人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

812 / 2537
アル『XX!此処は妾らに任せよ!そなたはかの邪神の娘に助力しに向かうのだ!』

ヒロインXX「でしょうね!こちらはリッカ君が慣れたなら大丈夫でしょう!拾い食いしていないか、ちょっと見てきます!また後で、リッカ君!」

『お、オッケー!気合いと根性でなんとかしてみせる!!』

アル『フッ、気合いと根性・・・よい覚悟じゃ、リッカ!あやつの推薦は間違っていなかった!』

『あいつ?』

『気にするでない、こちらの話よ!』


墓地

ナイア「あぁ、お見事です・・・!これで貴女は、カルデアは星の旅路を照らす光を手にしました。我が友達の躍進、我が事の様に喜ばしく思います・・・!」

グール『『『『『!!』』』』』

「これは私も張り切ると言うもの。──大盤振る舞いで行かせていただきます」

『あなたのお願い、叶えますと書かれた紙』

「契約の履行、御願いいたします。ルイン・プリンセス」

紅の滅殺姫「えぇ。毎度の御愛願、感謝しているわ。・・・どうかしら?契約の代償は果たせそう?」

「・・・もうすぐです。『いつか友達と撮った写真』をあなたに代償として渡すという契約ですものね」

「望みが出来たのね?それは素晴らしいわ。・・・なら、此処でヘマはできないわね?」

ナイア「そういう事です。それでは」

「えぇ。──いつものように、始めるとしましょうか!」

グール『『『『『────!!!』』』』』





希望の夜明け

『まさか私がシンフォギアみたいな鎧を纏う日が来るなんて・・・!というかこれ、凄く格式高い形態じゃない・・・!?』

 

混沌の夜を切り裂く白と紫、そして真紅の形態へと進化を遂げたリッカ。最弱にして最強、紛い物であるが故に神の摂理へ仇なす鬼戒神、常に限界を超え続ける光の巨人の力が込められたカプセル、そして如何なる気紛れか己自身の力の一端を封じたクラスカードを、カルデア・・・ひいては魔術王の作り上げた令呪と魔導書の導きで纏め上げた混沌にして希望の鎧。『D(デモンベイン)Z(ゼロビヨンド)N(ナイアー)』・・・全平行世界の可能性にて人類悪として特製にデザイン、鋳造されたリッカのみが纏える異端の極致にして比類なき奇跡の産物が、亜種なる特異点にてここに降臨したのである。

 

『うにゅー・・・妾だけで充分だと言うに・・・まぁよい!汝の力となるなら妾以外の力も喜んで使うまで!そら、来たぞリッカ!』

 

【───!!】

 

その未知にして異端なる形態に触発されたのか、エルダーグールがおぞましき咆哮を放ち、再び大量のグールを呼び寄せる。前方を埋め尽くす程の数を揃えてきたエルダーグールに、アルと名乗る本は不敵に笑う

 

『魔力と武装の制御は妾に任せよ!見せてやれ!人類最悪にして、無敵のマスターの力を!!』

 

『──もう迷ってる場合じゃないなら、やるだけだよ!護りたいもの、為すべきものは何も変わってないんだから!』

 

アルの激励を受け、戦う決意を固めたリッカの魔力が爆発的に高まる。正体不明の狂気を切り裂く力を手にしたリッカが、グールに向けてその力を振るう!

 

『バルザイ・スラッガー!ぜぇえぇあっ!!』

 

デモンベインの武装の一つ、『バルザイの偃月刀』を顕現させ、宙に浮遊するそれを後ろ回し蹴りにて力の限り蹴り飛ばす。乱回転するスラッガーは飛来する中四つに分裂し、その一つ一つが無数のグールを一瞬で切り裂き切り捨てる。鈍重なグールには、逃れられる筈も無い超高速の刃の乱舞にて魔が蹴散らされていく

 

『ガンド・スラッシュ!』

 

右手の一般令呪が輝き、指先に莫大な魔力を生成する。超新星が如くに凝縮された魔力を、手刀の要領で腕毎振り抜く。高圧縮された水が如く放たれたガンドは、軌道にいた全てを両断し討ち果たす。回転斬りのように行ったソレにて、背後にいたグールをもろともに切り裂いたのだ

 

『アトラック・クローザー!』

 

真紅の網、蜘蛛の糸が如き網を大地に手を叩きつけ展開し、一息に右腕を気合いと共に引き上げる。その瞬間──

 

『ぜぇえぇえやァ!!』

 

『入れ食い、大量ゲットじゃ!』

 

招かれたグール、その全てが空中に放り投げられる。為す術無く放り投げられた屍を喰らう鬼目掛け、更なる追撃が叩き付けられる。リッカの鎧の背部に、龍の翼を模した飛行ユニットが装着される。それを右手で掴み、『雷位』を乗せ速度の限界を突破させ、振りかぶり──

 

『シャンタク・ライトニング・シュートぉッ!!』

 

力の限り放り投げる。雷を纏った威力と速度で放たれた翼の速度は、『当たった』という因果を確定させてから対象に飛来する。音と全てを置き去りにしたが故の速さに、一瞬の静寂の後に落雷の如く放り投げられたグールたちが塵芥と化した。デモンベインの基本武装が、光の巨人、そしてカルデアと人類悪の力、魔術王とカルデアの援護にて邪神とそれに連なる存在への絶対的対抗手段へと昇華したのだ。通常の世界、法則ならば絶対に存在し得ない数々の手段・・・リッカの外付けで付与、習得した人類悪の力を、正しく外なる深淵の存在から人類を護る為に進化させた姿であると断言すべき、来たる星の大海への道標となる力である。

