人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
【そんな旅路に、我々外なる者がいよいよコラボレーション致します。1000話まであと僅かの記念すべき歩みの一幕に、我々宇宙的存在が参加する事を心より嬉しく思います】
【私が設定し、設営した特異点。混沌と魔女の自責にて縛られたこの星の危機に、我等がカルデアの精鋭たちが挑みます】
【善悪は相対的に変わるもの。しかしこの特異点にて変わらぬ事実。それは善とは彼等、王と姫と財達。悪とは即ち降誕せし我等】
【どうか、彼等を信じ見守っていただきたい。私も小賢しいヒューマンドラマや陰謀、策謀を排したシンプルさをあなたたちにお届けしたいと考えております】
【それでは、幕を開けましょう。この不思議な触れ合いの果て、我々の存在が皆様の身近に感じられる事を願い・・・】
【クトゥルフTRPG!レディイー、ゴォーッ!!】
世界の未来、人類の命運を一手に背負う楽園・・・カルデア。数多無数の困難と苦難を痛快に蹴散らせし、王が笑い姫が見守るこの星見の神殿に、一つの招待状がブザーアラートと共に届けられる。
『楽園カルデア、スタッフ各員に第三警戒態勢を発令するよ。マスター、そして職員各位は直ちに管制室に脚を運んでくれるかな?』
『手作業や手が離せないのならそちらを優先して構わないわ。脚を運び、手が空いた方のみ順次集合、いいわね?』
ロマン、オルガマリーの放送を聞き、バー『ライヘンバッハ』に集合していたマスター達は顔を見合わせる。この楽園が警戒態勢とは珍しい。カドック以外のマスターは一様にそう口にする。何故なら危機など、この楽園には迷宮にしか存在しないからだ
「第三警戒態勢ということは、カルデア以外の外部の要因における非常警戒態勢だな。ほら、カルデアのエースがのんびりしてるんじゃないって」
「・・・」
「?どうなされたか、リッカ殿?」
「ん?あぁ、なんとなくだよ?言ってたのはこれかぁ、って思ったんだ」
「言ってたのは・・・?」
「・・・──ふむ。『聞き覚えのない声に問われたのですかな』?」
「うん。夢か何かで聞かされたような・・・まぁいいや!グドーシ、カドック!行ってきます!」
「・・・なんかぼんやりしてなかったか、彼女」
「確かに。どうやら少し気掛かりが産まれたようですな」
いつもと変わらぬリッカの姿、だがそこから感じる【何か】を、グドーシは感じ。その背中を静かに見つめていた・・・──
~ 窓に見えるものが、こちらが見ているものだけとは限らない ~
「・・・大陸一つを、【黒い闇】が覆った・・・!?」
スタッフの誰とも知れない驚愕の声が響き渡った。その驚愕の規模がモニターに移されている。広大な大陸、カルデアスのレンズに映されているアメリカを始めとした数多の国がある大陸のほぼ総てが【黒き闇に覆われていた】
「な、なんですかこれ!?暗いなんてもんじゃない、可視光を初めとしたあらゆる光を吸収しているぞ!?」
「・・・駄目です!北米支部からのコールサイン、閉ざされました!主要都市各部のライフライン、情報、総て停止!反応、帰ってきません!」
「・・・地球上、動体反応、無し・・・!『今この地球で、活動している生物は楽園にいる我々のみです!』」
「おいおい、普通じゃ無いぞこいつは・・・魔神柱はギルと姫様がゲーティアを説き伏せ昇華を選択した。残り香だって残していない筈だ。『星の生物のみを無力化する』なんて、それこそ超常の神業じゃないかな、ロマニ?」
「あぁ、直ぐに状況を把握したいんだけど・・・『解らない』。【何も見えないんだ】」
「・・・なんて?」
「言葉通りの意味さ、リッカ君。【あの暗闇がなんなのか、ロマンの千里眼ですら見通せない】。これはマーリンに頼んでみても同じだ。シバの光は言わずもがな。『我々の眼は、あの闇を見通せない』」
千里眼ですら見通せぬ闇、活動を停止した生物郡。微睡みに陥った星の営み。──しかし、行く先が見えずとも、楽園の在り方は揺らがない
「逆に考えよ。見えぬモノなどに目をこらす必要はない。別段見るべきモノでも無いと決を下せば、下らぬ狂気に惑わされる事もあるまい」
「ギル!ギルはアレが何か解るの?」
「さてな。生意気にも我の眼、エアめの選定、鑑識すらかわしてのけおった。──フン。原初の混沌を持ち出して来たかのような念入りぶりよ」
──こんなの、初めてです。王の宝物庫に難解な施錠や困難な存在の財宝は数多ありましたが、『何も解らない』等というものは存在しませんでした・・・!
