アナスタシア「何かしら、ニュートラルカドック」
カドック「変なあだ名をつけないでくれ・・・。カルデアのマスターって、どんな奴なんだ?」
アナスタシア「風情と順序が解っていないのね。そんな事では女性を射止められないわ。余裕を持ちなさい」
「はいはい、どうせモテないさ。・・・で、どうなんだ?」
アナスタシア「・・・そうね。一言で言うなら・・・」
カドック「・・・」
「──信頼に値する、魅力的なサンタよ」
カドック「サンタ・・・!?」
カドックのカルデアのマスターのイメージ→サンタ
「・・・おい、オルガマリー。カルデアの活動には社会になんの貢献もしていない異分子達の鎮圧と治安活動も含まれていたのか?魔術師らしからぬ慈善作業にいつから精を出すようになったんだ?」
カドックが顔を青くしながら胃薬を飲み、アイリーンを糾弾する。魔術の研鑽、崇高な理念とはかけ離れた目先の利益と私腹を肥やすことに命を掛けている社会組織に絡むことから自分の精神を守るための防衛反応であるのだろう。威勢はいいが顔色は先の通りに真っ青で、胃薬と精神安定剤を服用している事からも明らかだろう
「アイリーンよ。いつからと言われたら・・・いつの間にかよ」
「フワッとした理由でよくもまぁ社会の闇に首を突っ込めるな君は・・・!世界を救うと触れ込みで来たんだぞ、風通しを良くする為じゃない・・・!カルデアのマスターだってこんな修羅場はそうは潜ってないだろ、普通!」
「残念ねカドック、これは全然マシな小さな事件よ。都市毎・・・いえ、星もろとも暗殺を企てられた事もあるんだから、私のマスターは」
「・・・実在してるんだよな、カルデアのマスターって・・・?」
「まぁそれはともかく。アレが私達がちょっかいをかける相手であり今回のミッションのようだネ。それでは暫定マスターカドック君。君の目から彼等はどう見えたかな?」
どうって・・・カドックからしてみれば無駄な事に時間と人生を浪費する社会の廃棄物であるということと、強いて言うならば・・・
「私とカドックのように仲良しでは無かったわ。挨拶がわりに銃弾を撃ち込んできそうな雰囲気・・・ね、カドック?」
「え、あ・・・そうか。当たり前すぎてそういう発想すら無かった。・・・関係はどう見ても劣悪だよな」
「その通り。それではアイリーン?彼等ギャングチームの素性の説明を御願いできるかな」
了解、と静かに呟きさらりと空に電脳ボードを展開するアイリーン。指先一つで行われるあらゆる工程を無視した魔術行使に驚くカドックではあったが、三人にとってはいつもの事なので騒ぐことではない。彼女は語り出す。彼等の複雑な、小さな街を舞台にした戦争の情景を。
「まず、ディルムッド率いる彼等は昔からこの地を拠点として活動する由緒正しきギャングです。この街の暗部を一手に担当していますが、一方で住人からは慕われています」
「あの女が寄ってきそうな顔のヤツか。ふん、ギャングに正しいも何もあるもんか」
「魔術師、ギャングを蔑む・・・ね。そんな彼等の平和を二十年程前に破壊したのが燕青率いる流れのギャングチームね。街に移り住んでから汚れ仕事を担い始めたの。ディルムッドチームがやらなかった事すらも。当然、抗争が起き街中で銃声が絶えた日は無いほどの争いが続いたそうです」
・・・魔術師もギャングも似たようなものか、とカドックは自嘲する。材料として街一つの命すら時には奪う魔術師、短絡的に命を奪うギャング。同族嫌悪と言うやつなのだろう
「それが十数年程続き、疲弊と停滞を疎んじ和睦を結んだのが三年前。・・・そこにやって来たのが、港湾労働者を集めて結成された以蔵さんの組織です。そして三つの組織は対立し、膠着状態に陥りました」
「・・・待て。昔からの土地を保有するギャングとして力を持つディルムッド、それらと戦えるだけの規模の燕青。それに後からやってきた弱小組織の以蔵で何故膠着する?さっさと手を組むかして排除すればいいだろう」
弱い組織を残す理由は無い筈だ。まず真っ先に潰されるのは弱小である以蔵の組織・・・だがしかし、ジェームズはそうはならないと言う
「三つの組織の要素がそれぞれ枷となっているのだよ、カドック君。ディルムッドの組織は数も多く街に溶け込んでいる。だが逆に言うなら彼等はあまりにも癒着しすぎた。ディルムッドは伊達男であり続けなければならない。思いきった行動が取れない老成した組織と言えよう」
