人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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スパルタクス「御機嫌なりし王よ。相談を」

ギル「む、なんだ?反逆が待ちきれず我に挑むか?」

エア(びくっ)

「そうではない。──私に、マスターを託してもらいたいのだ」

「・・・ほう?」

「必ず、送り届けると約束しよう。私の、魂に誓って」

ギル「・・・」


リッカ「じゃあ私が指示を出して皆をフォローすればいいんだね、オッケー!」

シッダールタ「ホムンクルスとして、頑張らせていただきますかな」

ジーク「俺、この戦いが」

「「それは止めようね!」」

「しょんぼり」


ギル「・・・──(ニヤリ)」

スパルタクス「(にっこり)」

──フォウ。笑顔が満ちていて素敵だね!

フォウ(そうだね!もうちょっと裏表や思惑のないような・・・キミの笑顔が一番だと、ずっとずっと思っているよ──!)

そんなこんなで・・・


飛翔、そして──

『どうやらマジで突入数分前と言った処か・・・全員、覚悟の準備はいいな!』

 

『クェー!』『ヒヒーン!』

 

夜、決戦の宵。大聖杯を取り戻すため、そしてこの戦いを終わらせるために空中庭園へと突撃する一同。邪竜、戦車、ヒポグリフ、飛行型ゴーレム、猪纏った女性、そしてヴィマーナより連なる連合が飛翔し戦いの場へと赴いている。高高度にて、いよいよ敵の本拠地に殴り込むのだ

 

「・・・この衣装、やけに派手なような・・・猪の主張も凄いしなんというか露出も・・・私としては通常の方が・・・」

 

「いやいや!全然問題ないと思うぜ俺は!すげぇいい!」

 

「懲りんな汝は。・・・まぁ飛べることは飛べる、良しとしよう」

 

「絵面がサーカスみたいだねこれ!シャルルドラゴンに乗りたがってたなぁそう言えば!」

 

「・・・大丈夫か、ヒポグリフ。重くないか」

 

『クェー』

 

「めっちゃ重いってさ!」

 

「だろうなー!」

 

「フン。バビロンの名を冠するだけあり中々の偉容よ。女帝と名乗るだけの事はある。虚栄であるのが珠に傷だが・・・」

 

庭園、との名乗りではあるが攻め込む者には正しく要塞と言う方が正しい。その圧倒的な巨大さに荘厳さはまさに圧巻。邪竜ですら小さく見えるそのサイズは、宝具の直撃すらも跳ね返すであろう様相を厳かに見せつけている。

 

『そろそろ交戦距離です。『十と一の黒棺(ティアムトゥム・ウームー)』の回避タイミングはこちらにて提出いたしますので各自対処を!──来ます!』

 

「ではゴーレムを楯に構築しよう。『我が身体は赤き盾』!」

 

「『この世ならざる幻魔』──次元回避!」

 

「それでは私も。『天輪聖王』・・・展開」

 

ミニガシャナの危機アラームと同時に展開される巨大なるゴーレムの肉壁、ヒポグリフの次元透過。そして──

 

『・・・これが、覚者の敵を倒す宝具・・・!』

 

シッダールタが展開せしは全長7㎞の全天包囲型超巨大光輪ビーム装置。座禅を組み瞑想するシッダールタが浮き上がり、セミラミスの庭園の防御システムの数倍の光の怒濤にて防御を実現していく。防御を主軸としておきながら、その規模は庭園の防御機構を上回る守護。これもまた、人類総てを救わんとする覚者の慈悲と決意の具現であるがゆえに打倒も勝利も困難を極めるのだ。シッダールタは瞑想に入り、話すことは叶わなくなるが・・・

 

「おぉすげぇすげぇ!ヘラの乳海よりも綺麗なんじゃねぇか?よっし、じゃあ俺らも行くか!」

 

『あ、なんか急に予言来ました。予言らしきものが』

 

「・・・──なんだクサントス、いきなり」

 

覚者の力の具現に瞠目する一同の中、駆け抜けんとしたアキレウスに割り入るように声を上げる一頭がある。──クサントス。アキレウスがポセイドンから賜りし神馬の一頭。不死身であり、唯一喋る馬である。性格はあまり良くはないが

 

『私思うんですが。ゴージャスが蹴散らした以外にアキレウス様とケイローン様が存在しなかったのは何故でしょう?』

 

「・・・それ、今重要な事か?」

 

『かなり』

 

