XX「うぅ・・・郷土料理にケチはつけたくありませんが、流石に粥は低燃費過ぎると言いますか・・・ギル、早く通信を・・・何で上機嫌なのですかあなたは」
ナイア「それはもう。お友達が増えたからに決まっております。絆と愛と友情・・・それらを育む土壌たる『友達』。トラペゾヘドロンがゴミに見えるほどの宝物になりました。今しましたの」
『ともだちの~と』
「まさかこれに名前を記す日が来るとは・・・苦節星辰ウン年。38万5000冊目の討伐記録ノートなど比べ物にならない珠玉の瞬間にございます」
ヒロインXX「どれだけボッチだったんですか・・・まさか一から十まで狩りばかりとか流石にストイックすぎて憐れです・・・」
ナイア「早速リッカ様にパンケーキをお作りいたしましょう。グレービーソースや考える限りの美味しさを詰め込んだ背徳的ナイアスペシャル。口にしただけで正気度全回復の一品。契約は履行するもの、禁忌は破るもの、友は何より重んじるものですから」
ヒロインXX「ナイア!お話があります!!」
「粥のお代わりでしたらそちらですわ。足りなければウジでも食ってなさいな」
(情報収集、上手くいっていることをお祈りいたしますわ。合流した後、方針を定めることと致しましょう──)
「よぉーし!売り込み完了ー!これでセイレムの皆、お芝居に興味持ってくれたらいいなぁ~。楽しいお芝居にするぞ~!」
ランドルフ・カーターより宿を借り、夜明けを迎えたリッカら三人はそれぞれ行動を開始した。このセイレムの地にて、自らが取るべき行動を選択した活動・・・テーブル・ロールプレイングで言うならば探索フェイズ、情報収集ターンである。ナイア、ヒロインXXにそれぞれ自由行動を提案し、各自で最善のアクションを考えてもらった。それにより三人は、次の様にセイレムにて動いたのだ
ヒロインXXはまず特異点と化したセイレムの調査と、カルデアの通信の円滑化を図った霊脈の確保の為にアーヴァロン・ステルスモードで飛び回る。力を弱体化させたりサーヴァントとしての存在を縛るなどという小賢しい真似はかの邪神は好まなかったのか、各地に問題なく活動可能であった。魔力障害なども感知されない。うまくいけばすぐにでもカルデアと連絡が取れるだろう。彼女は決して給料泥棒には成り得ない。根底は生真面目なアルトリアであり、アーサー王なのだから。
ナイアはシスターという立場を活用し、公会堂の使用許可とミサの開催を行い村人全体の警戒レベルを大幅に下げた。理屈と信仰に従順な大人達を、同じ信仰の土俵にて信頼を得た。具体的には聖書を一字一句完全に諳じ、一人一人に呼び掛け悩みや懺悔などを聞き及ぶという凄まじき敬虔なる方法でだ。イワシの頭すら人間は神と崇める。
「あ!リッカさん!ここにいたのね!この波打ち際の崖は私とラヴィの御気に入りなの。リッカさんと共有できて嬉しいわ!」
「お、おはようございます。リッカ座長。た、楽しみにしているわ。あなた達の劇を」
やってきたのはアビゲイルにラヴィニアだ。もうすっかりリッカに懐いている。・・・そう、リッカは子供達一人一人に劇団の劇を説明し、話しかけ、目線を同じくして語り合ったのだ。『皆を楽しませたい。楽しい時間を過ごしてほしい』と。一人一人の質問に丁寧に答え、心を通わせたのである。地道な絆の構築こそ、ハッピーエンドの道と信じて。
「リッカさんのお話が待ちきれないの。あらゆる世界の神話や昔話を、この目と耳で楽しめるなんて!本でしか見たことが無いような世界を、実際に自分が感じられるの!ね、ラヴィ!素敵と思うでしょう?」
「そ、そうね。ギリシャに、インド、ケルトに、ジパング・・・7日も聞かせてもらえるなんて、す、素敵だわ」
「ありがと!退屈させないから期待しててよ~?お金はいらないよ!ボランティアみたいなものだしね!」
年相応にはしゃぐアビゲイルに、何処と無くそわそわするラヴィに微笑ましげな感情を覚えたリッカが微笑む。どうやら二人は本当に仲がいいようだ。一緒に見る約束は、とっくに交わしていたらしい。
「私、このセイレムから出たことが無くて。本やラヴィの語るお話を想像するのが楽しみだったの。このセイレムから出たら、どんな素敵な物語が、世界が待っていて、広がっているのかって・・・!」
「セイレムから出たことないの?ホントに?好奇心旺盛に見えるから馬車に紛れてとかやってるかと思ったのになぁ」
