人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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オルガマリー(めでたいわね。本当にめでたいわね。だからこそ・・・)

『Aチームに向けた、婚約決定のメール』

(これで反応を返してくれた人は信頼できる筈。誰かを祝う事が出来る人ならきっと・・・)

『キリシュタリア』

(・・・・・・・・・あの人を、いつまでも怖がるわけにもいかない、か)

『送信』

(あとは、なるようになれ・・・ね)

アイリーン『結婚式かぁ・・・』

ホームズ「ワトソンが私にした少ない裏切りの一つだ。・・・まさか女に逃げるとは・・・」

モリアーティ「いや、至極当たり前な結論だヨそれ。結婚を女に逃げると言うのはキミだけだなホームズ」

ホームズ「心配することはない。私にはまだコカインがある」

モリアーティ「おまわりさーん!!このヤク中しょっぴいてくれたまえ!」

ナイチンゲール「」

アイリーン『あっ・・・』

この後めちゃくちゃ連行された。


イスラエル結婚式は瞬瞬必生

「うぇーい。ロマンとシバの結婚うぇーい。やったぜ」

 

月にて、事の顛末を見守っていた月の新王ことはくのん。めでたき節目のゴールインをなんかみょうちきりんなくねくね躍りで一足先に祝っている。奇行と言ってはいけない。これはれっきとしたイスラエル式お祝いに則ったものなのである。詳細は後述。

 

「勝ちの解りきっていた試合とはいえ、一年二年も懸ける事象ではあるまい、たわけめ。我のものとなるがよい!で総て万事オールオッケーであろうに」

 

──オールオッケーでは無い故に王は星に手が届かないのでは?

 

《ふはは!痛いところを突きおって!事実だがな!》

 

お前のみ糾弾を赦す!そうエアの背中をぽふぽふ叩く。尚この数秒後に『やーいお前の恋路高校生にぼろ負け~』と言ったフォウと取っ組み合いの喧嘩に王は興じる事となった。軽く流すのは姫の戯れのみである。

 

「実にめでたい事に変わりはない。やっぱり、この物語の立役者で頑張り屋だと思うから、幸せになったっていい。いや、なれ」

 

『そうですね。この世界に幸せになってはいけない存在などいません。幸福も不幸も、等しく選び掴み取るものですから』

 

結果的には自分の屍と使い魔が引き起こした事件だが、それでもロマンを責める気になどならない。彼は目を逸らし、与えられた自由を滅亡まで享楽する事も出来た。でも、彼は立ち向かい、備え、戦う事を選んだ。それこそ、かつてのウルクの民達の様に。

 

「エア姫も覚えておくといい。頭あれば身体吹っ飛んでも割とどうにかなるバランスに人体は出来ている」

 

『は、はいっ。その・・・そんな状態にならないように尽力する、という観点で参考に致します・・・』

 

可憐な見た目に対して思考と発想がストロングすぎる月の新王に改めて畏怖するタブレットモニターに移るミニ・ギルガメシア。このギルエアザビフォウがなにをしているかというと、検索と探索である。──無論。結婚式のだ。

 

「やっぱまずはイスラエル式だよねと調べてみたら予想以上にレッツパーリィだった。これで、これだけでいいんじゃないかと思うくらいには」

 

『はい。イスラエルの方々の式はとにかく派手で、まさに楽園の皆様が取り組むに相応しいものだと思います!』

 

「えぇい、本気で噛みおって!キスマークならぬ齧り跡などいらぬわ!まぁそれはともかく、どうだ?我等が祝うに相応しき祝辞であるのか?」

 

ギルとしても他教に興味は無く、婚姻の義などセイバー式で良かろうふははと構えているため、他宗教の式は把握していない。それ故にはくのん、エアに一任していたのだが・・・

 

『はい、ギル。こちらがレポートとなります。どうぞ御覧になってくださいませ』

 

なうろーでぃんぐ、とマリアの手書きで書かれた画面の後に、調べられたイスラエル結婚式手順が表示され、エアがそれを読み上げる。なんかもう、これだけでいいんじゃないかなレベルの賑やかな式をだ

 

『イスラエルの結婚式はとにかく派手派手。ゲストの数は最低300人。食事の量とアルコールは無制限であり、そして披露宴の後半には式場がディスコとなりゲストに新郎新婦も一緒になって夜を踊って踊って踊り明かします』

 

「ふはははははははははははは!最早我等が楽園のためにあるような祭りではないか!厳かなのも良いが突き抜けた喧騒もまた良かろう!忘れられぬ節目、という意味ではな!」

 

そう、なんとイスラエル結婚式専用のDJもおり、有名なシンガーすら招き入れるというのだからすさまじい。ゲストも新郎新婦も一緒になって、ダンスフロアと食事席を行ったり来たりし、体力尽きるまで祝福を行うということなのだ。イスラエルパーリィに生きている。

 

「大きな式だと500人だって。よし、こっちは部員さまも含めて一万人呼ぼう。ムーンセルも解放しよう。エリちゃんはディスコ出禁にしよう」

 

「うむ(即決)。雷鳴にて鼓膜を破っては事であろうな。酒に食事は我に任せよ。ローマすらも頭を垂れる飽食の境地を見せてくれる!」

 

(ウルク料理ってシチューとかバターケーキとか素朴で味わい深い感じだからパーティーに合わないんじゃないの?)

 

──そんな事ないよ、フォウ!逆に考えるの・・・幸せな時間を噛み締める事が出来るんだフォウ・・・

 

(なるほど!エアがいいなら良いんだ間違いないフォウ!)

