人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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カルデア

ギルガメッシュ「召喚形体の把握はどうなっているか!」

ロマン「今終わったところさ。鋼牙氏の実例からして、どうやら朝は本来の歴史の英雄が・・・そして夜は別口の存在、いわゆるNG召喚で招かれた霊基のみが召喚可能になっていると見ていい。劇団のメンバーとしてなのかな?そして何故NG召喚が可能かと言えば・・・」

オルガマリー「システム・フェイトではなく、別世界側からの召喚である・・・言うなれば法則が違うからこそ可能だった、言わば副産物であるかと」

ギルガメッシュ「塞翁が馬、はマスターの国の言葉ってあったな。やはり人の世は面白い。我等が揃えた精鋭は劇団員にしかならず、戯れの召喚こそが突破口になるとは。実によい趣味をしているではないか、邪神とやら」

オルガマリー「しかし、デモンベイン・・・ニトロプラス産のゲームの存在もまた力を貸してくれるなんて・・・いえ。この特異点だからこそ、なのかしら」

ギルガメッシュ「かもしれぬな。・・・だが、神話考察は然るべき輩に任せておけ。我等にとっての収穫はこれよ」

『ボストン州からの正式な劇団認可証』

『滞在書』

「これがあれば、下らぬ輩に主導権を奪われる事もない。報奨としては上々よ」

──しっかりご褒美をくださるなんて、邪神さまは素敵な方なのですね!

(邪神とは?)

《俄然やる気が湧くと言うものよ。総てを乗り越えた先、我等に何がもたらされるか・・・見物よな?》

「ま、それはそれとして。──奮起せよ貴様ら!劇団ゴージャス!!二日目の講演である!!」

一同「「「「はっ!!!!」」」」

オルガマリー「箱庭系なのに、トップクラスに忙しいわね・・・」


二日目 夜明け

「・・・はっ!?」

 

取り戻した朝、掴んだ夜明け。ラヴィニア宅の部屋でリッカは目を覚ます。混沌にして無敵の境地に脚を踏み入れた代償として、強烈な疲労と魔力不足にて倒れてしまったのだ。何事も無制限、フリーパスと言ったような美味しい話は無いらしい。だが身体機能の麻痺や硬直などといった深刻なデメリットといった様子は無く、問題なく身体は動く。ちょっと身体がダルいかな?程度の感覚くらいで、活動にはすぐ移れそうだと一息つく。

 

「私、凄い事になってたような気がする・・・いや、した!ハンバーグステーキラーメンケーキみたいな事に!」

 

ウルトラマン、邪神、そして機械の神の力を纏めて放り込みカルデアのテクノロジーで纏めあげたような強烈無比にしてハチャメチャな形態。なんでもできそうで、やってしまいそうなあの感覚はまだ残っている。あの美味しいものを全部注ぎ込みました的な奇跡の形態は一体・・・

 

『その手の話は、汝の連れ合いが詳しく説明してくれるであろう。無事目覚めたなら、元気な姿を仲間に見せてやれ、リッカ』

 

「あ!喋る本!えっと、アル!」

 

枕元にてカタカタと動く本という割と正気を揺さぶられる事態にももう慣れっこ。おはようと返しベッドから飛び起きる。間違いなく、彼女という存在あってこそ夜を乗り越えられた。まずは挨拶。基本である。

 

『うむ。妾の事は魔導書、ネクロノミコンと伝えよ。そうすれば解る筈じゃ、有名であるしな!・・・とはいえ、妾もスッゴく疲れた。夜まで寝かせてもらう・・・お休み、うにゅ・・・』

 

「寝ちゃうの!?いや、まぁしょうがないか。お休み!ごゆっくり!ありがとう!」

 

瞬時に現状を理解し、本にブックカバーならぬ布団を被せ外に出る。いい匂いにつられて一階へ。平穏が約束された朝へ

 

『うにゅ~・・・すか~・・・』

 

