人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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オルガマリー「彷徨海・・・まるで実態の掴めない、自分達を真なる神秘の継承者と名乗る者達。移動する山脈と、防護の厄災を纏う工房を有する、神代魔術至上主義者・・・」

ニャル【観測してたらうっかり見つけちゃいました♪君主として把握してなさるとは流石。やはり貴女は落ち着いてると君主に間違いない風格ですなぁ】

オルガマリー「ありがとう。楽園に助けられたのはリッカだけじゃないのよ?」

【人材これ財。真理過ぎてぐうの音も出ませんな。ちゃちゃっと解析したら、西暦以前の神代のテクスチャを貼り付けた中の島な様で。これつまり人類史というテクスチャが真っ白になるか真っ黒になっても、この連中は逃れられると思いますな】

オルガマリー「本当!?」

ダ・ヴィンチ「いや、君本当怖いな!?多分それ、知られる想定なんかしてないぞ向こう側!」

ニャル【秘匿、隠匿、秘守。それらは全て人間が人間に想定したものだ。無論、そんなものが効果を発動するかなど私の気分次第でしかない。・・・というわけで、どうします?接触してみますか?】

オルガマリー「そうね、ギルに報告書と許可証を私が提出します。ニャル、貴方は可能な限りあちらを捉え、可能なら接触してもらえるかしら。安心して、責任は私が取ります」

【了解。──もしかしたら、ニャル秘密基地も作れるかも。楽しみだ♪】

ダ・ヴィンチ「更に人類の備えを万全にするため、準備は惜しまない・・・だね?愛弟子」

「そういう事です。星の脅威に対し、人間の拘りや確執などなんの意味もありませんから」

ダ・ヴィンチ「──大空を駆け、雲の向こうを睨む大鷲・・・うぅん素晴らしい!素晴らしいよ愛弟子!」

「鍛えられましたので。いざとなれば──ゴッフにカルデアを任せ、乗り込みます」


ニャル【さーて、・・・ん?待てよ?】

(磐石過ぎて失念してたが・・・もしかしたら向こうもコンタクトしてたのをカットしてたとかない?迷惑メール対策みたいな)

彷徨海・バルトアンデルス

?「あー!気になる!気になります!あの南極の隠す気zeroな神殿!テステス!聞こえますか!?研究させてくださーい!」



ニャル【・・・ま、後で確認するか。友好的に行こうじゃないか。楽園の為に、物語の為に・・・な】


楽園のマスターあれこれ──はくのん編──

「ちゃお」

 

「いらっしゃいはくのん!いや待ってたよー!王の業務お疲れ様!」

 

リッカに迎えられ、遥かな月からやってきた逆かぐや姫。そう、姫って可愛らしい響きにとても惹かれると頷く一人の少女が楽園へ御忍びでやってくる。彼女はそう、比喩抜きで空からやってきた存在、月の新王たる岸波白野。単純なマスターとしての指揮ならばリッカすら上回るマスター最強の王。最弱から最強に至った無双のマスターなのだ。だからといってリッカと戦うと馬乗りでボコボコにされるとは本人の弁である

 

「王の業務はとても大変。たまに何もかもを投げ捨てたくなるけどそういう訳にもいかない。だからこうしてたまに執務室に仕事を置いていくスタイル。ほれほれリッカ、いこいこ」

 

「ネロに任せてるんでしょ?大丈夫だよね、優秀な皇帝様だもんね!」

 

こっそり抜け出して来たので『親愛なるネロ。後ヨロシク』という手紙だけを書き置いてやってくるザビエルムーヴ。きっと彼女なら解ってくれるだろう。すまぬ、すまぬ。実際問題ネロを連れてくると「月の新王とその伴侶たる皇帝の楽園入りである!財を尽くして出迎えるがよーい!」となりパレード請け合いなので置いてきざるを得なかった。苦渋の決断、解ってほしい。たまには新王じゃなくて、はくのんと気安く呼ばれたい時もある。だからこうしてフットワーク軽めに留守を任せるのだ。事後承諾の理不尽はお土産でなんとかする

