人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

804 / 2527
リッカ「そう言えば二人はどういう関係なの?知り合い?」

ナイア「私の金魚の糞でございます。クソ鬱陶しい事この上なく」

「ハワイの火山で丸焼きにしますよ?彼女は私が就職した際に最初に課せられたターゲットなのです。出世するにはやっぱ大物撃墜マークかなと」

ナイア「私は光射す世界に侵食する外界の連中を始末するフリーの狩人なのですが、同時に正気を喪った人間の始末やアーティファクトの回収も行っております。それらがどうやら銀河警察はお気に召さぬ様で」

「当たり前でしょう!マッチポンプもいいところです!世界から拾った孤児に自らの後始末をさせるなど!あなたがあなたである証明も無いです!邪神では!?」

ナイア「その手の話は最早弁明も飽きましたわ。カスには何を言っても無駄ゆえにカスなのですもの。虫ケラに説法するほど暇ではありませんわ」

「すみません!今すぐ後ろから刺していいですか!!」

「まぁまぁまぁまぁ!ナイナイもXXも約束忘れちゃダメ!」

「ナイナイ・・・」

「ぷぷっ、ナイナイですってw」

「これはもう、リッカ様と私はフレンドでは?」

「は?」


説得と言いくるめは常に自動成功

「そんな・・・獣が村のこんな近くに来るなんて・・・!」

 

深夜、焚き火のまわりに寄せ集まり獣たちに背を向けぬよう固まる少女達。血と肉に飢えた獣たちの唸り声が少女達に殺意と共に向けられる。狼と見た目の相違無い獣が、焚き火に誘われやってきたのだ。

 

「あ、アビー・・・!逃げましょう!」

 

「そうよ、一人でも村に行ければ・・・!」

 

「だめ、だめよ・・・!離れてしまっては誰かが必ず食べられてしまうわ!固まって、刺激しないように・・・!」

 

そんな中、懸命に混乱を落ち着けさせる金髪の少女が、他の子らを庇うように棒切れを握り締め、獣に立ち向かい視線を逸らさず相対する。脚は震え、手元は覚束無くとも。友達を護るために勇気を奮い起たせているのだ

 

「た、食べるなら私だけにして・・・!この子達はどうか・・・!」

 

自らを差し出すその願いも、言葉と崇高なる意志を持たぬ獣には伝わらない。空腹という原初的な欲求に突き動かされるまま・・・

 

「ガアァアッ!!」

 

「きゃあっ・・・!」

 

金髪の少女に襲い掛かった。運良く牙は棒切れに阻まれ怪我は無かったものの、為す術なく武器は折れてしまう。尻餅をつき、獣らに無防備な姿を晒す少女

 

「グォオォオ!!」

 

「あっ──」

 

アビー、と呼ばれた少女に獣が飛び掛かる。──きっと、バチが当たったのね。死に面しながらも不思議な程穏やかな心持ちにて、少女は運命を受け入れ目を閉じ──

 

少年少女は世界の宝ッ!!

 

──だが、当然ながらそんな運命を神も人も望む筈もなく。獣の前に躍り出、上顎と下顎から身体を真っ二つに引き裂き少女を助ける何者かが現れたのだ。血飛沫を撒き散らし、屍と成り果てた獣を、それは乱雑に群れめがけて投げ捨てる。

 

「・・・あ・・・」

 

【大丈夫?もう安心だよ。私達が護るから!】

 

目を開いた金髪の少女に映ったのは・・・血飛沫に紅く染まりながらも、美しき『白の甲冑』に身を包んだ何者か。眼光は紅く輝き、両腕と両足に回転する変なものがついていて、その兜は御伽話に出てくるドラゴンの様で。

 

【ここで待っててね!XX!ナイア!】

 

白い何者かが、声をかけた瞬間。更に少女達は驚きを露にする事となる。それは閉塞された村では決して見ることの出来ない、鮮烈に過ぎる程の衝撃的な出来事の連続であり。声を出すことすら忘れる程のものであったのだ

 

「子供だけで夜遊びとは随分と最近の子供はおませですね!え?此処は数世紀前のセイレム?堕落しまくりおのれニャルラトホテプ!ダブル!エーックス!!」

 

