人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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コミケ、四周年という忙しい中、毎日の拝読と感想、本当にありがとうございます!

それぞれシャレにならないくらいのスケジュールの中、それでも欠かさず読んでくださる皆様の為に自分は物語を紡いでいく。それがきっと自分の最高最善なのだと信じています!

きのこ氏のインタビューで、『二部完結後は二部の続きか、新しい物語を始めるか』という回答があり、どんなものであれFGOが続く事が確定し一安心です!

正直二部で完結するなら、二部が完結した時点でギル達は星の旅に出て、この叙事詩を結ぼうと考えておりましたので。となると、まだまだギルの庭は騒がしく、エアの愉悦は終わらないようですね!

ただ、新たな物語につきまとうのは新たな主人公問題。この物語の主役や主人公が、もし別のものとなったら受け入れられるのかな?なんて考えたり・・・

何しろまずは、エアやギル、フォウやリッカ、楽園の皆の旅路を今しばらく御待ちください!遅ればせながら、四周年本当におめでとうございます!

コミケには自分も参加しているので、感想返信が遅れてしまったらごめんなさい!必ず返すので、気長に御待ちください!感想こそが最高のモチベです!

メッセージを下さる方も、本当にありがとうございます!至らない自分ではありますが、どうか楽園の皆を、fateをよろしくお願いいたします!

ありがとうございました!どうか熱射病にはお気を付けて!!


昼 劇演目──ソロモンとシバの三つの問いかけ 中編──

「と言うわけで早速本題だ。時は金なりと人は言うがこれは間違いだ。時間は稼げたり増やせたりするお金よりもずっとずっと大事だからね。若い頃の無茶が出来るタイミングは、二度とやってこないのと一緒だよ。あの谷間に逗留している旅の方なのは見てとれるけれど、どうかしたかい?」

 

緑髪の羊飼いは、歌うように女王の悩みを話すように促します。何を知っているのか、胡散臭くも詐欺師とも言えない感覚を信じ、女王は言葉を口にします

 

「はぁい。気さくなダのつく羊飼いさん?実はですねぇ・・・」

 

門前払いを受けていること、エルサレムに入れない事を伝えられた羊飼いは、涼しげに口笛を吹きならし風のように言葉を返すのです。

 

「ほーう。誰にでも門を開き迎え入れる父がごとき国、それが慈しみのエルサレムの筈なんだけど。その都に入城を許されないだなんて、いやはや客人にお恥ずかしいなぁ」

 

「ダのつく羊飼いの御方、都はどんな感じですぅ?かのソロモンさまの治世は、如何様に映っておられますか?」

 

「そうだなぁ。姫様への返答だから発憤しちゃおうかな?噂は耳に届いているよ。エルサレム、世界の中心たる唯一無二の都。堅個にそびえる城壁、贅を尽くした宮殿。何より素晴らしいのはねぇ・・・先王がメッッッ・・・チャ建立したかった神殿さ!いやー見事なんだよ凄く。アイツもやってくれたよねぇ」

 

「なるほどなるほどぉ!都に住む人々は!?不満などありませんよね!ね!?」

 

「そうだねぇ。アイツはよくやってると思うよ?民が口々に詩人の如く言葉を奏で、王を称えているし。真の知恵をもって裁きを下す士師。生まれついての完璧な王である、とね」

 

 

リッカ(裏方)「ロマンの生い立ち知ってると・・・」

 

マシュ(裏方)「王様でしか無かったのですよね、ドクターはドクターになるまで・・・」

 

ロマン「二人とも、今はそうじゃないから大丈夫だよ。というか当たり前のようにアイツ呼ばわりとかキャラ遵守する気あるのかな父上は!?」

 

 

「真の、知恵・・・!!」

 

「まぁ、黄金の果実でもない限り熟した果実には虫が付き物だ。果実そのものに落ち度は無くとも、こればかりは自然の摂理だからね。安心、余裕のゆりかごからはえてして欲望と傲慢が産まれるものさ」

 

「あっ(察し)・・・ワイロ要求ですかぁ・・・ひわわ、ソロモンさまは多分、それを見られてもまーそういうことするよねーと流しそうな御方な予感がしています・・・!一大事!」

 

「んー、なんとも助けてあげたいが羊飼いには荷が重くてね。流石に門番に石を投げる訳にもいかないだろう?」

 

さらりと流す羊飼い。その後ろに、脚を悪くした羊たちが集まってきます。どうやら、羊にもキチンと慕われている良き羊飼いと理解した女王は告げるのです。

 

「そちら、脚を悪くしたお羊様ですかぁ?もしよろしければ、お買い取りいたしますよぅ?ジンギスカンが非常に美味しいので♪」

 

「やぁ、それは助かるなぁ。・・・あ、急に思い出したんだけど、聞いていくかい?ちょっと怪談じみた内容なんだけどね。──門、って知っているかい?」

 

懐が潤った事により口も軽くなったのか、饒舌となりし羊飼いの口から放たれし『門』。エルサレムの土地と地理に詳しき羊飼いの意見こそが、まさに鍵に等しき情報であったのです。

 

「エルサレムは広く、人も多い。だから城壁には幾つもの通用門があってね。聖なる神の門、戦車の門、商人の門、奴隷の門。羊飼いのための門もちゃんとある。その内の一つに嘘か真か、禁断の『精霊の門』があるという。昼でも暗く、死者たちの行き交うというその門は常に閉ざされ、門番も寄り付かないそうだ・・・」

