人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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リッカ(子供には受けてるけど大人達が困惑してるよ!これじゃ認識にズレが起きてて大人が来にくくなるかも!)

ロマン『でもどうしよう?台本を今から練るかい・・・?』

(───よし!ロマン、認識魔術を使って!的確な景色が見れるようなやつ!)

『え?ど、どうするんだい?』

(騎士王に連絡して!あとマシュとオルガマリーに!──台本はいらない、アドリブでなんとかする!)

『アドリブ!?』

大人「今日は不思議な劇だったが、子供達が楽しかったなら・・・」

大人「あ、待て。まだあるらしいぞ?」

カーター「連続公演とは、無茶をする・・・」

アビー「え!まだあるの!?」

ラヴィ「・・・だ、大丈夫かしら・・・」


昼 追加公演──三匹のこぶた──

先程の劇、ご清聴ありがとうございました。程よく頭をリラックスさせ、存分に笑っていただけたのであれば。それ以上を我等が望む事はございません。そして、もう少し時間は御座いますので、特別にもう一品、のんびりほのぼのとした世界を皆様にお届け致します。どうぞ最後まで、お楽しみいただきますよう・・・

 

 

追加公演~三匹のこぶた~

 

 

むかしむかし、とあるところに。いつも一緒で、とっても仲良しのこぶた三兄弟がおりました。彼等は何をするにも一緒で、毎日を喧嘩もせずに穏やかに過ごしておりました。

 

長男ぶた(演 リッカ)「日々を仲良く、平和に過ごすぶー。それが一番の幸せだぶ!」

 

次男ぶた(演 オルガマリー)「その通り。でもいつかは立派に一人立ちしないと・・・ぶー」

 

三男ぶた(演 マシュ)「お兄さん達みたいに、立派なぶたになりましゅぶー!がんばりましゅ!」

 

そんな彼等を見守るのは、優しいお母さん。優しく彼等を育てたお母さんはある日、三匹を呼び寄せこんなことを伝えます

 

お母さんぶた(演 騎士王アルトリア)「三人とも、よく聞きなさい。あなた達はとても仲良しで、私もとても安心しています」

 

「「「ぶー!」」」

 

「しかし、その絆は本当に危険な時にこそ試されるもの。どんな困難な時にでも、力を合わせる事を忘れてはいけませんよ」

 

はじめは何故そんな当たり前な事を、としか思わなかった三匹ですが、その意味は身をもって理解することとなりました。なんと母ぶた、突然姿を消してしまったのです。いつも見守ってくれた母の突然の失踪に、ぶたたちは大変慌てました

 

「ぶぅー!お母さん!帰ってきてほしいでしゅー!」

 

「泣いてばかりではダメよ、これはきっと自分達だけでも生きていきなさいというお母さんからのお達しなのだわ・・・ぶー」

 

「じゃあ自立の証としてそれぞれお家を立てればいいぶひ!やってやるぶー!」

 

「「「おー!」」」

 

そうして彼等は母に心配をかけぬよう、それぞれに家を作る事に致しました。長男は手軽で柔らかな藁を編んだ寝心地がいいおうち。次男は外装に拘った木のおうち。三男はコツコツと作り上げた、全ての傷と全ての怨恨を癒す我等が故郷。それぞれの持ち味を生かしたおうちで、母に自立能力があることをアピールしようとしたのです。

 

「眠れてふさふさするとか天才ぶひ!」

 

「やっぱり木に登ってアウトドア派っぽく見せるのがいいんじゃないかしら?名付けて、ぶたおだてハウス・・・ぶひ」

 

「顕現するぶひ!ロォオォオド!キャメロットぶひー!」

 

それぞれのおうちが出来上がってめでたしめでたし・・・となったその瞬間でした!なんと、強く恐ろしい狼が、全てを吹き飛ばさんとやってきたのです・・・!

 

狼【演 アルトリアオルタランサー】「ふっ、あまりにも脆弱なおうちだ。そんな藁組みの納屋でこの狼の進軍、阻みきれるか!」

 

「ぶひぃ~!」

 

狼が高らかに脚を上げ地面を揺らすと、長男が作った藁の家はばさりと壊れてしまい、ぶたさんは次男の方へと吹き飛ばされてしまいました。藁では、強度的にどうしようもなかったのです。

 

「お兄さん、大丈夫?時間稼ぎにしかならないだろうけど、私のおうちに逃げなさい。ぶひ」

 

「ありがとうぶー!持つべきものは仲良し兄弟ぶひ!」

 

