人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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【誰でもできる!機械邪神の作り方!】

一【手始めに文明と神話体系を調べよう。土地にどんな信仰とかが根付いているのかをよく調べておこうね】

二【目処がついたら文明を滅ぼそう。外注のブラッド族に頼むもよし、雑に隕石を落とすもよし。滅ぼし方は無限大だ!ニャル的には文明人が自滅するように仕向けるのが素材を残せてグッド!】

三【魂や肉体、文化技術は現地のものを使おう!皮膚は皮に、魂は動力源にとっても有用!燃焼式か癒着式かはお好みで!怨嗟の声や絶望の慟哭を聞いて鈴みたい夏なんかは風鈴がわりに癒着式で決まり!】

四【神格は予め仕留めておこう!大抵触媒とか用意するのはアレなので、世界を滅ぼすつもりで来た邪神は狙い目!信仰を奪って弱体化し神格を奪うチャンスだ!】

五【人格の再現や心は出来るだけ止めよう!人のように笑い、人のように考えられるようになった機械は必ず『何故自分は人ではないのだろう』と悩みを抱え曇っちゃうぞ!愛玩ロボならともかく邪神は力だけを使おうね!】

六【コントロールは諦めよう!神は基本面倒だから作ったら放逐でオーケー!その星の勇者を信じよう!】

【君だけの邪神を作り出せ!ニャルラトホテプは、君の狂気アイデア成功を待っているぞ!】

制作動画より 好評価1 低評価測定不能


夜 金星の人造生命体

〔────〕

 

自分に近しい、或いは同じ脅威を観測したファロールはそれに相応しい対応を取る。己の内部に封じ込められた金星人の魂を転写、使役し己の塵に吹き込むことにより擬似的な傀儡と手足たる存在を創造したのだ。偽りの神、機械仕掛けの神とはいえ生命を創作する技量は正しく神の御業である。かつて信仰を捧げた者達への報いとしては、あまりに残酷かつ無慈悲な所業ではあるが・・・

 

「あ、逃げる気?悪いけど逃がさないわ、肖像権の侵害として賠償金をたっぷりせしめてやるんだから!リッカ、お供二人!雑魚はよろしく頼むわね!」

 

それだけを告げ、一気に雲の上まで飛来していく邪神と邪神。広範囲にて破滅を叩き込まんと目論んだファロールと、それに食らい付くイシュタルの軌跡はあっという間に掻き消え見えなくなり、瞬間即座に遥か空に目映い閃光と軌道、爆音が響き渡る。交戦を開始したのは誰の目からも明らかであり、その規模はまさに神代クラスであった。指揮や指示はできなくなってしまいはしたが、セイレムの巻き添えを考える必要は無かったのは幸いといっていいだろう。幸いそこは神の恵みと言っていいのかもしれない。

 

『あっという間に見えなくなっちゃった・・・』

 

「形振り構わず最初のラウンドから殴りかかるボクサーみを感じますねアレは。人の事は言えませんがもっと回りとか見た方がいいと思いますね、あぁいうの」

 

「・・・マスター様の指揮を必要としないサーヴァントはサーヴァントとは言えないのでは?」

 

『全く以て同感ではあるが呆けている場合ではない!見ろ、ヤツが産み出した金星の亡骸が動き出したぞ!』

 

アルの声にて一行は正気に引き戻される。人間の身体構造に性別を感じられないマネキンめいた人造生命体が、一斉にセイレムへと殺到せんとしている。手がチェーンソーやナイフ、ブレードといった殺戮に特化した武装から見て虐殺を主題としていることは見てとれた。自らの僕に役割の後詰めを任せる辺り、本格的に無駄を削ぎ落とされた機体なのだと言う印象を強める。ただの一体も通してはならないのは変わらないのだろう。素早く、一行は迎撃の体勢を取る。

 

『XX、ナイちゃん!此処は二人に任せていい!?私はラヴィの無事を確認してからイシュタルに加勢するから!』

 

「解りました!アーヴァロンを御貸しします、どうかお気をつけて!ジェットパックでも良いのですが専門の改造が必須でして・・・」

 

「セイレムの守護はお任せください、リッカ様。お帰りを御待ちしております!友達として!」

 

二人の快諾に笑顔のサムズアップを返し、リッカはアルと共にラヴィニア邸へと駆け抜ける。その殿を素早くナイア、XXが引き受け背中合わせに取り囲んできた人造金星人間に相対する。

 

「ナイア!私の銀河警察ジークンドーと貴女の宇宙CQC、どちらが暴徒鎮圧に優れているか勝負しませんか?」

 

「このタイミングでですか?お遊びで気を緩めては事を仕損じます・・・が、ちょっとだけ面白そうですね」

 

「でしょう?銀河警察とぼっち狩人の力、金星からの侵略者に見せつけてやりましょうではありませんか!──せー、の!!」

 

弾かれるように二人は駆け出し、高度に洗練された銀河警察式の拘束術にて無力化を図るXX。的確にパンチやキックにて急所を狙い、関節を決めダウンさせるXXの様は強さが武器頼りではないハイスペックサーヴァントであることを雄弁に示している。対するナイアは実戦向きの狩りの技術たるバイオレンスな立ち回りを見せる。首をねじ切り股間を潰し、目を突き耳から針を突き刺し脳を破壊するなどといった残虐ファイトで金星の雑兵を減らしていく。