王と姫すら実態を掴めない。あの闇の下がどうなっているか、人類がどのような状態に陥っているか。孤島に切り離されたが如く。暗闇に放り出され月も星も無い海原に放り出された如くに。
「──あれ?」
・・・──否。灯りは既に、手渡されていた。それは、⬛なりの誠意なのかもしれない。
「あそこ、三つに光ってない?ほら、東岸湾サイドの、マサチューセッツ州ボストンの北らへん」
「!リッカの言った場所にレンズを合わせてくれる!?」
「掴めました!入り江の港町・・・【セイレム】です!リッカの示した場所は【セイレム】エリア周辺!──うわっ!?」
瞬間、キーボードが独りでに動き始める。魔術的な干渉ではない、誰もそんな事はしていない。一同は衝撃は受けたものの、取り乱す者は一人もいなかった。慌てず、一先ずその行いの成すことを見守る。──一片でも手懸かりを、掴むために
【セイレム。それは呪われた土地。未だ悔恨と懺悔に縛られた土地。姿なき『魔女』に怯え、人が魔女に弄ばれた地】
「・・・・・・」
【三度の惨劇があった。一度目は『疫病』。人間に持ち込まれた流行病により、ボストン湾に住む人間は壊滅に追い込まれた】
ポン、とモニターより吐き出されたもの。それは『風邪薬』だった。御大事に、予防を忘れずにとラベルが貼られてある
【ニ度目は戦争。その地に根付いた人間が、進行してきた人間に虐殺を受け、その地に生きていた者達は滅び去った。滅ぼした側は、滅ぼされた側の物資で命を繋いだのにも関わらず】
更にモニターより吐き出されたもの、それは缶詰の非常食だった。【半分こで食べよう】とラベルには書かれている
【そして、三度めが。セイレムで起こった『魔女裁判』だ。我等の生活を脅かす悪魔がいる。誘惑する魔女がいる。弱きものが吹聴した魔女の存在に脅え、弱きもの同士で殺し合った。永遠の愛を誓い合った夫婦が互いを指差し罵り、敬虔な神の子を悪魔とし首を締め殺した】
最後に吐き出されたもの、それは手を繋ぐ笑顔の魔女の人形だった。にっこりと笑った魔女の二人は、幸せそうに互いの手を握っている
訳が解らない、といった懐疑が蔓延する。持ち込まれる不理解の毒を、王の一喝が蹴散らした
「魔女裁判とは皮肉よな。小銭を渡し無罪を有罪とする理性を欲と違えた雑種のもたらせし下らぬ共食いをよくも飾り付けたものよな。──それで?高説を振るい貴様は我等に何を望むのだ?」
それを受けたモニターより、言葉が並べられる。
【罪に苛まれ、地に縛られた者がいる。あらゆる次元、あらゆる空間に繋がりながら、ただ一つの事実を認められず、苦悩と諦めに支配された者がいる】
「───!」
【銀の鍵を君達に託そう。どうか終わらぬ苦難と自責を共に背負ってやってくれ。舞台の御膳立ては、今行った通りだ】
「──私達が、その誘いに乗らなかった場合は?」
【信じているとも。【君達は、君達の旅路を裏切らない】。──我等を信じずとも、君達は君達の歩んだ軌跡を信じればいい】
その言葉が何を意味するかは解らない。だが、その言葉は混沌の暗闇より真っ直ぐに響き・・・
【星の生命の眠りは君達の大義に繋げた。【この特異点を解決すれば、必ず目を覚ますと約束しよう】】
「・・・あなたは」
【──】
「あなたは──誰?」
無繆の沈黙が辺りを満たす。悪辣でありながら誠実で、不明で在りながら願いを告げる。その声はただ一言、口にした。
【──君達の知りたい疑問の総てを、あの闇の中で答えを掲げ待つ】
それだけを告げ、気配は消え去った。一同の緊張が解け、溜め息が漏れる。
「・・・姿も見せず、かつ誠実な依頼とはな。フッ、面白い。──我が庭に脚を踏み入れた外様よ、その挑戦・・・受けてやろう!」
──はぁ、怖かったぁ・・・!
(耳が!耳がゴワゴワする!エア以外が耳許で囁くな、気持ち悪いんだよ!)
全く揺らがない、二人と一匹。その存在は、忍び寄る狂気にすら微塵も揺らがされる事は無かった──
オルガマリー「・・・今のは、一体・・・」
マシュ「分かりません・・・これ程の力を持つとは、一体・・・」
XX「話は聴かせて貰いました!バッカモーン!!そいつがニャルラトホテプですっ!!成敗、成敗ッ!!」
──ひゃあぁ!?
XX「皆さん、安心してください!此方の特異点、これらは銀河警察対策案件です!楽園在住フォーリナー・ヒロインXXにナビをお任せを!」
リッカ「え?え?」
「まずはリッカ君!洗浄です!!まずは邪神成分を殺菌しましょう!楽園上空に待機してあるデスセイバー星に行きましょう!さぁ、さぁ!」
「うぇえぇえぇ!?」
ロマニ「・・・どういうことだい・・・?」
ギル「フッ。──ヒロインXシリーズが矢面に立つ件に限り、最適な対策を教えてやろう」
「なんだいそれ!?」
「──考えるのを、止めよ。我は今から止める」
──ふわ~
フォウ(えあ えあ すき)
「ギル!?思考停止は待ってくれないかい!?ギル──!?」
続く!!