リッカ「こことも御別れかぁ・・・せっかくギルがスイートルームにしてくれたのに・・・」
ジーク「キチンとベッドの下の本は回収したか?恥辱と性癖の詰まった空間は特に念入りにな」
リッカ「大丈夫!大丈夫だよそれは大丈夫!まぁ私純愛ものが好きだから最悪見られても・・・」
ジーク「ちなみに俺はおねショタや優しく先導されるシチュが好きだ。初々しさとやさしみがいい」
「ホムンクルスや邪竜になんて知識渡してるの聖杯・・・」
ジーク「ともかく、どうする?最後の晩餐をやっていこうか?」
リッカ「それはちょっと重すぎるから、腹ごしらえくらいに──」
アストルフォ「ピクニック!!」
モードレッド「やるかボケぇ!!意外と力強いなコイツ!?」
リッカ「何事!?」
アストルフォ「お腹空いてるよね!やろう!ピクニック!そゆことになった!ね!シッチャカメッチャカ君!」
シッダールタ「サーヴァントが集うのは珍しいため、とのこと。思い出作りに如何か、二人とも」
ジーク「ピクニック、か・・・」
リッカ「よし!やろう!」
ジーク「そういうと思った。よし、中庭に早速準備といくか」
モードレッド「待てよ!やるなんて別に」
フランケンシュタイン「ウー♪」
「篭落されやがったなテメー!」
そんなこんなで・・・
「それでは、簡易ピクニックを始めるといたしましょうぞ。サンドイッチは私とケイローン氏の手製にござる。どうぞ遠慮なく召し上がってくだされ」
アストルフォ、フランケンシュタインの要望により、全員集合にてピクニックが執り行われる事となったので、マットとバスケットをシッダールタが用意し一同にサンドイッチを配っていく。ここまでサーヴァントが集まることが珍しいために、力説のちにちょっと強引、とんとん拍子にスケジューリングが決定したのである
「いやしかし、全員が集うとは予想外だった。満足できないと何人かは辞退するものと思っていたんだけれど」
「ハッ、我等が材料を提供したのだ。サンドイッチとて至高無二よ。故に興味が惹かれるも仕方があるまい、何処であろうと口に運べぬ無二のサンドイッチと相成るのだからな!」
──はいフォウ、あーん
(あーん・・・もきゅもきゅ・・・美味しい!)
王がピクニックと聞き、即座に材料と空間を用意し場を整えたのも開催の大きな要因となった。空中庭園に対抗する基地が納屋では話にならんと改造改築を繰り返したついでにて、BGM機能やプラネタリウムだったりと至れりつくせりの空間にて、王らもまたのんびりサンドイッチを食らい鋭気を養っているのである。王も席に付く中、極上の食事に逆らえる道理はなく・・・
「おいアストルフォ、そっちの寄越せ。肉のないエッグサンドなんぞ食ってられるかうめぇ」
「もう食ってるじゃん!寄越せって言う前に手が伸びてるじゃん!事後承諾とかずるいぞー!」
「ゥー、ゥー♪」
騒がしく食べるもの達・・・
「サンドイッチ・・・・・・挟む。パンは圧制の象徴・・・?」
「だからといって中身だけを食べてはいけない。それこそパンに対する圧制だ。それはよくない」
サンドイッチの在り方を問い掛ける者・・・
「ふむ。イチゴにカスタード・・・。甘いな。子供が喜びそうだ」
「おいしー!すぐおいしー!すごくおいしー!」
「うんうん」
「イチゴって血の味だよね!どっちも甘いもん!」
「いや、ちょっと、かなり・・・違うからね・・・?」
「そうなの?ふーん」
本来の願いのままに振るまい、施す者・・・
「ふむ、戦闘糧食にはもってこいだな。一口で食べられ栄養バランスも取れている。・・・サーヴァントとなっては栄養は不要の筈だが、ついついそんな事を考えてしまうな」
「いいじゃねぇか。我が王は無表情でまずいもんもペロッと平らげてたしな。味なんか知らねーって感じでさ。ああいう効率主義よりゃマシだろ」
「・・・騎士は王の嗜好が解らぬ、か。アルトリアめが美食を望む心を殺し、滅私にて貧しい料理を平らげていたとは考えぬのか?」
「んな訳ねーだろ。父上なんかどんなに美味い飯食っても『ほう』の一言で済ませるだけさ!そんなバカな事があったらガウェインすり下ろしスペシャルを全部食ってもいい!」
──そんなっ・・・!約束された敗北の約束を結ぶなんて・・・!破滅の騎士の名に偽り無し・・・!
《────》
(おい止めろその愉悦顔!楽園のモードレッドは関係無いだろぅ!?)