 

「すいーつ。じゃんぬのすいーつ(ハスハス)」

 

「勿論予約してるよ!じゃんぬー!お一人様ー!」

 

辛抱たまらんとリッカの背中を押しながら進むはくのん。今回はなんのトラブルも起こらない、のほほんとした一幕である。二周年も近いので。

 

 

はくのんは じゆうなおうさま めざしてる

 

 

「うめ、うめ」

 

「毎度ありがとう。というか本当に何処に入ってるのそれ・・・」

 

すいーつ店に付くや否や、片っ端から品を頼んでパクパクと食べていくはくのん。辛くないなら何だっていける。一つ一つがプレミアムな輝き。そう呟きながら幸せそうに頬張っていく。その健啖さに、呆れながらもリピーターを迎える店長。王として威厳の無さを愚痴っているはくのんであるが、無表情で美味しそうに食べるという絵面は充分なくらいにインパクト抜群である。

 

「今も月は平和とヴェルバーの対策の背中合わせ。私はどっちも万全にしていく責務があるから弱音は吐けないし吐かない。でもやっぱりお腹は減る」

 

「はくのん王様かぁ~・・・!私達と感性や見た目はそんなに変わらないのに凄いね!オーマジオじいちゃんも誉めてたよ!」

 

月の王、即ち聖杯戦争の勝者にして常勝無敗。何故王になれたのか?単純明快、立ち塞がる全てを倒したからだ。頼れるパートナーと共に。覇道と王道を極めた王・・・と、いうにはやや大袈裟過ぎると本人は言う。そんな大層な事はしていないと。

 

「リッカと同じ。助けてくれる誰かがいてくれたから、私は最後まで走り抜けた。私の力は、私に力を貸してくれた全ての力」

 

嵌められたレガリアが輝く。結局のところ、自分自身の力だけで何かを成し遂げる英雄は自分の名には相応しく無い。いつだって、結果は後からついてきたとはくのんはぶっちゃけるのだ。

 

「あ、これオフレコ。威厳が無いと困るとネロ辺りに怒られるから」

 

「解る・・・解るよ!私も同じだから!楽園の皆が、私に進む道と力をくれたんだぁ・・・」

 

リッカもまたそれは同じ。倒される悪を、救う愛にしてくれたのは楽園の全てだと言うことを、片時だって忘れた事はない。ギルや姫様、マシュ、オルガマリーやサーヴァントの皆が背中を押してくれたから戦ってこれたし、これからも戦っていける。どんな場所で、どんな試練が待っていようとも。

 

「うんうん。また藤丸クンと会えたらいいね。色んなカルデアの、色んな旅路を見ることが出来れば出来るほど。この楽園の奇跡っぷりが解ると思うから」

 

「うんっ!藤丸クン頑張ってるかなぁ?でも心配してないよ、あんなに真っ直ぐでいい人で・・・」

 

「マシュ推し」

 

「そう!マシュ推し!・・・本当、楽園じゃないカルデアで、少しも歪まなかった私はどんな旅路を歩むのかな・・・?」

 

数多無数の可能性。不可能だらけの困難な旅路。それを藤丸くんは、どんな風に乗り越えていったんだろうと想いを馳せる。Aチームの皆と協力していったのだろうか。オルガマリーはヒステリー大丈夫だったのかな?ロマンや皆は無理なく頑張ってるかな?思えば思うほど、広がる可能性に胸が躍るのを止められない。其処には、必ず善き旅であるだろうという確信があるから。どんな時空でも、どんな場所でもきっと・・・

 

藤丸立香(かれ)はきっと、世界を救えるよね!」

 

そう、信じられるくらい。カルデアの人達は素晴らしい人達だから。皆と、マシュと進む決意を決めたのだったら。きっと世界を救える筈だ。

 

人類悪(わたし)だって倒すどころかマスターにしちゃうくらいだもん!絶対大丈夫って信じてるよ!」

 

「禿同。禿と言えばウス=異本に出現するカルデア乗っ取りおじさんというカルデアを丸々乗っ取れる有能について」

 

