人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「それと、これもだな」
――こっちも大事ですしね


ふくよかだっ!

筋肉との激突から、一日

 

 

 

――ガリアの地にて、正統ローマ、連合ローマが開戦、激突する――!!

 

 

 

軍と軍、赤と赤、黄金と黄金

 

 

未来を懸けて――生命が燃え猛る――!!

 

 

 

「申し上げます。あちら側の皇帝、ネロ・クラウディウスの勢いが増したの事」

 

「うむ」

 

「陛下が仰有られた、特別な将があちらにいるもよう。――如何いたしましょう」

 

「どうもせん。放っておけ。奴等はじきにここに来る。私は待つ。面倒だ」

 

「は・・・」

 

 

「貴様らも程々に戦え。貴様らの犠牲を私は望まぬ」

 

「はっ――!!」

 

真紅の男が、やれやれと溜め息をつく

 

「――だが、貴様らは死ぬのだろうな。己の信ずるローマの為に。やれやれ・・・乱れぬ統率、完璧な軍隊。――それは意思なき総体であろうに」

 

――その男は、ふくよかであった

 

 

 

 

 

 

 

 

「はははははははははは!!圧制者の手先と化した魔兵達よ!私の歓喜は、貴様たちを包み込もう!!」

 

 

手当たり次第に敵軍を蹴散らしていく筋肉。――いや、スパルタクス

 

「ぬぅうん!!私にみなぎるこの歓喜!この悦びをなんと表現するべきか――?」

 

――笑顔が眩しいマッスルだ

 

「愛ッッッッ!!!!!」

 

「スパルタクス!こっちだからこっち!あぁもう!」

 

スパルタクスに引きずられるように、ブーディカが連れられていく

 

 

「露払いはこっちでやる!あんたたちはホンジンヘ突っ込め!」

 

「圧制者!おぉ圧制者の頂点なりし圧制者よ!!――我が、愛を見るがいい。何れ君を、抱擁せし愛を――」

 

敵軍を蹴散らしながら、朗らかに筋肉がこちらに微笑みかける

 

「フン、精々振り撒くがよい。我に届かせる愛ならば今までの三倍は持ってこいというものだ」

 

――愛ってなんなんだろう。微笑みながら敵兵を踏み潰していくのは愛なんだろうか

 

こっち向いて笑わないでください。こわい

 

「応ッッ!!――さぁ。圧制者よ。我が道を阻めし無数の兵達よ!潰えよ!我が愛で!!我が生涯にて!!雄雄雄雄雄雄雄雄雄ッ――――!!!」

 

「スパルタクスー!煽らないでよもう――!」

いつもの三倍増して躍動するマッスルをフォローしていくブーディカ

 

「・・・うむ。任せたぞ。ブーディカ」

 

 

――すみませんブーディカさん。お気をつけて

 

 

 

「さて、こちらも出立するか。マスター」

 

「解ってる!愛で、目の前の道を切り開くんだね!!」

 

「先輩!?」

 

『いけない!リッカ君に悪い影響が!』

 

「ふはは、奴めも役に立つようだ。少女に愛を説くとはな」

 

鼻息荒いマスター。・・・大丈夫?マスター大丈夫?

 

 

「ぬふぅ―!蹴散らして!『メドゥーサ』!!」

 

興奮ぎみに召喚を果たすリッカ

 

 

「・・・承りました。目の前の魔術の獣たちを蹴散らせばよいのですね」

 

長身たる美女のライダー、メドゥーサが現れる

 

「yes!やっちゃえライダー!!」

 

「ま、また客将か・・・たくさんいるのだな」

 

『たくさんいるよ!余もむぐぐ』

『すてい!ネロさんすてい!』

 

『君は自重しているんだろう?これ以上ローマが割れないようにさ』

 

 

 

「励めよ。出自はどうあれ、貴様はカルデアの英雄であることを努忘れぬことだ」

 

 

美女のライダーに声をかける

 

「承知しています。――では」

 

自らの血にて陣を描き

 

「――この子の力を見せましょう」

 

 

陣より現れし、呼び出したるは翼を生やせし白馬。――メドゥーサから産まれたとされし、伝説の天馬――

 

 

「ペガサスだ――――!!!」

マスターが歓喜の声をあげる

 

 

『え、そういうの好きなのかい?』

「ペガサス!!女子の夢!!ペガサスの夢!ペガサス幻想!!」

「先輩!?」

 

鼻息荒く説明するマスター。

 

 

――まぁ、おとぎ話でよく見るし、本から出てきたようなものなのだろう

 

「いつか我にもオファーが来ような。我以上に黄金が似合う者はいまい。乖離座の黄金サーヴァン闘士、であるな?」

 

――なんのオファーですか?

 

 

 

「気に入っていただけたようですね。ご期待に応え、優しく蹴散らしましょう。――では」

 

跳躍し、ペガサスにまたがる

 

 

「飛んだ!!」

 

 

 

「そら、馬を走らせよ!一息に本陣の道は拓かれよう!我はバイクで追従する!」

 

 

「気を引き締めよ!二度のサーヴァント戦だ!」

 

 

「応ッ!!」

 

「よし!馬を出せ!本陣に雪崩れ込むぞ!!」

 

 

 

――さぁ進軍だ!

