人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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じゃんぬ(リッカが目覚めるみたい。朝の目覚めのヨーグルトゼリーなんてどうかしら?あ、確かグドーシもいるのよね。顔とか書いちゃう?書いちゃおうかしら・・・)

ジャンヌ「お姉ちゃんですよ!!」

じゃんぬ「輪にかけて頭のおかしいのが来た──!?何よアンタ!私に姉なんていないわよ!!」

ジャンヌ「大丈夫、最初は皆そう言います!いきますよオルタ、せーの!」

じゃんぬ「は・・・!?」

ジャンヌ「はい!はい!はい!はい!はい!はい!私が!私が!私が!私が!私が!私が!」

じゃんぬ「!?!?」

「私がお姉ちゃん私がお姉ちゃん私がお姉ちゃん私がお姉ちゃん私がお姉ちゃん私がお姉ちゃん私がお姉ちゃん私がお姉ちゃん(精神汚染(姉)A+++&あーぱー(EX))──!!!」

じゃんぬ「・・・──」

ジャンヌ「どうですか?」

じゃんぬ「なんだかお姉ちゃんがいたような気がしてきたわ」

ジャンヌ「やりました!!じゃあ一緒にスイーツを作りましょう!」

「いえ、それは嫌(パティシエEX)」

ジャンヌ「そんなぁ!?」





ジーク(共有管理者として大聖杯を持ってきたが、壊れているとはいえ願いが告げられている大聖杯だ。万が一でも起きたらまずい。大丈夫だろうか・・・)

メディア「受理されている願いをカットしましょう。そして術式をニュートラルにしながら修復を繰り返し、手付かずの状態にするの。次元遮断にて異空間に保管が望ましいわね。天の聖杯の二人に話をつけておくから、今の状態を組んでいただけて?」

ロマン「了解。心配だから片手を使おうかな。んー、マリスビリーと戦った時を思い出すなぁ。霊脈と令呪、聖杯を手に入れてから相手を脱落させていったっけ・・・」

メディア「対魔力とかからして対等の戦争では無いのだもの。ルール無用のクラッキングも詮無き事よね?」

ロマン「それそれ!異空間かぁ・・・ギルの宝物庫に頼もうかなぁ・・・」

ジーク(全然大丈夫だった)


ハッピー・ラッキー・エピローグ!

「ん、───あ」

 

眠りより、長き眠りより目覚めたリッカが寝台より身体を起こす。瞼をこすり、辺りを見回す。見慣れた純白の部屋に、寝室。彼が残してくれた部屋の再現、思い出の寝室にして楽園における自分の部屋

 

「・・・夢・・・だったのかな・・・」

 

甘い珈琲の匂いで意識が戻り始める。なんだか不思議な世界に行って、戦って。とても得難いものを貰って。あっという間に駆け抜けた日々が、なんだか遠い過去のようで

 

「グドーシ・・・ジーク。・・・もしかして、本当に夢・・・?」

 

あまりに素敵すぎて、あまりに奇跡すぎて、ひょっとしたら全部、自分が夢見た妄想なのかも、なんて結末も覚悟するほどに得難い時間であった事を噛み締め、立ち上がり。ふらふらぼんやりとしたまま、部屋の扉を開けリビングに向かうリッカを、確かな楽園の奇跡が出迎える

 

「おや、お目覚めですかなリッカ殿。おはようございまする。今日は外の吹雪も止み、南極の山脈や時間神殿が良く見えるでござるよ」

 

待ちわびた、いつまでも耳に残っていた最高の親友が、エドモンが淹れた珈琲に自分好みの香りのハーブ、音楽をセッティングしてくれている。男性として完璧な均整の美貌を除き、中学の絶望の最中に過ごしていた日々の続きのように行われるそれは、まさに──

 

「夢じゃ、無かった・・・!!グドーシだぁー!!グドーシぃー!!おはよぉー!!」

 

