ロマン『要するに、アビゲイルちゃんだけを救ったエンドは魔女が誰か解らないエンド、セイレムだけを救ったらアビゲイルちゃんの心は囚われたまま、ということかな。ふむ、そうだなぁ・・・ちょっとカルデアで対策会議をしてみるよ。劇も続けた方がきっといい。怪しまれちゃうしね』
リッカ「りょうかーい。またねー」
ナイア「かのソロモンに、アーサー王。・・・なるほど、あれがアーサーの雄っぱいというもの。柔らかそうでした」
XX「違いますから!あれはFGOにおいて最高最善の王、騎士王というスペシャルサーヴァントなのです!ギルが不在の時は代理としてカルデアを運営しているんですよ!」
「なんと、つまりアーサー王は両性具有・・・」
「頭ふわっふわですね貴女!私と命の取り合いをしていた方と同一人物なのですか・・・?」
「まぁそれはともかく。いかがですか、ナイアの膝枕は。どうぞご遠慮なく、ご堪能ください。心配ございません。脚の痺れとは無縁でございます」
リッカ「ありがとー。うん、おっぱいでナイアの顔が見えない」
XX「このサンドイッチ美味しいですね!お代わりとかありますか?」
「えっと、そちらのバッグに・・・」
リッカ「たぷたぷ!(ダイス判定失敗)」
「?」
「眼福!!(一時的狂気)」
「リッカ君は何故関係ないところで狂気に・・・?」
ナイア「???」
『ふん!豊満な女は疑ってかかるのが定石!大抵邪神なのだ!ネクロノミコンにもそう書かれておる!』
「あぁ、そういえばあなたのパートナーはガチペドロリコンでしたね」
『なんだその名称は!?』
「大きい事は、いい事だよね・・・」
XX「槍さえ持てば、アルトリアの可能性は無限大です!」
ロマン『なんの話をしてるんだい・・・?』
「わぁ・・・凄いわ。まさかこんな事が起こるだなんて・・・夢のようだわ・・・」
アビゲイルとリッカらは、共に岬の崖付近、海が一望できる場所へと共に脚を運び海を見つめていた。太陽はやや低めの位置に、そして海はその光を反射し静かに輝いている。潮風が髪と頬を撫で、村より離れた場所であるが故に人影は彼女ら以外に見当たらない。いつもと変わらない場所が、いつもとちょっと違う場所である事をアビゲイルは理解し、ラヴィニアに告げた。──何故ならば、かつて小さい頃の思い出でしか無かった光景が、目の前にもう一度広がっていたのだから。
「鯨に、ほうき星・・・小さい頃、一緒に見たものと同じね、アビー」
ラヴィニアが言う通り、それは如何なる偶然か小さい頃の朧気な記憶でしか無かった光景の再現、朝でありながらほうき星が空に見え、鯨達が潮を吹かせ行進していく神秘的な光景であった。科学や理屈では説明がつかない事態ではあったが、そんな理屈や説明は、この景色に再び出逢えた事の前には何の意味も持たなかった。慌てて呼びだされはしたが、即席でナイアが作り上げたサンドイッチを二人で頬張りながら想いを馳せる。
「劇団の皆さんが来てから、此処には楽しい事ばかりが起きていて皆が笑顔になっているわ。ティテュバも、おじさまも。私だってそう。皆、次の劇はなんだろうってもちきりよ?」
「えぇ、そうでしょう。不思議な事、未知なるものを思い描くと言うのは・・・心がとても揺さぶられるものだと。私はあなたに伝えていたものね」
ラヴィニアにとって、それは本当の想い出ではなく、もっと言えばアビゲイルと共に生きた存在ですらない。ラウムに招かれ、刷り込まれた役割と記憶でしか無いのだ。・・・だとしても、今の彼女には関係など無かった。何故なら、今こうして自分は彼女を救いたいと願っている。今度こそ、友達として彼女と一緒にいたいと思っているから。心だけは、本物だと信じているから
「あのほうき星や、鯨も。劇団の皆さんは見たことがあるのかしら。旅の中で、私達と同じ風に見上げて私達と同じ気持ちになってていただけたかしら?」
「・・・なっているわ。きっとなっていた。そうして、当たり前のものを素晴らしいと、尊いと。護りたいと願って、皆は旅をしてきたのだと思うもの」
「ふふっ、今日のラヴィは詩的なラヴィね。ポエマーになるの?」
「・・・何になろうと、私はあなたの友達よ。スターになっても、科学者になっても。あなたに贈る言葉と手紙は欠かさないわ」
「・・・ありがとう、ラヴィ。本当に嬉しいわ」
それだけを口にし、二人は空を見上げる。青空を切り裂いて飛ぶほうき星、鯨と潮のさざなみ。二人だけの景色を、ぼんやりと見上げる。
「・・・初めて見たときは、綺麗。そう思ったわ。空も、海も、星も。なんて綺麗なんだろうって。ずっとセイレムで、こんな景色を見ていられたらと。心からそう思っていたの」
「・・・今は、どうなの?」
その言い方は、今はまるで違うといったニュアンスにラヴィニアが聞き返す。今胸に訪れている気持ちは、どんなものなのかと。彼女の胸には、変化が起きていた。
「あの星は、何処へ流れて行くのかしら。あの鯨達は何処へ向かって、どんな場所へと行くのかしら。懸命に生きて、旅をして・・・何処へ、行かれるのでしょう。そう、考えるようになったの」
「・・・劇団の影響ね」
「ふふっ、お見通し?・・・そうなの。劇を観て、半分の日にちに毎日脚を運んで見て・・・力強く素敵な物語を見て、私も・・・思ってしまったの」