「くろひー言ってた!おじさんは男性が求める声に応じて現れる何処にでもいて何処にでもいない概念のような存在だって!」

 

「嫌すぎる概念。そういえばリッカは自分を次回作のゲームでどこのポジションに置きたい?私は控えめに・・・」

 

「「裏ボス!」」

 

ブフッ、と微笑ましげに皿を洗っていたじゃんぬが吹き出した。どこら辺が慎ましいのかと。可愛い顔して考えることが完全魔王寄りなのが世界救済経験アリな女性のデフォルトなの?そうなの?と思わずにはいられない。

 

「でもfate主人公として私は異常性が足りない気がする。もっともっとガッツリめな個性を欲する」

 

「私もなー。楽園以外の場所じゃラスボスか悪役なんだろうなー・・・振り返ってみたら私脇役としては劇物過ぎて作劇に使えないよ・・・藤丸クンとダブルマスターからのゲーティア倒してから覚醒って筋書きくらいしか物語の邪魔にならないポジションがない・・・ん?」

 

「はーい!先輩とリッカさんはっけーん!先輩が無個性とか冗談ですよね?無個性さんは数万年意味も分からず前に進んだりサーヴァントの為に頭以外の全部を吹っ飛ばされていませーん!」

 

女子トーク(?)に華を咲かせていたら現れたグレートデビル改めリトルペットなBB。どうやら素材集めの一息にこちらを見つけたらしい。そして、それに釣られるように・・・

 

「御主人様♪おや、そちら月の王様で?んまっイケ魂×イケ魂とかここ高天ヶ原です?なんです!?いただいても!?」

 

「止めたまえ、店の迷惑になる。ガールズトークのお供にスイーツとはいい判断だ。マスターも女子のなんたるかを理解してきたな。よしよし」

 

「えーい!余を差し置いて話を進めるでない!マスター!そして月の王よ!華やかなる団欒に、大輪の薔薇は欠かせないのでは無いか?ん?ん~?」

 

玉藻、エミヤ、そしてネロ。なんの縁か特定のサーヴァント達が訪ねにやってくる。王であるはくのん相手にも、なんだかずっとそうやってきたかのような気安い雰囲気が、穏やかな空間が満ちているのをリッカは感じ取った。

 

(・・・カルデアと違って、マスターは一人のサーヴァントと絆をガッツリ深めるのが普通なんだっけ。だとしたら・・・)

 

だとしたらはくのんも此処にいる皆と聖杯戦争を乗り越えてきたのかもしれない。サーヴァントである以上、カルデアのサーヴァントとは別人だとは分かっているけれど。

 

(──私も、座に想い出を持ち帰ってもらえるようなマスターでありたいな!)

 

正直、楽園のサーヴァント皆に受肉してもらいたい気持ちはあるけれど。それは無理難題なので。別れの瞬間が、ずっと先であることを祈って。この戦いが、英霊の皆に少しでも素敵な想い出であることを祈り、一人一人のサーヴァントの運命の人は誰なのかなぁ、と想いを馳せた視線のその先に・・・

 

「リッカ?スイーツのお代わりはいかがかしら?」

 

「先輩!スイーツの時間にマシュっとマシュマロ後輩のデリバリーですよっ!」

 

──自分を抱きしめるように覗き込むじゃんぬと目線が繋がり、騒がしい後輩の声が耳に届いた。

 

 




数時間後~

はくのん「リフレッシュ完了。感謝の極み、また頑張る」

リッカ「またいつでも来てね、はくのん!今度は一緒に特異点攻略しよ!」

「ノーモア、人理再編。そのときは全身全霊で頑張る。あ、そうだったそうだった。はいこれ、ロマンに渡すべし」

「?これ・・・」

「ギルからの注文。じゃ、またねリッカ。マイフレンド・フォーエバー」

「あ、ばいばーい!・・・もしや・・・」

『次の大安の日時と式場準備計画書』

「・・・年貢の納め時かもよ、ロマン!」

岸波白野

マスターランク A+++(自己申告。本来は測定不能)

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