人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
執筆と見返しを同時にやっていくので、ちょっとペースが落ちるやもしれません
ゆるく、お楽しみください!
出立であるっ!
――いかないで
声が、聞こえる
――いかないで、いかないで
啜り泣くような、声が聞こえる
なんだろう。なんの声だろう
――わたしを おいていかないで
哀しい声だ。詠うような願いだ
――もういちど もういちど
その声には、愛が溢れていた
――わたしの もとに……
その愛は
ひたすらに、――回帰を求めていた
――
「くぅびしめたぁ~!おししのおくび~!!」
「色彩~♪」
王の眠りは、二人の織り成す騒音で叩き起こされる
「喧しいわ!!なんだ貴様ら、何故王の眠りを意地でも妨げる!嫌がらせか!」
「嫌がらせとは心外だぞ英雄王!余の、小鳥の囀りのような美声に起こされることに歓喜してもらいたいものだな!」
「小鳥?カバの間違いであろう?」
「カバ――!?酷いぞ金ぴかぁ!余は、余はかなしい!泣くぞ!?」
「廊下で泣け廊下で!ジャンヌ!報告しろ!」
「はい!特異点観測は完了し、あとは英雄王とマスターの参上を待つのみとなりました!ですので
起こしに参りました!」
「何故この花嫁擬きを連れてきた!」
「余が美声にて起こしてやると言っていたので!」
「そうか!詐欺には気を付けよ!」
「はい!」
「詐欺!?」
「我も出向く!着替える故出ていけ!持ち場にて待機せよ!」
「はい!」
慌ただしく進む朝の会合
――よく、夢を見る。この器の視点の広さ故だろうか
――自分に、何を伝えたいのだろう?
「ふっふっふ!英雄王よ、余が特別に!次の行き先を教えてやろう!聞きたいか?聞きたいか?」
「特に」
「聞くがよい~!なんと!次の行き先は華の都!七つの丘に建築されし永劫不滅の大帝国!」
白きセイバーが、高らかに歌い上げる
「一世紀ヨーロッパ!そう!――古代ローマ帝国である!!」
「行くぞ、ジャンヌ!」
「はい!」
「無視するでない~~~!!」
――ローマ……テルマエ?お風呂の国だっけ?
――
管制室に足を運ぶと、スタッフ一同が既に整列していた
「「「「「「おはようございます!ギルガメッシュ王!」」」」」」
「うむ」
ぐるりと見渡す。――皆、睡眠も食事もバッチリのようだ
「おはよう、英雄王。話は聞いているかい?」
ロマンの挨拶に目線だけを返す。顔も大分シャッキリしている。不安はないようだ
「概要はな。ローマにて紛れ込んだ異物を駆逐、聖杯を確保し特異点を修正する。フランスと大して概要は変わらぬ。復唱はいらん」
「そゆこと。今回も頼むよ、英雄王。一番近くで、二人を護ってあげてくれ」
「我は護らぬ。蹴散らすだけよ。守護はマシュに一任してあるからな。精々激を飛ばすのだな」
「うん。キミはカルデアの王様だ。キミ自身も気を付けてね」
「ハッ、誰にものを言っている。上機嫌に油断も慢心も踏み潰し大盤振る舞いのクラス、ゴージャス足る我に敗北はない!油断ではないぞ?事実であるからな!ふはははは!」
――この事実を、磐石にするのが自分の役目だ
気合いをいれよう。この王とは一蓮托生なのだから
「ジャンヌ!サーヴァントどもを起こせ!号令にて召喚に備えよ!」
「解りました!」
「職員!職務を果たせ!持ち場につけ!」
「「「「「了解!!」」」」」
「シバ、トリスメギストスを興せ!二度の観測、全霊で果たしてみせよ!」
「了解!」
「ゴージャスキング、これを渡しておくよ」
ダ・ヴィンチから、小さな宝石を渡される
「なんだこれは?」
「愛弟子手製の御守りさ。きっと役に立つぜ?あーあ、私も行きたかったなぁ、ローマ……」
「貴様は前線に立つことは赦さん。万が一の失策も貴様には許されぬと知れ」
そうだ。ダ・ヴィンチちゃんがいなくなったら、このカルデアの大半の機能がダウンする
貴女には戦うより大事な戦いがある。荒事は、自分に任せてほしい
「解っているとも。ほら、主役のお出ましだ!」
扉を開け、慌ただしくオルガマリーとマスターが現れる
「ごめんなさい、ギル!遅くなりました!」
「無意味な遅刻など今更貴様らがするまい。何をしていた?」
「はい。――私の魔術回路、サブ27本をリッカに移植していました」
「――ほう?」
魔術回路?聞きなれない言葉だ。魔術を行使するためのライン、といった感じかな、文字的に
「これで、ギルとマシュを除いたカルデアサーヴァントを三体は使役できるようになりました。メインの魔術回路37本も、リッカに譲渡する予定です」
「――よいのか?」
「私には、貴方から賜った聖杯がありますから。肩を並べられない分――こういった形で、戦います」
オルガマリーの眼差しから伝わる強い決意
「――ならば、何も言うことはない。首尾は問題なかろうな、マスター」
見ると、リッカは体をくねらせもじもじしている。――何があったのだろう
「どうした、王の問いだぞ?元気よく答えぬか」
「――凄かった……」
「む?」
「――英雄王、もう一つ」
オルガマリーが手を挙げる
「申せ」
「はい。――この特異点の間に、私は『固有結界』を習得する修行を、師匠と女史の監修のもと徹夜で行います」
「――ほう?また随分と志が高いではないか」
――固有結界。自らの心象を世界に表す大魔術……と器に記憶されている。ずいぶん煮え湯を飲まされた、贋作者死ね、とも
「如何なる理由だ?残念だが、貴様にレイシフト適正はない。宝の持ち腐れにはならぬか?」
「キミのためだよ、英雄王。キミの至宝、乖離剣の本領を発揮させるためさ」
――なんだって?
