「双方、準備はよろしいですね?」
バスタオル一枚姿にて、場を仕切るジャンヌ
「白黒をつけるぞ、金ぴか」
赤き薔薇のごとき皇帝が、タオル一枚を身体に纏い睨み上げる
「ハッ、我に刃を向けた事を後悔しながら玉座より転落するがいい」
股間の王律鍵をタオルで隠した器が、仁王立ちにて迎え撃つ
「ルーラーの名において!この戦いを裁定します!――双方、構え!」
――二人が、態勢に移る
「それでは――」
「むむむ!」
「フン」
「――時間無制限入浴耐久勝負!開始です!!」
号令と、火蓋は切って落とされた・・・!
「ふっ!余は毎日のように入浴している!この勝負もらったぞ!」
「ちょうどいいハンデになろうな。負けたときの言い訳に窮する姿が目に浮かぶぞ?皇帝」
「それはこちらの台詞だ――!」
――何故、こんなことになったのかというと。話は数十分前に遡る
『という訳で、リッカ君は総督、客将の扱いで、聖杯探索のために最前線で働く事になったんだ』
ローマ、ネロの館の大浴場にて入浴しながら、ロマンからあらましの説明を受ける
ネロが収める首都、正当なりしローマ帝国
サーヴァントの皇帝が重なりし、連合ローマ帝国
その戦いにてローマは引き裂かれ、もはやネロ単体の力で打倒は叶わず、マスター達の助力を受けることを決め、マスターに総督の立場を与えた事
敵の陣営に、聖杯を持つ何者かがいること
それを撃破するために、リッカとマシュは最前線で戦うこと・・・
「ふははは!総督とは大した出世よ!もはや半人前とは呼べぬな!我もそう呼んでやるか?」
愉快そうに笑う器。余暇なので、自分の意識は眠らせてある
『役職はともかく、無事にネロ陛下の協力を取り付けられたのは幸運だ。これで大義名分と、後ろ楯を手に入れられたからね』
「マメな事よ。だが確かに重要だ。庇護なき戦いはただのゲリラ。王が行う闘争には程遠い」
『焦土作戦とかもあるにはあるけどね。・・・これは推測だけど。恐らく、聖杯を持っているという魔術師は・・・』
――今まであった中で、思い当たるのは一人しかいない
「レフとか言う道化か。なんだ、楽勝ではないか。心技体、あらゆる面において与し易い」
『そうかい?警戒するに越したことはないけど、相も変わらずすごい自信だね。根拠はあるのかい?』
「我が取るに足らんと決めたからだ」
『わぁ、すごい自信だ!でも不思議だ、否定する気にもならないぞ!』
レフ・ライノール。カルデアと人類を裏切り、オルガマリーを一度は殺した相手
――その名前を聞くと、魂の熱が上がっていくような気がする。これは、なんなのだろうか
「ヤツは所詮オルガマリーの価値を見抜けなかった節穴よ。洗脳なり依存をさせたりなどして手駒にしておけば、我等は早々に詰んでいただろうに」
『・・・君が助けてくれたんだよね、所長を』
――助けた、等と上からしてやったというつもりはない
「間違えるなロマン。オルガマリーは自ら助かったのだ。聖杯を起動させたのはヤツの意思。我は機会を与えたにすぎぬ」
――そうだ。マシュとマスターの友達になった彼女には、ただ生きてほしかった
この規格外の王に、その願いを叶えてもらった、それだけの話だ
「恩という鎖でヤツを縛ったつもりはない。間違えるなよ」
『うん。解ってるよ。それでも、お礼を言わせてくれ』
ロマンから、誠実な礼を受けとる
『ありがとう。僕からも言わせてもらうよ』
「腰の低い輩ばかりよな。身の程を知る、という意味では好ましいが」
『君に比べられちゃ皆おじいちゃんお婆ちゃんだよ!』
「ふはは、精々頭を垂れるのだな!王の前では面を伏し、膝をついて待つのが礼儀である!」
湯船から足をだし、優雅にくつろぐ器
――オルガマリーの信頼と信用を裏切った、レフ・ライノール
踏みにじられた彼女の心の痛みを、少しでも返してやろうと自分も気を引き締める
そんな時――
「随分と楽しそうだな、金ぴかよ!」
響く凛々しい声
『へ――うぇえぇえ!?嘘だろここ混浴なのかい!?』
慌てて通信を切るロマン
「なんの真似だ?王の身の清めを、その小さな身体で邪魔立てにきたか?」
そこにいたのは、タオル一枚をまといし姿の皇帝、ネロ・クラウディウスであった
――ローマは進んでいるな。男女の区別なく御風呂に入るのが普通なのか
「余がそんな無粋な真似をするはずがなかろう!余が行うのは、決闘!」
バン!とこちらを指差す
「真なる上にたつものとして!余の挑戦を受けるがいい!」
「ほう・・・?」
――なんだって?
