人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ニャル【人間は未知や不理解を極端に恐れ、疎みます。知らないものを知らないままにしておく事を嫌い、なんとしてでも解明し、理屈をつけ、自らの認識に当てはめたがる】

【そして、その最中に人は時に【本当に理解できないもの】に触れる時が往々にして存在いたします。この世の神秘は大方あなた達が解明してしまった。ならば次に求めるものは、この世界の外に在るもの・・・】

【好奇心は猫を殺す。しかし人は智恵を、真理を求める。其処に死が、取り返しがつかないものがある事を知りながら、がむしゃらに、何かに突き動かされるように】

【その姿は、他者の眼から見たのならばこう呼ばれるでしょう。【狂気】であると。深淵に覗かれるとは、つまりそういう事なのです】

【さて──楽園の皆様は、その未知に触れた時、どの様な決断を下すのか。⬛と共に、見守って参りましょう】

【現地には、⬛の用意したエージェントもおります。どうぞ、お楽しみに】



キャラシート持ち込みOK!キャラクター続投も可!

「マルドゥークの神威を使う。あの闇はどの様なものであれ人のものでもなく、魔術師風情にも行えるものでもない。ならば──」

 

「神の仕業・・・ならば対神の究極たるマルドゥーク神の拳を使い、あの闇に風穴を空ける、と」

 

それがギルとエアが導いた外宇宙の脅威に対する最善手だと決を出した。外界からの解決は望む事は出来ない。ならばいつものようにマスターを主軸とした突入部隊を設立する他なく、法則の違いは、数段隔絶された次元にて叩き潰す他無い為だ

 

──これはマルドゥーク神の神託でもあります。外宇宙の領域【ごとき】に手間取るようでは、楽園を運ぶ星の船の名折れである、と

 

『MAKASERO』

 

「マルドゥーク神・・・!」

 

『御兄様のやる気と拳は、にゃる・・・にゃる・・・にゃる・・・』

 

「ニャルラトホテプ・・・創作作家、ラヴクラフトと呼ばれた者が書き記したフィクションに語られる神格に、その名前がある」

 

ロマンがその叡智を発揮し、モニタと全員の端末にその委細を示す。神々に仕えながらそれらを嘲笑い、全てを見下し翻弄するトリックスターにして邪悪なる神──邪神と呼ばれる存在。テーブルゲームのロールプレイングに題材として出演している、ニッチでマイナーながらも、日本にもそれを題材としたアニメが放映されている程だ。だがそれはあくまで創作であり、一部の者に信仰を経たと言うだけのものであった。ある筈だったのだが・・・

 

「そのラヴクラフトさんが言った神話は、全部外なる世界にいた本物の彼等の存在を言い当ててたんだって」

 

「えぇ!銀河宇宙警察の全銀河規模の指名手配犯にして愉快犯!クトゥルフ神格の中でも特級の最悪な存在、それがニャルラトホテプという外道なのです!!」

 

勢いよく扉を開けて現れる、いつものフルアーマーではない、蒼きカルデア制服に身を包んだ、ヒロインXXと黒きジャケットのリッカ。デスセイバー星にて洗浄を終え、同時にやって来たのだ。

 

「ニャルラトホテプは痴呆神アザトースの化身であり部下でありメッセンジャー!それ故に星クラスの力を行使しあらゆる者を混沌に陥れる最悪の糞野郎なのです!何か質問はありますか!」

 

チラチラとギルを見るXXに、呆れながらも質問を投げる御機嫌王。どうやら聞いてほしくて堪らないそうだ。ホワイトならぬプラチナ企業に雇用してもらった恩義を存分に感じているようなので、それを無下にするも上手くはないといった裁定であるが故に

 

「・・・何故我等の眼が見通せぬ?この星の、この世界の法則に準ずる存在ではないからか?」

 

「その通りです。彼等は宇宙に潜む外なる犯罪者。国境一歩跨げば法律は効かないように、宇宙未踏の領域に座す者たるあの連中は、銀河宇宙警察に連なる者でなくては対処が叶いません!」

 

「じゃあ僕からも。何故人類全てが行動不能、なんて憂き目に?人類と星の抑止力が、そんな事を許すはずが無いと思うんだけど・・・」

 

「彼等は星の密航者、外宇宙の密航、潜入などお手の物です!その星の防衛機構など完全フリーパスです!」

 

「・・・嘘。なら今回あちらがその気なら、私達は手も足も出ずに鎮圧、制圧されていたというの?」

 

「いつもは基本的に人類の誰かに狙いを定め、詐欺セールスで騙した後、自滅を促すやり方を好みます。大体ニャルラトホテプのせいとは言いますが、此処まであからさまな攻勢は数億年単位でも珍しいのですが・・・む!」

 

瞬間、左手に巻かれたウォッチがアラームを鳴らす。ヒロインXXの装着型装甲飛行ユニット『アーヴァロン』の強攻偵察が終了したとの合図、らしい。

 

「偵察に向かわせていた自律モードのアーヴァロンが撮影データを持ち帰ってきた様ですね。正面モニターに回します!」

 

(ヒロインシリーズは理解不能だけど、今回ばかりは凄く頼もしいね、ギル?)