「ははは、元気があって大変よろしい。朝の珈琲を淹れてくださったエドモン氏に感謝し、モーニングランチをいただきましょうぞ。のんびりしたいところではありますが、これから挨拶回りがあります故に」

 

変わりに変わり、逞しくなったりイケメンになったりしたけれど、かつての感覚はなんら変わりなく。リッカをグドーシがもてなし、緩やかな時間を過ごす。アニメの見すぎで夜になり、安全の為にリッカを宿泊させたあの時のように

 

「うん!行こう行こう!やろう一緒に!じゃあ食べよ!いただきまぁす!!」

 

「まずは歯をきちんと磨かねばなりませぬぞ、リッカ殿。安心なされ、拙者も料理も、何処にも行かぬゆえに」

 

「うん、うん!任せてグドーシ!一杯食べたら、楽園片っ端から案内するから──!」

 

世界を救いしリッカに与えられた、最高の報酬が此処にある。彼女が夢に思い描き続けた理想の成就を噛み締めながら、涙を拭い洗面所に引っ込むリッカであった。それがリッカとグドーシ、そしてジークの新たな日の始まり──

 

 

そうして新たに楽園に招かれた二人と、御三家の悲願である大聖杯の楽園参加には、様々な声を呼び大きな衝撃を巻き起こした。何しろリッカの人生を大いに変革した存在である。挨拶回りにも大変な波乱を呼ぶは当然である。

 

「リッカ殿の親友をさせていただいております、グドーシと申す者なり。何卒これよりもリッカ殿をどうか愛していただければ拙者が望むものは何もございませぬ故」

 

「もー!そんなに固くならなくても大丈夫だよグドーシ!彼、中学時代からの私の親友!よろしくね!」

 

リッカの過去より歩んできた男性という事で、リッカの婿戦争に遂に終止符が・・・!という声も上がりはしたものの、それは即座に鎮静することとなる。グドーシとリッカの印象は、男女の関係ではなく気心の知れた親子、あるいは兄弟であったのだ。グドーシが紹介された際に告げた言葉は一様に、『リッカをこれからもよろしく』という願いと請願であり、独占、宣誓などでは無かったのも拍車をかけた。

 

 

「まぁ!あなた様がリッカの・・・!えぇ、えぇ!リッカの母として心からお礼を申します!一番辛い時のリッカに、よくぞ寄り添ってくださいました・・・!」

 

頼光・・・

 

 

「・・・貴方は、無害です。マスターの事をよろしくお願いいたします。それと、マスターへの私の想いを、聞いていただければ・・・」

 

静謐・・・

 

 

「拙者はリッカ殿の争奪戦を見守るのみ。NTRは本の中だけの出来事にござるよ」

 

「信じます、グドーシ様。どうか私とますたぁの仲を応援してくださいね♪」

 

清姫ですら、リッカの隣に彼がいることをごく自然と認めたように

 

「皆様、よき人々・・・素晴らしき英雄で感激にござるよ。リッカ殿は素晴らしき場所に招かれましたな、ははは」

 

「とぼけちゃって~。呼んでくれたのはグドーシでしょ!」

 

「おや、これは確かに。一本取られましたなぁ」

 

皆一様に、彼の存在を受け入れた。リッカの中学の頃の話や、過ごしていた期間、鋳造された年数や様々な事を返答しながら、グドーシは楽園の皆に挨拶回りを続けていく。紡いだ縁を、愛を確かめるように

 

そしてその中でも、最も感涙し感動し、涙を流し続けた者がいる。それは何よりも、誰よりも二人の営みを見詰めた、一人の神であった。

 

「グドーシさぁあぁあぁあん・・・!また、またリッカさんと出逢えて本当に良かったですぅうぅ・・・!!リッカさんも本当に良く頑張りました愛しますぅ・・・!!」

 

愛の神、カーマ。人類悪たる魔王から、二人の力によって倒された元ビースト、現インドの常識枠。永らく、大変永らく見続けていた、もう見れないと思っていた二人の再会に恥も外観もなく嬉し涙にて祝福を捧げ続ける。

 

