むかしむかし、最も栄えていた都市に1人の少女がいました。
その少女の名はシドゥリ。女神イシュタルを土地神として崇める信心深い少女でした。
そんな彼女に応えるべく女神イシュタルは彼女の両親にあるお告げを与えました。
『今の時代アレよね。敢えてマッチとか売れば儲かる気がするわ!!私が加護を与えるから繁盛確実、貴方達は儲かってハッピーで私は供物が増えてハッピー…………やだ、これウィンウィンじゃない!神か!神だったわ!』
このお告げを聞いたシドゥリの両親はすぐさま私財を投げ打ってマッチの生産にあたりました。
工場を作り、販売ルートの確保とそれなりに順調に事業は進んでいたのですが、不慮の事故により両親は怪我をしてしまいました
そこから事業は失敗が続き、残ったのは大量のマッチの在庫と山のような借金でした。
このことに対して女神イシュタルは
『お、おかしいわね。加護はちゃんと与えた筈……………もしかして私与える加護を間違えた!?』
神の戯れで世界が滅びるのは日常茶飯事。嘆いているばかりではどうにもならない。シドゥリは籠にいっぱいのマッチを持って都市の中心部へと繰り出しました。
「マッチは………マッチはいりませんか?心温まるマッチはいりませんか?」
しかし、現実は非情なもの。幼気な少女が声を張り上げていようと見て見ぬ振りをする。
「この程度の売り上げじゃ今日のご飯だってままならない………なんとかしなくっちゃ」
自分の持ってる僅かばりの服やアクセサリーなどの財産を質屋に入れ、ボロボロの布を纏いながら雀の涙ばかりの銭を稼ぐ。
結局その日は思ったような売り上げは出せず、シドゥリは家に帰りました。
事業を失敗してからのシドゥリの両親はにイシュタルへの呪詛を吐くようになりました。
「信じる神を間違えたかもしれない」
「商才ゼロ神・・・」
このような状況になってもシドゥリはイシュタルへの信仰心は捨てていません。
「明日はきっと沢山売れる筈………イシュタル様が間違ってない事を私が証明しなくっちゃ………せめて私だけでも、どんなにダメでも信じなくちゃ・・・」
そんな呪詛ばかり吐く両親を尻目にシドゥリは次の日の為眠りにつきました。
明日への希望と信仰心を捨てぬ少女の枕元に一筋の淡く尊みに溢れた光が射します。
『こんなに頑張ってる子が報われないなんて駄目ラマッス。研鑽を忘れぬ汝に祝福があらん事を祈るラマッス』
シドゥリの目覚めはかつてないほどに良かった。とても変な夢ではあった。しかし、とても尊く慈しみにあふれた夢だった事だけは覚えていました。
しかし、いつまでも夢の事を考えていても仕方ないので準備を済ませ市場へ向かいます。
「マッチは……………マッチはいりませんか?」
「ほう?我に売り付ける品がその棒切れと?随分と愉快なものよな、松明の代わりにすらならぬものに己の生を懸けるとは」
彼女がマッチを差し出した相手は金に輝く衣を纏った王様でした。
誰もが平服し、恭順せずには居られない程の威厳を持った王。そんな王に平民が話しかけるのは不敬の極みなのです。
「存じています。しかし、我が家を救う為……何よりイシュタル様のお告げが間違っていない事を証明する為に一つでも多くの売り上げを出さなくてはなりません」
「よりにもよってイシュタルめか・・・それなりに同情するが不敬の免罪には足らぬ。万死に値すると知りながら、己が信仰に命を捧げると?」
「それにお答えする事は私には出来ません」
「何故だ?」
「いまの私にはマッチを売るという選択肢以外ありません。マッチの売りを持って家族を救い、イシュタル様への信仰が間違ってない事を証明する以外私に出来る事は無いからです」
「ふ──ははははは!!イシュタルめ、逃げ場を無くしてから殉教に走らせるとは邪神めいた事を!よい、その健気かつ命を惜しまぬ敬虔な姿勢が気に入った!イシュタルめにくれてやるには惜しい、そのマッチとやらの在庫を含め全て我に寄越すがいい!」
「は、はぁ………お買い上げありがとうございます」
自分の何に気に入ったのか分からない様子のシドゥリでしたが、マッチをラピスラズリの袋で買い取った王により一先ず借金を返す事に成功しました。
その後、シドゥリは王に呼び出されました。不敬による処断かと覚悟をして赴いたシドゥリでしたが──
「貴様に幾らばかりの資本をくれてやろう!その資本にて、市場の覇権を握ってみせよ!!」
「はい?」