「よし、重要なら喋れ」

 

『マスターならわかると思うんですが、高いんですよ二人のコストが。いや勿論ダブルセイバーやカルナ様も相当でしょうけど』

 

「コスト、とは?」

 

『ほら、戦略シミュゲーとかの単語です。強いユニットは当然生産コストも高くてですね。専用ツリー必須だったりそれなりにアンロックしなきゃいけないわけで。で、大聖杯の中で聖杯大戦のシミュレーションゲームを行っている相手はちょっとずつ、強いユニットの生産体制を整えたわけで。頑張りましたね花丸です。そんで空中庭園にそれを配備してるわけなら。暖めておく必要ありませんよね?大和や武蔵の投入タイミングここですよね?』

 

「・・・・・・アキレウス。向こうのアキレウスを封殺なさい。私は向こうの私を封殺します」

 

「いやいやハハハハそんなまさか。クサントスはたまにホラも吹きますから──」

 

その言葉が言い終わる前に、アキレウスの脇を超速の戦車が駆け抜け無数の矢が飛来する。味方陣営ではない機動力に狙撃力。間違いない──

 

「フン、賢しくも勝負処を心得ているではないか。蹴散らした以前より動きがよい、練磨を煮詰めたと見える!」

 

「大当たりの様ですね。あ、皆さん。私の宝具は予備動作とか予兆とか一切無いので狙われたら自分の幸運を信じて頑張ってください」

 

「・・・つまり諦めろと!我の知る限りギリシャ最高の射手の放たれた矢など避けきれるものか!カリュドーン死ぬ!」

 

『そこはかとない投げやりみを感じる。仕方無い。・・・一応訪ねるが姫君、対処は可能か?』

 

『因果率歪曲事象編纂宝具を選別します!五秒程耐え抜いていただければ!』

 

『出来るのか・・・!流石は王の至宝だな・・・!』

 

『いいえ、凄いのは王の蔵と財と王そのもの、そしてそれを作り上げる人類そのものです!』

 

「遂に我等激突!アッシリアの女帝、インドの大英雄、空中庭園にギリシャコンビ!こちらはゴージャスプレシャス姫タッグ率いる陣営!読めませんな行く末が!どちらが勝つのか楽しみですぞ!」

 

『いや、俺は負ける気はしていない。こちらに王と姫が、何よりシッダールタにリッカがいる限り・・・あれ?』

 

ヴィマーナをふと見ると、其処にいるはずの存在が、いるべき存在が影も形もない。逃げるなんて有り得ない。だが非常に嫌な予感がする。すごく、いやな予感が

 

『・・・王様、リッカは・・・』

 

「む?あぁ、ヤツならば預けたぞ。どうしてもと言う反逆者めにな」

 

預けた、とは・・・その言葉の意味を、彼は即座に理解することとなる。一方の視点に移ると──

 

 

「さ、て、と」

 

「ウ?」

 

「何をする気かだって?そりゃてめぇアレだよ。魔力放出でカッとぶんだよ」

 

「ウ?」

 

「自分が残った意味は?あぁ、高度が高度なだけにオレだけじゃバランスがな?だがお前さんもいんだろ」

 

「ウゥ!?」

 

「雷系だろ?お前さんの宝具。だったらアレだ。互いが互いを増幅させてガッカーンになるだろ!」

 

「ウゥウ・・・」

 

「心配すんな!届かなかったら地面にぶち当たるだけだ!さーて、鎧を脱いでブチ飛ぶとすっか!!」

 

フランケンシュタイン、懐疑と困惑の鳴き声しかあげていない。まぁそんな事を粗暴、強引、豪放磊落なモードレッドが気にする筈もなく──

 

「いち、に、の!!さぁんっ!!」

 

「ウゥウウゥウウゥウー!!」

 

赤き雷を撒き散らし、空気抵抗を捩じ伏せ真っ直ぐに、垂直に飛び上がっていくモードレッド、そしてフランケンシュタイン。手を離したら御陀仏なフランケンシュタイン、バイクみてーなもんだと笑うモードレッド。見る間に紅き星になる二人を見つめるコンビが、もう一組。

 

「覚悟を決めるのだマスター。これより行うは人類を産み出した星への感謝を込めし反逆。困難なれど踏破するに相応しき・・・重力への反逆である!」

 

【アーラシュフライト再び・・・!!何故私は担がれているのか、理解は出来ても納得を拒んでいる!!前例があるから出来ないとも言えない!】

 