狼を光線や迎撃バルカンで蹴散らしていく、機械仕掛けの謎の存在。謎の存在としか言い様の無い佇まいの秩序の護り手の遥か未来の技術の乱舞にて獣たちは蹴散らされていく。だが当然背後にはちょっと行き届かないデッドスペースがあるのだが・・・

 

「冒涜的、背徳的で大変結構。旧支配者のキャロルを皆様で唱和なさり、暗黒のファラオを褒め称えていればなお完璧ですわ」

 

手に巻いていた手拭いを解放し、しなる布を刃のように鋭利に、触手のようにしなやかに扱い獣達の首を跳ねていく漆黒のシスター。フォークを獣らの目に突き刺し潰した後、鞭のように黒き布を走らせ入念かつ丹念にバラバラにしていく。見たものの正気を削るような凄惨な戦法にて、生け贄に最適な部位と獣達が成り果てる。

 

「なーにがしゃまっしゅしゃまっしゅですかバカバカしい!ぼくたちが考えたさいきょーの邪神を布教するなど言語道断、まだカエサル商会やダビデ金融に借金する方がマシと言うものです!」

 

「信仰は身を助けますわよ。貴女のように頭も人生プランも貧相な大量生産フェイスの粗製乱造品も我が神は受け入れてくださいます。半笑いでですが」

 

「いずれセイバーばっかり増やす神も殺します!ですがその前に目障りな邪神総てを殺してからですが──」

 

「まぁ、それが出来るのならば是非。楽しみですわ──」

 

「「ね!!」」

 

背中合わせに戦っていた二人が突如反転し、互いに武器を向け突き刺す。──互いの背後に忍び寄っていた、浅ましき獣目掛け。短い断末魔をあげ、ドサリと倒れ伏す二匹の獣。無言で目の前の異形を狩る邪神の劵属を睨むXX。嘲笑を浮かべるナイア。水と油がごとき二人は、互いへの殺意と言う点で抜群に気が合うのである

 

「す、凄い・・・!」

 

「どう、やったの・・・?」

 

【皆、楽しんでくれた?これが我が劇団の講演の一つ!『祈りの空より来る狩人』でした!拍手喝采をお願いしまーす!】

 

自らの生を肯定することにより完全に白く染まった鎧を解除し、オーバーリアクションで頭を下げるリッカ。その言葉を信じた少女達が言われるままに拍手を送り、助かった安堵と歓喜を興奮に変える。

 

 

「す、凄かったわ!今の、あんなの、見たこともないものばかりで・・・あっ・・・」

 

「・・・む、無茶をして。その髪が、汚れるわ」

 

緊張の糸が解け倒れ込むアビーと呼ばれる少女を、ラヴィニアがいつの間にか寄り添い、受け止めていた。アビーと呼ばれる彼女は、ラヴィニアを認めたことにより満面の笑みを浮かべる

 

「ラヴィニア!ラヴィニア・ウェイトリー!あぁ、なんてこと!来てくれたのね!傍にまでいたのね、嬉しいわ!」

 

「べ、別に・・・貴女がする儀式が、気になっただけで・・・」

 

「それでも嬉しいわ!こうしてお話しできるだけで嬉しいのよ。喧嘩別れでは、あまりにも寂しいでしょう?あなたが、この御方たちを呼んでくれたの?」

 

「た、旅の劇団・・・みたい。私も、さっき稽古を偶然・・・」

 

会話が弾む二人を見つめ、頷きながらリッカは周囲を確認する。他に獣はいないか、周囲に危険は無いかと周囲を念入りに確認し・・・

 

【?・・・なんだろ、これ】

 

焚き火の近くに、何やら怪しげなものが落ちている事を確認し拾い上げる。見た目は妙におどろおどろしく、何かの呪いに使えそうなくらいにおっかない見た目の人形だ。彼女らはこれを囲んで何かをしていたのだろうか・・・?

