ジェームズ「問題ない問題ない。夜遊びはしない真面目な子だヨー。そして全ての謎は明日に解ける。君の推理は大丈夫かナ?」
カドック「・・・・・・まだ、確証は無いんだが。あんたの一言で何となく目星は付いたよ」
「ほほう?それはどういう?」
「・・・今はまだ、確証がない。だから今話す事じゃ」
「腹立つ!!!」
「!?」
アナスタシア「ふがっ」
「なんだいきなり!?」
「すまない、その喋り方が実に気に食わなくてネ!君自身に不満は無いがどうしてもネ!いやー腹立ったわー!反射的に銃構え」
「
アラフィフ(氷付け)
「ジェームズ──!?待て、あんたが今抜けたら不味いだろ!解凍してくれアナ」
アナスタシア「ぐー」
「まともなのは僕だけか・・・!?オルガマリー!帰ってこい!オルガマリー───!!!」
「こんばんは。取り巻く状況はよくありませんが、それでも夜風は気持ちいいですわね」
「君は・・・バーテンダーの助手か。いけないよ、このような夜更けに出歩いては」
魔術師のオークションにて起きた触媒の盗難事件。アレクが告げた『魔術師だけでなくギャングも怪しい』といった所感を確かめ、実証するためにアイリーンは一人で各種のボスに接触を図る事にした。彼女を怪しく思う者はいない。『彼女がここにいる事』は極めて自然だと認識するようになっているのだ。彼女達がその力にて自由外出を行い、まずコンタクトを図ったのは・・・街に根差した組織、ディルムッドだった。
「・・・この街で生まれ、この街で死ぬ。異なる地から来た君には解らないかもしれないが、それは私にとっての幸福だ。──だが、年を追うごとにそれが難しくなっていくのを感じている」
「立場に備わるのは、大いなる責任。若輩なれど、その苦労は察するに余りありますわ」
「あぁ。・・・船と電報によって世界は狭まっていく。君は見たことがあるか?どうやら空を飛ぶ船もあるようじゃないか」
どうやらこの地は船、港によって栄えた故、開拓された空路には疎いようだ。時代の流れに追い付けていないのは、ヴラドだけでは無かったようである。
「この街は船によって栄え、潤い、誰もがその利益に与ろうとする。私はその争いを、止めたかっただけなのだがね」
「・・・引退をお考えで?」
「──。・・・いや、君は聡明な女性なのだろう。そんな君の前で弱音を吐けば悟られる、か」
誰もが笑顔であるように振る舞い、裏では気の休まらぬ血と鉄の抗争。周りに真の意味で信頼できる相手は少なく、判断の一つを誤れば地位と信頼を喪い、生命の危機に絶えず晒される。懐の銃が手放せない。枕元に護衛がいなければ寝ることすらできない。朝の目覚めに耳に飛び込むのは、新たな争いの火種を告げる凶報ばかり。
「・・・私は、疲れたのかもしれない。・・・失礼するよ。この風は、骨身に染みる」
静かに告げ、去っていくディルムッド。・・・どうやら彼は盗んではいないと目星をつける。街に生きることを幸福と感じるものが、最終戦争の引き金を引くことは望むまい。さて、次はとアイリーンが顔を上げると・・・
「ケッ、若作りの老いぼれが。聞いちょったか、バーテンダーさんよ。引退したい、やと」
そこにいたのは港湾組織の頭領、以蔵であった。彼もまた、争いに身を投じる一人。消極的で覇気のないディルムッドに嫌悪を隠さない。
「笑わせる。引退すれば最後、この街に最後の花火が上がる。わしんとこと燕青とこ、この街の利権を巡っての食い合いぜよ」
「・・・そして、この街は、よそ者が支配する。根差した根は、絶やされる」
「・・・この街はもっともっと大きゅうなる。だから、閉鎖的ではいかん。燕青とこが暴れるのも無理はない。やれ『燕青んとこのヤツが表で飯食ってた』だの『酒飲んで酔っ払っていた』だの、そういう下らんこと、わしんとこまで持ち込みに来よる」
よそ者と言うだけで人は排斥に走り、自らの居場所を護るために迫害を行う。食べたいものすら満足に食えず、飲みたいものすら満足に飲めない。それが続いているが故、発展と進歩がままならない。革新が、無いのだ。新しき夜明けが、何処にも見えない。
「和解ができれば、よいですのにね」
「それができりゃあ、簡単ながやけんど。和解したら舐められるゆうんが世間ってもんやろぉ。・・・それにあんたとバーテンダー。おまんら、強いやろ」
以蔵の追求に、バーテンダーはともかく私はか弱き乙女です、とばかりにスカートの裾をつまんでたくしあげる。腹が黒いのはあのお髭のおじさまだけよ、と流れるように責任をパスする。本人不許可で