そうして木の家に隠れたぶた二人。ですがやってきた狼は鼻を鳴らし、あっという間に追い付いてしまいます

 

「少しは知恵を捻ったようだが、まだ甘い。この狼の吐息を見よ!ロンゴミニアド・ブレス!」

 

「「ぶひー!」」

 

大きな息を吸った狼のブレスにより、生活感と美しさに偏った木の家も吹き飛ばされてしまいました。最早万事休す、狼のお腹の中へ・・・?そんなときでした。三男ぶたが、二人を自分の白亜の城へと誘ったのです

 

「兄さん達!避難するぶひ!私が守りましゅ!ましゅっと守りましゅ!」

 

「いきり三男ぶた・・・!」

 

「ありがとう、助かるわ。さぁ、行くわよぶひ!」

 

そうして彼が積み上げた白亜の城、ピッグ・キャメロット。それは何者にも侵されぬ白き城にて、彼がレンガでコツコツ積み重ねて作った努力の結晶でありました。その中に二人を招いた三男は、意地悪な狼に立ち向かいます。狼はのしのしと歩み、息を吹き掛け地均しを行いますが、そのピッグ・キャメロットはびくともしません。兄達を護りたいと作り上げたキャメロットは、狼のことごとくを跳ね返します。

 

「ほぅ・・・?コツコツ蹄を鳴らし作り上げたか。ぶただけに。その努力を以てして家族を護るか」

 

「護りたかったのは私だけではありません!二人のお兄さん、おうち・・・そして、家族皆が帰る場所でありましゅ!ぶひ!」

 

「──見事だ。それこそが、厳しき時代を生き抜くための心構えである。よし、私を中に入れてもらおうか」

 

「えっ?あ、はい!」

 

何故だか中に入れてもらおうと告げる狼を、優しい三男はあっさり入れてしまいます。あっさりと入ってきた狼に驚くぶたたちに、狼はその正体を告げました。

 

「よく頑張りましたね。そう、それぞれが持ち味を発揮し時に力を合わせて生き抜く。それこそ、あなたたちに知ってほしい心でした。」

 

「「「お母さん!」」」

 

母は狼にこっそりと化け、三匹を試したのです。喧嘩をせずに力を合わせて生きていけるか、自分らしさを出していけるか。困ったら、兄弟同士で

助け合える事ができるか、と。その結果に、母は大変満足致しました。この子達なら、きっと大丈夫だと。そうして母は、確かにおうちに戻ってきたのです。

 

「せっかく作ったおうちを壊してしまい、申し訳ありませんでした。皆で協力して、作り直すと致しましょうか」

 

「「「はーい!」」」

 

そうして、作り上げたおうちを皆で協力して作り直し、それぞれの持ち味を活かしたおうちは元通りとなりました。力を合わせる事を知ったぶたさん達は、いつまでも仲良しに、平和に暮らしましたとさ・・・

 

「やはりお城作りは私が最適だと思いましゅ!私こそがお城作りのぶた・・・ないとおぶぶーたーだと思いましゅ!ニューリーダーでしゅ!」

 

「イキり始めたぶひ!お兄さん哀しいぶひ!そんな弟にはお仕置きぶひよ!」

 

「やれやれ・・・まぁ、いいオチではないかしら、ぶひ」

 

「えぇ。仲良き事は美しきかな。人の心は、こうやって話合わないと見えてこないものなのです・・・ぶひ」

 

「・・・最後くらいは、ですか?」

 

「ぶひ」

 

──めでたし、めでたし。

 




大人「こういうのだ、こういうのでいいんだよこういうので・・・」

大人「そうか、大人向けと子供向けの二本立て・・・」

大人「常々思うのだが、この劇の役者レベルが高過ぎないか?」

リッカ(よし!なんとか困惑を吹き飛ばす事が出来た!ありがとうマシュ、オルガマリー!)

オルガマリー(即興のアドリブ劇でも、案外なんとかなるものね)

マシュ(私達だから、なんとかなったのです!先輩、これより先もファイトでしゅよ!)

(勿論!)

アビー(やっぱり、力を合わせる事が大事なのね。短めでも劇だから、準備は大変なのに・・・)

ラヴィ「感謝、しないとね。きっと、大人達を置いてきぼりにしないための、アドリブよ」

「うん!」

XX「力を合わせる・・・」

ナイア「助け合う・・・」

「「・・・」」

XX「・・・どこか、食べに行きます?」

ナイア「割り勘なら」

「じゃあ、ラーメン屋を紹介しますから──」

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