「善なる誘惑、そして懇願にまことに感謝を。そなたの誘惑を退けられたからこそ、拙者はかのセイヴァーに見初められたのですが故に」

 

「ぐすっ、ぐすっ・・・まさかグドーシさんがあの方に選ばれるなんて・・・不思議はないです、そんな確信は確かにありました。でも、でも・・・本当に良かった・・・」

 

「カーマが私達を見ていてくれたお陰だよ!ありがとう、カーマ!弓矢もあるし、カーマは愛のキューピッド神だね!」

 

「私が、二人のキューピッド・・・!?──畏れ多いですぅ!でも凄く光栄だから否定しませぇん・・・!もう離れないでください~!一緒にずっといてください~!」

 

「えぇ、勿論。リッカ殿が素敵な伴侶を見つけ、子や孫を成す日まで傍におりますとも。その日を目指し、日々精進でござるよリッカ殿」

 

「うんっ!グドーシや皆に恥ずかしくないような女の子に、いつかママになってみせる!」

 

(近しい立場であるが故に男女の関係から更に進んだ熟年の夫婦感・・・!互いを求め貪らない渇愛とは無縁のプラトニックカップル・・・!あぁ、サンサーラ・カーマ・・・カーマ・サンモーハナ・・・!リッグド尊すぎです・・・)

 

「そんな訳で!これからもずっとよろしくね、カーマ!私達の、愛の女神様!」

 

「土壇場になれば、リッカ殿を想いながら弓矢を放ってみてくだされ。必ずや、リッカ殿に相応しき殿方を射抜きましょうぞ」

 

「・・・えぇ、そうですね。その時の為のタキシードも新郎服も、もう用意してあるんですよ?」

 

「それは準備がいい。56億4000万・・・新たな弥勒菩薩が産まれるまでに、リッカ殿の生涯のパートナーが見つかると良いですなぁ」

 

のほほんとリッカの隣にて目を細めるグドーシに、呆れたように笑いかけるカーマ。──悟りと言うものは七欲の遮断。当然のようにただ人の在り方を説くグドーシに、愛の女神は笑う

 

(もう、馬鹿ですね。私がリッカさんやグドーシさんの為に矢を使うのだとしたら・・・そんなの、互いの相手は決まっているじゃないですか)

 

「?どったのカーマ?」

 

「もしやブッダパワーで知らず内に消滅を・・・?いかんでござる、お腹に力を入れるでござるよ」

 

そう、自分が唯一ずっと見ていたいという愛の形は、一つしかない。求めない、すがらない。でも確かに互いと互いが深く結び付いた、双翼がごとき愛のカタチ

 

「なんでもありませんよ。ほら、まだやることはあるでしょう?サボったり怠けるなんて、あなたたちには似合いませんよ」

 

「そうであった。それでは向かいましょう、リッカ殿」

 

「うん!ありがとう!カーマ!」

 

「此方こそです。どうか──二度と、離れませんように」

 

無邪気な子供のように駆けていくリッカと、にこやかに手を引かれていくグドーシの姿を、優しく微笑みながら見守るカーマ

 

「おうち、毎日手入れしていますから。いつでも帰ってみてくださいね。リッカさんや、皆と一緒に・・・」

 

自分が信じ、自分が愛したカタチが再び此処に現れる。そんな得難い奇跡に、再びカーマの心は満ちたり、癒される。そんな彼女の心は──

 

 

「はい、カルデア職員の登録は完了したわ。これからよろしくね、グドーシ君」

 

「感謝を、オルガマリー殿にカルデア諸兄。これより拙者はカラリパヤットやヨガ教室、素敵な入滅講座や誰でも出来る苦行、入滅入門を開催する故──」

 

「あーぶどう酒クン。君が偉い、ありがたーい存在として認めざるを得ないのは確かだがあえて言わせてもらうよ?所長補佐としてね?」

 

「なんなりと、ゴルドドライブ所長補佐」

 

「それ誉めてないよね!?・・・ほら!?」

 

