人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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メイヴ「はぁい皆♪元気してるぅ?『女王メイヴの、気持ちのいい男の乗りこなしかた』♪始めちゃいましょうか♪」

「いい?正上位はいわゆる男性優位で兵士生産に適した体位ではあるけれど、やはり女王としては男を支配してこそ!と言うわけでクーちゃんを相手に、騎乗位の正しい腰の動かし方を──」

クー・フーリン(オルタ)の垂れ込みかつ自主規制により、メイヴの番組は深夜帯に移動となった。尚、深夜帯でありながら視聴率10%越えの大記録を叩き出したという。

ちなみにフェルディアは出演を熱望していたが、『放送どころじゃなくなる』とNGを受けている。嘆き哀しんだフェルディアはクー・フーリンに戦いを挑み、ケツにゲイ・ボルクが突き刺さったという──


もしもスカサハとコンラがケルト文化を紹介したら

「スカサハと!」

 

「コンラの!」

 

「「ケルト式教育チャンネル~!」」

 

朗らかな声と共にジャージとキャップを着込む美女、スカサハと六歳の幼女と言っていい体格の少女、コンラが体操着とブルマスタイルでお送りする定期的なケルト文化紹介コーナー、それがこのケルト式教育チャンネルである。スカサハの用意するケルトの文化やかつての風習に、元気なコンラが果敢に挑むノー・ヤラセ、ノー・スタントの体当たり式番組である。良い子はあまり真似しない方がよろしい。

 

「ババ様ババ様、今日はどんな偉大なりしケルトの文化に挑むのでしょう?コンラ、楽しみで身体がほくほくしています!」

 

「そう逸るな、そしてババ様は止めよ、ん?そう、今回挑むのはズバリこれ!アルスターサイクルから300年程であったか?離れたフィニアンサイクルにて活躍したひよっこ共の集まり、別名──」

 

「「フィアナ騎士団!!」」

 

前置きやオープニングトークを排斥した武骨極まる進行、コンラの手作り感溢れる犬のセットが眩しさと微笑ましさを呼び、やっぱりこれも大人気番組である。熱烈すぎるファンがコンラに、勇士達の視線がスカサハに突き刺さる視覚的にも福がある番組なのだ。──その内容に目を瞑りさえすれば。

 

「アルスターサイクルの赤枝の騎士団の皆様が王直属の部隊だとすれば、こちらは独立した騎士団!エリン、即ち今のアイルランドの国の一つにフィアナ騎士団がおり、騎士団長とエリンの上王に忠義を尽くした素晴らしき団ですね!」

 

「これこれ、私の解説を取るでない。規模は150人の指揮官、4000人の兵士を有した、機動力と精力に満ちた集いだったそうな。ふむ、実に鍛え甲斐があったであろうな」

 

フィアナ騎士団には二つの派閥があり、偉大なるフィン・マックールが属したバスクナ一族、ゴル、マックモーナが属したモーナー一族という二つの派閥である。宿敵であり、フィンの父の代から争っていた彼等はフィンの騎士団長就任と共に和睦を結んだという。

 

「奴等は特定の住居を持たず、エリンを放浪しながら自らを鍛え上げていたそうな。冬の間は家族や族長の館で客人として乗り越え、夏は集まり野外にて共同生活をおこなっていたようだな。無論だが食料は自前で狩らねばならぬが故、狩人としても名うての者ばかりだったようだ」

 

彼等は時に徒歩で、そして馬にも乗り、子牛程の大きさの猟犬を連れて狩りをしたという。しかしフィアナ騎士は足は猟犬より速く、1日でエリンの南西端から東海岸まで獲物を追いかけたという。

 

「エリンを駆け回った証として、今のアイルランドには彼等の生活の名残、『フィアナの炉辺』なるものが残されていると聞きます!主な任務はエリン全体を外敵から護り、エリン内部のいさかいを解決することだったようですね!アルスターサイクルでは大国の戦争をよくやっていましたが、この時代では海を越えてくる海賊を相手取り、妖精や魔法絡みの事件を解決していたようです!」

 

フィアナ騎士団は特定の討伐部隊ではなく、治安維持部隊であり防衛部隊でもあったのだ。騎士団たちにとってはエリンそのものが領土であり、王を通さず独自に徴税を行っていた。・・・それが後に破滅の一端になるのだが、滅びるのはなんだろうと同じなので、とこのチャンネルでは割愛される。

 

「人物もまた多彩です!フィン・マックールから始まり、何と言っても輝く顔のディルムッドさん・・・」

 

「まぁ待てコンラ。座学ばかりでは暖めた身体が醒めると言うもの。ここは一つ、フィアナ騎士団の最も有名な行事を確かめに行こうではないか」

 

ほへ?とキョトンとするコンラに、ルーンで作り出した門を召喚し抉じ開ける。その先には、シミュレーションにて再現されたエリンの地が拡がっている。

 

「そう、フィアナ騎士団は世襲制ではない。故に誰もが騎士になれるのだが、無論その門は素通り叶わぬ。多少の試練があったことは言うまでもあるまい?」

 

「あっ!もしやそれは即ち・・・!」

 

「そう、入団のための試練、即ち──」

 

「「入団試験!!」」

 

そう、ここからが本番である。この番組が教育である理由、それは、見ている者は勿論であり、同時に『コンラの教育』でもあるのだ。故にこそ、ケルトのさまざまな文化に挑むのはコンラであり・・・

 

