人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ラスベガス

ニャル【はい、こちら今回のストーリープロットと、ロストベルトの詳細資料となります。エアちゃんやフォウくんと見てね】

ギル「随分と大掛かりではないか。いや些か・・・かなり・・・非常に気合いの入った大長編よ!貴様ストーリーテラーとして有能であったか!」

【伊達にこれで食ってないですからねぇ。あ、こちら菓子折りです。どうぞウチの娘を御贔屓に・・・】

──わぁ!?山吹色のお菓子です!?小判型のお菓子だなんて、本当にあるんですね!

【今回はお庭を使わせていただきありがとうございました。我が行って全部解決!とせず大嫌いな邪神に見せ場を譲って自分は鑑賞。心遣いが染み入りますわー】

「フッ、こちらとしても懐かしき感覚を味わっていたのでな。──かつてのマスターを始めとした者共は頼りなく、何から何までを導いてやっていた旅の始めの感覚をな」

フォウ(その頃はエアも辛辣天然毒舌だったね!)

──うぐぅ!も、もぅゆるしてよぅ・・・

【成る程。・・・もう財は立派に、自分で輝ける、と】

「思慮すべきは貴様の方よ。我等が負ければ、渡した資料もこの物語も全て無に還る訳だが?」

ニャル【はははははは!流石は御機嫌王!ジョークもお上手!】

「──ほう?」

【・・・──楽園が、邪神『ごとき』に負けるとでも?】

「フ──。どうやら貴様のファンという言葉、偽りでは無いようだ」

【ふふっ。ですが微塵も手抜きはしない。本気で殺しにかかるシナリオです。乗り越えられますかな?】

──乗り越えます!リッカちゃんや、楽園の皆様!そして、それを見守る王と部員の皆様が在る限り!この叙事詩に、敗北なんて有り得ません!

「ふはは!右に同じならぬ傍に同じよ!さぁキリキリ働けイシュタル!我等は貴様と引き換えに欠席鑑賞なのだからな!!」

【・・・眩しいね、フォウくん】

(そうだねニャルくん。時に娘さんのけしからんボディの話をしようか?)

【あぁ、毎日手作りで栄養抜群の料理を食べさせて身体作りから拘ってね──】




カルデア

ロマン「あぁもう!こんな大事なときにギルは、姫様は無事なのかな!?いつもみたいな愉快な笑いを聞かせてくれ!心配じゃないか──!」

オルガマリー「案外黒幕と話していたりしてね」

「そんなまっさかぁ!あはははは有り得るのが怖いなぁ!」

「人類史汚染深度、更に加速!騎士王のロンゴミニアド解放まであと一分!」

ロマン「笑ってる場合じゃない!くそぅやるぞ皆!もうギルにおんぶやだっこじゃないこと、何度だってみせつけてやるんだ!」

「「「「おーっ!!!」」」」


七日目──最後の審判──

「下がっていなさいナイア!此処は私がやります!──乗着!!」

 

「XX・・・!」

 

邪悪なる神殿、ルルイエの上空にてXXがロンゴミニアドを構え、アーマーを纏い何処からか持ってきたピアノを弾き終えたニャルラトホテプに向かって猛烈な突進を行う。ナイアを下がらせたのは、今の彼女に親殺しをさせるのは酷であると判断したが故の優しさと気遣いであった。

 

【猪突猛進の悪癖は変わらず、か。君のその選択肢を選んで何人の■の士郎がタイガー道場に送られたと思う?】

 

『宇宙秩序遵守法の違反を感知!銀河警察の実力を行使します!』

 

邪神の言葉に耳を貸さず、猛烈なブースター突進にて突撃を行うXXを、愉快な嘲笑と堕犬を見る眼差し迎えるニャル。交錯は一瞬。ロンゴミニアドを振るいしアーサー王の成の果てが邪神を打ち倒し──

 

【正解は・・・──タイガースタンプをコンプリートしたという事実から推して知れ。まともな選択肢選ぶと死ぬんだもんアイツ】

 

『がっ!?』

 

槍を左手に突き刺させ、返す右手がXXの首を掴み上げた。そのまま──紅黒い雷が乗着されたアーマー、アーヴァロンを貫いたのだ。その電圧は、最新鋭のアーマーをまるで水のように透過し駆け巡った

 

『っあぁあぁああぁあぁっ!!?』

 

【でもスパークスライナーハイと鉄心ENDは最高だよね。後輩だろうと正義と理想の為なら殺さなくちゃだよなぁエミヤ?】

 

乗着がはじけとび、ニャルの足許にXXが倒れ込んだ。瞬きの邂逅にて、銀河警察のエースを一瞬で無力化する底知れぬ力。吐き気を催す邪悪、宇宙史上最低最悪の愉快犯と罵られながら、誰もが彼を討ち果たせない理由が此処にある。──外なるもの、ニャルラトホテプ。無慈悲なまでに、彼の強さは他を隔絶していた。

