冷静に、ゴーレムの傾向や動向をタブレットのミニガシャナより把握し聞き及び、対応しているのだ

 

『ゴーレム包囲網、アヴィケブロンの位置を更新。そちらの方角に直進を!パワータイプのゴーレム三体にご注意ください!』

 

「心から感謝する!駆け抜けるぞ!」

【おうっ!!】

 

この戦い、リッカは考えていた。──アヴィケブロン。ゴーレムとカバラの魔術師。そのゴーレムをいざ相手にした所感は・・・問題なく、勝つことが出来る、であった。戦力や、戦術の話ではない。今のアヴィケブロンの再現体としての状態を鑑みてのマスターとしての判断である。

 

楽園に招かれたアヴィケブロンと対話する際、彼女は彼の人となりを掴んでいた。彼は人間嫌いであり、交流を疎む素養をみせた。ゴーレム参考のアニメ資料を持っていくまで、作業しながら話していたくらいにはコミュニケーションを疎んでいた一面があったほどだ

 

彼のゴーレム製造技術には・・・とあるものが、決して外せないとあるものがある。それはアヴィケブロンがアヴィケブロンたりえる理念であり、夢であり、そして──意識なき再現体であるかのアヴィケブロンでは、決して再現が叶わないものであり、それを欠いたゴーレムがいくら立ちはだかろうと、決して負ける気がしていない程である。

 

現にジークの剣に砕かれ、リッカの弓矢に貫かれ、片端からゴーレムは破壊され、破棄されていく。それに対する対処と反応もあまりに杜撰であり機械的だ。単にステータスを突き詰めたスペック重視のゴーレムしか、目の前に現れない。爆破させるゴーレムや、四散し脚を取るゴーレムといったものは存在しない。ただ単純に、明快に、強いだけのゴーレムが立ち塞がるのみなのである

 

【ジーク!あそこにたくさん密集してる場所の向こうにアヴィケブロンがいるよ!】

 

「解った──進むぞ!」

 

戦法も殴る、押し潰すといったもののみの簡単な指令のみであり、協力や束縛といった難しい行動をゴーレムは取れない。ただ、その巨体と豪腕を活かす他の道が無いのだ。地力にて上回る相手に、成すすべなく砕かれるしかないとしても。『それを判断する理念と戦術構築理論は、再現されていないが故に』

 

【動き、全然固い!行けるよね、姫様!】

 

『はい!柔軟性と応用に著しく欠けています。再現体では、思考パターンに限界があるのでしょう!』

 

本来のアヴィケブロンならばどうするか。まずはジークを分断し、リッカに背中を護らせないようにさせるだろう。破壊した途端に爆裂し、痛烈なダメージを与える罠をしかけるだろう。脚を取り、トリモチ代わりのゴーレムを作るだろう。腕を埋め込ませ、剣を振るわせぬ為のゴーレムを作るだろう。弓矢の狙いをつけさせないための俊敏なゴーレムを作るだろう。──それらは全て、アヴィケブロンのゴーレム理論の構築あればこそだ。

 

『・・・・・・』

 

再現体にはそれがない。倒すためのゴーレムを投入し、砕かれたなら新たなるゴーレムを用意する。それだけだ。それだけしか出来ないのだ。宝具たるゴーレムの理念を欠いているアヴィケブロンには──それしか取る手段がないのだから

 

そう。彼だけは。彼だけは何をおいても再現するべきなのだ。その目的を、その理念を、その願いを。それがあって初めて、アヴィケブロンはアヴィケブロンたりえる強さを発揮するのだから

 

「!?あれは・・・!」

 

ゴーレムを一ヶ所に集め、再現体なるアヴィケブロンは『原初の人間たるゴーレム』を造らんとする。見上げる程に巨大なそれ。・・・それを現したのはただ、『発動の準備が整った』というだけに過ぎない理由であり、入念な準備も、上質な炉心も、狂おしいまでの情念も何一つ入っていないもの。魂が入っておらぬ空虚な理念の象徴なりしゴーレム・・・不完全なりしアダムたる存在だ。ただ、敵を排除するに相応しいという理由だけで鋳造されただけの宝具に過ぎない

 

「宝具か、巨大ゴーレム・・・!」

 

『同時に周囲のゴーレム、活性化!二人の周囲を取り囲む形になります!同時に巨大ゴーレムの掌、上空より接近!』

 