「我を前にしても物怖じせぬ不遜さ、そして我の散歩ルートに陣取る場所取りの巧みさ、借金を返済しようと算段をつけ売り付ける頭脳、何よりそのような状況でもおぶ……イシュタルめを信仰する貴様を気に入った!故に貴様はこの我がいる都市の経済の一切を取り仕切らせてやるとしよう!あの駄女神を満足させたいならば、強欲に経済界のトップに立ってみせるがいい!」
どこまでもご機嫌に笑い飛ばす王にシドゥリは困惑しながらも了承しました。
その後のシドゥリは飛ぶ鳥を落とす勢いで市場を盛り上げていきました。目覚めた才能は市場だけに留まらず国の経済を動かす程にまで及びました。
彼女の飛び抜けた才能と尽くすその姿勢によって王の国はより豊かになっていきました。
どんな時でも研鑽する事を怠らなければ、その研鑽は必ず報われるのです。
ラマッス、ラマッス。
~
シッダールタ「・・・という、お話でござるよ」
ジャック「いいなぁ。わたしたちも王さまにロンドンに来てほしかったなぁ。ね、おとうさん」
シッダールタ「・・・ジャック殿、そのおとうさんはお止めくだされ、ほらその、リッカ殿をおかあさんと呼んでいる都合、夫婦めいた誤解を招くゆえに」
「違うの?おとうさんじゃないの?」
「然り。甲斐性無し故所帯を捨てた過去在りなため、縁起はよろしくなく。・・・そうでござるなぁ、呼ぶならば・・・」
「おにいさん?」
「それそれ。どうか私の事は、シッダールタおにいさんと呼んでくだされば──」
(絵を描いてくださる方、物語を書いてくださる方、全ての部員の皆様に感謝を!これからも、よろしくお願いいたします!)
「さて、夜も更けた事により新たな戦いが始まります。作戦の骨子自体は前回と同じ・・・三騎を誘導し、残りを王に任せ各個撃破。戦力も増えましたので、今回は先程より楽になる・・・、と善いのですが」
夜、城塞にて一同が介し作戦の確認のミーティングを図る。そんな中概要を説明するケイローンの歯切れが悪いことを察したアキレウスが、準備運動の狭間に問い掛ける
「んだよ先生、なんか不安があるのか?いいマスターにいいサーヴァントが揃ってるんだ、そうそう遅れは取らねぇ思うがね」
「それは勿論、こちらの戦力に不安はありません。・・・不安と言うより、懸念の話なのですが・・・」
『戦闘力と脅威度を再設定してみた結果をケイローンさんと話し合ったのですが、今回は先程の戦いよりもサーヴァント達が強くなっている可能性が懸念されているのです。具体的には・・・神性スキルが付与されているなどといった強化が相手方に』
げ、マジかよとアキレウスは呻く。狙い澄ましたようなメタっぷりに加え全体的な強さの上昇と来れば多少は警戒するのもやむなしだ。今回は自分の名誉ではなく全体としての戦いなので、歓喜に身を任せる訳にもいかないためである
『ですが予想外であれど想定外ではありません。強くなったのならその強さを上回る威光を示せばいいのです。それを王なら、皆様なら出来るとワタシは信じています!ファイト!ゴーゴー!ですよ!それでは、また後程!』
「いやはやあの御方が英雄姫、御機嫌王の手にせし至宝の姫君ですか!毅然としながらも愛らしい・・・一つソネットでも献上いたしますかな?」
「それは素晴らしい事にござる。しかしあの王に寄り添うだけあり豪胆さも充分。『敵が強くなったならそれより強くなればいいじゃない』とは。フランス王妃と仲良しと見ましたなぁ」
シェイクスピアは当然ながら戦わないので、その護衛にシッダールタがついている。万が一分断された時にシェイクスピアは余りにも儚く無力なので、シッダールタが護衛を申し出たのだ
「それではよろしくお願いいたしますぞ、シッダールタ殿!どうか吾輩の語りと利き腕を護っていただきたい!実況とかうるさかったら御容赦を!」
「いえいえ、こちらもたまには運動をしなくてはならないゆえに丁度よろしい。無事に朝日を迎え共に太陽礼拝でも致しましょう」
「頼む、シッダールタ。今回も俺とリッカは二人でダブルドラゴンで挑む。次はどんな蹴りを再現しようか」
「そだねー・・・ジーク君変形とかできる?ストライクエンドとかやってみたいよね!」
「じゃあ俺は駿足のアーチャー、麗しのアタランテを相手するぜ。脚の速さが自慢の狩人だ、同じ土俵で勝負するなら俺じゃねぇとな。・・・まぁなんとなく、それだけじゃない気もするんだが・・・」
「アヴィケブロンはゴーレムをありったけ私のフォローに。シェイクスピアはそうですね、御自分が面白そうだと思った側に強化付与を」
指示にしてはあまりに雑に聞こえるかも知れないが、シェイクスピアに関してはこれでいい。指示してもいないことを勝手にやられるよりは、指示自体を曖昧にし自由に任せきままにやらせる。それこそが作家の運用であると答えを出したのだ。作家とは、絶対に編集の思い通りになる存在ではないのだから