 

【■を倒したかったらラブラブカリバーンかリッカの令呪三画を持ってこい。サーヴァントの格だのカタログスペックなんぞで■を楽しませようなどと思わないでもらおうか。最強議論は嫌いでね。皆の好きなヒーローが最強でいいじゃん?】

 

「XX!──ッ!」

 

素早くXXを庇い、雷のギター、ネヴァンを突き付ける。友を護り、例え親であろうと剣を向ける娘の情緒の成長に、褐色の神父は漆黒の十字架を満足げに鳴らした。

 

【躊躇いなく友を護ったな?それでいい、本当に見違えたよ。リッカに預けて正解だった。あの邪神どもには出来ん人ならではの交流による変化。お父さんは嬉しいぞ?】

 

「お父さん・・・此処でXXを殺すというなら、私は・・・!」

 

【殺さん殺さん。弾いたのはアーヴァロンだけだ。リッカが目覚めたようだ。速やかに戻るといい。そして、力を合わせる様子をみせてくれ】

 

あっさりとナイアとXXから身を引き、持ち込んだピアノを弾き始めるニャル。漆黒の月が浮かぶ混沌の夜に、寂しげなメロディが響き渡っている。その不可解な行動に、二人は問いを投げずにはいられなかった。

 

「今回の騒動、何処までがあなたの計画なのです!?あなたはどこまで関与しているのですか!?」

 

【最初から最後までだ。罪悪感にて逃避したアビゲイル、希望に満ちた未来へ進みたいアビゲイルを共に両立し覚醒させ、セイレムから彼女を出し地球を邪神どもに乗っ取らせる。この二つを計画していたわけだな】

 

「劇は、アビゲイルの自立心を促すために・・・!?」

 

【闇からの囁きなんぞ聞いたら魔女と認める様なものだ。耳を貸すはずがない。彼女を前向きにさせてくれる、希望に満ちたイベントが必要だった。無事に君達カルデアは劇を展開し、アビゲイルは君達と行く決意を固めた。此処までは■の趣味。此処からは邪神としての御仕事。──魔女として覚醒したアビゲイルは、ヨーグルトソース神の力を行使する事が可能になる。その力を使い門を開き、あり得ざる世界から招いた訳だ。人類史を汚染する神殿、ルルイエをな】

 

邪神達が繁栄した歴史を、無理矢理地球に定着させ新しき汎人類史とし新たな闇の時代の幕開けを告げる。ニャルが封印された邪神に仕向けられたオーダーがそれだった。ハイハイワロスワロスと聞き流し、同時に彼はカルデアにロストベルトという事象の存在をサンプルとして提供することを決めたのだ。それは、邪神なりのルール。楽しませてくれた相手への礼を忘れないのである。

 

【それが■の計画。この星は銀河的にも希少価値が高くてな。住み着きたいという邪神や生命体は事欠かない。人間という劣等種に任せるには余りにももったいないと、な】

 

「ふざけないでください!人間は、この星で一から歴史を築いたのです!蠢くだけのクソどもに罵倒される謂れは無い筈!」

 

【その通りだ。■も本当にそう思う。やはりお前は■の娘だ。血は繋がっていないがな】

 

ナイアの言葉に、ニャルは深く頷く。人間は謂われもない連中に罵倒され断罪される謂われはない。滅ぼされる筋合いなど何処にも無いと。

 

【そもそもの話だ。人間は愚かだという、罪深いという。──早急に過ぎるだろう。人の歴史は西暦から2000年ちょっと。幼年もいい処だ。幼年期が終わった人類というだけで、まだ大人というには若すぎる。五歳児のようなものだ。物も壊すし喧嘩もする。仲間外れだっていじめだってやるだろう。そんな成長途中の人間にマウントを取る神々の連中・・・残らず醜くないか?】

 

「・・・お父さんは、違うと?」

 

【当たり前だ。学び、進み、迷い、喜び成長する。愚かにも賢しくもなる素晴らしき70億の生命。これにただ一人もダブリや欠陥品が無いんだぞ?素晴らしき種族だ。試してよし、壊してよしの最高の存在といつも思っている。まぁあの金ぴかは人間の紡ぐ歴史に興味があるようだが。姫様は人間の、世界の総て。真似できんな】

 

愛している。心から好ましい。だから試す、だから弄ぶ。試練を突き付ける。必ず乗り越えると信じ、無限大の可能性を見せてくれると確信しているからだ。そんな人間を、外なる者共は残らず愚かで無価値という。ならばとニャルは告げたのだ。【そこまでいうなら打ち克ってみろ】と。

 

【アビゲイルの力を通じて、復活を待ち望む邪神と闇の者共を招き入れた。復活の暁にはこの手で人間どもを駆逐してくれる、と息巻く邪神・・・クトゥルフをな。言うなれば、地球をリングにしたわけだ】

