人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「・・・お菓子作りって、道具作成になるのかしら・・・」


改築王

「「「「「ムシュフシュが来るぞ――!!!」」」」」

 

 

シミュレーション、メソポタミアの平野にて。背より迫る無数の毒竜から職員たちが必死にダッシュで逃げおおせていた

 

「ふはははははは!そら逃げろ逃げろ!突き刺されば致死に至る毒針を抱えた竜どもだ!良くてショック死、悪ければ悶絶死だ!無酸素運動……有酸素運動であったか?まぁどちらでもよい!そらダッシュだダッシュ!」 

 

ギルギルマシンを駆りながら、職員たちに檄を飛ばしていく

 

 

「手加減してくれないかな王様!?いきなりダッシュメドレーとかさぁ!」

 

「していよう!バシュムが良かったか!?」

 

「竜なことに変わりは無いじゃないか――!!」

 

「不満を抜かすな!愛のムチだ!アイドルなどにうつつを抜かす貴様の性根をそれなりに鍛え直してくれる!」

 

「僕は屈しない!なにが起ころうとマギ☆マリへの愛を手放すもんか――!!」

 

「よくぞ吼えた!ならば潔く死ぬがいい――!!ちなみに、脱落した者達はそやつらのPCファイルを開示するぞ――!」

 

 

「うぉお皆ファイトだーーー!!!プライバシーを護れ――!!」

「「「「「うぉおおおぉお――!!」」」」」

 

 

気合いと共に、ムシュフシュからダッシュで逃げる職員たち

 

 

すると、脳に声が響き渡る

 

 

 

『ギルー、皆のリクエスト聞き終わったよ』

 

 

マスターの念話だ。

 

――彼女には、サーヴァント達の要望を纏めてもらっていた。具体的には、マイルームの要望だ

 

 

「うむ、よくやったぞマスター!我の手間が省けたわ!」

 

道筋を外れ、シミュレーションから離脱する

 

 

「我は席を外す!貴様ら、生き延びろよ――!!」

 

「もちろんだとも!秘密の画像ファイルを護るんだ――!!」

 

 

「「「「「うぉおおお!!」」」」」

 

 

――ファイトです、皆

 

 

 

 

――場所は代わり、マイルーム

 

 

「挙がるわ挙がるわリクエストが。アンケートとはそういうモノだが、数がたまればそれなりになるか。難儀なものよ」

 

分厚い冊子みたいになってるリクエストペーパーをパラパラとめくっていく

 

「ほんとにやるの?大分フリーダムだよ皆」

 

 

心配そうに聞くマスターに、鼻をならす

 

「当然だ。我がカルデアに招いた以上、棺桶のようなマイルームなど我が認めん。徹底的に改修してくれるわ」

 

――自分的にも、召喚に応じてくれた英雄に敬意を払いたい。望むところだ

 

 

「英雄どもの要望に耳を傾け、叶える。そして知るだろう。我の財の圧倒的な威を!ゴージャスたる我の真価を!」 

 

「実際のところは?」

 

「――我が楽しいからだ!フハハ、我はそろそろ改築王としても名乗りをあげてもよいのではないか!?」

 

――結局のところ、そこに行き着くのだ

 

自分の愉しみに繋がるから……この器は、誰かの望みを叶えているのだ

 

――自分は、ただ細やかに、よりよい生活を送ってほしいというだけにすぎないのだが

 

 

ー器が上機嫌に笑っていると、自分も気分が良くなるのは内緒だ

 

 

「では始めるか!――長いので、ダイジェストで晒していくぞ!文句を言うな、数が数だからな!」

 

「レッツゴー!!」

 

 

 

 

 

 

フランス組・ガラスの宮殿

 

 

「ありがとう、ゴージャス様!見てきた宮殿の中で一番素敵!」

「いやぁ、相変わらず君はメチャクチャだねぇ。どうだい一曲?」

 

「今はよい。要望が圧している故な。精々楽しむがよい!」

 

「貴方に、白百合の祝福を。英雄王」

 

「受け取っておいてやろう!」

 

 

 

 

 

鈴鹿御前・イケイケなJK部屋 

 

「マジ感謝だし!ギルギルマジブルジョワじゃん!ネイル塗ったげよっか?」

 

「いらん!貴様の宇宙言語は理解できん!」

 

「宇宙言語じゃないし!ギャル言語だし!」

 

「ギロッポンでグーフー、ザギンでシースーもギャルか?」

 

「それ死語じゃん?」

 

 

 

ネロ・ブライド ヌプティアエ

 

 

「教会だな?教会でよいのだな?」

 

「もちろんよい!いつか余と、マスターが歩くヴァージンロード……!祝福して、よいのだぞ?」

「――貴様も届かぬ理想に手を伸ばすか。御祝儀くらいは包んでやろう」

 

「いいやつではないか金ぴか~!余はうれしーい!」

「寄るな!我はセイバーしか愛さぬわ!」

 

 

ジークフリート すまない

 

「なんだすまないとは!どんな要望だ!」

「思い付かなかったんだ……ニュートラルで構わない……」

「無欲なヤツめ!紛らわしいわ!」

「すまない……」

 

 

ヒロインX ユニヴァースルーム

 

「リクエスト用紙に書かれた通りですね。ナイスパトロンなのです、コスモギルガメス」

 

「次だ」

 

「あの、ちょっと。珍しいレアなアルトリアとの語らいですよ!?なんですかその塩対応は!?」

 

「次だ」

 

「現実逃避ですか金ぴか――!!」

 

 

アーラシュ 屋台

 