そこに理念の挟まらぬ単純な暴力の化身たるゴーレムがリッカらに迫り来る。──その空虚な救済に、二人は決して屈することはない。揺るぎ無い気高さと、気迫が途絶える事は無いのだから

 

「リッカ!ドラゴン二人だと言うならば、やることは一つだ!」

 

【おうっ!!──ファラオ闘法、『ドラゴンライダーキックポーズ』!】

 

素早くジークフリートが跳躍し、一瞬・・・十数秒限りのファヴニールの姿を取りアダムの掌を跳ね返し空中へと飛翔する。月夜の空に輝く、黒き邪竜が飛ぶと同時に──

 

【はぁあぁあぁぁっ・・・!!】

 

腕を前に突きだし、そのまま龍の顎がごとく振るい腰を落とし力を溜める。辺りのゴーレムをクレオパトラから託されたファラオ闘法により輝きと焔に変えた闘志にて一掃し吹き飛ばす

 

【とぉっ!!だぁあぁあぁーっ!!】

 

そのまま力の限り跳躍し空中にて身体を捻りながら回転させ、巨大ゴーレム・・・その背後に在りしアヴィケブロンに蹴りとして狙いを定め──

 

「ファイナルベントだ!ファヴニール・・・!」

 

【ライダァー!キィイィイィック!!】

 

ジークの顔の正面まで跳躍したリッカが一息に虹色と黒の粒子を放出し勢いをつけ蹴り込む。それを後押しするファヴニールの炎が、軌道上にいるゴーレム達を蹴散らし、彼が作り上げんとした最初の人間たる、『ケテル・マルクト』すら貫き──

 

『・・・・・・』

 

蒼き竜焔を纏いし飛び蹴りが、アヴィケブロンの霊核を粉々に砕く。蹴り飛ばされたアヴィケブロンは数十メートル近く吹き飛んでいき、黄金の粒子にほどけ跡形もなく霧散し、勝敗を決定着ける一撃を叩き込んだのだ

 

『アヴィケブロン、撃破!周囲のゴーレム、沈黙!お見事です!マスター、ジークくん!』

 

「ドラグレッダーのように上手く出来ただろうか。・・・打撃は本分じゃないと言っていたが全然そんな事は無いじゃないか、リッカ」

 

【ドラゴンライダーキックはハイパーバトルビデオ以外仕損じた事無いからね!タトバキックとは違うのです!】

 

・・・そう。かのゴーレムには、何も込められたものはない。ゴーレムとはカバラの術の一つ。彼がカバラに込めた理念は、目的は、決して単純に強力なだけのゴーレムを作るものではないのだ

 

【・・・あなたが目指したのは、そんなのじゃないよね。アヴィ先生】

 

・・・そう。彼が目指したのは『原初の人類を創造した、神の御業の再現』。この世の全ての悲しみを払い、地上に『楽園』をもたらす存在を創る。かつて、神がアダムを想像したように、完璧な人類を作り世界に救いをもたらすためにゴーレムを、カバラを探求していたのだ

 

『苦難に満ちた人類を、再びエデンの園へと導く偉大なる王』。それこそが、アヴィケブロンがゴーレムに注いだ夢、求める役割。それらに総てを捧げる理性、心、感情を再現しなかった時点で・・・

 

「──夜が、明ける。どうやらあちらも、終わったようだ」

 

【・・・ん!じゃ、帰ろっか!】

 

・・・リッカ達が負ける理由は、何処にも無かったのである。




ケイローン「お疲れ様でした、皆さん。首尾は上々の様ですね、大変良くできました」

アキレウス「派手にやったなお前ら!痛快に勝つって大事だからな、よくやった!こっちも問題ねぇ、喋る前に轢き潰してやったぜ!」

ミニガシャナ『こちらも戦闘終了、王の玉体に、掠り傷一つもついておりません。・・・──お疲れ様でした、皆さん!』

ジーク「あぁ。・・・無事に、帰れるな。シッダールタが待つ場所へ」

リッカ「ん!じゃあ皆、帰ろっか!・・・私達の基地へ!」

そして、ミレニア城塞にて・・・


リッカ「ただいまー!シッダールタ!帰ってきた、よ・・・」

シッダールタ「お帰りなさい。無事で何より。──そして、新たな奇縁にござるよ」

ジャック「──あ、お母さん!おかえりなさい!」

リッカ「ふぁ!?」

ジーク「なに・・・!?」

リッカらを待つ、新たなる仲間が朝の凱旋を彩るのであった──

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