 

 

「『騎英の――手綱』!!!」

 

天より羽ばたきしペガサスが、500㎞の速さ、流星のごとき勢いで地表を駆け吹き飛ばす――!!

 

 

 

魔獣、ゴーレム、その他一切の雑兵を城壁が突撃するかのごとき質量で粉微塵に粉砕する!

 

 

何者にも阻めず、何者にも回避を許さず

 

 

その気高き姿は戦場に駆け抜ける流れ星のごとく

 

――天馬が駆け抜けたその跡は、本陣に続く一筋の道筋となりて輝いていたのだった――

 

 

「このくらいでよいでしょう。頑張りなさい、リッカ」

 

翼を羽ばたかせ、上昇していくペガサス

 

「――?」

 

ふと、天空にてメドゥーサの目に島が映される

 

なんともない、小さい島

 

「――!!」

 

目にしたとき、メドゥーサの全身に震えが走る

 

「な、なんでしょう・・・――もう、この地に足を踏み入れたくないという予感が・・・」

 

 

(私の予感は、当たります・・・)

 

天を駆け、メドゥーサは悪寒と共にカルデアに帰還した――

 

 

 

 

 

 

「流れ星のごとく来る、か。速かったな」

 

 

本陣。待ち構えしは、真紅の男

 

 

「退屈をしないで済んだ。――そら、私の前に立ちし美しき者よ。名乗りをあげよ」

 

 

「――っ」

 

「戦場で黙するな。雄弁であれ。剣を交えるに名も明かさぬか?それが当代のローマの在り方か?」

 

――弁舌雄弁。立ち振舞いに油断なし

 

強敵だ――間違いなく。彼が、敵の将軍――サーヴァント!

 

 

「そら、そなたたちも名乗るがいい。遠き時代の将よ」

 

「藤丸リッカ、マスターです!」

 

「うむ、美しい。鹿のごときしなやかさがいい。愛でるように触れてやりたくなる」

 

「ま、マシュ・キリエライトです」

 

「いい。まろやかなる突き出た胸が特にいい。その柔らかさは宝だ。身体を大事にせよ。下らぬ男に傷物にされぬようにな」

 

「英雄王・ギルガメッシュ。有象無象の下餞の輩よ。我が拝謁の栄に俗し、速やかに頭を垂れよ」

 

「なんと――あの御方も人が悪い。取るに足らぬ、など。覇気と鋭気に満ち溢れた英雄王が敵方なぞ、こちらの劣勢、もはや疑うべくもないではないか・・・」

 

「うむ、少しは優秀な指揮官がいるな。我を敵に回した愚を、総身で悔やんで死ぬがいい」

 

 

「――そして、お前だ。私とは違いふくよかな皇帝よ。いざなのれ」

 

 

「――良かろう!心して聞け!我が名はネロ!ネロ・クラウディウス!真なるローマを守護せし皇帝だ――!!」

 

「うむ、うむ。それでよい。――名乗りは終わった。では、働くとしようか」

 

 

しゃらりと抜かれる黄金の剣

 

やはり――セイバー!

 

 

「マスター。的確にサーヴァントを呼び競り勝て。我は殿にて見物している。――お前の戦術をな」

 

――レフにたどり着く前に、マスター達がやられてしまっては意味がない

 

こちらは不意打ちに注意を払い、マスター達を護らねば・・・!

 

「解った!」

 

「我が名、ガイウス・ユリウス・カエサル。――本来なら兵士の真似事などするべくもないのだが」

 

「カエサル――それは、皇帝以前の支配者の名・・・」

 

「臆するな、さぁ進め。――賽は投げられた」

 

 

「――いいや、迷うものか!余は、我がローマを護るために!」

 

 

「マスター、指示を!サーヴァント戦です!」

「うん!」

 

 

気概が高まる、決戦の瞬間――

 

その刹那

 

 

「――セイバーを発見。業務的に処理します」

 

「ふぁっ!?」

 

 

突如サークルが回り、一人のセイバーが現れる――!!

 

「貴様――」

 

 

「ふっ、観賞を決め込むギルガメスに代わり、代打ならぬ代剣を振るうといたしましょう!!」

 

青き服、白きジャージに包まれしセイバー

 

 

「貴女は!」

 

『ちょ、また一方的召喚かい!?フリーダムだなもう!』

 

「はい、マスター!!セイバーなら私にお任せを!最強セイバー、ヒロインX――!」

 

「――我から言うことは何もないわ」

 

「見ていなさいギルガメス!私のセイバー忍法を!そして誰も突っ込まないので私が突っ込みます!」

 

ズビシ!と聖剣を突きつける――!

 

 

「美しい・・・――いや、美しいな。うん」

「何故その図体で、セイバーなのか――!!」

 

――戦いが、始まる!




「ふぅ・・・三割はモノにできた。先は長いわね」

『奮闘見舞。宛先・オルガマリー』

「ん?これ・・・」

『アズライト』
『ローマのりんご』

「・・・ギル・・・」


『差出人・英雄王』

『励めよ』


「・・・はい!」

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