 

「すまねぇな。わざわざ拵えてもらってよ」

 

「こんな掘っ立て小屋で良かったのか?勇者よ」

 

「いいんだ。素朴な赴きが一番だからな。飲むかい?ビール」

「麦酒か?……いや、違ったか?まぁ、どれでもよいか」

 

 

 

アタランテ 草原と家屋

 

「……あの二人の子供とは離れ部屋か」

 

「当然であろうが」

 

「たまに、招くとか」

 

「好きにするのだな。……合意の上でだぞ」

 

 

ロビン・フッド 森林の隠れ家

 

 

「ネズミらしい場所よな。精々隠れ棲め」

 

「へいへい。こんなネズミにまでマメなこって」

 

「入口にネズミ取りを仕掛けておく」

 

「止めてもらえませんかねぇ!?」

 

 

カルナ 小さな小屋

 

「感謝する、英雄王」

 

「なんだ、施してばかりで望みが無いのか?清貧の化身めが」

 

「いや。――オレはこれでいい。感謝する」

 

「まぁ、貴様がよいなら我はよい。後で不満を漏らすなよ」

 

「あぁ」

 

 

レオニダス 事務室

 

「感謝いたします!これにて、肉!更に!計算が捗ります!!」

 

「器機を壊すなよ。タイピングは可能だな?」

 

「無論!たぎってきたぞぉお――――!!早速、ソフトウェアを……」

 

「励め。次!」

 

 

クー・フーリン 犬小屋

 

「ざっけんなよテメェ!!」

 

「ははは、気に食わぬか?やはり鉄格子がいるか?」

 

「そういう問題じゃねぇよ!?」

 

「案ずるな。中に入れば気に入ろう。貴様はどうせシミュレーション漬けだから家などこれでよかろう。餌もあるぞ?」

 

「テメェマジ覚えとけよ――!!」

 

 

マルタ・ジャンヌ・金時 ハレルヤ協会スポーツジム

 

「神を讃え、さらに身体も健やかになる!祈り、それは鍛練!さぁ皆さん、祈りを届けましょう!」

「……祈りとか、ハレルヤは、殴りかかるアレじゃないっての……何がどうしてこうなったの!?」

「へ、部屋は分けてくれよな!後生だぜキング!」

 

「協会の一室を使うがよい」

 

「キング――!!」

 

 

 

メドゥーサ 形のない島

 

 

「……感謝します。英雄王」

 

「所詮投影ではあるがな。――いつか、姉妹と昔話に華を咲かせるがよい」

 

「――はい」

 

 

 

ナーサリー・ジャック 洋館

 

「御茶会の場所にふさわしいのだわ!」

「ここが、おうち?」

 

「マスターを呼び、適当に戯れよ。――我も気が向いたら足を運ぶ」

 

「わぁい!ありがとう、おーさま!」

「早速、お茶をしましょう?」

 

「すまんな。我はやることがまだある」

 

 

メディア 工房

 

 

「我が手を出すまでも無いな。そら、肉達磨を連れてきてやったぞ」

「⬛⬛⬛⬛⬛」

 

「特に理由のない嫌がらせはやめてくださる!?」

 

「仲良くするがよい。同郷であろうが」

 

 

エミヤ(アサシン) 個室

 

「僕にはこれでいい。――気持ちだけ、貰っておく」

 

「……ふん。つまらぬ男よ」

 

「同感だ」

 

 

ハサン 素朴な洋室

 

「私はこれで。清貧を旨とする山の翁ゆえ、過度な贅沢は無用」

 

「砂虫らしい慎ましさよな。我では一日と持たんだろう」

 

「――影に潜む者にも、耳を傾けてくださり、感謝いたしますぞ。英雄王。召喚時の暴言、御許しを」

 

「――いちいち虫の羽音など気にしておらぬわ。たわけめ」

 

 

 

土方 屯所

 

「わざわざ作るとはな。豪気なもんだ」

 

「ここが新撰組とはよくほざいた。精々此処をねぐらにするがよい」 

 

「礼を言う」

 

「あぁ、沖田めが、俳句とやらをしたためる部屋を追加しろと言っていたので付け足しておいたぞ」

 

「――――アイツは後で腹ァ斬らせる」

 

 

 

清姫 武家屋敷

 

「ありがとうございます。あの、ますたぁとの相部屋という話は……」

 

「合意の書類を提出せよ。でなければ認めぬ」

 

「そんな……」

 

「あぁ、偽装は認めぬからな」

 

 

 

ジャンヌ・オルタ マスターとのマイルーム

 

 

「なんで!?ねぇなんで!?」

 

「いや(笑)貴様にはマスターしか(笑)おらぬだろうが?(笑)」

 

「よろしく!ジャンヌオルタ!」

 

「ふざけんな――!!あっ、ちょっと力強い……――はなして――!!」

 

 

 

 

 

 

 

「大体、要望は、叶えたか……」

 

ふらふらと、マイルームに戻る器

 

 

「少し、はしゃぎすぎたか……我ながら、働いたものよ……」

 

扉を開けると

 

「お疲れさまでした、英雄王」

 

「君は働くなぁ。無理しないでくれよ?過労死、嫌なんだろ?」

オルガマリーとロマンが、座って迎えてくれた

 

 

「ほら、僕の秘蔵の饅頭をあげるからさ」

 

「私からも、手製のクッキーを」

 

「――せめて、金箔は塗らぬか、たわけめ……」

 

 

一日働く王様に、ようやく平穏がもたらされましたとさ




――お疲れ様でした。英雄王

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