「一方、燕青の組織は新参者。どのような顔をしようと住民は彼等を信頼しないでしょう。デメリットは大きいですが、裏を返せばそれはなんの罰も咎もないと同じこと。住民や街が流す涙を省みはしないのです」
「そして最後の組織は港を掌握しているの。産業の中心が港を中心にしている以上、手を出し潰してしまえば街が道連れになるかもしれない。そういう事よ、カドック」
「三人はよく分かっているんだな。・・・えっと、ディルムッドが大きくて、燕青が中組織、以蔵が小組織、か」
なんとか情報を把握し、飲み込むカドック。まぁ要するに人生の暇人が利益と縄張りを護るため争いを繰り返していると言うことだ。時計塔の権力を求める争いよりはシンプルで分かりやすい。撃たれれば死ぬ、くらいの簡単な認識だ
「・・・それで、僕らは何をすればいいんだ?美味しいお酒を振る舞って彼等をいい気分にさせて仲良くさせればいいのか?」
「できるものならやってみなさい。私のマスターは多分できると思うわ、だからあなたもできる筈よ」
「できるだって・・・?酒を媒介にした支配や洗脳魔術でも使うって言うのか?」
「コミュニケーション、即ち対話でよ」
「・・・詐欺師か何かなのか?一般枠なんだろう?」
どんな人間でどんな存在なのかが全く読めないカドック。世界を救う大役を成し遂げたマスターが小賢しい詐欺師であるなんてある意味スキャンダルではあるが、マスターとネゴシエイターは異なる人種な筈だろうに
「今はまだ想像にお任せするわ。分かることは一つ。このまま放っておけば、間違いなく争いが起きると言うことよ。死人が出るの、カドック」
「──・・・」
べつに、魔道に邁進していない人間なんて取るに足らない存在だ。死のうが問題はない・・・と言うのであれば、ここに自分はいなくても問題ないだろう。言いたいことは、何となく解る
「・・・場を収めろって事だろ。僕らで。・・・解ってるよ。知らんぷりを決め込むつもりはない」
「それでいいわ。少しは前向きになったのね、カドック」
・・・誰かさんのお陰でね、と悪態をついてやろうと思ったカドックではあったものの。──何故か自分の事のように喜び微笑むアナスタシアの表情を見ていたら・・・
「で、僕とアナスタシアは何をすればいい?仕事やリスクの一つや二つはあるんだろ?」
不思議と、そんな皮肉やひねくれた物言いを忘れてしまった。──そして、思い出す気にも・・・
「あら、当然あなたが私を手伝うのよねカドック。あなたはヴィイの更に下なのを忘れずにね」
「いいよ、いつか成り上がって君の隣に滑り込んでやるからな・・・!」
「えぇ、期待しているわよ。カドック」
カドックは、思い付きもしなかった
モリアーティ「よろしい、カドック君にアナスタシア君。君達に相応しい仕事があるヨ。そう・・・」
カドック「・・・?」
「話の途中だが!!ワイバーンだ!!」
カドック「・・・はぁ?」
モリアーティ「リアクションつめたーい。アナスタシア君、減点しておいてくれたまえ」
アナスタシア「【塩芸人カドック】、-3。デガワを見習うのね」
カドック「誰だ!?」
アイリーン「この屋敷にはちょくちょくワイバーンが紛れるとか。ジーク氏に退治を仰せつかっているので頑張りましょう」
カドック「いやいやいるわけないだろう!デミだったり小さくてもそんな強いエネミーがいるわけ」
コモドオオトカゲ「シャアアァアァアァ!!!」
カドック「ワイバーンじゃ・・・無いじゃないか・・・!!」
アナスタシア「どのみち害獣よ。始末しましょう、魔力を回しなさい。カドック」
カドック「・・・いよいよマスターらしくなってきたな。仮契約だが全力でやるぞ!」
アナスタシア「・・・?」
カドック「?」
「魔力、回ってる?」
「回してるぞ!?」
アナスタシア「あぁ、気持ち回ってるわね確かに。なんてショボ・・・慎ましい魔力なのね」
カドック「ほっといてくれ!凡人はこれが全力なんだから!」
「カルデアと、彼女に感謝しなくてはいけないわね。これでは宝具は使えないけれど・・・まぁいいでしょう」
ジェームズ(流石にリッカ君の無尽蔵とも言える魔力と比べるのは酷だよネー)
アイリーン(私があげた魔術回路に人類悪の魔力だもの、動く核エンジンのようなものだしね・・・)
──結局、ひーこらいいながらカドックはアナスタシアと共に大量のオオトカゲを倒すのだった──
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