「キミの剣は世界を切り裂く。備えのないまま放てば、特異点が切り裂かれて消えてしまう」
「そこで『切り裂かれても問題ない』固有結界を展開し、それで貴方の全力をサポートするということよ。英雄王」
現れるメディア。オルガマリーのもう一人の師匠
「あくまでコピーペースト。カルデアの機器を使って投射するだけだから、オルガマリーに影響はないよん」
――でも、それは
「……良いのか?我の至宝は地獄を識るもの。一度振るえばただではすまんぞ?」
そうだ。確実にその結界――オルガマリーの心象はズタズタに引き裂かれる。手加減で城さえ吹き飛ばすのだ。全力など放っては……
「構いません」
キッ、と王を見返すオルガマリー
「貴方のお役にたつならば、私の澱んだ心象の一つや二つ、喜んでお捧げします。――私にとって辛いのは」
その言葉に、揺らぎはなく
「――貴方や、リッカを、喪う事ですから」
所長として、毅然なる態度で言葉を紡いだ
「――そうか」
ぽん、と頭に手をおく
「ならば励め。そして約束しよう。お前が大魔術を修めたならば、――その働きに免じ、我が最古の宝物の真価を見せてやろう」
「大丈夫大丈夫!オルガならやるよ!私の友達だよ?」
「はい。所長は頑張り屋です!」
「二人とも――ええ、必ず!」
「なんと美しき信頼、なんと美しき主従……!余は、余はなんだか感動してしまったぞ……!」
「思い知れ。これが人理を救い咲く徒花よ!――準備は成った!メディア、ダ・ヴィンチ!こやつをモノにするがよい!迅速にな!」
「もちろん!」
「えぇ」
「――これより我等が赴くは人類に名をのこせし帝国、ローマ!ウルクを差し置き万物の帝国を名乗る不遜なりし国とは言え、捨て置けば人理の土台は崩されよう!だが、恐れるな!!我の言葉を思い出せ!」
拳を振るい、激を飛ばす
「貴様らは我の財(モノ)、ただの一人も雑種はおらぬ!如何な困難、難局であろうとも!一つの時代を救ったと言う貴様らの『実績』を害することはできぬと心得よ!!」
「「「「「了解!!!」」」」」
「顔を上げ、胸を張れ!貴様らの道は、我が切り開く!!我が背中(せな)に続け!人理の勇者達よ――――!!!」
「「「「「「ギルガメッシュ王!万歳!ギルガメッシュ王!万歳!!ギルガメッシュ王!万歳――!!!」」」」」」
職員の士気が、最大限まで高まる――さぁ、出立だ!
「アンサモンプログラム・スタート!レイシフト・開始!」
「行くぞマスター!マシュ!!我等が歴史の先達、道を切り拓く最先端と知れ!」
「了解!藤丸立香、行きます!!」
「マシュ・キリエライト!マスターを護る盾になります!!」
「二人とも、気を付けてね!必ず帰還しなさい!命令よ!」
「キミもだよ、英雄王!帰ってきたら饅頭くらいはあげるからさ!」
「金箔は塗っておけよ!――クラス・ゴージャス!」
――さあ、始まる。二度の旅が
――大帝国、ローマ。次は何が自分を待っているのか
「英雄王!ギルガメッシュ!!出立するぞ!思うがままに蹂躙してくれるわ――!!!」
――魂の、研鑽の時だ――!
「カルデアの皆様をイメージした旗を作ってみました!どうですか?かっこいいでしょう?」
『か る で あ の み な ち ん』
「字ぃきったなっ――!!ちょ、ふざけないで恥ずかしい!間違えてるし!」
「あれ?ちがいますか?」
「召喚されてない間!勉強するわよ!吐き気がするわこんなミミズがのたくったような字――!」
「えへへ、一緒に勉強ですね!」
「照れんな――――!!!」