 

「不思議な門・・・精霊の門・・・怖いですねぇ・・・『門前払いを受けている好奇心旺盛な方』以外、近付こうとも思わないですねぇ・・・」

 

「そうとも。『ワイロなんて払うまでもない』という大胆な方でもない限り、決して近付こうとも思わない門さ」

 

「ははははははは」

「うふふふふふ♪」

 

・・・不思議な雰囲気の羊飼いから、隠された門の話を耳にしたシバの女王。彼女はキャラバンに戻り、信頼できる従者にこう告げるのです

 

「肝試しに行きますよぉ!耳寄りのお話があるのでぇす!」

 

「はい?・・・は?禁断の精霊の門?エルサレムに?え?」

 

なんと女王、数名の従者だけを連れ自ら夜のエルサレムへと赴きました。正門が開かないならば、こっそりと裏門から忍び込んでやろう、というのです。・・・これらは聖書には記されてはおらぬ事。しかしこれらはあくまで、物語という大鳥が大きく羽ばたかせる『想像』という名の翼。これらは決して、ソロモン王の偉大さ。そしてシバの女王の美徳を損なうものではないのです──

 

 

ロマン「シバはともかく、ボクは別に指輪返したくらいしかやってないんだけどね!恋人や愛人も『利益があるならいいよ』みたいなノリで顔も知らない娘とも婚姻したし!」

 

リッカ「ソロマンのぶっちゃけトークが止まらない・・・!」

 

オルガマリー・レフボード「お願いだから劇の観客に聞こえないようにね・・・」

 

 

「入れぬなら 入ってしまえ エルサレム!スニーキングミッション開始ですよぉムニエル!入れてもらえないなら!既成事実を作るのでぇす!」

 

「あぁそうだね、間違いなくアンタ王様序列の方だったよ!ムチャクチャぶりは勝るとも劣らな・・・うわっ!?」

 

夜の門に現れし、門の護り手。姿無き精霊達に取り囲まれし女王は、静かに告げるのです

 

「私達の行いが、神に反するならここまででしょう。これもまた、神が私達に与えたもうた試練。──と言うわけでか弱い私は下がりますのでぇ!ムニエルさんよろしくお願いいたしますぅ♪大丈夫です!労災降りますよぉー!」

 

「従者に精霊倒せとかひでぇブラックなんじゃないでしょうか!?ちきしょー、やったらぁ!人の恋路を邪魔するヤツは!祝福呪詛隊隊長のこのムニエルが地獄に送ってやる!砂糖で胸焼けする準備はいいか!!歯を食いしばれクソァーーー!!」

 

・・・かくして始まった頼もしき従者と精霊との戦い。死者の恨み言たる言葉を、女王を称える言葉を浮かべ打消し

 

「末永く幸せに在れムニエル祝福螺旋回転疾風脚!!」

 

恐ろしき爪を閃かせる亡霊を、王を讃える言葉ではね除ける力強き従者の活躍は、人知れず続きました

 

「子供でサッカー出来るくらいに恵まれてくれムニエル祝福迅雷一閃正拳突き!!」

 

かくして守護する精霊を、たった一人で討ち果たした従者の活躍によりやりすごし、エルサレムへの入城を無事に叶えることが出来たのです

 

「お見事お見事ー!ムニエル、あなたは今最高に輝いてますよぅ!その汗、百万ポンド!イエス!」

 

「俺の嫌いなもの・・・それは人の幸せを阻み、妬む連中だ・・・恋路を邪魔する者を狩るギーグ、ジングル・アベル・ムニエルの名を刻め・・・」

 

 

「シバの女王には頼もしい従者が付いていたんだなぁ・・・」

 

「ムニエルだって、変な名前~」

 

「でも、どうやって動いてたんだろう、あれ!」

 

「かっこよかったよー!」

 

 

異国の女王が聖都に入られたという噂は彼の王の耳にも入り、正門もようやく開け放たれます。エルサレムの目抜通りを闊歩するラクダや、華やかな従者達。輝きの献上品。そして最高級の香炉が、聖なる都をかぐわしい香りで満たします。そして彼女はいよいよ宮殿へと招かれ、念願のソロモン王御自身と見えるのです──




玉座の間

シバ「ひわわわわわわわわわわわわわ」

ムニエル「落ち着いてくださいよ女王!今になって怖じ気づいてどうするんですか!」

「だだ、だって素晴らしきソロモン王との謁見ですよぅ?いくら着飾ったっていくらリラックスしたってどうにもなりませんよぅ!無礼や粗相が無いようにしないと、しない・・・シナイ・・・ひわわわわわわわわわわ」

「マナーモードの携帯か貴女は!あぁもう・・・、!来られた様です、女王!」

従者の言葉通り、玉座に歩み寄る威厳と風格に満ちた白髪と褐色の男性がやって参りました。優しげな眼差しに、手には十の指輪。

王「───」

「あ、あなたさまが・・・偉大なりし・・・」

そう、彼こそが真なる知恵の覇者。比類無き魔術の王にして、エルサレムを統治せし愛多き王。その名も──

「──やぁ!いらっしゃい!長旅、本当にお疲れ様!ワイロや袖の下なんて見苦しいものを見せちゃってごめんね、きつく言っておくから、今回は許してくれるかい?」

ムニエル(軽っっ!)

ソロモン王、その人であったのです──

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