《いやいや愉快よな。アルトリアの私生活を見せつけてやれば、どの様な反応をするのやら・・・》
サンドイッチ片手に談笑を続けるもの。多種多様な様相を見せるピクニックの一時は過ぎていく。そしてサンドイッチを作り上げたケイローン、シッダールタもまたのんびりと過ごしている。微笑ましい団欒を見つめながら。
「ケイローン先生にシッダールタが作ったんだよねこれ!いいなぁ・・・私もこんなに可愛いサンドイッチ作れるようになりたいなぁ・・・」
「すぐに出来るでござるよ。リッカ殿が全ての脅威を一掃した暁に、必ずや」
「気のなげぇ話だなぁオイ。・・・しかしクソ美味い。ムカつくぐらいなんでも出来んなこいつ」
「おうよ、俺の先生にやれない事はない。何しろ大賢者だからな!」
「・・・十字懸垂一時間とかできるか?」
「できるできる。片手一本指立て伏せとかも楽勝だぜ」
「悪代官の頭に載せたリンゴを矢で射抜けるか?」
「欠伸しながらいけるね。ついでに悪代官もズドンだぜ!」
「指を鳴らしただけで波ァ!みたいな事できる?出せる?」
「出せる出せる!もう何でもスパスパぶった切れる」
「アッセ」
「無呼吸全力でどの程度動けるのだろうか」
「相手が倒れるまでなら無限大だな!」
「おかあさんだったりする?」
「子育ては得意中の得意だ!」
「ウー?(雷で甦ったりできる?)」
「よくわからんがなんとかなる!」
「グッとガッツポーズしただけでサーヴァント倒せる?」
「屈伸しただけで地震が起きるね!」
「・・・適当は関心しませんよ、アキレウス。まぁ少しくらいならなんとかなりますが」
ケイローン伝説、何処までが少しくらいなのかが不明瞭だが少しくらいなら出来るという。ただそれは出来ると言うだけで、極みに至っているという事は無いのだという
「私は大抵の事を人並み以上にこなせますが、突出することはできません。走ればアキレウスとアタランテに負けるでしょう。筋力ではスパルタクスには勝てませんし、真理の答えを持ってもいません。マスターの様に極みに至っておらず英雄王のように無限の財を所持していない。専門的なもので皆さんに勝ることは恐らく不可能です」
「貴様ほど有名な射手などそうはおるまいと記憶しているが・・・知名度と腕前は異なると?」
「はい。例えば大地を引き裂いたとされる弓兵、アーラシュ・カマンガーには勝てません。私は教師なのです。何かの頂点に立つべきではありません。リッカ殿、貴女なら理解できる筈です。私の門下の教えを受けた貴女なら」
そう、ケイローン先生は誰かに教えることを至上とし、数多の英雄を産み出し送り出した。極みに至っていないから中途半端と言うものはどこにもいない。極みとは、奥義とは自らたどり着くもの。ケイローンが教えるのは、その道を半ばで終わらせない叡知であるのだから
「サーヴァントになってまで学ぶ事なんかあるかぁ?もう究極の一持ってんだから意味なくね?」
「そうとも限らんぞ?気紛れと戯れにしては最上の成果を出すというなら学ぶと言うも吝かではない。王専属の教師と言うものはいるものだ。現に我等は其奴から大抵の事を学んだのだからな」
「マジかよ!テメェが教わるとかあり得ねぇっつか想像できねぇ!」
「有り得るのだ、納得せよ。フッ、あらゆるものに価値と意味があるのだ。酔狂な真似も愉快であり痛快であるというものよな──」
──はい!もう絶対に今を生きる高校生には負けません!常日頃、武器の貯蔵が充分かダブルチェックしていますから!
(ううん、改めて聞くと意味不明だよねコイツの天敵!)
「サーヴァントでも学ぶ事があるのです。今を生きる貴女であるなら尚の事。日々を懸命に、楽しく鮮やかに過ごしてくだされ。いつかその生きざまを胸を張って聞かせる事が出来るように」
「うん!私はもっともっと魅力的になるぞー!目指せ!家庭を護れるお嫁さん!」
「リッカならきっとなれる。相手が見つかるか俺の待ち合わせが終わるか、勝負だ」
「よーし!負けないぞー!」
日が暮れるまで語り合いしサーヴァント達。例え記憶や記録に残らないとしても・・・
《フッ。──さて、あの覚者めはどの様に身を振るのか・・・見物よな》
──ジャンヌさんも来れたなら・・・あ、いえ、その。料理の腕前はまたの機会に・・・
(感動が微塵もない・・・!)
他ならぬ、楽園の王とマスターが覚えている。この、夢のような夢の一時を──
リッカ「あー、あとはじゃんぬがいたら完璧なのになぁ・・・デザート・・・恋しい」
ジーク「ジャンヌが?・・・デザート作りを、か?」
リッカ「うん!もうすっごく美味しいの!楽園カルデアで御客様がいない日はいないってくらい!近々月にも店を開くかもだって!凄いよね!」
ジーク「・・・そうか。そうか・・・そんな素敵な趣味を、見つけたんだな・・・」
リッカ「ジーク君やシッダールタ君もおいでよ、カルデア!きっと絶対楽しいよ!」
ジーク「・・・・・・あぁ。俺はともかく、必ず一人は行かせよう。絶対に楽しい。約束だ」
リッカ「うん!あぁ、もうすぐ夜かぁ・・・」
シッダールタ「ははは。それではスイーツの為、頑張るといたしましょうぞ」
ジーク「あぁ。・・・覚悟を、決めるとしよう」
・・・──そして夜となり。突入、数分前──
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