「・・・いや、なんちゃあない。もちっと・・・単純な世界がえいにゃあ・・・」
呟いた言葉は本心だろう。知己と酒を飲み、綺麗な空の下でただ楽しく生きていたらどれだけ楽だろうか。見上げた空は、血と煙で濁りきっている。そんな言葉なき嘆きを残し、以蔵はその場を後にした。
『男の人はみんな甘えん坊なのよ。一歩家を出たら、味方なんて誰もいないもの。高い立場の人は、特にね』
「・・・全てを背負いながら誰よりも高らかに笑う。私は本当に、凄い方に仕えているわね」
そんな所感を漏らしながら、最後のボスに接触を図る。流浪の勢力、燕青のチームだ。彼もまた、この立場に何を思うのだろうか
「お、バーテンダーの嬢ちゃんか。さっき以蔵のやつがぶつぶつ呟いてたがなんかあったのか?」
「実は、このような事が」
保守的で閉鎖的であるが故、新参や流れ者を許さない。末端のしがらみに辟易している旨を伝えられた燕青は、はぁと息を吐く
「アイツも苦労人だねェ。部下が力自慢しかいないから考えるのはアイツだけだしな。・・・まぁ、単純な世界が良かったってのは俺も賛成だ。この街に流れ着いてもう、二十年だ」
「『たった二十年』じゃ、街の住人とは認められない」
「そういう事。外で飯食うにも難儀する始末じゃ、やさぐれるのも無理はねぇ。・・・だから俺が取りまとめた。この街の住人として、無くてはならない存在だと認めさせるためにな」
その争いが、今や魔術師、聖杯戦争、聖遺物の奪い合いなどに発展した。街の争いが、いつのまにか手の届かぬ域にまで肥大化している。自分が自分で止められないというのは、そういうことなのかもしれない
「苦労して、得られたものは素晴らしい。ただ、それは俺がそう思っているだけだね。楽して暮らしたいってのが本音の所だ。そして人生ってのは、そっちがいいに決まってる。・・・なので嬢ちゃん。あんたは楽しく生きる方を選びなよ」
「えぇ、勿論。私にとって、今の生ほど楽しい時間はありませんわ」
これ以上望んだらバチが当たる。そう感じるほどに・・・今、この瞬間はアイリーン、オルガマリーにとって楽しいのだ。辛さを乗り越える場所は数あれど、辛さすら楽しみになる場所は一つしか知らない
「ははは。そりゃあいい。・・・おっと、あまりアンタと話しているのも体裁が悪いな。じゃ、また明日な」
「えぇ、お休みなさい。また明日に会いましょう」
聴き込みは終わり、一人月夜に立つアイリーン。情報は集め終わったが故、バーに帰ろうとしたその時──
アイリーン『──オルガマリー、気を付けて。狙われているわ』
アイリーンの言葉と同時に、木陰より影が飛び出してくる。外套を深く被った、腕利きの殺し屋かギャング・・・だろうか
オルガマリー「・・・計ったようなタイミングね。態々私を狙うとはどういった狙いなのかしら」
アイリーン『敵対組織の牽制?いいえ、違うわね。『私はおばかさんです』と伝えているようなものよ?』
何故ならば、この場でオルガマリーを殺すにせよ、返り討ちにされるにせよ『攻撃した』という行動そのものが致命的な穴となるのだから
謎のギャング「───」
オルガマリー「まぁ怖い。私、こう見えて──」
放たれる銃弾。オルガマリーに向けられる凶弾。眉間目掛けて真っ直ぐに放たれた『それ』を撃ち抜いた瞬間に──
「──護身術の心得は万全なのよ?」
軌道を完全に把握し、盾代わりに放り投げた魔力で練りし閃光珠。撃ち抜かれた瞬間、辺り一帯を白く塗り潰す光が満ち、そして──『総ては決していた』
「・・・!!」
五人ほどいた謎のギャング。それぞれが腕を折られ、脚をへし砕かれ、内臓を破裂させられる程の打撃を受け悶絶し痙攣している。一人は地面にうつ伏せに叩き伏せられ、後頭部に銃口が突き付けられている。サイレンサー付きの返礼の弾を、脚に二三発叩き込まれ声なき絶叫を・・・上げる事は無かった。声を出せばこの女に殺されるという確信があったからだ
「月夜の晩に襲撃だなんてなってないわね。せめて暗闇に紛れるくらいは覚えなさい」
「・・・!!」
その言葉を最後に、謎のギャングの最後の一人は銃底で後頭部を殴られ──
「『
か弱き乙女に速やかに、無力化されたのだった。
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