人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ディスク『このDVDを見るときは、部屋を明るくして離れて見てくれッ!』

リッカ「はい、司令!」

ウィーン

風鳴司令『リッカ君!貴重な休日を消費してしまい、本当にすまない!そして、ありがとう!このDVDは、俺が集め、響君が参考とした珠玉の作品達だ!堪能してくれッ!』

「!?」

『副音声で響君の見処解説も入っているぞッ!日頃頑張る君に、師弟からの贈り物だと思ってくれ!そして最後まで視聴してくれた1名に、素敵なプレゼントがあるぞッ!』

『ソング一日見学券』『無人島バカンスチケット』『ライブアリーナSSS席』『カルデアへギア技術提供』

「マジで!?1名って私だけ・・・お、OTONA──!!」

『我々大人は、常に頑張る君の味方だ!また顔を見せに来てくれッ!』

「はい!司令!!」


ソング

オガワさん「割と強引な招集にはそんな意図が・・・でも説明の一つくらいはできたんじゃ・・・」

エルフナイン「優しさよりも激しさが必要な時もある・・・その言葉にいたく感激したみたいなので、今回だけのワガママだそうです。ほら、償いとしてあちらの決戦兵器と名高い麻婆豆腐を先程から・・・」

風鳴「旨いっ!!食べれば食べるほど力と闘志が湧いてくる!癖になる辛さに旨さっ!是非レシピを教えてもらいたいものだ・・・よし!今度は俺があちらに行くのも悪くはないか!」

エルフナイン「嘘・・・!?」

オガワさん「あははは・・・まぁ、司令ですし・・・」

ビッキー「師匠!何を食べてるんですか!?」

「食べてみるか?カルデア麻婆だッ!!」

「はいッ!!」

・・・この後、響のギアはマグマのように真っ赤になり辛さが抜けるまで焔を噴き出すようになりましたとさ。


昨日の自分より、前へ

『あなたの気持ちは受け取ったわ。一週間後に迎えに行きます』

 

「いっしゅ・・・──えぇい、ままよっ!」

 

オルガマリーの余りにも早すぎる無茶ぶり期間にもめげず、挫けず、カドックは再び己の意地を見せるために奮闘に奮闘を重ねた。決められた期限に文句を垂れず、出来ることをする戦いを選択したのだ。

 

疲労回復に効くブレンド、気分が落ち着くヒーリング音楽、ハーブやクラシックやカクテルの種類。ありとあらゆるものを学んだ。疲労困憊でやってくるだろうカルデアのマスターに、せめてものの癒しと安らぎを提供するために必要なものを学んだのだ。幸い努力家で凝り性なカドックに短期間の詰め込み教育は相性が良く、モリアーティとオルガマリーが残したカクテルのブレンド方法やトーク術も懸命に学び、自分のものとした。

 

「付け焼き刃でも、焼け石に水でもいい。ただその場で全力を尽くすんだ。さもなくちゃ、あの所長やカルデアのマスターにどの面を下げて労う?」

 

その揺るぎない決意は、カドックがつい最近手にしたもの。あの不思議な空間で、特異点で。自分と奇妙な仲間たちと培った感情。かつての卑屈な諦めではない。傷付き餓えながら生存の為に懸命に足掻く狼のプライドだ。リッカと実際に言葉を交わして、その決心は揺るぎない気高さへと変わったのだ。なんとしてもベストを尽くしてみせる。その意志のみを頼りにして、少年は己を磨きあげる。そしてその研鑽は、あっという間に時計の針を進め──

 

「迎えに来たわよ、カドック(^U^)」

 

「オルガマ、うっ・・・!!」

 

一週間の頃合いに、素敵な笑顔を浮かべたオルガマリーに腹パンされ、静かに連行されたカドックは、最後の試練に挑む──

 

 

~いい努力だ 感動的だな 素晴らしいッ!