 

「旧支配者を、歴史毎・・・それにより起こるロストベルトとの戦い、邪神との戦いを、人間は本気で乗り越えられると信じて・・・?」

 

【当たり前だ。■はクリアできないゲーム、乗り越えられない試練は絶対に用意しない。■が試すのは■が試すに相応しいと見定めた者だけだ】

 

邪神は即答した。今回の試練は乗り越えられるもの。不可能でも理不尽でも無いと。そう信じられるだけの、揺るぎ無い輝きに満ちた物語を見ていたから。

 

【痴呆を患った邪神の泡沫の夢の歴史。未熟ながらも確かに歩み重ねた君達人間の歴史。どちらを応援するか?無論後者だ。ほら、油を売っている時間は無いぞ。私が用意した邪神が目覚める。最後の扉を開きにいけ】

 

「・・・ニャルラトホテプ・・・あなたは一体誰の味方なんですか・・・!?」

 

【よく聞かれる質問だ。──決まっているだろう?】

 

そう言ってニャルラトホテプ、最悪のトリックスターは悪びれもなく、心からこう言った。まるで、愚問であると言わんばかりに。

 

【■は■の味方だよ。自分が楽しめれば、自分が望むならば何だってする。──さぁ、マスターの所に戻るがいい。マスターと仲良くできないサーヴァントという欠陥品じゃ無いだろう?】

 

「あ・・・!」

 

「あ、ちょっと!まだ話は・・・!」

 

くすくすと笑い、指を鳴らし二人をセイレムへ叩き返すニャルラトホテプ。その無貌なる表情は、楽しみにしていたアニメや映画を見ている時のように輝いていた──

 

 

 

 




【あ、あとお前の事は本気で娘として愛してる】

ナイア「えっ・・・!?」

【たまには子育ても暇潰しになるだろうと拾ったお前だが、一から育てる内に本当に愛らしくなってな。多少いばらの道を選ばせはしたが・・・生き残らせるための技術や生き方、闇に侵されない人格形成に手は抜かなかった。リッカに預けたのも、■では用意できない友達を作らせる為だった。楽園様様だな】

ナイア「・・・い、いきなり言われても・・・教え方や、毎日のLINEからそれは伝わっていましたが・・・」

【神は博愛を好むだろう?■はアレが嫌いでね。誰もを等しく愛するなんて何も見てないと一緒だろう。■の方針は断然・・・寵愛、溺愛だ。初めての子育てだったが、お前にはそれを与えてきたつもりだ】

XX「本当に読めない邪神ですね!戦意を高揚させるのか喪失させたいのかどっちですか!」

【子を愛さない親はいてはならない。少なくとも■はそう思っている。──最後に聴かせろ、ナイア。お前が生きたい歴史はどちらだ?】

「──人間の、リッカ様や皆様が紡いだ歴史です。私は、汎人類史と呼ばれる可能性の歴史こそ、この地球に相応しいと信じます」

【──やはり、お前は■の娘だよ。ナイア】

それだけを告げ、ナイアとXXを弾き出した。再び静寂が戻り、即座に傍に『魔女』が現れる

アビゲイル『早く、邪神の皆を呼んで。今すぐに』

【急かすじゃないか。余程怖いものを見たのかい?例えば・・・】

アビゲイル『黙って・・・!あなたも、魔女にしてしまうわよ・・・』

【女体化は歓迎だが、リョナは御免被る。──仕方ない。時計の針を動かすとしよう】

ニャルは立ち上がり、海に手をかざし──

【この地球が思い描く邪神よ。──来るがいい。この星に、我ら外なる者の楽園を】

それを、呼んだ。甲殻類のような殻に、逆さまについた下界と人間を見下す傲慢なる顔。巨大なる威容にてルルイエに降り立つ邪神の姿──

邪神・ガタノゾーア【──■■■■■■■■──!!!!!】

アビゲイル『あぁ・・・いいわ。魔女はみんな、消えてなくなるの・・・』

ニャル【・・・──フッ】

迫る絶望に次ぐ絶望。──だが、ニャルラトホテプの言葉に偽りは無い。

ラヴィニア「うっ・・・!?」

『銀の鍵』

「鍵、が・・・」

エイボンの書『──諦めるなニャル!君達こそ希望、パンドラの底ニャル!魔女を見つけるニャルよ!』

ラヴィ「!?エ、エイボンの書が・・・?」

『さぁ!ラヴィニア・ウェイトリー!資格在りニャル!今こそ現代の大魔導士の擬似サーヴァント!フォーリナー・・・『エイボン』になるニャル~!』

絶望の底には・・・

ナイア「・・・胸が、苦しいです・・・」

XX「しっかり!パパムーブやニャルムーブに惑わされず!」

希望が、確かに託されていた。
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