「聞けば貴様は王!森羅万象を背負いし英雄王を名乗っているようではないか!」
「事実だな」
「余という皇帝を差し置いてなんたる不遜!だが、マシュもリッカもそなたを大層気に入っている様子でな!寝ても覚めてもそなたの話ばかり!余はつまらぬ!」
――彼女たちからの英雄王の評価を聞くたび、安心する
「フン、貴様と我ではカリスマが違うわ」
――それにしても、負けず嫌いなんだな、彼女
「皇帝として!余より上の存在をおいそれと認める訳にはいかぬ!故に!余はそなたに挑戦しに来たのだ!」
「ハッ、そのアンバランスな身体で何を以て我に挑むというのだ?性転換の秘薬を飲み同じ土俵に立っても完勝する未来しか見えぬが?」
――あるんだ、性転換の薬
「決まっていよう!ここは風呂場!男と女!すべきことは一つ!!」
――背中の流し合いとかじゃないのかな
「ほう――?きいてやろう。何を以て勝負するのだ?」
「無論――どちらが長く風呂に入っていられるかだ!!余とそなた、先に音をあげたほうが負けのな!!」
――なるほど。それなら血は流れないな。鼻血は逆上して出るかもしれないが
「下らぬ催しだが、よい。付き合ってやろう。王と皇帝、身の程の違いを知るのだな」
「決まりだな!先に気絶したほうがまけだっ!金ぴか!公正な審判を用意せよ!」
「マスターとマシュはどうした?」
「寝ている!」
「――ジャンヌ」
パチン、と指をならす
「お話は聞いていました!ルーラーとして仕切らせてもらいます!」
バスタオルを纏ったジャンヌが現れ、『かるであのみなちん』とかかれた旗を掲げる
「先に意識を手放したほうが負け、よろしいですね!」
「うむ!!体を湯で上がらせるがよい!金ぴか!!」
「歯向かうことを許す。湯治のよい余興になろうよ」
――これが、数十分前の出来事
で、今に当たる。二時間ほどたったかな
「ひゅ~・・・ひゅ~・・・ひゅ~・・・」
顔を真っ赤にしながら息も絶え絶えになっているネロを尻目に、悠然と構える器
「どうした皇帝。もう限界か?我はあと10時間はいけるぞ」
「ば、ばかにするな・・・勝つのは余だ・・・ローマで、余が、負けるはずが・・・」
――むしろすごい。こちらのネロは人間だ。サーヴァントの器に、ここまで張り合うなんて・・・
「続行、でよいな。ジャンヌ、判断を誤るなよ」
「アヒルがぐぁーぐぁー♪カエルがけろけろ♪」
――更に30分が経過し
「・・・余は・・・まだ・・・・・・余、余・・・」
タコみたいになってるネロに、器が語りかける
「・・・よもやここまで粘るとはな。意識はあるか?」
「負けぬ、余は・・・皇帝・・・だれにも、負けぬぞ・・・」
――・・・・・・
「余は・・・・・・・・・」
やがて、呟きが聞こえなくなる
「――・・・・・・」
「ネロさん?ネロさん?」
「・・・ま、だ・・・――」
――・・・うん
「・・・ジャンヌ、そやつを出してやれ」
「はい?」
――なんだか急に、逆上せてしまったような気がしたのだ
うん。限界だ。はやくでたい。でなきゃ
「我は上がる。もう充分汗は流した。今回は無効にしておいてやろう」
「無効試合、ですね?解りました!」
「――フン。女だてらに気概を見せるではないか。人の身でよくぞ我に食らい付いた」
黄金の波紋から、身体の熱を取り払うシートをジャンヌに渡す
「張り付け、冷やしてやれ。明日もそやつは職務があろう。万全にならねば支障が出ようさ」
「解りました!」
「――今宵の気概は認めてやるぞ、ネロ・クラウディウス。よい余興であった」
くっくっと笑いながら浴場を後にする
「・・・余は、余は・・・まだ・・・」
――一人の皇帝のガッツを、器は認めたようだ
「(ネロ・クラウディウスはいいね、とてもいい。ローマという国の抱くイメージ。華やかさや情熱を形にして人にしたような素晴らしい造形だ。バストサイズは83㎝、以外と小さい?と思った君、バカにしてはいけない。150㎝という身長にこのサイズは破格といっていい。平均身長に直してこの身長とバストサイズに変換するとなんと86から88の巨乳という驚くべき結果が出るんだ。スケベ聖女のジャンヌと同等いや、それ以上の肉体比率とは恐れ入る。使命感に駆られて美しき彼女のローマの二つの丘に飛び込んでみたけど柔らかい。うん、とにかく柔らかかったんだ。スライムおっぱいというのかな。身体がどこまでも沈んでいくようなあのフワッとしてむにゅっとしたその感覚はとても言葉に表せない程の至福と幸福を感じたよ。ローマは暴食の国、食べたら吐いてまた吐くなんて言うバカな貴族の催しや贅沢のしすぎで肥ったヤツが多いなんてイメージをしていたボクは猛省しなくてはならない。ネロはローマ、ローマはネロだ。その二つの丘に、ローマの美しさの総てが詰まっている。皆も、ネロの懐に飛び込んでごらんよ。大丈夫。総ての道はローマに通ず。きっと君たちを受け入れてくれるはずさ――)(フォウ!)」
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