 

「DJは私がやる」

 

「う、うむ。貴様はその手の行事を真顔で熱中するタイプであったな・・・男女共有選択肢であるが故のキャラ造形か・・・」

 

式場に到着するとまず立食式レセプションが用意されており、ここで新郎と家族に挨拶を交わした後にスナックや酒を味わう事となる。この時点でセッティング側の質が試されると言うべきであろう。

 

『イスラエルの結婚式は、ユダヤ教の司教、ラバイと呼ばれる方により行われる宗教婚となっており、レセプションが始まり暫くすると、用意されているフッパと呼ばれる天幕で式が始まります』

 

その時に、ラバイが唄のようなメロディーで祝福の祈りの言葉を、メロディーにて読み上げるという。一から十まで賑やかで楽しそうで、読み上げるエアの声も弾んでいくのを聞き、王は笑みを溢す。

 

「まって、ラバイどうしよ。イスラエルの司祭ってレベル高くない?」

 

「心配はあるまい。邪神の娘が総ての宗教の大司祭を経験済みと聞く。肌の色も含め適任であろう」

 

「でかした」

 

ナイアは総ての宗教を修めており、当然結婚式の運用と執り行いもお手の物だという。お任せくださいとの頼もしい言葉もいただいている。安心して任せられる頼もしすぎるメンバーであった。邪神の娘好きは留まる事を知らない

 

『そして新郎新婦がワインを飲み交わし、婚姻の誓いを立て、指輪を交換するようですね。あ、イスラエルでは最初に新婦の人差し指に指輪が嵌められる様ですね!そして、最後に新郎がガラスのグラスを踏んで割るみたいです』

 

「突然のバイオレンス」

 

「ロマンから聞いた話ではあるが、この風習は『祝福の時であれ、2000年前にエルサレム神殿が壊された事を忘れるな』という意味合いを持つという。ま、それらの話は我等には特に関わりの無いものだ。外す意味合いは無かろうよ」

 

それらはやはり、宗教の教えであるが故に。忘れられないものはあるのだろう。だが、それを祝いに転換することに人間のポジティブさと前向きさを感じられずにはいられない。

 

『はい!そして式が終わると披露宴に場所を移し、パーティーの始まりです!食事が始まると、間も無く新郎新婦が再登場しファーストダンス、そしてゲストも続き立ち上がり、ダンスフロアはゲスト達により埋め尽くされるのです!日の入り後に始まる式を、深夜まで行うというパーティースケジュール!凄く楽しそうです!ワクワクしますね!』

 

「聞けば聞くほど楽園、我等には誂え向きの式場ではないか・・・!これは我等も膳立てに気合いが入ると言うものよ!」

 

(待って、やるのはいいけどいつ終わるんだこれ?)

 

「基本的に、最後の一人が躍り終わる・・・まぁぶっ倒れたら終わりでええんでない」

 

『待ってください!体力的にサーヴァントの皆様が倒れるのはあり得ないのでは!?』

 

「よし、時間を決めておくとしよう。或いは一週間踊り明かすのも悪くは無いかも知れぬがな!ふはは!腕の振るい甲斐があるというものだ!忘れることが出来ぬ王プロデュースの結婚式がどのようなものか──最後の仕上げと行こうではないか!!」

 

「『(おーっ!!)』」

 

方針が定まりし、結婚式の義。いよいよもって迫り来る祝福の刻に、二人の王と獣を有す姫が追い込みをかける──

 




エア ──結婚式かぁ・・・

フォウ(そういえば、キミは見るの初めてだったかな?いいものだよぉ。いつかキミの晴れ姿も見てみたいなぁ・・・)

──うん、でも・・・

『左手の薬指の指輪』

──ワタシの晴れ姿は、時間神殿で皆に見てもらったから!ワタシは自分を祝福されるより、誰かが幸せになるのを見たり、祝福する方が好きだよフォウ!

(うん!その指輪も、ギルに嵌めてもらったものだしね!・・・そうだね、エア)

(キミはやっぱり、ギルの傍にいる時が一番輝いているよ!偉そうなギルだけど、そこは認めてやってもいいかな・・・)

《ふはは!当然であろう?我が至宝なのだ、我の傍にいてこそ比類なき輝きを魅せるは道理!聞け珍獣、これは我の御気に入りのエピソードなのだがな》



かつて宝物庫の整理に精を出すエアを見ながら酒を嗜んでいたところ、我は戯れに問うたのだ。心地好い酒をもたらす姫に、何か礼をくれてやりたくなったのでな。

『エア、我が赦す。この宝物庫の財、一つお前のものとするがよい』

と言ったところ、不敬ですがと枕詞に置き、エアは我の申し出を願い下げた。そこで我は気になってな。理由なく我の願いを下げるエアではない。それは何故だ?と問うた際にこう答えたのだ。

──既に、貴方のお傍で貴方に寄り添う事を赦して貰えています。その事そのものが、蔵にある総ての宝に勝る至宝。これ以上など、ワタシには望むべくもありません。

『───』

──それでも尚、財を賜らせていただけるなら一つだけ。・・・どうか、これからも貴方を支えさせてください。お側に仕える事をお許しください。貴方という存在のお役に立てる事そのものが、ワタシにとっての比類なき至宝であり、喜びです──



エア『フォウ~?マリアが教えてくれたブリオッシュを御祝いに出そうと思うんだけど・・・』

フォウ(ギル!乾杯!!)

《よし!今夜は飲み明かすぞ珍獣!!》

『もう出来上がってるー!?Σ(´□`;)』

ザビ「仲良すぎでしょこの王と変な生き物・・・」

結婚式(大安の日)まであと二日!?

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