「了解了解!ならば当然リッカ殿らにつきましょう!本当なら王の大蹂躙劇にお付き合いしたかったのですが不要の一言であらばっさり!かーなしー!ただし勿論私は戦いませんので!シッダールタ氏に吾輩の命運全てを託しますぞ!」
「巧いな・・・」
「そりゃあ普通ならマスター戦わせてサーヴァントが実況とか何事ってなるよね・・・アンリマユとか言ってたもん。マスター介護とかそんなレベルじゃ私は聖杯戦争勝ち抜くとか無理って」
キアラや自分は例外として、本来サーヴァントはマスターの剣や盾であり、主を護る命運を託せし相棒なのだ。武具を投げ捨てて突撃する英雄や、武具を護る変わり者でもないかぎり、その関係は本来変わることのないものなのだが
「はい先生はい先生!わたしたちもおかあさんと一緒がいい!戦いたい!おちから、おかしします!」
「ジャックちゃん!!(ヒュドバァ)」
「レッドブル飲んだみたいになっているぞリッカ、落ちついてほしい。翼が生えている。そして草も生える。ワロス」
「うぅん、そうなると戦線に穴があいてしまいます。そうするとあなたのおかあさんにも迷惑がかかってしまうのですが・・・」
「ぶぅー・・・」
「まぁまぁジャック殿。あなたのおかあさんとジャック殿は離れていても親子。たくさん相手を解体して、良くできましたと誉めてもらおうではありませんか。ジャックはできる子、さつじんき!いやはや頭なでなで膝枕一緒にスヤスヤ楽しみですなぁ~」
「!もー、おにいさんがそういうならしょうがないな~!じゃあおかあさん、張り切って解体してくるね!」
(死ぬほど物騒な単語が聞こえたがスルーしておこう。スキンヘッド議員がごとき聴力を発揮するんだ)
「ジャックちゃん!!!(ヒュドバァアァ)」
「リッカ、なんか翼が増えている。牙狼の映画形態みたいになっているぞ」
和気藹々とした空気、心地よい空間に笑みをこぼしながら、アキレウスはリッカの背中を叩く。命運を託せる相手と認めたが故の、爽やかな激励と共に
「前回の戦い、惚れ惚れしたぜ。ヘラクレスの武力にアルテミスの祝福とはとんだギリシャの女傑がいたもんだ。それがマスターであるならば、俺は忠誠を誓うべきだろう。──別に何かをする必要はない。アンタはアンタらしく突き進め。その露払いを俺が、俺達がこなしてやるさ」
「ありがとうアキレウス!ところでアマゾネスの女王、ペンテシレイアって知ってる?」
「・・・・・・。・・・・・・・・・。・・・・・・・・・ハイ、シッテマス。え、嘘。まさか敵側にいるとかないよね?そしたら誓いで詰むんだけど。命差し出すんですけど」
「楽園にいるよ!ヒッポリュテもいるよ!残念だなぁ、もし楽園のサーヴァントが呼べたら一緒に戦えたのになー」
「ア、ウン。・・・アリガトウゴザイマス。マタノキカイニ・・・ハイ・・・・・・」
唐突に思いだし振られた話題はあまりにもトラウマクリティカル。己のたくさんのやらかしの一つをなんとなしに思い出され、始まる前から曇りまくるのであった──
アタランテ『・・・・・・』
アキレウス「まさか同郷と戦う羽目になるとはね。どうもオリュンポスの神々は、皮肉な運命ってヤツがお好きらしい。これだから、ゼウスのジジイらはアスクピレオスに嫌われんだよ」
『・・・・・・』
「・・・姐さん、と呼び慕いたいのが本音だが、今はそんな意思すら無いわけだ。後味悪い戦い、さっさと終わらせるとしようぜ、なぁ──!!」
フランケンシュタイン『・・・・・・』
ジャック「もうバラバラになってたの?変なのー」
ケイローン「フランケンシュタイン、その生い立ちを知れば必然でしょうが・・・くれぐれも、生存度外視の雷撃には気を付けましょうね」
アヴィケブロン「僕が望むのがアダムならば、彼女はイヴか。・・・出来損ないと笑う気などない。ヴィクターという男は、紛れもなく天才だったのだろう」
ケイローン「えぇ。では原初の花嫁を、取り戻すと致しましょうか」
スパルタクス『(ニッコリ)』
ジーク(滅茶苦茶笑顔だ・・・筋肉だ・・・)
リッカ(縁を結ぶため戦ってみよって言うけどさぁ!正直言ってすっごく怖いよねこの人!?)
スパルタクス『(ニッコリ)』
「・・・どうやら彼は傷つけば傷つく程力をつけるらしい。なるべく最大火力で攻め立てよう」
【うん!・・・】
『(ニッコリ)』
((めっちゃ怖い・・・))
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