 

 

「っ、く・・・?ここは・・・」

 

目を覚ましたカドックは、辺りを見渡す。蒼いライトが輝き、暗い部屋に幻想的な趣を与えている小粋なバー。自分はいつの間にか着替え、カウンターに立っていた。・・・もしかしなくても、この空間には見覚えがある

 

「ライヘンバッハじゃないか。なんでまた此処に──」

 

どうして夢の中のバーに?また幻覚か何かか?と思案する暇は──カドックには与えられなかった。総ての意識を束ねる、至高の言霊がカドックを殴り付けてきたからだ。

 

「ほう、此処が我が楽園に開店したという新進気鋭のバーか。かの蜘蛛めの推薦に立ち寄ってみれば、店員は飢えた狼とはな。躾は行き届いているのか?」

 

「──!」

 

黒いジャケットを羽織り、痛快げな笑みを浮かべし真紅の眼に金髪の男が入り口を開け来店する。カドックが視線を下に切ったのは本能的なものだった。『この男は、余りにも眩しく強大だ』と、心底から理解したためだ。魂の根源レベルで、この男は総てから隔絶している。左肩に乗せたケモノはペットだろうか。

 

でも、不思議なのは・・・全てを塗り潰す様な輝きと威光を撒き散らしているくせに、その印象と感覚はとても暖かく、優しげで穏やかな事だ。黄金のように輝きながら、白金のように静かで高貴な尊さを感じさせる。この男は、何者なのだろうか。放つオーラが、ぺこりと頭を下げ手をふりふりする女性に見えるのは気のせいだろうか?

 

「そら、何を呆けている。客として脚を運んだのだ、貴様の腕を見せよ。バーテンダー」

 

「あ、は、はい。・・・御注文は?」

 

「カリフォルニアレモネードとアレキサンダーを寄越せ。部員の紹介ゆえ口にすることとする。こやつには水でよい」

 

「オレンジフォーウ!カシスオレンジフォーウ!!」

 

「ぐぬっ、飛び付くな貴様!ボールを投げられるまで大人しくするが礼儀であろう!!」

 

尊大でありながら、何処か親しみやすいという相反する人物に頼まれるまま、カドックは望みの作品を作り上げ、提供する。何があろうとも、自分のやるべきことは投げ捨てないと決めたのだから。

 

「・・・御待たせしました。アレキサンダー、カリフォルニアレモネードです。そこの・・・」

 

「フォウ!フォーウ!」

 

「・・・フォウくんには、カシスオレンジを」

 

「うむ、粗削りながら堂に入った製作よ。何処ぞのバーテンダーに仕込まれたか?」

 

えぇ、クッソいい性格のオッサンに。とリップサービスを加え、カドックはそっと差し出す。それを受け取り、静かに飲むケモノと王がごとき男。カリフォルニアレモネードが黄金の波紋に収納されたのは目の錯覚か何かだろう。

 

「ウマイ、ウマイフォウ!マケイヌモヤルフォーウ!」

 

「凄くバカにされているような気がします」

 

「案ずるな、事実なのだからな。・・・ふむ、バーテンダー。この酒の意味は何か心得ているか?」

 

それは当然だ、と返す。小粋なトークは、アイツに聞かせるために勉強した。カクテルの意味もまた然り、だ。

 

「アレキサンダーは『完全無欠』。カリフォルニアレモネードは『永遠の感謝』です。・・・世話焼きの誰かに、教えてもらいました」

 

「フッ、実に的を射た指摘よな。我等に相応しき美酒よ。・・・しかし味の方は・・・」

 

「フツウダフォーウ!!」

 

「ぐっ・・・申し訳ありません。・・・ですが」

 

ですが・・・と付け加える。そうだ。今平凡でも、今、何者でなくてもいい。だって・・・

 

「毎日研鑽を続け、いつか必ず御客様の舌を唸らせる程に成長してみせる所存です」

 

「───フッ、吠えるでは無いか。打ち捨てた犬めが一端の孤狼に変わるとは。オルガマリーめの判断は我の裁定を覆すまでとなった、か。──く」

 

ふはははははははは!!と突如心からの笑いを上げる男。予想を覆された事も、再び牙を磨きやってきたカドックの気骨も。一筋縄では図れぬ人間のままならさも。総てが愉しいと言わんばかりにつられてしまいそうな程に高らかに笑い続ける男は、告げた

 

「良い、気に入った!評価を改め、貴様の参列を認めよう!誇るがいいカドック・ゼムルプス!『貴様は我の裁定に抗い、否を突き付けたのだ!』──ふはは、やはりお前の言う通りこの世に価値と意味の無い者はおらぬな、エア!」

 

「へ?・・・は・・・?」

 

「よい、こちらの話だ。清々しいまでに平凡な味だ。それ故に、我がマスターが何よりも好むであろうよ。──その持ち味、努汚さぬ事だ」

 