「では早速行くぞコンラ、覚悟と準備は良いな?」

 

「おまかせください!皆様にケルトを好きになってもらえるように、コンラはやります!」

 

その頑張りっぷりが、人気の秘訣なのである。そして舞台は、座学から実練習に移る──

 

_人人人人人人人人人人人人人人人人_

> 狗を馬鹿にするのは止めよう! <

 ̄YYYYYYYYYYYYYYYY ̄

 

 

フィアナ騎士団の入団試験・・・それは乗り越えた者のみが騎士を名乗れる試験だけあり、その困難さは筆舌に尽くしがたきものである。大勢の騎士達が見守る中、コンラはその入団試験に挑む。

 

「よし、始めろ!九人の騎士よ、光の御子の息子たるコンラを打ちのめせ!」

 

「どこからでもかかってきてくださーい!」

 

『下半身を地面に埋めた』状態のコンラが、九人の屈強極まる騎士達に槍を振るわれ襲い掛かられる。第一関門の内容は、『下半身を地面に埋めてハシバミの枝と盾を持ち、九人の騎士達から身を護る』である。この時に僅かでも槍が皮膚を掠めたら不合格である。

 

「よっ、ほっ、はいっ、ほい、せいっ!!ラスト!!」

 

「うぐあっ──!」

 

「ババ様!待つばかりも悪いので先手を打ち撃退しました!」

 

コンラは無事やりとげ、ついでに全ての騎士を枝で討ち果たした。文句なしの関門クリアである。

 

「よし、ではシャツ以外の全てを脱ぎ髪を三つ編みに編め!」

 

同時に森へと移動し、コンラはシャツ以外の全てを脱ぎ全裸となる。二十本の三つあみを作り、背後に武装した騎士達を確認し走り出す。その距離は木一本分だ。コンラは森を音もなく、疾風のように駆け抜ける。

 

「怪我をするか捕縛されるか!三つ編みが一つでもほつれるか!そして走っている最中に小枝を踏み折り音を立て、終わりに槍を握る手が震えたならば不合格!そら走れ走れ!」

 

「はい!ババ様!!」

 

走ること五分、コンラが森より抜け出停止する。三つ編みはほどけておらず、肉体には傷一つついていない。スリングと槍を持つ手は微塵も震えを起こしていない。文句無しのクリアである。

 

「次!自分の背と同じ高さの枝を用意し、膝の高さと同じ枝を用意せよ!そして、そらっ」

 

「あいたっ!脚にトゲが刺さりました!」

 

「飛び越えよ、そして潜り抜け!同時に走りながら足のトゲを抜いてみよ!」

 

そう、極限の跳躍と極限の柔軟性、極限の精密さを要求するこれもまた試練である。無論、一つでも出来なければ失格だ。

 

「出来ましたババ様!トゲはこちらに!あとついでに枝の上で逆立ちと二回往復もしてみました!」

 

「よし、では最後だ、この書物を読め!暗記せよ!」

 

最後に、詩編十二冊とエリンに伝わる古来の物語を暗記しなければならない。ちなみにこれらは最早コンラにとっては馴染み深いものなので復習と同じである。

 

「ババ様!これ影の国でやった所です!」

 

「その通り!全て突破したな!では誓いの復唱!」

 

試験が終わった、合格した騎士達には護るべき誓いがある!騎士であるが故に、その規律は何よりも重い。死よりも重いゲッシュの誓いにもあるように、文字通り誇りは何よりも優先される事柄なのだ。

 

「妻を得るときは持参金を受け取らない!不正の報復以外で他人の牛を奪わない!助けを乞われたら拒まない!どれだけ劣勢でも仲間が九人いたら退却しない!騎士団長と上王に忠誠を誓う!」

 

「良かろう!これでコンラ、お前は影の国出身のフィアナ騎士団の一員となった!栄誉だぞ!ちなみに聞くが、私のしごきとどちらが難題であったか?」

 

「はい!ババ様のしごきに比べたら、準備運動でした!」

 

「そうだろう、そうだろう!よくぞやった、流石はクー・フーリンの息子!そら、スカサハスタンプをやろう!」

 

「わはぁーい!ありがとうございますー!」

 

この様に、ケルトの文化に体当たりで挑むチャンネルの一連の流れがこれである。スカサハは応募者全員サービスで、これを含めた今までの鍛練を纏めたスカサハ・ブートキャンプDVDを配布しているが・・・

 

「まだ余裕がありそうだな、コンラ。ではそのままフィアナ騎士団勝ち抜き戦と逝くぞ!制限時間はエンディングトークが終わるまで!」

 

「はい!ババ様!!」

 

「頼む、頼むからババ様は止めよと言うに・・・!」

 

未だに、成功者の報告はされていない。




スカサハ「む、時間か!今日はここまで!皆もケルトの文化を知り、また一つ賢くなった様だな!」

コンラ「一人二人三人四人まとめて5人10人30人!」

「私達はいつでも、お前たちひよっこ成長を祈っている!己の鍛練をけして止めるな、躊躇うな!成長せよ!」

「8090!100!それでは皆さま!お元気でー!」

「さらばだ未来の勇士よ!誰でも良い、我を殺せる程に強くなれ──!」


・・・ちなみに後番組は、『フェルグス・マックロイの、互いに滾る男女のまぐわい』であったのだが・・・

あまりに豪放磊落(隠語)だった為、即座に深夜帯に移動となった。ちなみに文化チャンネルは、午後七時の時間帯である。

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