 

『なんかゼロ君の声で頭に技名が届けられる・・・!』

 

『油断するな、まだ大物が残っておる!』

 

備わった力に驚いているリッカに、エルダーグールが迫る。先の一撃を、地に潜りやり過ごしたのだ。奴を倒さねば勝敗は決しないという事なのか、グール達もちらほらと新たに出現し始めている。・・・当然ながら、この新たな姿もほんの僅かな力の一端しか示していない。七日を乗り切る為の装備、導かれる姿は一つではないのだ

 

『モード変換!カルデアス・ナイアー!』

 

『よし!行くよ、皆!』

 

白と紫の鎧が変換し、漆黒と星のごとき金色のライン、カルデア令呪の深紅がアクセントとなる形態へと変わる。先のバトルスーツから一転し、かつてのリッカの纏っていたフルプレートのアーマー、そしてフルフェイスヘルメット型の兜を装着する。この形態における役割、それは【召喚】であり、あらゆる絆を結んだマスターの戦いを後押しするものだ

 

【人類の歴史に刻まれた存在ばかりが、人類を救う力じゃない!カルデアには、あらゆる世界の存在が集ってる!──来て!!】

 

本来ならば、法則が違う召喚、類する魔術は使用不能。人類の歴史に刻まれた英雄も召喚される事は叶わない。が、『楽園に招かれた存在にはこの世界以外の可能性も介在している』。故に──

 

【NG召喚・・・!『冴島鋼牙』さん!】

 

「──解った。護りし者の刃をお前に託す」

 

【NG召喚にて招かれた存在ならば、限定的に召喚を可能にする】。それにより招いたのは、闇を切り裂き人を護りしもの。黄金騎士、冴島鋼牙その人であった。状況を理解した鋼牙が、迫り来るエルダーグールに向き直り、最強の証たる赤鞘の剣を引き抜く。

 

【直々の指名だ、出し惜しみなしで全力で行け、鋼牙!】

 

「そのつもりだ」

 

友たる指輪、ザルバの言葉に頷く。同時にエルダーグールから無数の触手が伸びる。一つでも浴びれば、腐食の傷を受けるそれを白きコートを翻し、そして──空中に、円を描く。

 

『───!!』

 

眩い光が闇を切り裂き辺りに満ちる。思わず目を閉じたリッカが再び目を開けると、其処には時代に受け継がれし『希望(ガロ)』の鎧。黄金に耀く光を放つ騎士が厳かに立っていた。

 

【グ、オォオオォオ・・・!!】

 

その光が、闇に仇なす旧神の存在を想起させたのか冷静さを喪い無闇に突撃を行うエルダーグール。その正気を削る叫びすらも意に介さず、静かに牙狼剣を構え──

 

【!!!──グ、ガ・・・】

 

『──我が名は牙狼。黄金騎士だ』

 

擦れ違い様、一閃。たったそれだけの刹那にて、真っ二つにされたエルダーグールが塵となり爆散する。牙狼の鎧とはそれを纏う事こそ必殺。恐慌に身を委ねた狂気を祓う、希望の一撃がこの夜の結びの一撃となった。

 

【!──夜が・・・!】

 

それ以上、倒すべき存在はいない。もう既にこの夜は乗り越えた。──そう判断されたのか、静かに水平線から陽が昇り始める。

 

【嬢ちゃん、よく頑張ったな。これからの劇も楽しみにしてるぜ?あ、そうだ。カオルの書いた本を劇にするってのはどうだ?】

 

『余計な事を言うな。・・・俺や異なる世界の存在は召喚できる事、カルデアに報告しておく』

 

【うん!ありがとう、鋼牙さん!流石、黄金騎士だね!】

 

リッカの言葉に、静かに頷き。鋼牙は一足早くカルデアへと帰還する。静かな朝焼けが、セイレムを包んでいく。

 

『うむ、召喚も戦闘も問題は無さそうで何より!リッカよ、これから七日、いや六日か?宜しく頼むぞ!』

 

【うん!こちらこそ、よろし──】

 

宜しく。それを言い切る前に、電源が切れたようにリッカは膝をつくのだった──




ヒロインXX「無事ですか!ナイア!」

ナイア「あら、XX。今更ノコノコお疲れ様です。何をしに此処へ?」

「加勢ですよ加勢!助けに来たんです!パトロールしていたら遅れちゃいましたけど!無事みたいですね、しぶとい!」

「友達は少ないですが、ビジネスパートナーはたくさんですので。・・・探索者の召喚が出来たら楽なのですが・・・」

ヒロインXX「私だって、ギルや皆のサポートが万全ならですね──わぷっ!?なんですこの紙!?」

『ボストン州派遣劇団としての身分証明書』

『正式な裁判官としてのサイン空欄の令状』

ナイア「・・・御褒美、という事でしょうか」

XX「身分証明書・・・令状・・・これがあれば私達の行動の制限が無くなったようなものでは!?」

「エルダーグールを倒したが故のボーナス、ということでしょうか。・・・感謝致します。我が神」



ラヴィニア「さ、流石ね。楽園の使者・・・一日目は、無事に・・・」

(・・・き、気を付けなきゃ。アビーの心が、壊れないように・・・)

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
  • 桃太郎(髀)
  • 温羅(異聞帯)
  • 坂上田村麻呂
  • オーディン
  • アマノザコ
  • ビリィ・ヘリント
  • ルゥ・アンセス
  • アイリーン・アドラー
  • 崇徳上皇(和御魂)
  • 平将門公
  • シモ・ヘイヘ
  • ロジェロ
  • パパポポ
  • リリス(汎人類史)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。