人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「こっちがジャックちゃんでぇ、こっちがナーサリーちゃんでしょ?こっちがマシュ、リッカ、オルガマリーにジャンヌ・・・やだ、デザイン攻め攻め?」

「メディア女史、器用ですね・・・」

「もちろん。ゆくゆくはカルデア全員の私服を手掛けてみせてよ?」

「あ、あははは・・・」


そうきたかっ!

「ラァアァアァア!!!」

 

「くぅうぅうぅう!!」

 

 

拳を、脚を、殴打を、蹴りを。その剣さばきで流し払い、押し返していくネロ

 

 

「ネロ、捧げよ!余の、余の、余の、ォオァアァアァアァア!!」

 

「叔父上……!!」

 

 

つばぜりあい、押し合う二人の皇帝

 

 

武芸は互角。優劣があるとするならばそれは気勢

 

 

カリギュラは猛り

 

ネロには僅な迷い

 

 

その僅な差が、実となりてネロを襲う!

 

 

「グァアァアァウ!!!」

 

 

剣を引き寄せ痛烈なタックルを放つカリギュラ

 

「ぐぅっ……!!」

 

まともにうけ、ふらつくネロ

 

それは致命的な隙となり、狂える皇帝に勝機を渡す――!!

 

 

「ネロ!愛しの!!!!」

 

「しまっ――!!」

 

振り上げられるアームハンマー

 

まずい!ネロは歯噛みする

 

 

――ここまでか!!

 

――しかし、ローマを見守りし神の祖の意思あるが如く

 

「やぁあぁあぁぁあ!!!」

 

「ヌグゥウ――!!」

 

雪花の盾が、真紅の薔薇の散華を阻む!

 

 

「マシュ――!」

 

「一緒に!」

 

「うむっ!!」

 

「グァアァアァウ……――ァアァアァアァア!!」

 

盾越しに伝わる、凄まじいまでの暴圧。歯を食い縛り、腰をいれ、大地に根を張るがごとき心構えで受け止める!

 

 

「はぁあぁあぁあ……!!!」

 

 

 

思い返す――槍の英霊、レオニダスの言葉を!

 

 

『良いですか、マシュ殿、降りかかる力を、力づくで押し留めようとしてはいけません』

 

『はい……!』

 

『一人の身体で受け止められる力など些細なもの。身体は防ぐのではなく、整えるために使うのです』

 

『整えるため……』

 

『左様。呼吸を整え、姿勢を整え、心を整え、覚悟を整える。総てを整え、気迫を以て敵に対する!』

 

『後は、盾を信じ、己を信じ、護りたいものを信じ、総てを信じなさい。――さすればその護り、崩れることなく不壊となりえましょう!』

 

――

 

 

「すぅうぅうっ――」

 

力を感じ、姿勢を整え盾を構える

 

「グァアァアァウ!!」

 

「はぁあぁあぁあ……!!」

 

盾を構え、弾き、防ぎ、護る!

 

「ヌグゥウゥウゥウ!!」

 

苛立つカリギュラ、しかし護りは不動にて鉄壁

 

大地の力を借り――

 

「今っ!!」

 

 

大地を蹴り、下から突き上げるように盾をぶちかます!

 

 

「ヌグゥウアッ!!」

 

 

「できた――!!レオニダスさんっ!!」

 

 

「よくぞ返した!余も続く!」

 

 

態勢を立て直し、ネロが駆ける!

 

背中を踏み台にし

 

「食らうがよい!!」

 

一息に、カリギュラを切り裂く!

 

「ぎいぃぃいいぃい!!!」

 

 

「いいぞー!マシュ!陛下ー!」

 

 

 

 

『それでよろしい、マシュ殿。あなたはスポンジ、教えをすぐに吸収できる』

 

目を見張る――マシュも、また。成長しているのだ。彼女も、英雄の力を借りて。自分やマスターのように

 

――うん。マシュは……立派だ。あんなに儚いのに、硬く皆を護っている

 

「よい教えだ。レオニダス。やはり守勢において貴様は一家言だな」

 

『ははは、それが生きざまでしたからな』

 

「――もしや我も、貴様の守勢を頼る日が来るやもしれんな」

 

誰となく、呟く器

 

 

『その際には、私も盾を振るいましょう!!』

 

『せーまーいー!!狭いぞ筋肉!』

 

『ははは、すみません!教え子が気になりましてな!』

 

「――さて、次は貴様の番だぞマスター。我の助力をいらぬといった手腕、見せてみよ!」

 

 

『勝算があるのかい!?』

 

「イチバチ!――来て!」

 

右手を掲げ、呼び出す!

 

「『アマデウス』!」

 

 

――アマデウス!?

 

 

「ほう……?」

 

光が放たれ、稀代の音楽家が現れる!