寝息を立てる本という、見る人が見たらなんだか妙な感覚に陥るものを残して。・・・また、新しい一日が始まる──

 


 

セイレム滞在二日目 朝

 


 

「皆様、大変お疲れ様でした。無事一日目、探索成功にてございます。こちら、御祝いのパンケーキをお作り致しました。どうぞ召し上がってください」

 

「うっひゃー!仕事上がりのパンケーキは止められませんね!インスタ映えさせつつ写真を撮ってXオルタに送っちゃいましょう!あ」

 

リビングに降りてみれば、エプロンに『こんとん』と書かれたものを纏いパンケーキを作るナイア、食べるXXとラヴィニアの楽しげな雰囲気がリッカを迎えてくれた。笑顔の溢れる空間こそ最高の報酬。リッカも元気に声を上げ、無事を確かめ合う。

 

「おはよー皆!昨日はお疲れ様!やったね!」

 

「お、おはようございます。無事に一日を越えられたわ、ね。凄いわ。・・・身体は大丈夫・・・?」

 

「へーきへーき、まだまだピチピチの十代だよ!肌の張りだってほら!」

 

グッ、と力を込めた右腕にみっちりと搭載された筋肉に唾を飲み込みながら、ラヴィニアはパンケーキをリッカに渡す。外なる者とは別の意味で、異なる人種に出逢った感覚がラヴィニアに去来しているが、それはまぁともかくとして食卓にてラヴィニアがある程度の疑問の答えを提示する

 

「り、リッカさん。あなたは昨日、外なる神たるニャルラトホテプ・・・そして、邪神に仇なす『旧神』・・・そして、オリオンの方角からやってくる『星の戦士』の力を束ねて使ったと聞いたわ」

 

(そうなの?)

 

(順に、我が神。最弱にして無敵の鬼械神デモンベイン、最後に・・・)

 

(ゼロ君の事を言っていますね!いやぁ助かりました、持つべきものは良き同僚です!)

 

それぞれ異なる存在に、それぞれ確かな呼び名をラヴィニアは提示している。それは即ち、おぼろ気ながらもその存在を認知していたという事になるのだろう。ラヴィニアがリッカに、一般観点としての説明を果たしてくれた。

 

「外なる神、というのは文字通り、世界の外にいる冒涜的な存在の最高位の存在・・・別の宇宙にいるとも、封印されたとも、追放されたとも伝わる信仰を必要としない神の事・・・」

 

「我が父も此方にカテコライズされる存在でございます。やらかしすぎて宇宙毎封印されたこともあるとか。実に自業自得です」

 

「そ、そして旧神・・・これは、かの邪神に立ち向かう古来より敵対してきた冒涜的な存在への敵対者。人類の味方、という訳ではないけれど・・・神々と戦う存在で、間違いない・・・」

 

「あちらは、無垢なる刃にして翼の銘を冠する事となった最も新しき旧神、デモンベインにてございます。ゲーム化もされておられる、日本にて最も有名な神であるかと。我が父も一度敗れた程の強力な存在。そしてかの少女はその力の中核たる、ネクロノミコンの精霊アル=アジフ・・・」

 

アル=アジフ。そしてデモンベイン、ニャルラトホテプ。それらの敵対している存在が、カルデアという一つの組織に力を貸した。リッカを介在した力の譲渡といった形で。その事態はやはり特殊な様で、想定外の事態らしい。ラヴィニアが敵でなくて良かったとパンケーキにかぶりついていることからそれが見てとれた

 

「そ、そして・・・最強の魔導書に共鳴したのか、え、エイボンの書に、新しく読めるページが追加されていたの。こ、これを見て」

 

モーニングコーヒーの隣に置かれる冒涜極まりない書物。皆が学級新聞を見るようなノリで覗き込む。そこに書かれていたのは・・・

 


 

星の戦士

 

巨大な人の形をした炎の生命体。旧支配者が復活する時、オリオン座の方角より火の玉となって地球に飛来し、旧支配者を素手で叩き潰す。三対の腕のようなものを組み合わせた筒のような物から火炎を放ち旧支配者を再び封印する。