「大丈夫だ、我等は平等、運命共同体。見えるかあの反逆の象徴が。他者を虐げる女帝の庭園。潰えさせねばならぬのだマスター。では──行くぞぉ!!」

 

マスターと共に行くと伝え、令呪の使用とコントロールの為にスパさんに背負われるリッカ。最早逃げることもチェンジも叶わぬ反逆の時。覚悟を決めたリッカと共に──

 

【『スパルタクスよ、空を飛んで!(もうどうにでもなーれ)』!!】

 

「雄雄雄雄雄雄みなぎる!!力が!反逆の咆哮が響く!!解放の時は──今!!雌伏の時は!この瞬間の為に!!」

 

スパルタクス、令呪の力を以て空を翔る。翔るという表現は些か不適切かもしれない。制動も無く、減速もなく停止もない。あらゆるコントロールを、この飛翔する筋肉は受け付けない。マッハを遥かに超越しながら、圧制の根幹へ向けて『放たれていく』。

 

 

【ほっわぁあぁあぁあぁあぁあぁぁああぁああぁあぁあぁあぁーーーーーーーーー!!!!!!】

 

「星は瞬き、風は優しく頬を撫でる!穏やかな営みは輝き人は幸福を噛み締める!おお見えるかマスター!この光景が!これこそが反逆の報酬、これこそが勝利の意味!これこそが!スパルタクスの望む全てである!!」

 

【あぁあぁあぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあーーーーーーー!!!!】

 

「感謝を!!ただひたすらにこの世の総てに感謝を!!そしてこの世界に在る圧制を全て打ち倒した時!私は君達の前に立とう──英雄王よ!!」

 

物理法則総てに反逆した彼は、彼等はその後即座に圧制の拠点へと辿り着く。総てを抜き去り、遠き過去として

 

そう、矢でもなく。鳥でもない。今この瞬間、スパルタクスはまさに・・・

 

「──反逆(とつげき)!!」

 

 

・・・──流れ行く、星となったのである。

 




カルナ「・・・」

ギル「ふははは!!貴様もようやく本領に近付いてきたという塩梅か、槍が先より重く鋭いではないか!だが無念よな、剥ぎ取るには鎧も槍も首も余りに軽いわ!!」

ミニガシャナ『皆さん!こちらには接近しないでください!巻き込みはしませんが危険です!』

アヴィケブロン「随分と強烈に再現されているな。イレギュラーたる存在にカスタマイズしたようだ。あのカルナは」

ジーク『何か手助けはできないか・・・!』

アヴィケブロン「確かにここで王を食い止められては些か良くない。・・・そうだな、例えば・・・」

更なる戦闘、否──財の研鑽における砥石の吟味に王が移ろうとした、その時だった

カルナ「・・・?」

モードレッド「どきやがれぇえぇえぇえぇ!!!」
フランケンシュタイン「ウ、ァアァアァアァアーーー!!」

フォウ(うわわわわわわ!!)

強烈に飛び込んできたモードレッド、そしてフランケンシュタイン。咄嗟にヴィマーナをバレルロールし回避したフォウ。反対に直撃したカルナは、きりもみ回転してぶっ飛ばされていく

ギル「トレイターか!チィ、目論みは愉快ではあるが狙いが話にならん!珍獣、でかしたぞ!」

フォウ(あっぶなぁい!ボクもパイロットが板に──)

スパルタクス「反逆!!!!」

フォウ(へ──?)

・・・それは因果か、起源か、或いは本能か別の要因か。再び超速にて飛来してきた『筋肉』に反応が一瞬後れ・・・

ミニガシャナ『ヴィ、ヴィマーナ!左翼粉砕!バランス維持困難!姿勢回復──ギル!フォウ!不時着します──!』

ギル「ふはははははははははははは!!魂の底から反逆の英雄であるか、スパルタクス!よもや我等の舟を落とすが貴様とはな!納得の因果よ!いかん!水を持て!腹が捩れるではないか!」

フォウ(言ってる場合かぁー!!)

ジーク『御機嫌王!姫君──!!』

アキレウス「嘘だろ、笑いながら落っこちちまった──!」

ヴィマーナを反逆の英雄(味方)に叩き落とされ味方に窮地に陥らされる。そんな意外で愉快なアクシデントに見回れた御機嫌王はより一層愉しげに笑いながら。──遥か地上へと墜落していった──

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