 

「アグニ、ルドラ!出番です!」

 

声を上げ、両手に召喚するは柄に顔面が存在せし赤蒼の双剣。これもまさにデビルハンターから格安にて買い取った魔剣なる魔物、アグニとルドラである。

 

『朗らかになったな、娘』【ボッチを脱却したか】

 

「そんな所です。そんな友の為にお力を御貸しください。あと出来るだけお静かに」

 

『良いだろう』【魔に生きる娘の門出を祝い】『我らも全霊にて』【力を振るわん!】

 

『【いざ、我等双剣を振るうがよい!!】』

 

言葉通りに炎と風の力を巻き起こし『炎よ!』縦横無尽に切り裂き荒れ狂うナイア【嵐の力よ!】。それらは強き者に振るわれることで【その調子だ】力を発揮し、永きもの間己らを振るえる強き所有者を探し求め『苛烈に行け!』、とあるデビルハンターに使用されていたのだが『業火よ!』、依頼が完了した途端真っ先に競りに出されたのだ【巻き起こすのだ】。それは何故かと言うと『業火の刃を!』・・・

 

「───せいっ」

 

敵を瞬く間に灰塵に帰した後、ごいん、と柄の部分の二人をごっつんこさせるナイア。ナイアは一言も発してはいないが、ただ一言──

 

「お、し、ず、か、に」

 

『しかしだな』【誉めて伸ばせとお前の神に仰せつかっており】『力任せは良くない』

 

「おしずかに!」

 

『【・・・・・・】』

 

振るっていると自発的に喋るので非常にやかましく、それらを疎んだデビルハンターに売り飛ばされたのであった。ナイアからしてみても中々に騒音めいていて、刃は質実剛健と使いやすさを併せ持っただけあり珠に傷といった言葉が相応しい武器であったのだ。

 

「まだ狩りは終わっておりませんので、油断なさらぬ様に。それでは続けますよ、良いですね?」

 

『【承知した】』

 

「よろしい、では──」

 

戦闘を再開しようと顔をナイアが上げた、その瞬間・・・──

 

「セイバー必殺!!ミニマム銀河星雲剣!!」

 

大いに振るわれ、まるで銀河の星雲・・・ネビュラの生成がごとく振るわれしロンゴミニアドの旋風的斬撃の小宇宙が、敵味方の識別なく雑な広範囲殲滅斬撃にて薙ぎ払われる光景を目の当たりにするナイア。自分で言い出したは良いものの、ちまちまと対人にてやっつけるのはめんどくさいという結論に至ったらしい。実に惚れ惚れするほどの大火力殲滅ぶっぱであった。

 

「・・・ズルいのではっ!?」

 

「ふぅ、やはりぶっぱは最適解にして最優ですね!やはり人間殺戮に特化した無感情の存在などこの程度の存在と言うこと・・・む?そちらのコントは終わりましたか?」

 

「広範囲攻撃ありというならばもっと武装を吟味したのですが・・・!い、いえ。情報を確認しなかった私の落ち度ですね、はい・・・」

 

「???いえ、なんだか忙しそうだったので私一人でカバーしようかなと奥義使用に踏み込んだのですが・・・」

 

「心遣い・・・。い、痛み入ります」

 

【負けは負けだ】『精進せよ』【あと友達は大事にな】『大切にな』

 

「おしずかに!」

 

だが、一息つく暇もなく敵は来る。どうやら邪神が存在する限り、ダース単位でリポップするようだ。食べ放題狩り放題セールめいたそれに、二人は気合いを入れ直す。

 

「おや、どうやら無限湧きの様ですね!逆転の目はまだまだありますよ!」

 

「む。・・・早速名誉を挽回致しましょう」

 

【存分に】『我等を振るえ!』

 

「パンドラ使いますね」

 

『【何!?】』

 

迫り来る金星の人造生命体相手に、武具と槍を振るい続けるナイアとXX。今まで何度も戦ってきただけあり、その呼吸は皮肉なほど・・・

 

 

「武器チェンジです!武器チェンジ!」

 

「アグニ、ルドラを使いますか?」

 

「ヌンチャク貸してください!」

 

『【衝撃・・・!】』

 

呼吸は万全に、互いをカバーしており。ただの一人も、セイレムの敷居を跨がせぬ奮迅ぶりを魅せ付けた──




リッカ『ラヴィニアちゃん!大丈夫だった!?怪我とかしてない!?』

ラヴィニア「だ、大丈夫よ。ありがとう・・・。邪神は上にいったわ、遥かなる上へ・・・」

リッカ『うん、今から追いかけに行くよ!無事でよかった!』

「そ、それなら。銀の鍵で空間を繋げるから、其処から向かった方が早いわ。未完成だけど、それくらいは出来るもの」

『マジで!?』

アル『此処は厚意に甘えるとするぞ、リッカ!兵は拙速を尊ぶのだ!』

リッカ『オッケー!近くで見てないと金星が落っこったり山が吹き飛ぶかもだしね!ありがとう、ラヴィニア!』

「み、味方ではないの?敵なの・・・?」

ラヴィニアの困惑に、リッカは満面の笑みでこう答える

『味方だよ!敵より厄介だけど!』

「あぁ・・・」

そう言い残し、銀の鍵が開いた空間に飛び込むリッカの後ろ姿を、労りと労いの眼差しにて見守るラヴィニアであった──

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