全ての生命は、懸命に生きている。愛と希望の巡礼を行き、その輝かしい生命を謳歌している。一ヶ所にずっといたりしない。何処かへ、遠くへ歩んでいく。知らないものを見つけていく。
「・・・私だけ。私だけなの。この場所から動けないのは、動きたくないのは。動くことが出来ないと思っているのは。でも、それは間違いなんだわ」
「間違い・・・」
「いのちを謳歌する権利は、誰にでも許されていて、力強く進めるの。誰だって、愛と希望の物語をその脚で歩む事ができる。試練に挑んだヘラクレスや、砂漠に挑んだ女王様みたいに、きっとそれは誰でも踏み出せる一歩なんだわ。・・・そして、その果てに色んなものを見つけられる」
きっと、世界はずっとずっと広い。セイレムから見える景色は、世界のどれだけ小さい『ほんの少し』なんだろう。それを知らないまま大人になって、それを知らないまま死んでいく。この小さな村で、同じ生き方を繰り返して。それで良かったと、そう思っていた。・・・今は、はっきりと言うのだ。それは嫌だと。もっと、もっと自分の人生を彩りたいと。
「・・・出たいわ。ラヴィ。私、セイレムを出たい。セイレムを出て、色んな世界を見てみたいの。旅をして、見たことも聞いたこともない世界を見てみたい。もっともっと、人生を楽しんでみたい」
それは、ラヴィニアやリッカが求めていた彼女の答え。彼女の閉鎖的な自閉は、確かに開けられた事をラヴィニアは確信した。だが其処に至る決心を聞いたラヴィニアは・・・静かに告げる。
「その時は、私もついていくわ。外は海も乗り越えられて、人が空だって飛べるもの。きっとあなたは驚いて何もできないでしょうから」
「もう、酷いわ。意地悪ね、ラヴィは!」
「──いいえ、待っていたの。その想いを、決意を待っていたのよ、アビー」
漸く、漸くかつての問いの望んだ答えを得られた。どれだけ呼び掛けても、どれだけ望んでも、魔女に至るまでセイレムから出れないと耳を塞ぎ目を閉じていたアビゲイル。その時は、あなたを置いていってしまったけれど。
「今度こそ、一緒にいましょう。あなたが見たいもの、あなたがしたい事をすればいい。私が、近くであなたを支えるわ。そ、その・・・」
「ラヴィ・・・」
「・・・と、友達とは・・・そういう、ものだと。ナイアさんに教わったわ。友情は、光に満ち溢れた宝物だって」
そう告げたラヴィニアは紅かった。いつもの白い肌が、ゆで上がったタコのようだった。左頭の突起がシャキリと伸び、本心であると告げていた。
「あぁ・・・嬉しいわ、ラヴィ。一緒よ、ずっと一緒。・・・けれど、お願いがあるの」
「お願い・・・?」
神妙な顔持ちになるアビゲイルを、ラヴィニアは見つめる。それを言ったら、何かが変わってしまうとばかりに戸惑うアビゲイルであったが、意を決したかのように言葉を紡ぐ
「・・・もし、私が悪い子に・・・魔女に、なってしまったら・・・真っ先に私を、叱りに来てね」
「・・・魔女・・・」
「誰かに魔女と言われるのは、怖いわ。悪い子だと、石を投げられるのも苦しいわ。でも・・・ラヴィ、あなたに言われたなら、きっと受け入れられると思うから・・・」
その言葉には、もしもというにはあまりにも切実な願いが籠っていて。そして、願いが込められていて・・・
「・・・約束するわ。アビー。アビーが悪い子になったなら、私があなたを叱ってあげる。私があなたを、魔女だと教えてあげる。アビーだけの・・・魔女裁判を起こすわ。必ず、あなたを見付けてみせる」
「うん・・・」
「あなただけの、裁判官になってあげる。だから・・・その後は、一緒に。ごめんなさいをしましょうね。アビー」
「・・・うん。リッカさまや皆に、ごめんなさいを。リッカ座長様や、ナイアさん。あの人の愉快な神様や、XXさんなら。きっと・・・私を、許してくれると信じられるから・・・」
前を向き、生きる事を選択したアビゲイルを受け入れたラヴィニア。半分にして、彼女を前に向かせる事に成功したカルデアの者達
・・・だが、決して油断してはならない。襲い来る外なる者を許せば、たちまちセイレムに魔女は現れる。そして・・・
【・・・私は、魔女じゃないわ・・・私は、魔女なんかじゃない・・・】
「・・・・・・──」
・・・魔女は、たった一人。既に潜んでいるのだから。
アビゲイル「いけない、もうすぐ公会堂が開く時間だわ!いい席が取られてしまうもの、急がなきゃ!」
ラヴィニア「み、皆を呼んでくるわ」
「あ、私も行くわ。一緒に劇を観るのよ、ラヴィ?」
「も、勿論よ」
そうして、邪神の褒美を見た二人は木陰にいるリッカ達を迎えに行く。・・・其処には・・・
アビゲイル「まぁ・・・やっぱり、御疲れだったのね・・・」
ラヴィニア「もう少し、眠らせて、あげましょう・・・」
リッカ「くー・・・」
ナイア「すぅ・・・」
XX「セイバー、ころす、べし・・・」
木にもたれ、リッカを膝枕するナイア。安らかに目を閉じるリッカに、お腹に頭を乗せ眠るXX。激闘を乗り越えた少女達が、寝息を立て休息する姿に、二人は笑顔で顔を見合わせた──
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