 

「目星の発見に成功致しましたね、リッカ様」

 

【ナイちゃん?】

 

「惨劇の要因を一つ摘み取りました。おめでとうございます。その芽をどうするかは、貴女次第ですわ」

 

リッカに歩み寄ったナイアがひょいと人形を掴み、手のひらサイズのストラップに変化させポケットにしまう。まるで探索のアイテムのように

 

「それでは、次なる一日に参りましょう。・・・時にリッカ様。今私の事をナイちゃんと御呼びして戴いたかと」

 

【あ、ごめん。馴れ馴れしかったかな?】

 

「いいえ。これで私達は、人生を永遠とするズッ友という関係へと昇華なされた、と受け取ってよろしいのですね?」

 

【アダ名で呼んだだけで!?】

 

「ついでに神話生物が飛んでいませんかね・・・ノルマは高ければ高いほど査定が楽しみと言うものです!」

 

一先ずの危機を取り除いたリッカ一行。──一つ目の結び目は、カルデアの手に委ねられた。

 

これをほどくか縛り直すかは、彼女達次第である。




アビゲイル「皆様、本当にありがとうございました。皆様は劇団の御方なのですね?私、ボストンの劇団にとても憧れていましたの!」

XX「えっ!サーヴァントユニヴァースに興味がおありで!?」

ナイちゃん「えっ、冒涜的な儀式に興味がおありで」

リッカ「話の腰を折らないの!アビーちゃん、今日は何日だっけ?」

ラヴィニア「し、4月21日よ。昨日が安息日・・・日付、変わったわ」

「西暦は・・・えっと。1692年です」

ナイちゃん(お聞きの通り、魔女裁判の始まりの日です。慎重に行動を、リッカ様)

「(うん、解った)」

?「──アビゲイル、その方々は?」

アビゲイル「あっ、叔父様!」

リッカ「どうもこんばんは!私達は遥か遠くからやってきた旅の劇団!稽古中に私達の音が気になって様子を見に来ていた少女達に内緒で講演を見せていた所、獣たちを刺激してしまいまして。やむを得ず劇の一部を見せつつ少女達を保護していたのです、はい!」

「・・・本当かね、アビゲイル?旅の劇団が気になり、こっそり家を抜け出した、と?」

アビゲイル「あ・・・」

ラヴィニア(う、頷きなさいアビゲイル。儀式なんてバレたら、ただじゃすまない)

「そ、そうなの叔父様。楽しそうな声が聞こえて、私が皆に、行ってみようって・・・」

「・・・ミス・リッカ。稽古中に申し訳無いことをした。お詫びといってはなんだが、女性ばかりが野宿をしては気が休まるまい。よければ私の家に泊まってくれないか?」

「宿!ゲットだぜ!!」

「黙りなさい」

ラヴィニア「・・・じゃ、じゃあ私は、これで・・・」

リッカ「待った待った!ラヴィニアちゃんがいてくれたから素早く獣の襲来に気付けました。是非彼女も一緒によろしいですか?」

「構わんよ、ラヴィニア君もアビゲイルにキツく言ってくれたまえ。お仕置きは明日、きっちりするとね」

「は、はい」

ラヴィニア「・・・り、リッカさん。・・・ありがとう、ございます・・・」

リッカ「二人、仲良くね!」

「・・・申し遅れた。私は亡くなった妹夫婦の娘のアビゲイルを引き取り、養育している・・・ランドルフ・カーターという」

ナイア「───・・・」

「話は明日だ。ティテュバに食事を用意させよう。──さぁ、ついてきてくれ」

リッカ「?どしたの、ナイちゃん」

「なんでもありませんわ、リッちゃん。さぁ、御風呂であらいっこ致しましょう」

XX「えっ!?食事は水のみ!?死活問題では!?」

ナイア「霞も付きますわ」

「仙人でもやりませんよそんなん!!」

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
  • 桃太郎(髀)
  • 温羅(異聞帯)
  • 坂上田村麻呂
  • オーディン
  • アマノザコ
  • ビリィ・ヘリント
  • ルゥ・アンセス
  • アイリーン・アドラー
  • 崇徳上皇(和御魂)
  • 平将門公
  • シモ・ヘイヘ
  • ロジェロ
  • パパポポ
  • リリス(汎人類史)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。