人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「カルナ殿、アーラシュ殿。私が作りしゴミ拾いの集いに立候補していただき感謝しますぞ」


「ま、暇をもて余すくらいならってな。俺の千里眼は間に挟まったゴミも見抜くぜ」


「オレは掃除はよくしていた。ジナ・・・前のマスターの影響でな」

「このメンバーなら、ポイ捨て、不法投棄も見逃しますまい。カルデアの清潔のため、尽力いたしましょうぞ」


独壇場だなっ!

「やぁあぁあぁ!!!」

 

 

マシュが気合いと共に、兵士達を盾で吹き飛ばす。返す刀ならぬ返す盾で兵士達を薙ぎ払い、吹き飛ばし、果敢に戦場へ斬り込んでいく

 

 

「おぉっ!やるではないか盾の少女よ!身の丈の大きさの盾を振るう雄々しさがとてもよい!」

 

 

「あ、ありが……くうっ!!」

 

 

兵士の大軍に押し込められ、押し合いに持ち込まれるマシュ

 

「は――ぁあぁあぁあ!!」

 

足を踏ん張り、腰を入れ、無数の兵士を押し返す――!

 

「そのまま耐えよ!」

 

肩を踏み、空へと跳び、身体を捻らせ

 

 

「この華は余のものだ!貴様らにはくれてやらぬぞっ!!」

 

回転しながら、赤き剣を振り払い有象無象を切り裂いていく!

 

 

「――」

 

その姿、大輪に咲く薔薇の如し――

 

マシュが息を呑み、見惚れてしまうも詮無き事か――

 

「そなた、名前は!?」

 

「マシュ!マシュ・キリエライトです!」

 

「よし、マシュ!そなたが盾で余が剣だ!押し込むぞぉ!!余に続けぇ!!」

 

「はい――!!」 

 

赤と紫の華が、戦場を駆け抜ける――!

 

 

 

 

「くっ、ちぃっ……!」

 

兵士達にやや押し込まれながら、ジャンヌは歯噛みする

 

(こんな程度の連中に、手間取るなんて――!)

 

今の自分は、反則技でサーヴァントに招かれたようなもの、本来の資格を到底満たしてはいない。それは解ってる――

 

だけど、こんな。雑兵ごとき切り捨てられないくらい自分が弱ってるなんて……!

 

「こん、な!屈辱――!!」

 

――まずい、やられる……!!

 

「瞬間強化!ジャンヌ!やっちゃえ!」

 

マスターのサポートが、ジャンヌに力を与える!

 

「マスター――おぉおっ!!」

 

旗を炎に変え、群がる兵達を一息に薙ぎ払う!

 

「大丈夫!?」

 

「当たり前でしょう!?」  

 

ジャンヌが叫ぶ

 

「このくらい、何てこと無いのよ、私には――!」

 

もっと憎悪を、もっと怒りを!

 

それこそが、己を形成する全てなのだから!

 

「見てなさい!マスター!燃やして燃やして燃やして燃やしつくす!」

 

「うん!見てる!」

 

 

「証明してやる!――私を求めたあんたが間違いじゃなかったってことを――!」

 

 

 

 

 

 

 

黒と白の刃が敵陣を切り裂く!

 

 

「750体目!」 

 

 

「なんだ!たったそれっぽっちかよ!――そらそらそらそら!!」

 

赤き槍が駆ける、有象無象を貫き穿つ!

 

「俺は1500はやっただろうぜ!!」

 

「サバを読むなクー・フーリン!数えた限り今ので820だ!」 

 

「律儀に数えてんじゃねえよ!?」

 

 

「ハッ!あくせく草刈りとはさもしい奴等よ!狩りとはまとめて、一息にやるものだ!――放て!」

――狙う数、920体。財の装填は終わっている!

 

食らえ、ゴージャス戦法、アーチャー流必殺戦術――!

 

「『王の――財宝』!!」

 

無数の宝具の原典が天から降り注ぎ、数多の雑種を貫き穿ち、次々と間引いていく!

 

 

「うぉっ!!」

「くっ!!」

 

間一髪で範囲から離脱してくれたクー・フーリンにエミヤ。

 

「フハハハハハハハ!見たか戌に贋作者!膝をつき我を崇めよ!これが真なる王の蹂躙と言うものだ!」

 

――高らかに謳う器に挑発を任せ、速度と勢いに長けた宝具を選別する

 

敵は多いのだ。威力よりもとにかく速さと連射性を重視することにする

 

戦場を吹き飛ばす爆弾宝具もあるにはあるが――仲間がいるのでナンセンスだ

 

 

「あぶねぇじゃねぇか!当たらねぇけどよ!!」

 

「フン、相も変わらず逃げ足の早い!」

 

「気を付けろランサー!彼の射撃の精度は、私達の知る英雄王ではない!気を抜けば狙い撃たれるぞ!」

 

「狙い撃つだぁ!?テメェクソエイム直したのかよ!?」

 

「うつけが!貴様らとは児戯で相手をしてやっていただけよ!本気の我に!一切の手抜かりは無いと知れ――!!」

 

次なる宝具の装填完了。総て蹴散らす――! 

 

 

「へっ、そうかよ!――なら俺も、ケルトの槍の使い方を見せてやるぜ!!」

 

クー・フーリンが力の限り跳躍し、筋肉の総てを総動員し槍を構え引き絞る――!!

 

 

「広範囲撃破宝具――それなら私にも備えはある――!」

 

同じく跳躍し、弓矢をつがえ、螺旋の剣を構え放つ――!! 

 

「我が骨子は捻れ狂う――!!」

 

 

「ハッ!貴様らに獲物はくれてやらんぞ!!」

 

一時的にマスターからの魔力パスを切り、単独行動にて自らの魔力を使い財を展開する――!