 

そして、筒のような乗り物に跨がって空を飛びさっていく。

 

1939年、クトゥルフとハスターが決戦を繰り広げる最中に乱入し、両者を放り投げて再封印するという人智を超えた活躍を見せるといった記述が、一人の創作作家にて記されている。

 


 

「わぁ!まさにウルトラマンそのものじゃないですか!ゼロ君の親御さん、こんな早くから地球を護っていたんですね!」

 

無邪気に笑うXXと対照的に愕然とする。僅かな知識を持っているならば誰だろうとかの巨人を想起させる。この伝承、誰がどう見てもウルトラマンそのものであるからだ

 

「ツブ○ヤプロダクションは遥か昔のウルトラマンを形にしていた・・・!?」

 

「ちなみにゼロ君との関係はですね、サーヴァントユニヴァースに調査でやってきたゼロ君に宿を貸してあげたり一緒にコスモギルガメスに立ち向かったりした事で親しくなりまして!銀河警察のブラックぶりに辟易していた私にカルデアを勧めてくれたのもゼロ君、青葉刑事やクルーガー署長に顔を利かせてくれたのも彼と彼のお父さんなのです!」

 

もうなんでもありすぎる・・・!そうなるとウルトラマンはかの邪神達に強烈な特効を持つという関係になるのだろうか。まさか無関係だと思われていた要素がこんな形で繋がるとは予想すらできず、どうやって報告しようと首を捻らざるを得ないリッカである。そういえばウルトラマンティガのラスボスはガタノゾーアだったっけ・・・

 

「えーと、ニャルラトホテプが力を貸してくれたのは・・・」

 

「間違いなく、皆様に痛快な活躍をしてもらいたいからの一助と思われます」

 

「アルやデモンベインは、ニャルラトホテプを食い止めたりするため、だよね?」

 

「ま、間違いないわ」

 

「ゼロが協力してくれたのは・・・」

 

「『リッカがピンチなら、力を貸すのは当たり前だ!二万年先、M78星雲で逢おうぜッ!』とピースマーク付きで!」

 

敵対者、元凶とそれに立ち向かうもの、星から来る巨人。手にした漆黒のクラスカード、輝く白と銀、紫のカプセル。魔導書と様々な要素・・・

 

「───」

 

もうこれ、何処から突っ込めばいいの?リッカがパンケーキを頬張り、導き出した結論は──

 

「──大体解った!!」

 

大体解る事のみであった。ともあれ、再び新しき一日が始まる。少女を護り、劇にて魔女を討ち果たし、夜にて邪神を討ち果たす新たな一日が・・・

 

「説明終わり!パンケーキをおかわりください!」

 

「残念ですが、あなたと私にはカルデアに報告書を書くという作業が残っております」

 

「そんなー!?」

 

「ゆ、ゆっくりしていって。わ、私はアビーに会いに行くわ・・・」

 

仲間達と、共に始まる。




ラヴィニア「お、おはよう。アビー」

アビゲイル「おはよう!まさかラヴィから来てくれるなんて、なんて素敵な朝なのかしら!」

ティテュバ「いつもお嬢様をありがとうございます、ラヴィニア様。今日もまた、劇を見に?」

ラヴィニア「そ、そうよ。また今日も、きっと楽しいわ」

「えぇ、もちろん!ティテュバ、叔父様によろしく言っておいて?」

「かしこまりました。どうぞお二方、お気をつけて・・・」

ラヴィニア(な、何も起きていない・・・良かった)

アビゲイル「楽しみね!今日の劇は何かしら?・・・『魔女』の恐怖が和らぐような、素敵な物語・・・」

ラヴィニア「・・・魔女」

「いつか、見ることができたらいいな。そう思わない?ラヴィ」

「・・・そう、ね。見れるわ。必ず」

(・・・魔女とはっきり口にするのは、やはり・・・き、気を付けなくちゃ・・・)

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