 

(フン、狂気には狂気、色物には色物と言うことよな。アルトリアめは今回は不干渉を決め込むという。キャラ被りは深刻な問題なのだろうよ)

 

「──これがセイレムの状況だと言うの?」

 

オルガマリーの言葉の通り、暗闇の内のセイレムの様子を撮した様子は異様かつ、異質そのものだ。穏やかな波打ち際、灯台、村・・・つつましやかな清廉の中に暮らす、信仰厚き者達の平和な村の姿。──【数世紀遡ったかの様に、文明レベルが退化している事を除けば】、だが

 

「照らし合わせたところ、これは17世紀の植民地時代のようですね。ニャルラトホテプの仕業です!」

 

「これは・・・現代に過去の一時代を精密に再現する、あるいは置換する空間魔術・・・人類の歴史を時間を無視して無理矢理再現するとんでもない荒業だ。村一つならともかく、これだけ星の法則をねじ曲げたり抉り取ったりするような真似は、まさに・・・」

 

神業。魔神すら及びもつかない凄まじき業であることを痛感せざるを得ない事態に他ならない。

 

「神業というのも当然です。邪神なのですから。しかし私達ゴージャスカルデアに止まっている暇などない筈です!ね、ギル!」

 

「・・・フン、言われるまでも無かろう。我等を名指しにて挑戦を叩き付けて来たのだ。逃げるも静観も我等が取るには無様に過ぎる」

 

思考停止にて聞き及んでいたが、いつまでも停止しては話にならない。無知の安寧など我等には似合わぬ、と号令を掛ける

 

「これより我等カルデアは!『同時代レイシフト』を開始する!ロマン、そしてマルドゥークにてレイラインを開き、かの闇に殴り込みを掛ける!外界を全て拒絶すると言うのなら、同じ土俵にて退治し、当然の様に蹴散らし勝利するまで!!我がマスター、藤丸リッカ!」

 

「うん!」

 

「此度は我等・・・人類が経験した事の無い全く未知の案件だ。マスターの層は厚くはなったが、貴様ほど困難を乗り越えた実績を持つ者はおらぬ。──ヒロインXX、以下貴様が必要とするサーヴァントを連れてゆけ!この期に及んで、出来ぬとは言うまい!」

 

「──もちろん!」

 

それに、リッカはなんとしても赴くと決めていた。先に洗浄された意味は、ヒロインXXが言うに・・・【魅入られた】と言われたのだ

 

「かの時代に潜り込む衣装はこちらで用意します!後はただ、乗り込み犯罪者を捕まえるのみです!」

 

ならば、行くしかない。そして彼が言うに・・・自分達を待っている何者かがいる。そして、世界中の生命が掛かっている。

 

「総員!覚悟を決めよ!我等はこれより、混沌の深淵を覗く!!だが恐れるな、貴様らの背には常に我等が座している!!」

 

「「「「「はっ!!」」」」」

 

「狂気など、不理解が産み出す幻想に過ぎん!己を見失うなとは言わぬ!『己が己たるが故に挑め!』それこそが我等、人間が困難に立ち向かう武器である!!──奮え、我が財達よ!!我等の向かう星の大海、その水平に威光を刻む為に!!」

 

「「「「「英雄王!英雄姫!!万歳──!!」」」」」

 

今、人類の命運と希望を担う王とその財達が未知なる深淵に脚を踏み入れる。

 

「・・・・・・」

 

その先に待つものは、果たして──

 

 




マサチューセッツ州

『GAAAAAAAAAAA!!!!』


カルデア

「英雄神、ワープにてマサチューセッツ州に到達!暗闇上空にて突貫します!」

オルガマリー「ロマニ!」

「心配ないよ、マリー。座標さえ掴めていれば・・・」



ギル「よし、放て!マルドゥーク!神々の王たる貴様の力、深淵の底にまで見せつけよ!」

『GAAAAAAAAAAA!!!──HOI』

渾身の咆哮の後、マルドゥークが闇へ指一本を突き刺す。ただそれだけの動作で・・・『暗闇に、孔が穿たれた』。瞬間──



「よし、レイシフト可能だ!リッカ君、XX!すぐにサークルを設置するんだよ!」

リッカ「了解!行ってきます!!」

「邪神、殺すべし!プラチナ企業に就職した私達の力、見せつけてやります!願わくば更なるボーナスも!」

照らされた光を下に、レイシフトにて闇の中へと飛び込むリッカ、そしてXX。光に包まれ、そして──

~~~~

「失礼いたします。その出で立ち、楽園より訪れしカルデアの皆様とお見受けしました」

レイシフトを終え、森の中にて立ち尽くすリッカに、そう声をかける者がいる。

その声の主は女性であり、姿を現わしたそのシルエットは豊満であり、絶世の美貌を湛えている。褐色の肌に、真紅の眼に鋭き目付き。頭髪は白き長髪。その服装は修道服のようだが、フリルの拵えてあるスカートにより、メイド服との折衷に見える。何より大胆に開いた胸元、そして太股につけられたガーターベルトというスタイルは神に仕える者としてはあまりに扇情的だ。趣味なのだろうか。

「――あなたは?」

リッカに声を掛けられた女性は軽く頭を下げる。袖をつまみ、優雅に静かに言葉を返す。

「皆様のゲーム進行を助ける為に派遣されました、ナイアと申します。どうぞご遠慮なく『ナイナイ』『ナイちゃん』という様にお呼び下さい」

「あ、こんにちは!私は」

「リッカ様。あなたの来報を心より歓迎いたします」

その日、少女たちは混沌と未知に出逢う──

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