 

 

「我が威光の一端を見せてやろう!!『王の』――――」

 

 

「させるかよ!!『突き穿つ』――――」

 

 

「『偽・』――――!!」

 

 

 

 

三騎の軍を吹き飛ばす必殺宝具が、今敵軍に放たれる――!!

 

 

「『財宝』――――!!!!!」

 

 

「『死翔の槍』――!!!!!」

 

「『螺旋剣』――!!!!!」

 

 

黄金の財が、赤き刺が、壊れし幻想を宿命付けられた螺旋の剣が、敵軍に襲い掛かる――!!

 

――回収宝具、発動――!

 

大爆発、大轟音。抉れる大地、吹き飛ぶ岩盤、震える大気

 

 

その総てが着弾した場所に、もはや何一つ形を成しているものは存在せず

 

 

隕石が直撃したかのような極大のクレーターが、破壊力をただ物語るのみであった――

 

 

「フハハハハハハハハハハ!贋作者に狗よ!この勝負我の勝ちだな!この有り様を見れば一目瞭然!火を見る、ならぬ財を見るより明らかよ!!」

財を回収しながら、器が高らかに笑う

 

 

「のぼせた事いってんじゃねえ。俺の槍が全部吹っ飛ばしたんだよ!」

持ち主の手に飛来するゲイ・ボルクを掴み、クー・フーリンが吠える

 

「――前提が間違っていたな。スコアを計る戦いに、盤を吹き飛ばす技を持ち出しては企画倒れも良いところだ」

 

 

――ちなみに最終スコアは英雄王が1854、クー・フーリンが1752、エミヤが1732である。回収のついでに数えてみた

 

――まあ、フィールドが消し飛んだので無効試合で構わないだろう。そんな差はないし

 

 

「お、敵兵が退いてくな。流石に分が悪いと見たか」

 

クー・フーリンが声をあげる

 

「サーヴァントもいないのだ。これ以上は無用な犠牲だろう」

 

「フン、他愛もない。我に刃を向けたくば国をあげてこいと言うのだ」

 

「――テメェもちっとはましになったみてぇじゃねぇか。少しは面白く戦えるかもな」

 

「我に噛みつくか、狂犬。よいぞ、許す。貴様が負けたら麻婆漬けにしてくれるわ」

 

「食べ物を粗末にするのは許さんぞ。作った以上、必ず完食してもらう」

 

「――――む、また口が辛くなってきたわ……」

 

――一先ず、こちらの敵兵を追い払えはしたようだ

 

あちらは、無事だろうか?

 

 

 

 

 

 

「そこまで!勝負あった!刃を収め、退くがよい!」

 

ネロが通る声で戦場を渇破する

 

 

 

「これ以上の犠牲は無用!余とローマは逃げぬ!挑戦、侵略は受けてたつ!そう、偽りの連合に伝えるがよい!」

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

「そなたもよく護った。助かったぞ、マシュ」

 

「はい、……はい……」

 

「今は休むがよい。すぐにそなたたちに礼をする故な」

 

 

 

 

「終わったよ、お疲れさま!ジャンヌ!」

 

旗を支えに身体を支えるジャンヌに、リッカが声をかける

 

 

「お疲れさま、ですって……?皮肉のつもり……!?こんな無様な姿を晒して、雑魚にも遅れをとる私に!」

 

「皮肉?なんで?」

 

「なんでって!」

 

「ジャンヌは勝ったじゃん。私、見てたよ?生きてるよ?」

 

「――」

 

「ありがと、ジャンヌ!カッコよかった!」

 

笑い、肩を貸すリッカ

 

 

「大丈夫?カルデアに帰ったらゆっくり休んでね?」

 

「――」

 

この、マスターは……

 

 

「――見てなさい、マスター……私の力は、こんなもんじゃない……!」

 

「うん」

 

「絶対、絶対強くなってやる……!」

 

「うん」

 

「この屈辱を糧に、強くなってやるから……!」

 

「うん!私もマシュも半人前だから、頑張ろうね!」

 

「――っ……」

 

 

――本当に、このマスターは……

 

 

 

 

 

 

「そなたたちのお陰で助かった!そなたらはあれか?ブーディカ辺りの援軍か?カルデア、といったか?聞いたことのない単語でな?」

 

合流し、ネロが疑問を口に出す

 

 

「ロマン、説明せよ」

 

『もちろん!私達は』

 

「まぁそれは後でよい!一先ずはそなたたちに礼が先だ!」

 

『説明すらさせてもらえなかった……』

 

『余だ!余がいむぐぐ!ジャンヌ、なにをすむぐぐ!』

 

『ステイです!ネロさんステイ!』

 

 

「?声が聞こえるな?――まあよい!あらゆる疑問は我がローマに帰ってからだ!」

 

我がローマ――では、間違いないようだ

 

 

「余こそローマ!ローマこそ余!偉大なりし神祖に、皇帝に、自分自身に、正しきローマを取り戻すと誓った者!」

 

薔薇を回せ、華の皇帝は真名を告げる――

 

 

「名を、ネロ・クラウディウス!第五代、ローマ皇帝である!」

 

『カッコいいぞ、余~!』




「沢庵はいい。冷飯に乗せて茶漬けにしてもいい、単品でもイケる。生でかじんのもいい」


「いいか、沢庵だ。沢庵さえあればなんとかなる――沢庵を食え。いいな」

「はーい」
「たくあん、不思議な響きなのだわ・・・」

「ステイ!ステイ土方さん!!子供の嗜好を歪めてはいけませんとも!!」

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