「じ~・・・・・・」

 

「後ろに!後ろにいるよ!見守り隊なんてプラ下げてるしあの神霊!おちおちごはんも食べれないからなんとかしたまえ!」

 

「成る程、ではこれにてどうでござろう?」

 

「あ!おんぶ!」

 

「これで何憂う事なく一緒でござるよ、カーマ殿。・・・カーマ殿?」

 

「(ラブ&ピースのサインのまま炎になって焼失)」

 

「カーマがフォウくんや私みたいになってるー!?」

 

 

若干以上に躍りながら、再び出逢えた二人を祝福し続けるのであった。二人だけの、愛の女神として。

 

(ずっとずっと、二人が一緒にいられますように・・・──)

 

──愛の女神の、細やかな祈りを。数奇な運命の二人に捧げながら──




ジーク「・・・・・・」

『ぐつぐつ麻婆』

姉を名乗るあーぱー「まずはジーク君に、腕によりをかけて作った自信作をどうぞ!美味しいですよ、美味しいですよ!大事なので二回言いました!」

「赤いな・・・真っ赤だな・・・」

「辛くなくては麻婆ではありませんから!」

(これが楽園の歓待か・・・しかしジャンヌお姉ちゃんが作ってくれた料理だ、無駄にするわけにはいかない)

「さぁ、召し上がれ!」

(これを残せば、お姉ちゃんは哀しむ!そんな当たり前の現実から目を背けるな!──燃えろ!俺の竜告令呪!!)


ジーク「──令呪をもって我が肉体に命ずる!我が食卓に完食の輝きを!!──うおぉおぉおぉおぉお・・・──!!(パクッ)」

ジャンヌ「・・・どう、ですか?」

ジーク「──美味しい・・・!ピリッと辛く、しかしレンゲを動かしたくなる熱さ、かっこみたくなる量!・・・話に聞いていたのとは大分違うが・・・」

「お姉ちゃんも紅先生のところで修行したのです!ジーク君は味覚が薄いと言うので、リハビリを兼ねた辛口麻婆を!」

「・・・あぁ、君は変な子になったと思ったけど。根底は変わらない、聖女だったんだな──」

「お姉ちゃんですから!ささ、たくさんどうぞ!リッカちゃんやグドーシくんも呼びましょうね!」

「あぁ!リッカ、グドーシ。お姉ちゃんは凄いぞ!最高だ──!」

ジークがほふほふ、お姉ちゃんの麻婆を堪能している頃・・・


『金の陣営のリーダーとして大変お疲れ様でした!ゴージャス専用、魔力回復、スーパータルタロス・ゲヘナムスペルヘイム麻婆を召し上がってくださいね! あなたのジャンヌより!』

【文 字 に す ら 出 来 な い 真 紅 の 麻 婆】

ギルガメッシュ《・・・・・・・・・・・・》

──・・・・・・・・・・・・

フォウ(二人が・・・!二人が巨人に食われる五秒前の兵士みたいな表情を・・・!!)

《・・・エア》

──はい。

《苦労をかける。本当に、すまんな(レンゲを持ちながら)》

──言わない約束ですよ、ギル。ワタシは何があろうと、ギルに寄り添います。(フォウをそっと下ろしながら)

フォウ(待って!待つんだエア!まるごしフォウくんを!まるごし──!)

ギル《見るがいい!!これが愉悦と軽薄な失言の代償よ!だが逃げぬ!ゴージャスに後退(バックステップ)の選択は無いのだ──!!》

──いただきます(プレシャススマイル)

フォウ(エア──!!!!)

その後、王のためだけに作られた食べたら全回復であるエリクサー麻婆の筆舌に尽くしがたい辛さにおのれおのれ過去の愚かな我めと悶絶しながら完食し、エアは感謝にて苦痛を捩じ伏せやっぱり食べ抜き──

エルキドゥ「はふっ、はふっ。辛いね、これ」

後はエルキドゥに総てを託し、王と姫は霊基休眠(強制)へと入るのであった──

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