 

「このタイミングでボクかい!?マスター、頭に筋肉詰めたのかな!?」

 

 

「勝算ありだよ!見て!アイツはバーサーカー!」

 

 

マシュとネロを相手取るカリギュラを指差す

 

 

「『どんな音楽でも聞かせ放題』だよ!!」

 

「――ほう。なるほどなるほど!そういう事か!」

 

『つまり、どう言うことだ?』

 

 

きょとんとするネロ。――要するに

 

「なるほど、理性のない奴なら、抵抗はすまいな!」 

 

――こちらの目論見を防ぐ手だてはないのである!

 

 

「奏でちゃえアマデウス!えっと……元気になる奴!!」

 

マスターが拳を握る

 

「リクエストのままに。……そうだな。皇帝二人いるし」

 

指揮棒を取る

 

「『明るく無駄に元気なローマのマーチ』だ!」

 

 

そして、奏でられる。至高の音楽

 

 

聞くだけで、身体の奥底から元気と活力が沸き上がる――行進曲が鳴り響く!

 

 

「おぉ、おぉ!これは――!」

 

「力が、湧いてくる……!」 

 

 

「――なるほどな。バーサーカーめに、補助やバフを阻むような知能は無い。単体であるならば、こちらを強化し放題というわけか」

 

――全く気付かなかった。剣を振るうでもなく、傷付けるでもない英雄を生かす

 

これが、マスターの視点の戦術眼か……!

 

 

「強く、そこは弱く……さぁ二人!一生懸命戦ってくれ!ボクは音楽しかないからね!」

 

 

「うむ!叔父上――ぬ?」

「はい!……え?」 

 

二人が、悶え苦しむカリギュラの異変に気づく

 

「ヌゥ、ア・・・ア!ローマ!ネロ!ァアァアァア!!」

 

 

耳を塞ぎ、霊基を軋ませ、カリギュラが悶え狂う 

 

『どうしたんだ!?カリギュラが苦しみ始めたぞ!?』

 

「む?なんだ。これを狙っていたわけではないのか?」

 

「へ?私はまず二人を元気付けてって……」

 

「貴様には部員の才があるな。意識の断片をのこせしバーサーカーに、ソレを思い起こさせるものを聴かせるなぞ大した愉悦よ」

 

いつのまにやらワインを持ち、酒を煽る器

 

――苦しんでいる。あのカリギュラは確かに

 

理性なくば、苦しみなどない。狂い果てているならば迷いはない

 

ならば、確かに。カリギュラには……理性の光が、あるのだろう

 

「――何故、捧げぬ、何故、捧げられぬ」

 

 

カリギュラから、言葉がこぼれる

 

 

「ネロ・……我が愛しの……我が、我が、我が、我が……」

 

やがて、足下から透け、姿を消した――

 

 

「霊体化か。どうやら退散させることに成功させたようだな」

 

「途中で席を立つなんて無礼だな!これだから頭のおかしいバーサーカーは嫌いなんだ!」

 

『む?そんなに良かったか?今の音楽は』

 

――ブライドネロ的には受けが悪かったのだろうか?いまいちノリの悪い反応を見せている

 

 

「あ、ボク察した。今ので察した。この人あれだ、エリザベートと同類だ絶対。芸術を冒涜する側だな!絶対!」 

 

「酒の肴にするにはちと明るすぎるか。淫靡なアダルティック曲を揃えておけ」

 

「下品な曲になるからなぁ……じゃ、また。なるべく呼ばないでくれよ?」

 

「またね、アマデウス!」

 

 

――どうやら、自分もうかうかしていられないようだ

 

 

「見事であったぞマスター!力押しではなく、搦め手に手を出し結果を出した所が実によい!マシュにも飴をやろう!大した進歩であった!」

 

 

「――そう?良かった!酔狂とか言われるかと!」

 

「我が愉しければよい!では凱旋だ!皇帝!案内せよ!ローマにて羽根を伸ばす!」

 

「しきるでない!――マシュに、リッカ!誉めて使わす!」

 

「は、はい!」

 

「ありがとう!」

 

 

「ゆくぞ!余のローマはすぐそこだ――!」

 

 

――今度自分も、音楽に触れてみようかな。




「オイルとかスキンケア用品とか、女子は気にしなきゃだめっしょ?こまかな気遣いがいつか素敵なカレシを掴む近道的な感じじゃん?てなわけでアイメイクとかネイルとか、アタシが監修するからよろ!」

「まぁ!もっともっとキラキラするの?素敵なカレシ!素敵な響き!お願いいたしますわ、スズカ様!ゴージャス様みたいに輝けるかしら?」

「や、あれはどっちかってと成金だし・・・趣味悪いし・・・」

「すまない、頼まれていた物品の使いを終えてきた」


「王妃、こちらを。私が愛用する香水です」

「ありがとう!皆で皆で輝きましょう!」


「カルデア、トップモデルにしてあげるし!」

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