うむ、味覚のリハビリにはなったな!行くぞ珍獣!と颯爽とジャケットを羽織り退出する男。意味も解らずキョトンとするカドック──

 

「オダイハラエフォーウ!クイニゲフォーウ!」

 

「む、忘れておったわ。空気の読めぬ珍獣よ・・・今は完璧にエンドマークがついていた処であろうに。・・・何?もうお代は決めてある、だと?奇遇だな、エア。我もこやつにくれてやる品は決めていた」

 

そら、持っていけ。短く告げ、王が小さなカードキーを放り投げる。机に黄金の波紋から出でし──

 

「酒はまぁまぁだが、器が安物ではな。注ぐ酒と願いは熟成させておけ。我等が再び訪れた際、舌を唸らせるより他無い程度にはな」

 

「──待て、待て!これって、これは、これ・・・!」

 

「気にするな、我等には要らぬ手頃な品だ。何に使うかは、貴様次第よ。その程度、貴様の未来の投資代わりにくれてやる」

 

ではな、と愉快げに笑い、傍に伴侶を侍らせているような声音と足取りで店を後にする王。

 

「待ってくれ!あなたは、一体・・・!」

 

『カドックがかつて持っていた会員証』と、それを受け止めた『聖杯』を抱え、パニックになりながら男の背中を、カドックが追いかけ扉を開けると──

 

「───」

 

 

・・・──其処に広がる、ラスベガスですら及ばぬような数多無数の歓楽施設に輝き。

 

値段などつけられぬような夜景もあれば、一ヶ月休まず歩めど遊び尽くせぬようなあらゆる施設の集合体も存在する空間

 

黄金と、笑顔と、希望と、愉悦に満ちた最南端の楽園。──人理を照らす星となりしカルデアが、カドックを迎え入れたのである──。

 

 




オルガマリー「──おめでとう、カドック。あなたもギルに・・・王に認められたのよ」

カドック「オルガマリー・・・!?え、ここが、カルデア・・・!?」

モリアーティ「驚いただろう?ようこそ人類の手で作られた黄金の楽園へ。いや君なら来れると信じていたとも!」

カドック「・・・認められた?今のは・・・」

リッカ「カドックー!スゴいじゃん!ギルが褒めてたよー!『笑いが止まらぬ程に普通の味わいであった!思えば我が楽園、貴様が担うべき平凡が欠落していたな!』って御満悦だったよ!」

「リッカ・・・!じゃあ、僕は、本当に・・・?」

ポン

マシュ「あなたも財です!!!」

カドック「マシュっ──!?」

ぺちん、と優しいビンタにて頬を張られるカドック。──そう。彼は認められたのだ。この楽園に不足していた『普通』の存在として。当たり前の人間として

グドーシ「おやおや、クリプターの一人ではありませぬか。此処で出逢えたということはそなたも我等の同士。こちらリッカ殿と用意したコンセレホッパーゼクターにござる」

リッカ「私達と一緒に、光を掴もう!!」

アナスタシア「ふふっ・・・また逢えたわね、カドック?」

カドック「みんな・・・アナスタシア・・・!」

ぐっちゃん「フン、あんたも来たのね。言っておくけど、私の方が先輩だから」

カドック「誰だこの痴女・・・」

ぐっちゃん「芥ヒナコよッ!!」

ホームズ「───」

モリアーティ「彼もまたワトソン足り得る・・・とか思ってるだろ、君」

「勿論。記録が正しいならば彼はきっといい助手になる。ゴルドルフ所長補佐と違い、バリツの仕込み甲斐がありそうだ」

モリアーティ「フン!何をしようがぜーっったい!私のオルガマリー君には勝てないんだからな!!」

リッカ「よーし皆!元負け犬のカドックを胴上げだー!」

「「「「わーっしょい!わーっしょい!わーっしょい!!」」」」

カドック「うわわわわ、やめ、やめろー!僕は、僕はリッカの人間な部分を護りにだな──!」


──王の寛大な裁定に、永遠の感謝を!

《フッ、完全無欠の結末には平凡さも欠かせまい?》

フォウ(ボクの姿を目に焼き付けたかな?ボクが目の前に現れたのは、そういうことなんだからな!)

・・・新たな仲間を加え、楽園は再び動き出す。次なる苦難もまた、愉しみに変えて。








ニゃ999⬛*$"てpu【──凄く楽しそうだな、ここ】


どんな困難も、愉しみに変えて。
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