「まぁ、リッカさんはいけない人!め、ですからね!」
「わ、私達も、抜け出したわ。こっそり夜に、ほうき星と、鯨を、此処で・・・」
「そう!そうなの!聞いてくださる、リッカさん?私達、二人で星を見て鯨の鳴き声を聞いたのよ。二人きりで、時間も忘れて・・・本当に素敵だったのよ?」
興奮冷めやらぬ、といった様子でアビゲイルは語り続ける。その思い出は大切で、かけがえのないものだと話し、リッカとラヴィを圧倒する。どうやら彼女は意外と語りたがりのお喋りさんだったらしい。すっかり自分の世界に入ったアビゲイルを余所に、ラヴィニアがリッカに話しかける。
「ざ、座長さん。あなたは、色んな場所に行ったのでしょう?例えば、何処に?」
「ん?えーっとね。フランスにローマ、大海原にロンドン、アメリカ大陸全域に聖なる都に・・・メソポタミアかな?」
「・・・そ、そう。旅人、なのね。あなたは。すごいわ」
「そんなにも沢山の場所に!?凄いわ、リッカさん!ねぇ、いつかそのお話、私とラヴィにしていただける?出来れば御客様は私達二人だけで、こっそりと・・・」
「勿論いいよ!シークレット上映、一日だけ悪い子になっちゃおう!楽しみにしてて!」
「はい!やったわ、ラヴィ!私達だけのお芝居をしてくれるだなんて、こんなに嬉しいことがあるかしら?私、これから眠れるか不安だわ・・・!叔父様に怒られてしまいそう!」
はしゃぎにはしゃぐアビゲイル、静かにそれを見守るラヴィニア。そしてふと、リッカは一つの疑問を口にする。浮かび上がったその疑問を
「アビゲイルはさ、セイレムから出たいとは思わない?旅とか、嫌いじゃ無さそうだけど!」
「あっ・・・そ、それは・・・」
瞬間、アビゲイルはうつむいてしまう。どうやら不味い事を聞いちゃったかな、と頭を抑えるリッカにラヴィが首を振る。
「あ、アビーは意気地無しなだけよ。出たいけれど、生まれ育った土地から離れるのが怖い。だから、待っているの。いつか、本当に出ていける日が来る事を」
「ら、ラヴィ!もう、このお話になると途端に意地悪になるんだから・・・!」
「お、お願いするわ、リッカさん。『アビーがセイレムから飛び出したくなるくらい、素敵なお芝居を見せてあげて』。アビーにはそれが出来るの。ただ、飛び出すのが、怖いだけ」
その実感の籠った言葉に、リッカは強く頷く。なんだか言葉に、『あなたたちに懸ける』といったニュアンスを含んでいたような気がして。ここで、頷くべきだと思ったからだ。
「任せて!もしかしたら・・・アビーとラヴィはマスコットをやってもらうかも!?」
「も、もう!リッカさんも本気にして・・・いけない、礼拝の時間だわ!私、先に行っています。劇、楽しみにしています!ラヴィも遅れてはだめよ!」
またね!と手を振るアビーにリッカは笑顔を返す。これが若さか・・・素晴らしい!なんて事を考えているリッカの隣で・・・
「・・・そ、そうよ。アビー。出る時は今よ。『あなたは、外に出るべきなの』。色んな場所に、行けるのよ。私や、座長さんたちが、必ず・・・」
「?」
その決意のこもった言葉を、いぶかしむ間も無く・・・
「ざ、座長さん。耳を貸して」
「?何々?」
「───『あなた達が使っているのは、魔術』ね?」
ラヴィニアは、信頼できると信じた者に。彼女を救う為の協力を持ち掛けた
リッカ「・・・・・・うん、そうだよ。魔術・・・レイシフトっていうの」
ラヴィ「──あ、ありがとう。誤魔化さないで、正直に教えてくれて。・・・し、信じるわ。あなたたちが、アビーを助けに来た『楽園の使者』だって」
リッカ「──何処で、それを?」
ラヴィニア「く、詳しくは、私のお家で話させて。私も、あなたたちとは違うやり方の、アビーの助け方を、考えているの」
・・・彼女に接触と、良き関係を築いたのはこれ以上無い収穫であった
「アビーに、あらゆる時空と次元に繋がる神、【ヨグ=ソトース】を下ろす・・・彼女を、あらゆる世界に繋げる、巫女にする。・・・もしかしたら、それ以外にも・・・」
「・・・ヨーグルトソース・・・?」
「ヨグ・・・い、いえ。はやく、はやく。『七日までに、なんとかしなくちゃ』・・・」
彼女が知る情報。それはリッカらに何をもたらすのか──
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